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yubiori・⽥村と阿左美が語るアルバム『yubiori2』
人間らしく、最新の自分たちを記録した自信作
7月からは全国12ヶ所(13公演)でリリースツアーをスタート

東京・横浜を中心に活動する、⽥村喜朗(gt.vo)、東條晴輝(ba)、阿左美倫平(gt)、中野慈之(ds)、⼤野莉奈(trp)からなるバンド・yubioriが、2ndフルアルバム『yubiori2』をリリースした。2019年の結成以来、エモやハードコアをルーツに、ギター3本を擁する編成で日常と感情をエモーショナルに鳴らしてきた彼らのサウンドは、トランペット・大野の加入でさらに進化を遂げた。1stアルバム『yubiori』(2022年7月)同様に、人として時代を生きる彼らが抱く悩みや思考をそのまま閉じ込めた今作は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文(vo.gt)がプロデュースを担当。今回はぴあ関西版WEB初登場の⽥村と阿左美に、yubiori第2章の始まりであり、彼らのリアルタイムの記録でもある最新アルバムについてたっぷり語ってもらった。

新メンバー・大野はyubioriの新しい風。彼女なしのバンドは考えられない



ーーまずはyubioriの成り立ちからお聞きしたいです。

田村「大学の同級生を中心に結成して、最初はbloodthirsty butchersのコピーバンドを阿左美たちとやっていました。そこから"自分たちもバンドやりたいよね"とオリジナルを始めたんですけど、なかなか軌道に乗らず、コロナ禍も就職もありつつで思うようにいかない感じで、何人かメンバーチェンジを経て今の体制になりました」

ーー結成は2019年なんですね。

田村「一応そういうことにはなってますが、メンバーとは元からスタジオに入って遊んだり、曲を作ってみたりしていたので。yubioriとして活動を始めたのは2019年ですね」

ーー阿左美さんは田村さんの大学のお友達のお友達なんですよね。

田村「はい。僕の大学の同級生の高校の友達で、もう10年ぐらいの付き合いですね」

ーー結成時からギター3本の5ピースだったそうですが、当初はどういう感じで活動されていたんですか?

田村「僕らは横浜のバンドなんですけど、東京でもよくライブをやらせてもらったり観に行ったりしてて。リンキィディンクスタジオという音楽スタジオが経営する系列のライブハウス......吉祥寺のWARP、新宿のNINESPICES、下北沢のERAに出ていた日本のインディなエモバンドやハードコアバンドが好きで、そういうバンドを見て育ってきたので、そういう方向性の音楽をやってみたいよねということで、最初はずっとエモやハードコアでやっていました」

ーーなるほど。そして2022年7月に1stフルアルバム『yubiori』が出て、そこから1年間はリリースがないものの、ライブはずっとされていたんですね。

田村「2022〜2023年はアルバムリリースツアーを回りつつ、曲もちょこちょこ作ったりという感じでしたね。なにぶんメンバー全員サラリーマンなので、ポンポン曲が作れるかというとそういうわけにもいかず、仕事やライブの合間を縫ってスタジオに入って曲を作ることをずっと繰り返してました」

ーー2024年10月にはトランペットの大野さんが加入されます。トランペットが入ることでサウンドにも変化があり、いわば大野さん加入前が第1章、加入後が第2章と言えるのかなと思いますが。

田村「まさしくそうですね。大野さんはもともとyubioriのライブによく来てくれたお客さんで、遠征先にも顔を出してくれていたので喋りかけてみたら、トランペットが吹けるということで。今回のアルバムを作るにあたり"金管楽器の音が欲しいな"と思っていたのでちょっと吹いてもらったら、皆で顔を見合わせて"すごく良いね"と言っちゃうぐらいの腕前だったので、そのまま入ってもらいました」

ーー今回のアルバムのために大野さんが入ったと言っても過言ではないと。

田村「本当にそのイメージです。ドンピシャで入ってくれました」

ーーそして2025年3月に初期メンバーのハセ・コー(gt)さんが脱退されて5人編成になり、現在はaoniの松川育人さんがサポートギターで入られて、ライブ自体は6人でされていると。

田村「そうですね」

ーー大野さんがライブの演奏に加わったのはいつからですか?

