ホーム > インタビュー&レポート > 「準備万端! 行ってきます!」 ザ50回転ズ、全国20カ所を回るワンマンツアーへ出発! 『Ready! Steady! Rock! Tour』初日神戸VARIT.レポート
本ツアーの始まりの地は、ザ50回転ズと同じく今年21周年を迎えたライブハウス・神戸VARIT.。双方は兼ねてから関わりも深く、ザ50回転ズは何度もVARIT.に出演してきた。8月には『VARIT. 21st Anniversary ロックンロールサーカス マジックナンバー』の騒音寺とのツーマンライブで、ツアーの前哨戦を終えたばかり。そのこともあってか、ツアー初日特有の緊張感はほとんどなく、集まったオーディエンスはリラックスした様子で期待に胸を膨らませ、準備万端で開演の時を待っていた。会場は1階も2階も人でパンパン。物販スペースの隣にはファンから贈られた巨大なお花が飾られ、いかに皆がこのツアーを心待ちにしていたかがよくわかった。
もちろんメンバーも準備万端! ダニー(vo&g)はSNSでギターをメンテナンスしてもらい、ツアーに向けて調整していることを発信していた。
いよいよ開演の時。照明が落ちると、オーディエンスは待ってましたとばかりに歓声を上げてメンバーを待ち構える。いつものようにDr. Feelgoodの『Riot in Cell Block Number Nine』をSEに、ボギー(ds&vo)、ドリー(ba&g)、ダニーの順番でステージに登場すると、早くも熱狂と興奮がVARIT.を包み込んだ。ダニーが「へいお待たせ神戸ー! 『Ready! Steady! Rock! Tour』! この街から始めるぜー!」と叫び『たまにはラブソングを』を投下。一気に放たれたキレのあるロックンロールは、旅の始まりにぴったりだ。ボルテージの上がったフロアは言わずもがなの大騒ぎ。細かく身体を揺らし、ガンガンに拳を突き上げる。続けざまにメンバー全員がボーカルを担う『SPACE ROCK』、小気味良いギターリフとリズムが中毒性抜群の『KILLER』と、自然に身体が動いてしまうナンバーを連続で披露して熱量を高めていった。
MCではダニーが「神戸ー! ノってるかい!?サンキュー、俺たちもノってるぜー!」と叫ぶ。「ノってるぜは初めて聞いた(ボギー)」「昔の漫画でしか見たことない(ドリー)」と2人にツッコまれるも、ダニーは「RED WARRIORSとか言いそうやん。俺たちも"ノってるかい!?"が言えるようなバンドになりたい、そう思って21年間。ようやく今年から解禁しようと思います!」とノリノリで叫ぶと、オーディエンスも最高のレスポンスで盛り上げる。ダニーは「ええ気持ちにさせてくれてありがとう!」と破顔して、「渋い"ノってるかい?"もええよな......」と呟きながらメンバー紹介。するとボギーもドリーもそこに乗っかり、それぞれの渋い"ノってるかい?"を見せてくれた。こんなふうに冗談を言って笑い合う仲の良さも彼らの魅力。見ていて微笑ましい気持ちになる。
そしてダニーは、背後でピカピカきらめくツアータイトルロゴのネオンに言及。「見て見て!」と言わんばかりに、とっておきの宝物を見せるかのように「準備万端ロケンロール! カッコ良い看板と20ヶ所、今日から回ってきます!」と嬉しそうに目を輝かせて紹介する。大好きなロックンロールを鳴らす彼らは、自分たちの活動や創作に誇りを持っている。そのことにも嬉しくなった。タイトルコールから息ぴったりのコール&レスポンスで投げ込まれた『レッツゴー3匹!!』に続き、ドリーがポップにボーカルを取る『サンダーボーイ』、ボギーの渋いボーカルに酔いしれた『夜明けに走れ』を爆速で駆け抜ける頃には、ステージとフロアの垣根は完全になくなり、これ以上ないまでの一体感が出来上がっていた。
神戸VARIT.の21周年を祝福し、来年1月に行われるサーキットイベント『ロックンロールサーカス2026』への出演決定をアナウンスした後は、大阪の男女の恋慕を描いた『新世界ブルース』、ドリーの歌声がどこか忌野清志郎を思わせる『ぬけがらロック』をメロウに響かせる。そこから再びギアを上げてインストナンバー『ダンスのブルース』、ボギーのボーカルと分厚いビートが痺れる『エイトビートがとまらない』を披露。息つく暇もない展開にフロアは大歓喜。曲の合間では口々にメンバーの名前を呼ぶのだった。
