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“これが自分たちの100%”
純度100で届けるSubway Daydreamの今
4月からは初の全国ツアーへ出発!

双子の藤島裕斗(g)、藤島雅斗(g&vo)と幼馴染のたまみ(vo)、Kana(ds)によって結成された大阪発の4ピースバンド・Subway Daydreamが、2年ぶりに待望の2ndフルアルバム『100%』(読み:100パー)をリリースした。1月31日には心斎橋LiveHouse ANIMAで初のワンマンライブ『Friday I'm In Love』を大成功で終え、2月に結成5周年を迎えた4人。スピッツの草野マサムネやASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、ストレイテナーのホリエアツシらからも評価を受ける、要注目のバンドだ。今回はメンバー全員に現在のモードやアルバムについて、たっぷり話を聞いた。90’sのJ-POPを彷彿とさせるポップでロックなサウンドの中に見え隠れする、ルーツミュージック。みずみずしくてフレッシュで懐かしい、とびきり耳心地の良い1枚はこの春必聴。CDを手に取る喜びも楽しんでほしい。

初ワンマンライブを終え、スタートラインに立った4人


――2020年の結成から活動も広がっていると思いますが、バンド的には今どんなモードですか?

裕斗「結成直後にコロナがあって、うまくいかないこともあったんですけど、5年間を通して自分たちがやってきたこと、これからやっていきたいことを提示できたのが1月のANIMAでのワンマンで。それを終えて次はアルバムも出るし、気持ち的には全員前向きですね」

――初ワンマンはどうでしたか?

たまみ「やっぱり嬉しかったです」

Kana「お客さんもパンパンで嬉しかったけど、やっとスタートラインに立った感じ。アルバムも出すしツアーもやるし、ここからめっちゃ頑張りたいなという気持ちで、メラメラしてます」

裕斗「もちろん"もっとこうしたかった"がいっぱいあるライブでもあったので、"絶対ここからもっと良くなる"という気持ちもあって。そういう意味でもメラメラでした」

雅斗「とにかく得るものが多いライブでしたね」

裕斗「改めてロングセットのライブの筋肉の使い方を皆で意識して。ライブそのものの組み立てを1から考えたのが、すごく良い経験になりました」

――実際どういうテーマでやろうと?

裕斗「『Friday I'm In Love』というワンマンのタイトルが最初に決まって。華金って言葉がありますけど、学校や仕事終わり、皆の1週間の生活の最後に、自分たちの華やかなライブを見てもらうのが1個テーマとしてあったので、そこはだいぶ意識しました」

雅斗「セットリストも今までとこれからが地続きになっていることを示せるものにして、新旧織り交ぜました」



外へ向き始めた意識、たまみのフロントマンとしての自覚


――最近はスピッツの草野マサムネさんやASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん、ストレイテナーのホリエアツシさんなど、錚々たるアーティストの皆さんからも評価されていますが、どう受け止めていますか?

裕斗「自分が音楽を聴き始めた年齢からずっと聴いてる方ばかりで、影響はもちろんすごくあるし、純粋にめちゃくちゃ嬉しいです。自信になる一方で、大好きな人が聴いてくれてるから"もっと良い曲作れよ"ってお尻を叩かれてるというか、プレッシャーもありつつ。でも嬉しいのが"100パー"です(笑)」

――良い波に乗ってる感じですか?

たまみ「5年で少しずつ実績を作ってきて、すごく良い波に乗れそうな感覚があって。良い勢いで、早すぎず遅すぎず、皆のペースで活動できたらいいなと思ってます」

裕斗「結成からの5年間、ラッキーパンチはなかったですけど、ようやくいろんな人に見つかり始めたのは、コンスタントにライブをやって曲を出した着実な活動があったからなのかな」

――最近のSubwayはポップスを前面に感じる間口の広い楽曲が多い印象ですが、だからこそ広がっている感覚もあったりします?