田村「10月に初めてスタジオに入って全員で合わせた翌日には初ライブでしたね。皆で"これはもう明日からやってもらおう"という話になって」

ーー翌日にライブはすごいですね。

田村「彼女は誰よりも漢気があるというか根性がある。音楽的にも精神的にも、僕たちのことを支えて引っ張ってくれる良いメンバーです。もう大野さんのいないバンドは考えられないですね」

ーー大野さんはクラシック畑の方なんですか?

田村「彼女は吹奏楽を中学・高校・大学とやってて。僕自身も高校時代は吹奏楽部だったのでクラシック畑ではあるけど、ポップスもジャズもやる。だからそこまで違和感がないですし、今回のアルバムで言うとオーケストラっぽいアレンジも結構あるので、そういう意味ではクラシック出身の人が入るとすごく話が早い。僕の頭でイメージしているものをそのまま出してくれるので、アレンジの幅が広がりましたね」

ーー阿左美さんから見て、今のyubioriはどんな雰囲気ですか?

阿左美「本当に大野さんが入ってから、というか、大野さん自体が新しい風です。彼女を通して自分たちの視野が広がったし、今まで以上に自然に色んなことをやれるようになりました。それがちゃんと表れているのが『yubiori2』だと思いますし、ライブの雰囲気も大野さんが入る前後だとやっぱり全然違う。今までのyubioriを踏襲しつつ、本当に新しい風を感じるような。ざっくり言うと、何をやっても良いですね」

ーー波長が合うんでしょうか。

阿左美「田村が言ったように、大野さんは自分たちのお客さんだったので、自分たちの雰囲気は事前に知ってくれていたと思いますし、彼女自身がかなり合わせてくれているところもあると思います。そういった面で波長は合っていて、バンドの雰囲気もすごく良い感じです」

630阿左美(日々季).jpgPhoto by 日々季



常に人間らしく、その時考えていることが全て演奏に出るバンド



ーー少しお話が戻るかもしれないですが、田村さんがバンドをやる意味を"友達のためだ"とおっしゃっているインタビューを拝見しまして。"友達が元気かなという気持ちで曲を書く"という感覚は、今もずっと変わらずに?

田村「そうですね。自分の周りの友達や家族、"いつも助けてくれる大好きな人たちに元気でいてほしいな"という想いや、"俺のことを忘れないでいてくれると嬉しいな"という気持ちを歌にしていますね」

ーー田村さんの歌詞には、離れることや消えていくことが多く出てきますが、繋がりを大事にされているんですか?

田村「これは言い方に語弊があるかもしれないけど、できればその人の中にちょっとでも自分が居たいというか。"あんな奴いたな"とか"あんなこと言ってたな"とたまに自分のことを思い出してほしい。そんな欲求が僕の根底にあって、自我が出ている曲の歌詞は多分そういう傾向があると思います」

ーーお話を聞いていて、田村さんは好きな人たちの近くにいることがバンドや曲作りのモチベーションになっているのかなと思いますが、阿左美さんはそんな田村さんと一緒に活動していて、何か思うことはありますか。

阿左美「曲を作る時、ジミー(=田村)が歌の中で"今どうしてんの?"と問いかけてくる内容に対して、それをギターで表現しようと思っていますね。"ジミーがこう歌うなら、今の自分はこんなふうにギターを弾いて、こんなふうに生きてるよ"と表現できている。ジミーの想いに応えてギターを弾いている意識が強いです。それに、本当にその時々によって弾けるフレーズが変わってくるんですよね。1stと今作でも自分のギターは全然違いますし、もしかしたら他のメンバーもそうかもしれない。お客さんも多分そんなふうに感じて、"生活を頑張ろう"と思ってくれてるんじゃないかな」

ーー生き様を音で表現するって、とても良いですね。

田村「僕も作曲し甲斐があるというか、嬉しいです。初めて聞きました(笑)」

阿左美「せっかくこういう場なので(笑)」

ーー昔に書かれた曲でも、今弾くとまた違う感情が乗ることもありますか?

