ホーム > インタビュー&レポート > 「今までにない、リーガルリリーの新しい形をぜひ見てほしい」 星と宇宙をテーマにしたコンセプトツアー『夏の大三角形』開催 同ツアーと連動するTriangle A-side Single 『ぼくのベガ / R:L / danceasphalt』リリース リーガルリリー たかはしほのか インタビュー
何回も聴きたくなるような音楽で
一緒に成長していく指標になるような曲でありたい
――星と宇宙をテーマにしたコンセプトツアー『夏の大三角形』が7月4日の東京LINE CUBE SHIBUYAから始まってますね。
「リーガルリリーというバンドの音楽性としては、一番初期の段階から星やそういうものに対しての歌詞がけっこう多くて。私自身、すごく星に興味があるんだなって活動10年を経て、改めて気づいたんです。それで、より星にフォーカスをしていきたいなと。今回のツアー『夏の大三角形』がそのきっかけになればいいなと思っています。自分たちもこういうイメージにしたいなとか、セットリストを考えたり、練習したりして想像が膨らんでいってたんですけど、一回目の東京公演は実際にそれが形になって。頭の中で描いていたことが現実に落とし込められたようなライブができました」
――お客さんの反応はいかがでしたか。
「東京公演は椅子が用意されている会場だったので、基本的に最初の方はみんな着席で聴いていたんですよ。でも、楽曲が始まるにつれて、みんな熱量を体に出して表現してくれていて。星空がコンセプトのライブだったので、空を見るように椅子に座ってリラックスして観てもらうのもとても嬉しいんですけど、ポツポツと立って手を挙げてくれる人とか、いろんな人がいて、それがすごく印象的で嬉しかったです」
――今回のツアーは東京、岩手、大阪の3か所ですが、それぞれ会場によって椅子席だったりスタンディングだったりして違うんですね。
「はい、東京の場合、椅子がたくさん用意されているホールなんですけど。大阪はライブハウスでスタンディングなので。立って聴くのと、座って聴くのとでは、ぜんぜん音の聴こえ具合が変わってくると思うので、楽しいですね。私は宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』が大好きで、その影響を受けた楽曲もあります。宮沢賢治さんが岩手を理想郷という意味のイーハトーヴと名付けたので、イーハトーヴでライブができたら素敵だなって思って、今回は岩手の盛岡でもライブをすることになりました。東京、大阪とはまたぜんぜん違ったライブになるんじゃないかなって思います」
――ちなみに、ほのかさんが宮沢賢治の作品に興味を持ったきっかけは?
「元々小学生くらいの時から星関連の本とかをいろいろ見るようになって、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に出会いました。私は『銀河鉄道の夜』は詩の塊というか、詩が固まってるような感じがして。いつ読んでも、その時の自分の感情によって色が変わっていくみたいな...、そういう本だなって思っています。だから、何回も何回も読んで、ちゃんと自分で作り上げていける本だなって。それで好きですね」
――リーガルリリーの歌詞もそういう印象です。ほのかさんが書く歌詞はすごくメタファーに富んでいますね。
「私自身もそういうのが好きなんです。だから、こういう曲ですって、最初にあまり言わずに。聴く人それぞれの立場とか、環境とか、立ち位置とかで感じたことを一番尊重したいです」
――今回のTriangle A-side Single『ぼくのベガ / R:L / danceasphalt』の3曲それぞれの歌詞も何回も聴きたくなります。
「嬉しいです。やっぱり何回も聴きたくなるような、(聴き手と)一緒に成長していくような音楽が好きなんですよ。その時だけの音楽じゃなくて、一緒に持ち運べるような...」
――その曲たちを?
「はい。もちろん1曲でもいいんですけど、一緒に成長していく時に指標になる曲でもありたいなと思ってて。当時の私はこの歌詞をこういう風に捉えていたけど、10年ぐらい経った時はまた見え方が変わったりするし、私は特に本とかを読んでいるとそういう感覚になるんですよ。小学生ぐらいの時に読んで感動した絵本は、大人になった時ももちろん感動するんですけど、その感動のポイントが全然違くて。やっぱ、リーガルリリーの曲もそういう曲にしていきたいなってずっと常日頃思っています」
――ほのかさんの感性やリリックのセンスは小学生の頃からいろんな本や詩を読んだりしてきた中で育まれてきたんですね。今作にもそれぞれに独創的な表現があって、例えば『ぼくのベガ』(M-1)では、"きみが星に泣いた世界が欲しい"とか。『R:L』(アルタイル)(M-2)の、"おなかの中に蝶々が舞ってるきもち"とか...。
「フランス語で"恋をした"っていう表現を、"お腹の中に蝶々が舞っている気持ち"っていう風に表現するんですよ。フランスのことわざみたいな感じで、そこから来ていて。まさにこの『R:L』は、その感情から生まれました。その一言にインスピレーションを感じて、1曲できました(笑)」
――ということは『R:L』は恋愛にまつわる曲ってことですね?
