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「今回は僕自身のチャレンジでもあります」
デビュー55周年の新たな幕開けに豪華フルオーケストラと共演
『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025 KEEP ON DREAMING』開催
野口五郎 インタビュー

1971年のデビュー以来、『私鉄沿線』や『甘い生活』などの名曲を世に送り出し、歌手だけでなく俳優やギタリストとしても活躍してきた野口五郎。デビュー55周年の新たな幕開けにフルオーケストラと共演する、『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025  KEEP ON DREAMING』の開催が迫る。歌手活動の集大成ともいえる本公演にどのような思いで臨むのか。また、自身が研究してきた音響へのこだわりとは? 音楽を軸にしつつ、自身の研究(DMV=深層振動)の発表が控えていることなど、科学的な知見に及ぶ興味深いインタビューとなった。

デビュー55周年を迎えて、自分では大して長いとも思えない


――デビュー55周年おめでとうございます。55年という長きにわたって音楽活動をされてきて、どのような心境ですか?

「いやもう、やっているうちにそうなってしまっただけで...(笑)。今日もそうですけど、移動中に空の景色を見ながら、55年って長いのかな...、長いと思わなきゃいけないのかな...とか。そんな複雑な思いですね。自分では大して長いとも決して思えないんですよ」

――デビューから半世紀以上、野口五郎さんの国民的歌手としての存在感は揺るぎないですよね。愚問かもしれませんが、音楽をやめたくなるようなことはなかったのですか?

「ずっとやってきてるんで、ちょっと壁にぶつかったりとか、いろいろあったとしても、音楽をやめたいとは思わないですよね」

――セルフカバーアルバム第3弾"GOROes by myself 3"が5月6日にリリースされました。

「これは、ベースとギターを僕が一人で演奏して、毎回ほぼ1人でやってるんですが、今回はNHK交響楽団のストリングスの皆さんに手伝っていただいて、ピアノに娘(文音)が入っています。今年、無事に音大のピアノ科を卒業したので」

――文音さんが野口さんのレコーディングに参加されるのは今回が初めてですか?

「そうですね。自分の娘ではあっても、もうプロのピアニストなので。どういう風に弾くのかな、どう表現するのかなって思っていましたが、逆に僕が教えてもらうこともありました。どのミュージシャンとやるときもそうですけど、そのやりとりが音楽の面白いところかなと思いますね」

――そういう意味ではこのセルフカバーアルバムでは、より野口さんの理想のサウンドが聴けるのでしょうか?

「そうですね、ドラムにしてもそうですけど、歌手である僕がドラムをやったらどうなるか、歌手である僕がベースをやったらどうなるかなっていう...」

――ギターだけでなく、ドラムも野口さんが叩かれるんですね。

「ドラムが一番練習しましたかね。ギターはちっちゃい頃からやっていて、いまだにずっと続いてますから」

――ツアーのサブタイトルにもなっている『通り過ぎたものたち』という曲が今回のセルフカバーアルバムにも収録されています。この曲は野口さんにとってはどういう1曲なのですか?

「これはね、元々兄貴が作った曲なんですけど。今回、55周年ということで、"通り過ぎたものたち"っていう言葉に自分の中ですごくピンときたんです。この曲はコンサートの度に『通り過ぎたものたち』の"もの"をひらがなにしてみたり、ローマ字表記にしてみたり、カタカナ表記にさせていただいたり、いろいろ変えて演奏させていただいてるんですけどね」

――フォークギターの弾き語りのようなシンプルなサウンドが印象的です。

「この曲はレコーディングが全部終わってから、スタジオではない場所でギター1本で、1回だけ歌ったテイクなんです」

――だから他の曲とは違う印象なんですね。こういう曲も野口五郎さんのルーツのひとつですか?

「そうですね。いろんな楽曲を歌ってきましたが、僕は日本人だし、こういう感じかなっていうところに戻ってきたっていうのを最後に弾き語りで歌って(アルバムが)終わってるんです」



"野口五郎 vs オーケストラ"という意識で
ある意味すごく挑戦の曲が多いですね



――6月12日には、『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025 KEEP ON DREAMING』が兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで開催されます。今回のステージ内容について教えてください。

「この公演までにいくつかコンサートはあるんですが、こちらのほうの曲目がわりと早くから決まっていきました。ある意味すごく挑戦の曲が多いですね。オーケストラの方たちともただコラボするだけではなくて、"野口五郎 vs オーケストラ"という意識で。曲目に関しては、当日のお楽しみにしていただいて、あまり具体的なことはお話できませんが、おなじみの曲もあれば、映画音楽やミュージカルの曲もあって、みなさんが知ってる曲ばかりです。僕はギターの演奏もします」

――デビュー55周年の挑戦として、ファンの方が初めて生で耳にするような歌も披露されるんですね?

「そうですね。1曲1曲に対して何か意味合いを持たせていきたいなと思ったので。そういう並びの曲目になっています。それを生演奏でぜひ皆さんに聴いていただきたいですね」

――タイトルに掲げられている、<KEEP ON DREAMING>も野口さんから?