阿左美「ありますね。ライブは特にそうだと思います。昔弾いてたギターとはまた全然違う感じで今弾いてたりするので、そういう意味でもyubioriは常に人間らしく、その時々に考えていることが全部演奏に出てると思います」

田村「良くも悪くもですけど(笑)」

ーー良い時もあれば悪い時もある。人間ですからね。

田村「そこが顕著に出てますね(笑)」

ーーアレンジは皆さんで考えるんですか。

田村「一旦それぞれで考えてきてもらって、パッと合わせます。さっきお話したように、僕らは東京のインディーズシーンから入ってきたバンドで、周りが独特な色や尖り方の音楽をしていたので、"そこに埋もれたくない"という気持ちがずっとあって。だから"僕たちが得意なことは何だろう?僕たちらしい、今僕たちがやりたいアレンジは何だろう?"と皆で話してブラッシュアップします。そこが1番大変だけど、やりがいがある。yubioriらしさを出すための大事なフェーズですね」



アジカン・後藤正文がプロデュースに入った『yubiori2』



ーー今作『yubiori2』はアジカンの後藤さんプロデュースです。プロデュースすることになった経緯は?

田村「僕も阿左美もアジカンの大ファンで、ずっと後藤さんを尊敬していたんです。2ndアルバムをどこから出そうかとなっていた時に、後藤さんもインディーズレーベルをやられているので、ダメ元でメールしてみようと私が長文のメールを書きまして。2024年の7月頃に後藤さんにお会いして、8〜9月にプロデュースが決まりました。だから本当にメンバーと後藤さんとチームで作った作品だと思ってます」

ーーそこから制作も加速したと。

田村「そうですね。当時何曲かデモがあったんですけど、後藤さんに"バンドを代表するような曲があるといいよね"とアドバイスをいただいて、秋から冬にかけて1人で頑張って作ったのが『Maxとき』(M-1)と『いつか』(M-2)です。1番最後にできたのは『Maxとき』かな」

ーー"バンドを代表する曲"と言われて、どんなことを考えて作られたんですか。

田村「まずは"バンドを代表する曲って一体どんな曲があるんだろう"ということで、僕が好きでよく聴いてた日本語ロックのバンド、フジファブリックやサンボマスターの有名な曲を聴き直して。『Maxとき』は、漫画家の松本大洋先生の『東京ヒゴロ』という最新作にインスパイアを受けて作りました。僕は自分のことを芸術家だとは思ってないんですけど、何か作品を創る人だと読んでてジーンとなるし熱くなるし涙も出るような、すごく良い作品なんです。そこから着想を得つつ、今の自分と照らし合わせて、"僕がこれから人生を終えるまでにどういう創作活動ができるかな"、"仲間と一緒に創作できる時間がどれぐらい残されてるかな"と考えながら曲を作りました」

ーーそんな想いが込められていたんですね。

田村「僕の歌から始まる曲で、"重いテーマだな、聴きたくないな"と思う人もいるかもしれないけど、最後まで聴くと漫画を読んだ後のジーンとくる感じもありつつ、"バカなことやってんな"という笑いもありつつ。そんな曲になったと思います」



1stが出てから今作に至るまでの自分たちの記録がアルバムになっている



ーーアルバム全体を通して、割とずっとクライマックス感があるというか。合唱やトランペットが入ると壮大になるので1曲1曲が濃厚だと思いましたが、アルバム全体の雰囲気としては、どういうものを目指していたんですか?

田村「1stもそうなんですけど、僕らのアルバムは、制作期間に僕たちがどんなことを考えて、どんなことを思いながら生きていたのかがそのままパッケージされたものなんです。今回も、コロナ禍が終わって1stを出した後から今までの2~3年の間に僕らが考えてたことや悩んでたことをそのまま曲にしています。だから"こういうアルバムを作りたい"というのは正直なかったですね」

阿左美「1stが出てから今作に至るまでの自分たちの記録が『yubiori2』になっていると思います」

田村「制作の話で言うと、僕らはまだ世間に1曲もちゃんと認知されていないので、毎回曲を作る時に"全力で出し切ろう"というのがあって。さっき"全部の曲が派手でクライマックス感がある"と言っていただきましたが、まさにそう言われてもおかしくないよなと。例えばバンドを長くやってると、"ちょっと前にこれっぽいアレンジをしたから、この曲ではやめとくか"みたいなのがよくあると思うんですけど、僕らは"仮に同じになったとしても、今作ってる曲が100%良いと思うアレンジになるのならそれはしょうがないよね"と常日頃言ってて。そのマインドで制作しているから、毎回派手に終わる感じになってるのかもしれないです。まだ売れてない芸人がTVで爪痕を残そうとしてドカーンとやっている、それに若干近いところがあるかもしれないです」

ーーつまりは全力投球なんですね。

田村「ライブも曲作りにおいてもそうですね」

630田村(乙葉).jpgPhoto by 乙葉



後藤との大充実のレコーディング



ーー後藤さんは"今のyubioriをパッケージしたい"というところに、どのように関わってくださいました?