「うん、そうですね。いや、聴く人によってはわからないけど(笑)」
――『R:L』では、"生えたヒビが未来へ 翼を開いて飛んでいかないで"というのも独特の表現ですね。
「ありがとうございます。すごく嬉しいですね。これは、その2人の間にできてしまったヒビと日々をかけてて。で、そのヒビが、翼を開いて飛んで行くっていうのは、忘れちゃうってことで。翼を広げて飛んでいかないでっていう...。自分の頭の中に先に映像があって、その映像を言葉にしていくとこういう表現になりましたね」
――この3曲は恋愛関係にある3者の視点で描かれてるのかなとか、いろいろ考えてたんですけど。
「そこは、みんなの想像に任せたいところで...。恋愛って2人だけの視点になりがちだけど、もう1人入ることによって関係がこじれたりして。ほんとに2人だけだったらいいんだけど、そうもいかないような感じ。具体的に三角関係っていう歌詞はないですけど、そういう恋愛をするもどかしさ、苦しさとかを表現しました。でも、恋愛だけにとどまらずに友情とか、大切な人に向けた思いをいっぱい込めた3曲です」
――1曲1曲で聴くのもいいし、3曲を繋げて聴くとまた見えてくるストーリーがあるんですね。
「はい、聴いてくれたその人自身が主人公でもあってほしいというか、だから、私が主人公を言っちゃうと、そのイメージになっちゃうので。もちろん、私が作るときは頭の中で絵を描くから、主人公はいるんですけど、皆さんが自分の中で主人公を作ってほしいというか、それが自分でもいいし、他のキャラクターでもいいし。音楽を通じて、(聴くひとと)一緒に作りたいのかもしれません」
星空をテーマにして、まったく違うバンドが演奏してるような曲を作りたかった
――この3曲は曲調やサウンドもそれぞれ違いますね。
「まったく違うバンドが演奏してるんじゃないかっていう曲を作りたかったんですよね。なぜかというと、全然違う3つの個性みたいなところを三角形にしたかったから。なので、全く違うサウンドになりました」
――サウンド面でテーマにしたことは?
「全部に共通してる点で言えば、やっぱり"星空"というのはテーマにしているので、キラキラしてたり、『ぼくのベガ』に関しては、一瞬の夏の刹那、花火がバーンと上がるその瞬間を切り取って。ふと思い出すような、そういう大切な瞬間を一緒に作りたかったので。メンバーに相談して、一発録りにしました。もちろんオケだけで、ボーカルは後から入れてるんですけど。バンドの音はみんなで1発で録って。だから、例えばドラムの人が、少しミスがあったとするじゃないですか。でもそれも音楽になっていくと思ってて。それすらも音楽にしたいというのもありましたね」
――実際にそういうことがあったんですか?
「いや、すごく上手なミュージシャンばかりなので、それは全くなかったですけど」
――その一発録りの中に瑞々しさが刻まれているんですね。
「そうですね。フレッシュな感じというか。あと、緊張感も閉じ込められたなって思います」
――『R:L』のイントロから聴こえてくる感傷的な響きのベースラインも印象的です。
「ああ、嬉しいです。これはまさに"おなかの中に蝶々がいる気持ち"みたいなものを音にしていこうと思って。蝶を飛ばしてみると、ああいう感じに聞こえるなって。私、これは携帯でそのまま聴いてほしいと思ってて。なぜかというと、この最初のイントロに入ってるベースを携帯のバイブレーションっぽくしたいなって思って。で、エンジニアさんに相談して、ちょっとそれっぽい感じにしたんですよ。元々そういうベースラインが欲しくて作ったっていうのもありますけど。その歌詞も"着信音の中に君がいそうで~"って始まるので、ベースラインが着信音のように感じられないかなって思いました」
――そういう発想があの音になったんですね。『danceasphalt』(M-3)はアップテンポでまた違う曲調です。
「この曲はリーガルリリーの初めてのダンスナンバーなんですけども、この曲を作る上で1番大事にしていたのは、ダンスは1つだけじゃなくて、いろんなダンスの仕方があるよなと思って。歌詞にも、"羽を休めるみたいに手を取り合ってダンスアスファルト"ってあるんですけど、ダンスすることによって休憩ポイントになったらいいなって思うんですよ。だから、日々の喧騒はちょっと忘れてダンスするような、そういうイメージがあります」
――リーガルリリーのダンスナンバーはこの曲が初めてなんですね。
「曲名で"ダンス"ってつけるのは初めてで、こんなにダンスをしたことは今までなかったです。今まではワルツとかのダンスで。ジャンプするような感じ、飛び跳ねるような四つ打ちのダンスミュージックを作るのは初めてです」
――そういう意味では、リーガルリリーの曲調の幅が広がっていってるんですね。
「ああ、なんか広がってる気がします。様々なジャンルが好きなので。いろんなジャンルの音楽を作りたいですね。で、そこに歌詞を載せるのが好きなんですよね」
今のリーガルリリーのすべてを持っていく
忘れられない夏の思い出になれたらいいな
――ツアーの話に戻りますが、今回は照明にもこだわってるんですよね。