裕斗「自分たちが好きな音楽を自分たちの音楽に昇華するのは前提としてありつつ、この1~2年は"どうしたらいろんな人に聴いてもらえるかな"と、ライブも含めて意識的に間口を広げようとしていて。"外へ外へ"という感覚は、特にここ1年はメンバー全員共通してあると思います」

――ライブも進化しましたよね。個人的に『RUSH BALL☆R 2023』で初めて拝見した時はステージでの4人のバランスが等分だったのが、1月のワンマンでは明らかにたまみさんのフロントマンとしての存在感が増していて。

たまみ「ありがとうございます。ほんとにその通りで。思い返すと『RUSH BALL☆R 2023』の頃は、私の中で4人で前に出ることがバンドだと思っていて、私が前に行きすぎるとソロアーティストみたいな感覚になるので、皆が横に並ぶイメージでやってたんですけど、ある時から"私はボーカルで、皆を引っ張っていかないといけない"という立ち位置を自覚して」

裕斗「このアルバムの制作期間を通してそうなったかな」

たまみ「そうそう。皆を引っ張っていこうという気持ちになって、ワンマンを越したイメージです」

――自覚が生まれたキッカケがあったんですか?

たまみ「私の中では、バンドでボーカルがめっちゃ前に出るイメージはあまりなかったんですよ。でもいろんなライブを経験して、対バン相手のバンドさんを見て、バンドのイメージが更新されていって。色んなバンドさんのあり方を自分の中に落とし込んで、Subwayらしさはどっちかなと考えた時に、私が前に出る方がもっと曲が伝わるなと思いました」

Kana「たまみちゃんのステージングは、ここ1年でさらに輝きを増していて。そういうたまみちゃんを見ながらライブをやってると、私たちもすごくテンションが上がりますし、楽器隊も"もっとやらな!"となります」

裕斗「むしろたまみちゃんが前で自由にやってくれるから、自分らも好きにプレイできる。ライブを重ねるごとに各々のプレイヤーとしてのモチベーションが上がってる感じはすごくあります」



"CDとしてめちゃくちゃ良いもの"を第一に考えた


――2ndアルバム『100%』ですが、1stフルアルバム『RIDE』(2023年1月)リリース後、先行を含む5枚のシングルを経て、どんな作品にしたいと考えていましたか?

裕斗「『RIDE』が出てレコ発ライブも終わって、自分たちをより多くの人に知ってもらうためにはどんな音楽をすればいいのか、わからなくなった時期があって。ちょうどその時期にバンドを取り巻く環境が変わって、自分たちが本当に好きで良いと思うものは何か、それを自分たちの音楽に取り込んで広めるためにはどうしたらいいか、1回見つめ直そうと。それが2023年の夏頃でした」

――なるほど。

裕斗「出た結論が、とにかく曲をいっぱい作ろうと。それで僕とたまみちゃんでスタジオに入って、大量にデモを作って。その中でまず良いなと思った4曲を、2023年の年末から2024年の春にかけてリリースしたんですけど、その4曲が出来上がったタイミングで、"これを入れたアルバムを作りたい"と思って。なんなら『100%』というタイトルは、4曲よりも先にありました。『100%』には"自分たちの純度100、等身大"という意味もあるんですけど、自分たちがやりたいこと、やるべきことを100%詰め込んで、できることも100%やる。受け手にとって100点かはわからないけど、"これが自分たちの100%やということを示そう"という気持ちで出したアルバムです」

――気合いが伝わりますね。

裕斗「先行で作った4曲は全部雰囲気が違うんですけど、共通してたまみちゃんの歌が中心にあるし、ポジティブなエネルギーもあって。それぞれの楽曲でやってることが違うのは、表情の違いというか。色んな表情の曲があってもSubway Daydreamのアルバムだと言い切れる自信が、4曲で確実にできた感じですね」

――その4曲に合わせて、他の曲を作られたんですか?

裕斗「自分たちの曲を暖色と寒色でわけてるんですけど、"暖色の曲がこれだけあるから、寒色系の曲があと何曲いるかな"と話し合いながら作っていきました」

――曲の表情という点で、たまみさんの歌声が繊細で、歌詞に合わせて歌い方を変えてらっしゃるのかなと。

たまみ「伝わっていてとても嬉しいです。ストレートに歌った曲もあるんですけど、聴いてもらう人にいろんな楽しみ方をしてほしくて。私は自分が聴いて"こういう歌やったらすごく楽しいな"という気持ちで歌うので、表情がある方が好きなんです。今回はどの曲も特徴が違うので、曲ごとに遊び心を入れて歌ってみました」

――今回はセルフプロデュースですか?