田村「後藤さんは静岡県藤枝市にスタジオを建設中だったり(2024年にアーティスト支援を目的とした滞在型音楽制作スタジオ「MUSIC inn Fujieda」を建設)、ミュージシャンが発表したアルバムに贈られる作品賞『APPLE VINEGAR -Music Award-』で活動をされているんですけど、もう本当にそのままというか。とにかくバンドファーストで動いてくださって。培ってきた素晴らしいキャリアに驕らず、本当にフラットな目線でアドバイスもくださいますし、僕らにとって良い選択は何かを一緒に考えてくださって、すごくありがたかったですね。制作についてはバンドのことを思って言ってくださるし、いざレコーディングが始まると音楽的なところはズバッと言うし、俺たちがピリピリしそうになると、ラフに"お菓子買ってきたよ"と和ませてくれたり。本当に空気を回してくれてましたね」

阿左美「後藤さんは曲作りの段階から入ってくださって、"もうひとひねり欲しいんです"みたいなところにも的確なアドバイスをくれて。やっぱり第三者の目線が加わるだけでメンバーの動き方も全然変わってくるんです。すごく刺激的な経験でしたし、それぞれ皆後藤さんから受け取ったもので、本当に成長できたと思いますね」

田村「僕が一番感謝したいのはボーカル録りです。一緒にコーラスも考えていただいて勉強になりましたし、ガンガン自分の良いところを引き出してくださって良い歌を歌えました。本当に後藤さんのおかげです。何より楽しかった。夢のような時間でした(笑)」

阿左美「ファンだもんね」

田村「うん(笑)」

ーーでは、たくさん吸収しようと前のめりに臨まれていましたか?

阿左美「こんな機会は滅多にないので、吸収できるものは吸収しようと思ってました。レコーディングでは"ギターに関して俺は口を出さないので"とほぼ断言してくれて。本当に気になる点ぐらいしか言われなくて」

田村「それもリズムの乗り方やマインドの話で、技術という感じじゃなかったよね」

阿左美「"こうしたら曲がもっと良くなる"みたいな視点でしたね。ギターで影響を受けまくった後藤さんからある意味認められてすごく嬉しかったですし、自信にもなりました。新しい指標もできたので、本当に感謝しかないですね」

田村「ミックスやマスタリングでも、僕らじゃ絶対に思い浮かばないような提案をしてくれて、すごく頼もしかったです」

ーーミックスとマスタリングのエンジニアさんも後藤さん経由で一緒にやるようになったんですか?

田村「今まで後藤さんプロデュースの場合は、後藤さん提案のエンジニアの方とレコーディングをすることが多いそうなんですけど、僕らの1stアルバムを録ってくれたエンジニアと一緒にやりたいと相談したら"いいよ"と言ってくださって。エンジニアの方も僕らと年が近いですし、後藤さんからしたらタフな現場だったと思うんです。でも"年齢差なんて関係ないよね。音楽好きという意味で僕ら一緒だよね"と後藤さんに言われたわけじゃないけど、そう言いたいのが伝わるぐらい、皆で良いグルーヴで制作できました」

630引き(日々季).jpg

Photo by 日々季



ここで止まるつもりはない。新しいyubioriを作り出していきたい



ーーそれぞれ、アルバムの中で特に聴いてほしい曲はありますか?