「はい、会場が変われば、同じ照明だとしても反射の仕方が変わったり、見え方が変わると思うんです。なんかそういう楽しみ方できたらいいなって。今回実は、宮沢賢治さんの作品からインスピレーションを受けたセットリストや演出になっていたりもするんです。私たちリーガルリリーとしての星空と宇宙を巡るコンセプトライブを、ぜひ楽しんで欲しいと思っています」
――リーガルリリーとしても今までにないタイプのライブになっているんですね。
「うん。ほんとに今までやりたかったコンセプトのライブなので。今までにはないような新しいリーガルリリーの形、これからの形をみんなにぜひ見てほしいですね」
――ツアーはGORILLA HALL OSAKAでファイナルを迎えます。
「今のリーガルリリーのすべてを大阪に持ってこれる大切な日なので、最後を見届けてほしい。忘れられない夏の思い出になれたらいいなって思います」
――どんな体験になるのか楽しみです。
「まさにそういうひとつの体験みたいなライブにしたいですね」
Text by エイミー野中
(2025年8月 8日更新)
たかはしほのか(vo&g)、海(b)からなるバンド。
東京都出身。高校在学時より注目を集め、国内大型ロックフェスにも多数出演。アメリカで開催された世界最大級の音楽フェスティバル「SXSW」への出演や、中国ツアーなど海外へのライブ進出も果たす。フルアルバム作品として、2020年に1st Album「bedtime story」、2022年に2nd Album「Cとし生けるもの」、2024年8月28日には約2年半ぶりとなる3rd Full Album「kirin」をリリース。その他にも、映画『惡の華』主題歌「ハナヒカリ」、TVアニメ「86 -エイティシックス-」EDテーマ「アルケミラ」、ドラマ「隣の男はよく食べる」主題歌「ハイキ」、NHKみんなのうた「星とそばかすとダイヤモンド」を書下ろすなど、数々のタイアップも担当。2023年には日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも満員にし、2024年4月クールTVアニメ「ダンジョン飯」第2シーズンED主題歌として書き下ろした楽曲「キラキラの灰」が再生回数1000万回を超えるスマッシュヒット。
2025年、7月4日のLINE CUBE SHIBUYAを皮切りに、星と宇宙をテーマにしたコンセプトツアー『夏の大三角形』を開催。
7月23日、Triangle A-side Single『ぼくのベガ / R:L / danceasphalt』リリース。
たかはしほのかの無垢な歌声と、独創的な歌詞。そして衝動的なライブパフォーマンスを武器に、同世代のロックシーンの中でひときわ異彩を放つ。
夏の大三角形をテーマにしたTriangle A-side Single。
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
KSCL-3597~8
4290円
デジパック仕様
《CD収録曲》
01. ぼくのベガ
02. R:L
03. ダンスアスファルト
《DVD収録内容》
「LIVE HOUSE TOUR 2025」Live at 渋谷CLUB QUATTRO 2025.4.3
01. 17
02. ムーンライトリバース
03. 1997
04. 天きりん
05. キラキラの灰
06. リッケンバッカー
07. ますように
08. Tour Documentary Film
【期間生産限定盤】(CD)
KSCL-3599
1650円
TVアニメ『彼女、お借りします』描き下ろしイラストジャケット
デジパック仕様
《CD収録曲》
01. ぼくのベガ
02. R:L
03. danceasfalt
04. ぼくのベガ (Anime Size)
05. ぼくのベガ (Instrumental)
06. ぼくのベガ (Anime Size Instrumental)
■東京編
日程:2025年7月4日(金)
会場:LINE CUBE SHIBUYA
開場 18:00 /開演 19:00
SOLD OUT
■岩手編 ~イーハトーヴの夜~
日程:2025年8月16日(土)
会場:盛岡市民文化ホール 小ホール
開場 17:00 /開演 18:00
SOLD OUT
■大阪編
日程:2025年8月23日(土)
会場:GORILLA HALL OSAKA
開場 17:00 /開演 18:00
SOLD OUT
■石川編
日程:2025年11月15日(土)
会場:金沢AZ
開場 17:00 /開演 17:30
Ticket:スタンディング 5500円(税込/D別)
■愛知編
日程:2025年11月22日(土)
会場:名古屋THE BOTTOM LINE
開場 17:00 /開演 18:00
Ticket:スタンディング 5500円(税込/D別)
■福岡編
日程:2025年11月24日(月・祝)
会場:福岡DRUM Be-1
開場 17:00 /開演 17:30
Ticket:スタンディング 5500円(税込/D別)