裕斗「プロデューサーさんは入れず、エンジニアさんと協力して作りました。実はそこも裏テーマで。前作はいろんな方に手伝ってもらった曲もあったので、今回は"4人の力でいけるところまでいってみよう"と」

――今作は「CD好きな人が作ったCD」だと、ひろし(裕斗)さんがXで呟いておられましたね。

裕斗「CDの実物ができたんですよ!(『100%』のサンプル盤を取り出す)。こだわりは黒トレイとカタカナ表記。例えば90'sのCDで......(別のCDを取り出す)」

――プライマル・スクリームの2ndアルバム! 確かに黒トレイが懐かしいですね。

裕斗「今はサブスクの時代なので、ぶっちゃけCDを買って聴く人はそんなに多くない。今はグッズの一種としてCDをリリースすることも多いと思うんですよ。それは良いなと思う反面、僕らがCDを新しくリリースする時は、グッズじゃなくCDとして買ってほしい。もちろんジャケも中のデザインもこだわってますけど、"これはCDである"というところも第一に考えて作ったので。黒トレイにしたのもCD全盛期の雰囲気が欲しかったのと、買ってくれた人の棚に収まるような音楽にしたいという気持ちがあったから。とにかくCDとしてめちゃくちゃ良いものを第一に考えました」



往年のJ-POP感が漂うアルバム


――1曲目は『PURE JOY』で元気に始まりますね。先ほどの色のお話で言うと、アルバム前半が暖色で、後半が寒色でしょうか。

裕斗「そうですね。『PURE JOY』は個人的に精神状態があまりよくなかった時期に、半ばやけくそ気味で何も考えずに作った曲なんです。デモにネタ的な感じで忍ばせてみたら、思いのほかメンバーの感触が良くて」

雅斗「"PURE JOY"がキャッチコピーというか、今のメンバーの雰囲気に合ってて"これ入れようよ"みたいな」

――メンタルを崩されていたんですか?

裕斗「ちょっと落ち込んでた時に、元気な曲を作って元気出そうと思って作ったので。個人的には感触良いのが意外やったけど、どんどん形にしていく中で、確かにアルバムの1曲目に入ってそうな前向きな曲だなと。でも歌詞はちょっとした毒もあって良いバランスになったので、最終的にはすごく気に入りました」

――頭でっかちな人への苦言といいますか。今のお話で、ひろしさんがご自身に言ってるイメージもあるのかなと思いました。

裕斗「そうです。<頭デッカチ 息が詰まるわ>は、まさに曲をいっぱい作らないといけない、いろんな人に聴いてもらわないといけない中で、見栄を張ろうとしたというか。"賢く見られたい"とか"すごいと思われたい"みたいな気持ちが先行しすぎて全然曲が作れない、いわゆるスランプだったんですね。そういう自分に喝を入れる感じで歌詞を書きました」

――サウンド面はいかがですか?

雅斗「ギターに関してはだいぶ攻めたフレーズ。ミニマムというべきなのか、逆にストレートというか。多分ギターを始めて1ヶ月の高校生でも弾けるぐらい簡単で、レコーディングは一瞬で終わりました」

Kana「ドラムは"タンタン、タタタン"というリズムが特徴的なので、ライブでめっちゃ楽しいやろなと想像しながらレコーディングしました。目立つリズムがあるとドラム的にはテンション上がるので、結構好きでした」

たまみ「私は意味を考えながら録音してたんですけど、途中から難しいとなって。ひろしくんが"何も考えずにそのまま歌いや"とアドバイスをくれたので、ほんまに何も考えずに、ただ音を出す気持ちで歌いました」

裕斗「難しいことを考えず、ギターも難しいことをせず、歌も難しいことをせずという。歌詞も本当は意味があるんですけど、あまり悟られないように、ぼやかすところはぼやかしてます」

――2曲目の『オレンジ・クラッシュ』は90's感のある楽曲ですね。

裕斗「これは1番最後にできた曲です。アルバム全体を通して、往年のJ-POP感が漂う雰囲気になりそうな感じはしてたので、"最後にもう1曲、真正面からJ-POPをやりにいった曲が欲しいな"と思って作り始めました。なので歌詞も恥ずかしいぐらい恋愛の曲というか、わかりやすくしてますね」

――ラスサビのドラムは変化があって面白いですね。

Kana「デモで重たくてカッコ良いキメを作ってくれたので、最大限表現したかったんです。往年のJ-POP感って、ドラムがどっしりすればするほど出てくるんやろうなと思ったので、フレーズは繊細だけど、めちゃくちゃ力を出してムキムキな感じで叩きました。かなり苦戦しましたけど、今は難しさが楽しさに変わってます」

――ギターリフも気持ち良くて。

裕斗「はい!(笑顔)」

――ギターもJ-POPを意識されたんですか?