阿左美「『super blue』(M-7)は僕が原形を持ってきた曲で。先に『deep blue』(M-6)ができて、そのアンサーソングみたいな感じで『super blue』を作ったので、"blue"が2つ続いてます」

ーー『deep blue』と『super blue』はシームレスに繋がる感覚がありますね。

阿左美「まさしくその狙いで作りました。"ポップパンクを目指して作ってみたけど、結局yubioriになっちゃいました"みたいな曲なんですけど、yubioriらしさはありつつ、意外とこういう雰囲気も出せる。そんな曲が1曲あるだけでアルバムの雰囲気も変わりました。原形はもう少しギターロックっぽかったんですけど、自分の中でもあまりチャレンジしたことのない感じになっています」

田村「TheSpringSummerっぽかったよな」

阿左美「うん。でも良い方向性でアレンジが加わりました。あとは僕、『春になれば』(M-5)がこのアルバムの中で一番好きで。もうとにかく暗くて、とことん落ち込む曲が5曲目に入っていて、ここで一旦クライマックスを迎えるのがすごく良い」

ーー展開が印象的な曲ですよね。

阿左美「Aメロ・Bメロ・サビではない作りになってて。1回聴いただけだと多分"何だったんだ、あれは"となる。1曲の中に2~3曲ぐらいあるような展開で、暗さと面白さが混在しているのがすごく良いなと思います。ぜひこの2曲は聴いてほしいです」

田村「この曲も、後藤さんに入ってもらってめちゃくちゃ変わったね」

ーーどう変わりましたか?

阿左美「ミックスのところですね。ギターフレーズとかはあまり変わってないけど、全体的な音像というか」

田村「主にアンビエントだよね」

阿左美「そうだね。後藤さんもアイデアをたくさん出してくれて。自分たちでも"こういうことをやってみたいです"と言ったら、後藤さんとエンジニアの(島⽥)智朗さんが実現まで持っていってくれました」

田村「具体的に言うと、最初の方に入っている雑踏の音は、僕が立体集音できるマイクを使って冬の横浜駅で1人で録りました。あとは1番最後のサビの主旋律の裏で"バリバリ!"という音が鳴ってるんですけど、メンバーが"もっと破滅的な音像にしたい"と言っていて、後藤さんに提案していただいて僕が入れたんです。後藤さんは僕らがふわっと言ったことにも、真摯に寄り添って考えてくださって、何よりもありがたかったです」

ーー田村さんが聴いてほしい曲は?

田村「全部良いので何周もしてほしいんですけど、特にラストの『rundown』(M-12)がお気に入りですね。『rundown』は5人時代によくライブでやっていたんですが、大野さんが入って初めて一緒に合わせた曲なので思い出深いです。もともと違うサビのメロディーと歌詞だったけど、後藤さんに"ふと口ずさめるような歌詞とメロディーで、ライブでお客さんと共感したいフィーリングを表現できると、より良いね"とアドバイスをいただきまして。"僕はバンドを通して何を表現したいんだろう、周りの人たちとライブを通してどんなフィーリングを共有したいんだろう"と1人自問自答して、練りに練って歌詞を書いたので渾身の1曲だと思ってます。アレンジについては、5人時代の良さと大野さんが入ってからの良さが両方出ているので、"新しいyubioriってこういうことだよね"ということが理解してもらえたら嬉しいですね。あとは『せめてそれだけ(M-8)』も個人的に好きです。これもyubioriの良さが出てると思います」

ーー『せめてそれだけ』は田村さんのストレートな想いと願いが込められた曲ですね。『rundown』は<お前が望めばいつまでも日々は続く>という歌詞に励まされました。

田村「嬉しいなあ。ありがとうございます」

ーー本当に今のyubioriの集大成になりましたね。

田村「はい。でもここで止まるつもりもないので、いっぱい良い曲を作っていきたいです」

阿左美「これからまた新しいyubioriが作り出されていくと思いますし、連続して死ぬまでやっていきたいです。まずは『yubiori2』を色んな人に聴いてほしいですし、そのために何をしたらいいか考えてるところですね」

田村「体を壊したら嫌なので、無理のない程度にね」

阿左美「皆で支え合いながらね」

田村「そうだね。そこは風通しの良い組織でありたいと思います。僕はどちらかというと運営する側なので、中にいる人がどう思ってるかちゃんとヒアリングしてないので、1on1をする必要があるかもしれないですね(笑)」

阿左美「仕事みたいになってきた(笑)」

ーーそして7月、東京・下北沢 ERAを皮切りにツアーが始まります。関西は8月2日(土)京都・nano、11月22日(土)大阪・FANDANGO、11月23日(日)滋賀・B-FLATですね。京都はもうソールドしたとか。

田村「そうなんです。大阪は僕らと同年代のblondy、滋賀はThe Over Sensationというめちゃめちゃカッコ良いバンドに出てもらいます。どちらも素晴らしいライブになると思うので、ぜひ来ていただけると嬉しいですね」

ーー自分たちが対バンしたい相手を呼んでいる形ですか?