中盤、ダニーに「お楽しみコーナー」と名付けられたこの時間は、ドリーがエレキベースをウッドベースに持ち替えてプレイ。ドリーがベースラインを奏でると、やがてギター、ドラムもジョイン。ダニーは「21年の俺たち、ジャズ始めます!」と宣言し「ボギー、もうちょっとジャズしようぜ」とリクエスト。より跳ねるビートに変化したところで「それにスネア入れてみよか」とさらなる注文。ボギーは一瞬困惑した表情を見せたが即座に対応し、即興性の高いパフォーマンスでキャリアに裏打ちされた実力を見せつける。やがてベニー・グッドマンの『Sing,Sing,Sing』を少しカバーして、突如「ジャズ終わります」と終了。同じようにカントリーも始めて終わり、「俺たちに残されたウッドベースソングはロカビリーしかございません。カッコ良いのいこうかー!」と叫んで『ホテルカスバ』をダイナミックに演奏した。さらに『故郷の海よ』をゆったりとロマンチックに聴かせていく。ダニーの歌声が際立つメロディーと郷愁感に身を任せ、しばし至極のチルタイムを過ごしたのだった。
そしてここからはアクセル全開! 昨年リリースされた新曲『NO FUTUREじゃいられない』、ドリーの歌が心に突き刺さった『デヴィッド・ボウイをきどって』、『WE ARE THE KIDS』と名曲を連発。特にイントロから拳が突き上がった『WE ARE THE KIDS』は、真っ直ぐな瞳で一言ずつはっきりと歌うダニーの想いが届き、胸が熱くなった。ザ50回転ズの3人がロックンロールに魅了されたように、観客にとってはザ50回転ズが救いでありヒーローであり、存在証明になっているのだと改めて思わされる。アウトロでダニーが叫んだ「皆に捧げます! 俺たちも一緒だ! We are the kids!」という言葉。ザ50回転ズの音楽と一緒に人生を生きている実感があふれ出し、思わず涙腺が緩んでしまった。会場全体がひとつになって共鳴する感覚は、この日のハイライトだったと思う。
楽しい時間はあっという間。ダニーはとびきりの笑顔で「今日はみんなどうもありがとう! ツアー初日神戸で良かったぜ! この曲から最後まで飛ばします!」とラストスパート宣言。熱狂の中で投下された『船乗りたちのメロディ』と『あの日の空から』は、いつになく心の近いところで響くような気がした。
ボギーが『あの日の空から』の曲終わりから掲げていたスティックを勢いよく振り下ろすと、爆音で聴こえてきたのは『Youngers On The Road』。高速ビートと軽快なギターリフにフロアは大きくうねり、跳ねまくる。<オッオー!>では最高潮のコール&レスポンスでひとつに。そしてアンセム『Vinyl Change The World』に続き、本編ラストチューンの『おさらばブギウギ』を全力プレイ。ソロの見せ場もバッチリで、それぞれがハイスキルなテクを存分に提示し、観る者を骨抜きにした。
汗と笑顔で満たされた神戸VARIT.に、アンコールを求めるクラップが響き渡る。ステージにカムバックした3人は、20年以上演奏され続けている1stシングル『MONEY! MONEY!』と超高速の『50回転ズのテーマ』を、この日一番のエネルギーを宿して叩き込んだ。
ロックンロールの熱に捕まったオーディエンスにダブルアンコールで呼び戻された3人は、心底嬉しそうに笑う。ダニーは「また来年1月会おうね! 気の早い話だけど、もう来年の年末、神戸VARIT押さえ始めてるぜ。いつでも会おうぜ神戸で!」と未来の約束。ドリーは「最高だよね、来年の話もできちゃうんだよ。みんな元気が良くて嬉しかった。サンキュー!」と述べて、最後の最後に『涙のスターダスト・トレイン』を爆音でぶち込んだ。