「僕はどんなステージも必ず自分でつけさせていただいているので、今回も自分で決めさせていただきました」

――大人になるとなかなか夢を抱けなくなるように思いますが、やはり何歳になっても夢を見ることは大切だと思われますか?

「そうですね。今の社会と僕らが子供の頃の社会を比べて、一番違うところがそこだと思うんですよ。僕は歌手になりたくて、物心ついた時からその夢を追い続けてきて今があるんですけどね。自分と同じ夢を持った人と切磋琢磨してがんばって、そこで勝ち抜いて夢を掴むっていうのが僕らが生きてきた時代の中ではあったんですけど」

――今はどうでしょうか?

「僕らの時代は夢を持てた時代なんですけど、今は夢を持てない時代なんですよ。逆に、夢を持てば叶えることは簡単なんです、AIが教えてくれた通りにやればいいから...。でもそれはもう夢とは言えないですよね(苦笑)。人は大事な何かを見失おうとしているような気がして...、そうならないように、世界はやっぱり夢を追い続けるものであってほしいよねっていう思いからあえてこういうタイトルをつけました」



人間の体にも良い生の音の響きを
素晴らしいホールで聴いていただきたい



――では最後に、ファンの皆さまにメッセージをお願いします。

「今の話に付随してくるんですけど、(職人や技術者の)巧みの技を継承してきたアナログの時代から、この30年くらいでデジタルの世界になりましたよね。それによって継承とか匠とかいう言葉がだんだんなくなってきてるんです。デジタル時代では全てが数値化されるようになってきて、夢がなくなってきてるんですね」

――家も3Dプリンターで建てられる時代ですもんね。

「音楽の世界では、レコードからCDになった時に、みんなは音がクリアになったと喜びましたよね。クリアになるっていうのはどういうことかというと排除されてる音が多いんです。でも、自然界ではアンビエンスとか響き、倍音っていうのが大切なんですね。それは人類が20万年生きてきた中で自然に体で浴びてきた音なんです。たとえば魚が跳ねる音もそうだし、それらはすべて倍音が入っているんですが、それを切ってしまったのがデジタル音なんです。そういう音を日常的に聴いていると、ストレスが溜まらないわけがないんですよね...」

――確かにそうですね。PCで音楽を聴いてるとだんだん耳が疲れてきます。

「僕は世の中がデジタル化してきた時にすごく懸念をしていました。いつか音を聴くっていうことに関して、人間にはすごいトラブルがあるだろうなと。それで研究し始めたんです。人間の可聴域は20Hzから20万Hzなんですけど、その下の方の非可聴域の部分を揺らせば、もう1度(自然な音が)再現されるんじゃないか、ということをずっと研究してきました。さらにそれが認知症に良いということで、来月の27日に日本老年学会で秋田大学と一緒に発表するんです」

――すごいですね。そういった野口さんの研究が今回のステージにも反映されますか?

「はい。音波っていうものが人間のタンパク質構成とか形成に関係していることは科学的にわかっています。そういう体に良い周波数も含めて、生のステージでは全部聴けますよ。音って聴くだけではなくて、浴びるものだと考えてるんです。だから体にもすごく良いと思います。せっかくこういう素晴らしいホールがあり、楽器本来の生の響きが綺麗に聞こえるようにできている会場なんで。今回は僕自身の挑戦でもありますし、エレキギターとフルオーケストラのハーモニーも含めて、ぜひ皆さんに聴いていただきたいですね」

Text by エイミー野中




(2025年6月 9日更新)


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Profile

のぐちごろう…本名、佐藤 靖。1956年2月23日生まれ。岐阜県美濃市出身。1971年5月1日、『博多みれん/ひとり雨』でデビューする。同年、8月1日リリースの2ndシングル『青いリンゴ‏‏‏/君のためぼくのため』が大ヒット。1972年12月31日、NHK紅白歌合戦に当時最年少16歳で『めぐり逢う青春』で初出場。その後、現在に至るまで、歌手、俳優、ギタリストなど幅広く活躍している。

野口五郎 公式サイト
https://goro-net.com/


Live

billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025 KEEP ON DREAMING

【東京公演】
▼6月5日(木) 東京文化会館 大ホール

Pick Up!!

【兵庫公演】

チケット発売中 Pコード:295-236

▼6月12日(木) 18:00

兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

全席指定-13000円

[出演]野口五郎
[指揮]渡辺俊幸
[演奏]大阪交響楽団

※未就学児入場不可。車椅子をご利用のお客様は、[お問合せ]先までお電話にてお問合せください。チケットはおひとり様1枚必要となります。チケットを紛失された方、または当日お忘れになった方はご入場できません。必ず公式サイトに掲載の注意事項をご確認の上、チケットをお求めください。<ご来場のお客様へのお願い:https://billboard-cc.com/notice>
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は5/29(木)15:00以降となります。

[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【愛知公演】
▼6月18日(水) 愛知県芸術劇場 コンサートホール
【北海道公演】
▼7月3日(木) 札幌文化芸術劇場hitaru

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