田村「先輩でも後輩でも同年代でも、良い意味で色を持ってるカッコ良いバンドが全国各地にいっぱいいるので、そういう友達と出会ってお互いが住む街で一緒にライブをすることが、長くバンドを続けていく上での僕にとっての一番大きなやりがいなんですよね。今回はまさに僕がわがままを言って、友達に声をかけてツアーを組んでもらいました」

阿左美「各地の友達と一緒にライブができるのはすごく嬉しいですし、色んな人を巻き込んでやっていきたい。それが叶っているリリースツアーだと思うので、対バンの皆と刺激を与え合いたいです。お客さんにもそういう雰囲気を感じ取ってもらえて、色んな連鎖で生活に彩りが生まれたら嬉しいですね。それを実現するために、各地のライブを頑張っていきたいです」

Text by ERI KUBOTA




(2025年7月 7日更新)


Check

Release

yubioriの“今”を凝縮した2ndフルアルバム『yubiori2』リリース!

3000円(税込)

【収録曲】
01. Max とき
02. いつか
03. 思い出した時のために
04. 終わらない
05. 春になれば
06. deep blue
07. super blue
08. せめてそれだけ
09. ⼭の向こう
10. ⼆等寝台
11. すばる
12. rundown

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Profile

yubiori(ユビオリ)…東京・横浜を中⼼に活動中。⽇々の⽣活の中で闘い続ける⼈々に寄り添う⾔葉とメロディ、エモーショナル・ハードコアからインディフォークを横断する幅広い⾳楽性と、感情が爆発するライブパフォーマンスが魅⼒。2022年には1stフルアルバム『yubiori』をリリースし、全国ツアーを敢⾏。2024年にはキャリア初のワンマンライブ「ASAP」を新宿Marbleで開催。同年4⽉に同会場で⾏われたワンマンライブはソールドアウト。10⽉には、新メンバーとしてTrp.⼤野莉奈が加⼊。より多彩で深みのある⾳楽を⽣み出し、ライブハウスシーンで注⽬を集めている。2025年7月、新フェーズに入った『yubiori2』をリリース。7月から来年2月にかけて全国12ヶ所(13公演)を回るリリースツアーを行う。

Live

「2nd full album『yubiori2』Release Party」

【東京公演】
▼7月13日(日) 下北沢ERA
[ゲスト]Dr.DOWNER/LINK
【京都公演】
▼8月2日(土) LIVE HOUSE nano
[ゲスト]Comedownthere/No Fun
【静岡公演】
▼8月3日(日) ROJI
[ゲスト]THE RESTAURANT/SEVENTEEN AGAiN
【佐賀公演】
▼9月13日(土) LIVE HOUSE RAG.G
[ゲスト]yard rat/No edge/SACOYANS/犬のやすらぎ/Make The Pancake/DJ imafuku
【熊本公演】
▼9月14日(日) NAVARO
[ゲスト]Make The Pancake/yard rat/Etranger/Sunday Calm Sunset
【宮城公演】
▼10月18日(土) 仙台FLYING SON
[ゲスト]woopie groupie/EverBrighteller
【栃木公演】
▼10月19日(日) 宇都宮HELLO DOLLY
[ゲスト]サバノオミソニー/SonoSheet/Someday's Gone/Süden
【大阪公演】
▼11月22日(土) FANDANGO
[ゲスト]blondy/他
【滋賀公演】
▼11月23日(日) LIVE HOUSE B-FLAT
[ゲスト]The Over Sensation/他
【千葉公演】
▼12月6日(土) 千葉LOOK
[ゲスト]LESTER/他
【岡山公演】
▼12月13日(土) CRAZYMAMA 2nd Room
[ゲスト]有
【東京公演】
▼2026年2月15日(日) WWW X
※ワンマン公演

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