裕斗「この曲は中村一義さんやスピッツ、よりオルタナ寄りのJ-POPを意識したのと、アルペジオはやっぱりスピッツの影響が大きいですね」



明確に聴いてくれる人へのメッセージを込めたリード曲『SUNDAY!』




――『SUNDAY!』もシンプルに良い曲ですね。全員でリード曲に選んだんですか?

雅斗「満場一致」

裕斗「これが1番"ぽいね"って。でも1回ボツになったよな」

雅斗「この曲は2021年ぐらいから原型があって、1回ボツになって復活させたんです」

裕斗「ボツになってて、"アルバムで残りの曲どうしよう"という時に"そういえばこの曲あったな"と掘り起こした」

――それがリード曲までいくという。

雅斗「後半の追い上げがすごかったですね(笑)」

裕斗「個人的に最初は全然なしだったんですけど、いざ曲を作っていくと、"あれ、ありかもしれん"って」

――どういうところでそうなったんですか。

裕斗「この曲は、僕らの曲で唯一ビートが跳ねてる曲なんですね。個人的にそれは"セコ技"やと思ってて。それを使うと正直良い曲になっちゃうんですよ。"セコ技を使わずに良い曲を作りたい"という気持ちがずっとあったので、"試しに作ってみたものの、正直良い曲になるのはわかってるから、今あえてやる必要はないかな"というので何度もボツにしてたし、"このビートを解禁する時は、本当に自分たちが自信のある曲で使おう"と思っていたので。今回掘り起こしていく上で、"このビートを使う時が来たかもしれない"という感覚でした」

――<今を生きて>という最後のフレーズに背中を押されますね。週末を想像しながら日々を生きている人たちに、メッセージを込めたところもあるんですか。

裕斗「明確に聴いてくれる人へのメッセージを込めた曲です。歌詞も外に向けて書いてるので、そういう意味でもリード曲かなって気はします」

――<国道ぶっ飛ばしてニルヴァーナ>はらしさが表れていますね。

裕斗「これ1番気に入ってます。急に入ってくるこの感じが、綺麗になりすぎなくて良い」

Kana「私もここめっちゃ好き」

雅斗「1番外に向けて作ってる曲やからこそ、パンチラインがちりばめられてる」

――<ピーナッツパターで汚してみる>という、明るすぎない感じも良いなと。

裕斗「そこがリアルかなという気もしてます。日曜日の歌というよりかは、日曜日を待ちわびる歌なので、"日曜日に向けて皆頑張ろう"という曲にも、"日曜があるからしんどいことを我慢しろ"という受け取られ方にもしたくなくて。"しんどかったら逃げてもいい"ぐらいの余裕がある曲にしたかった。メッセージは込めてるけどメッセージになりすぎないように、すごく気を付けて歌詞を書きました」

――<なりゆきで今を生きて>は、ひろしさんの価値観が表れているんでしょうか。

裕斗「僕は結構楽観主義で、"なりゆきで何とかなるだろう"と思って27年間生きてきたので、その感覚がもろに出ちゃってるかもしれない。性格上悩むことの方が多いけど、実際何とかなってきて(笑)。もちろんバンドは頑張るけど、気持ちとしては半分適当ぐらいの軽い感覚がいいかなという感じです」



ボーカルの側面を提示する"寒色の楽曲たち"


――6曲目の『Star Sign』はイントロからオマージュを感じてテンションがアガる、カッコ良い曲ですね。

裕斗「今回もオマージュは色々入ってます(笑)。この曲も『PURE JOY』と同じで、元々デモの中の1曲やったのが、"あの曲あるやんか"となったよな」

雅斗「たまみちゃん推しの曲や」

たまみ「私この曲、ずっと好きやった。デモがめっちゃ良くて、Subway Daydreamの新たな一面を見せられる曲になると思って。モード的にも自分の今の気持ちやテンション感にマッチした部分があって」

――歌うのはどうでした?