初日の神戸は、いつもより若い観客が多いように見受けられた。メインの客層はメンバーと同世代かその前後が多いが、この日は20代とおぼしき若者の姿が散見された。しかも、力いっぱい拳を突き上げて身体を縦に揺らしていた。ライブ終盤には、親子ほど歳の離れたファン同士が笑顔で肩を組み、踊っているシーンが目に飛び込んできた。最近のザ50回転ズは若手バンドとの対バンも積極的に行っているが、その影響だろうか。何よりも、ザ50回転ズのロックンロールが世代を超えて人々を夢中にさせていることを目の当たりして、とても感動した。
こうして『Ready! Steady! Rock! Tour』の初日公演は大団円で幕を閉じた。ここから12月20日(土)の渋谷WWW Xまで続く旅。きっと神戸で生み出した大きな愛と絆を連れて、最高のロックンロールを鳴らしながら全国各地を回ってくれるだろう。
Text by 久保田 瑛理
Photo by 小林まり
(2025年9月22日更新)
01. たまにはラブソングを
02. SPACE ROCK
03. KILLER
04. レッツゴー3匹!!
05. サンダーボーイ
06. 夜明けに走れ
07. 新世界ブルース
08. ぬけがらロック
09. ダンスのブルース
10. エイトビートがとまらない
11. ホテルカスバ
12. 故郷の海よ
13. NO FUTUREじゃいられない
14. デヴィッド・ボウイをきどって
15. WE ARE THE KIDS
16. 船乗りたちのメロディ
17. あの日の空から
18. Youngers On The Road
19. Vinyl Change The World
20. おさらばブギウギ
EN1. MONEY! MONEY!
EN2. 50回転ズのテーマ
EN3. 涙のスターダスト・トレイン
【和歌山公演】
▼9月23日(火・祝) 和歌山 GATE
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上有料、未就学児童入場・可。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
【京都公演】
▼9月27日(土) 磔磔
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上有料、未就学児童入場・可。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
【三重公演】
▼9月28日(日) 四日市CLUB ROOTS
【新潟公演】
▼10月4日(土) GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【栃木公演】
▼10月5日(日) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
【神奈川公演】
▼10月7日(火) F.A.D YOKOHAMA
【福島公演】
▼10月11日(土) CLUB ♯9
【宮城公演】
▼10月12日(日) LIVE HOUSE enn 2nd
【北海道公演】
▼10月25日(土) 苫小牧ELLCUBE
【北海道公演】
▼10月26日(日) cube garden
【大分公演】
▼11月1日(土) club SPOT
【熊本公演】
▼11月2日(日) NAVARO
【香川公演】
▼11月7日(金) DIME
【島根公演】
▼11月8日(土) APOLLO
【福岡公演】
▼11月22日(土) INSA
【岡山公演】
▼11月24日(月・祝) CRAZYMAMA 2nd Room
【愛知公演】
▼11月30日(日) スペードボックス
▼12月14日(日) 16:00
BIGCAT
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上有料、未就学児童入場・可。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
ぴあ早割りチケット-4500円(オールスタンディング、整理番号付、ドリンク代別途要)
※福岡、岡山、名古屋、大阪、東京《5公演対象》
【オフィシャル2次先行】※先着受付受付期間:9/21(日)19:00~28(日)23:59まで