たまみ「めっちゃ楽しくて。他の曲より繊細で、あまり使ったことない声帯の場所で、もう一段階上がるイメージで歌いました」

裕斗「『Star Sign』や8曲目の『Neptune』は寒色の曲なんですけど、たまみちゃんが"こんな声も出せまっせ"という感じじゃなく、あくまで"側面を見せるんや"というのが自然に出てやらしさがないから、僕もお気に入りですね」

Kana「変な背伸び感がないし、スモーキーな感じがする」

裕斗雅斗「うんうん」

――次の『Winterlong』も種類の違う繊細さがありますね。

たまみ「メンバーと過ごすうちに、自分にも皆にもいろんな一面が見えると感じて。だから『Winterlong』や『Star Sign』はすごく自分の一部。人間は多面的で、皆もそうだと思うので、心の穴を埋められる曲になったらいいなと思って歌いました」

――そして最後はSubway Daydreamらしい、パワーポップ全開の『Nightswimming』で締まります。

裕斗「結果同じ表情に戻ってくるというか。1曲目でらしさ全開の曲をやって、途中いろんな顔をするけど、10曲目で"僕らこんな顔です"みたいな曲順になったなと、今思いました。『Nightswimming』もアルバム最後の曲として作ったわけじゃないけど、曲順を考える上で"この曲で終わったら締まるな"というのはあったので。結果1番バンドイメージに近い曲かもしれないですね」



メンバーそれぞれのイチオシ曲


――聴いてほしい曲は、それぞれ違うんですか。

裕斗「それ気になる。皆どれ好きなん? 教えて!」

雅斗「その日の気分によって変わるけど......」

裕斗「僕のベストは9曲目の『ジェリーフィッシュ』。メロディーの良さや曲が持つ優しさもそうですし、歌詞も1番詩的というか。純粋に"良い曲が作れたな"とストレートに思いますね」



Kana「私ずっと『PURE JOY』が1位やったんですけど、『SUNDAY!』やっぱ良いな。好きなのは<銀河が見えるほど くたびれたよ>。めっちゃしんどいのを"銀河が見える"って表現するんやって。ひろしのポジティブさが出てる歌詞が好きです。ドラム的な面だと、アルバムを作るタイミングでL'Arc~en~Cielにどハマりして。『SUNDAY!』はリファレンスにラルクを挙げて、想いを込めてレコーディングしたので印象に残ってますね」

――ラルクがリファレンスなんですか!

Kana「はい。やっぱり90'sのJ-POPってめっちゃ良いし、音も洋楽のエッセンスが入ってて、例えばラルクの1stはThe Cureっぽいなと思ったり。でもメロディーが良くて、そのバランスは今のSubwayとマッチする部分がある。最近はラルクの1st以降の曲も聴いて、"バンドってこんなふうに進化していくんや、面白い!"って。ラルク史をもっと知りたいです」

たまみ「私は『Winterlong』。シンプルだけど自然体で力んでない。皆の今の楽器や声が詰まっていて、歌詞もメロディーもすごく好き。まさお(雅斗)が前に言ってたんですけど<理屈ばっか政治家みたい>は、生活してたらそう思う時がある。日常で共感できるし、でも現実すぎずちょっと上を向いて歩けるような歌詞でおすすめです」

雅斗「僕は『オレンジ・クラッシュ』。"嫌いな人おらんやろ"というニクいタイトルだし、テンションの上がるイントロで始まって、サビはギター始めたての人でも弾けるコード進行で構成されてると思ったら、クッションになる間奏があったり、落ちサビで音楽的なギミックがいっぱいある。僕はSubway Daydreamって、メロが絶対負けへんと思ってて。Cメロの<靴底に残る砂 水溜まりの中 行き場なく苦笑いさ>が、アルバムの中で1番好きなんです!」

裕斗「(笑)」

雅斗「あとレコーディングで"コード進行こんなシンプルでええんかな?"と議論して。『SUNDAY!』と同じで、"これやると良い曲になっちゃうよね"という」

裕斗「セコ技?(笑)」

雅斗「完成して"今のコード進行が完璧や"と思えたし、個人的なコードに対する考えと成長面でも思い出深い。原型から1番変わったのは『オレンジ・クラッシュ』かも」

裕斗「最初はもっとポップで、切なさはなかった。少し見える切なさがSubwayの1個の良さやと思うので、Subway Daydreamの新曲感が強いかな」

雅斗「確かに」

――"これを使えば絶対良くなる"というセオリーを咀嚼して使えるようになったということですかね?

裕斗「そうですね。"これを使ったら良くなるね"というテクニックは、多分音楽を作る人なら皆共通認識としてあるんですけど、そこに安易に乗っからない、逆張りといえば逆張りで5年間やってきて、今回その逆張りに今更乗っかるという逆張りをやってみたという(笑)。5年逆張ってきたからこそ見えたこともあるし、それを踏まえて真正面に向き合ったら、"ほらやっぱり良くなったやん"という」

雅斗「結果、大満足」



4月からは初の全国レコ発ツアーがスタート


――では、タイトル通りの自信作になったんですね。

裕斗「ひっくるめた結果、めちゃくちゃポップで歪なアルバムになりました。聴く人が聴いたら懐かしいと感じるし、音楽的に難しいことは何もしてないけど、今まであったようでないアルバムだという自信はすごくあって。外に開けたアルバムだけど、売れ線ともまた違うというか。でも結果すごい売れそうやなって(笑)」

Kana「前作よりもポップでキャッチーになった気がする。根底で皆が好きなJ-POPやポップスが、より顕著に出たアルバムかなと思ってます」

たまみ「私の持っている全てを100%で出せました。まだまだ成長したいけど、今の私たちの全部をいろんな人に聴いてもらいたいです」

――4月からは初の全国ツアーが始まります。

雅斗「対バンは向いてる方向が同じ、"音楽が好きでたまらなくてバンド楽しい!"という想いで、ちゃんとマスに向けてやってるバンドを呼びたいと考えました」

裕斗「アルバムも前向きで、対バンも前向きな人たちばかりなので、すっごい明るくてポジティブなツアーになると思います」

雅斗「アルバムを作ってバンドを呼んで全国ツアーを廻るのって、駆け出しのバンドは減ってきてると思うんですけど、今真っ直ぐそれをやってみたい。CDを売るために全国を廻ることもちゃんとしたいです」

Kana「憧れのツアー楽しみやな。仙台と広島は初めて」

たまみ「広島は前コロナで行けなかったんですよね。なのでリベンジです」

Text by ERI KUBOTA




(2025年4月11日更新)


Check

Release

Album『100%』
発売中 2500円(税込)
SDPJ-001

《収録曲》
01. PURE JOY
02. オレンジ・クラッシュ
03. kiosk
04. SUNDAY!
05. マッドハニー
06. Star Sign
07. Winterlong
08. Neptune
09. ジェリーフィッシュ
10. Nightswimming

Profile

2020年大阪で結成。たまみ(vo&g)、藤島雅斗(g&vo)、藤島裕斗(g)、Kana(ds)からなる4人組ロックバンド。優しくも力強い歌声と、前向きなソングライティングが魅力。US/UKインディーロックを起点に様々な音楽を吸収しながら、唯一無二のポップネスを追求している。90年代のオルタナ/インディサウンドをルーツとし、オープンかつ前向きなポップソングへと昇華するその音楽性は、結成直後から評判を呼ぶ。スピッツの草野マサムネ氏をはじめ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏、ストレイテナーのホリエアツシ氏、KANABOONの谷口鮪氏、ヤバイTシャツ屋さんのこやまたくや氏など、様々なアーティストがSNS・ラジオを通じて言及するなど、バンドが生み出す前向きな楽曲群はリスナーに留まらず音楽業界内でも評判が広がっている。現在大阪・心斎橋のライブハウスを拠点に活動しながらも全国各地のフェス、イベントにも精力的に出演中。2025年には結成5周年を迎え、初のワンマンライブ「Friday Iʼm In Love」を開催。3月には2nd AL「100%」のリリース。4月からはバンド初となる全国ツアーを開催。

Subway Daydream オフィシャルサイト
https://lit.link/subwaydaydream


Live

100% Release Tour
-POP ADDICTION-

【愛知公演】
▼4月26日(土) 池下CLUB UPSET
【東京公演】
▼4月27日(日) LIVE HOUSE FEVER

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:291-240
▼5月30日(金) 19:30
心斎橋JANUS
一般-3800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割-2000円(当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※学割チケットをお持ちの方は公演当日有効な学生証をお持ちください。ご提示いただけない場合は差額を徴収する場合もございます。
※販売期間中はインターネットのみで販売。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

【香川公演】
▼6月1日(日) TOONICE
【福岡公演】
▼6月7日(土) 秘密
【広島公演】
▼6月8日(日) 広島・4.14
【宮城公演】
▼6月27日(金) LIVE HOUSE enn 3rd

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