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群馬生まれ群馬育ちのロックバンド・FOMAREが、
大阪アメリカ村でライブサーキットを開催する理由と意義

群馬生まれ群馬育ち、群馬を愛し群馬で主催フェス『FOMARE大陸』も開催してきた3ピースロックバンド・FOMARE(フォマレ)。これまでに東京で開催したライブサーキット『SLAM CIRCUIT』を、ついに大阪・アメリカ村で開催! 群馬愛強めの彼らが、なぜ大阪で? そんな疑問をFOMAREのVo&Ba・アマダシンスケにぶつけた。大阪でライブサーキットを開催する理由と意義、そしてさまざまな思いを語ってもらった。そして写真撮影はもちろんアメリカ村で。「実は昔ライブで大阪に来たけどお金がないから宿もとっていなくて。ウイスキーを買って飲もうってたどり着いたここで、居合わせた外国人の旅行客と朝まで飲んだんですよー」という思い出の三角公園もブラブラしつつ、和やかな撮影となった。

ライブで演奏することは
自分自身にとっての娯楽でもある



ーー今日は『FOMARE Presents SLAM CIRCUIT 2025 OSAKA』について、お伺いさせてください! ライブに定評があるFOMAREですが、アマダさんにとってライブとはどういう存在ですか?

「ライブは僕にとって最大の娯楽ですね」

――それはお客さんに提供する娯楽という意味なのか、自分自身の娯楽という意味なのか...。

「どちらかというと、自分自身にとっての娯楽という意味合いが強いです。やっぱり自分には楽器を演奏するということが最大の娯楽なんですよ。もちろん制作も娯楽ではありますけど、遊び心を足しながら楽しめるのがライブ。でもバンドをやれていること自体が全て自分自身の娯楽につながっている気もします」

――ライブをするうえで、大切にしていることはありますか?

「なんだろ、いい意味で音源通りにやらないということですかね。CDに収録したようにやりたいという気持ちももちろんありますけど、僕は想像癖というか妄想癖があるんです。例えばライブに来てくれたお客さんが涙を流していたら、仕事で辛いことあったかな? 失恋かな? とかたくさん想像しながら歌うことで毎回違うライブができている気がするんです。だからライブを客観視することにはこだわっていると思います」

――じゃあお客さんの反応によってライブもすごく左右されますね。

「そうですね、めちゃくちゃ変わります。逆に言うとあまりよくない時も引っ張られちゃう時もあったりします。だから本当に"同じライブ"が存在しないんです。セットリストも毎回変えちゃうんで。以前20ヶ所くらいのツアーに回った時も、全会場セトリを変えました。何より自分たちが同じライブをしたくないという気持ちが大きいんです。これまでのライブで同じセトリはひとつも存在しないですね」

――それはすごいですね。

「昨日のライブでもバラードでライブを始めて次がジャンプ系の曲だったけど、バラードでしっとりしたフロアをどう根こそぎ持っていくかみたいなヒリヒリするところが楽しいんです。イチかバチかみたいな感じもあって(笑)。セトリを決めるのがギリギリになっちゃうのがちょっとした悩みではありますけど」

――毎回セトリを変えることと、セトリが決まるのがギリギリになることのリスクはありますか?

「音響さんやローディーさんが大変そうで、毎度申し訳ないなとは思います。スタッフさんたちとはライブ前の打ち合わせが本当に重要になっていますね」

――なるほど。FOMAREとしてはライブハウスでのパフォーマンスはもちろんですが、主催フェスを持っているということも大きなことだと思います。そもそも主催フェス『FOMARE大陸』をやろうと思ったきっかけを教えてください。

「実はずっと前からフェスをやりたいと考えていました。群馬でのフェスは、昔はあったみたいなんですけど"フェスのない時代"が長くあって。そんな時に群馬のG-FREAK FACTORYという先輩たちが『山人音楽祭』(開始当初は『GUNMA ROCK FESTIVAL』)を始めたんです。高校生の頃そのフェスに遊びに行ったのがきっかけで、いつか自分も仲がいいバンドや自分たちのルーツのバンドを群馬に集めてフェスをやりたいと思うようになりました。群馬出身のバンド自体は少なくないけど、圧倒的に同世代のバンドがいないんです。だからこそフェスをやることで新世代のバンドも出てくるようになったらいいなとか群馬のバンドシーンやライブハウスシーンを盛り上げたいという思いもあります。そうしたら僕ら自身ももっと音楽をやりやすい環境を地元の群馬で作れるんじゃないかなとも思って」

――じゃあ "群馬で開催する"ということに大きな意味があるんですね。

「うん、そうですね。隔年でやっていますけど、開催し終えたらすぐまたやりたいと思っちゃう(笑)。去年、外のブースに楽器屋さんに協賛してもらったスペースを作ったんです。マイクとギターとベース、ドラムを置いて誰でもライブしてくださいというブースというか」

――めちゃ楽しそう!

「小さいブースだったけど、すごく盛り上がりました。いろんな人がいろんなバンドのカヴァーとかをそこで好きに演奏していたみたいで。僕らの曲やフォーリミの曲をやっている若い子らがいるなんて胸アツでしょ? 僕らの若い時にもそういうのがあったら、もっと群馬のバンドシーンも盛り上がったんだろうなぁと思ったりしましたね」

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先輩たちのライブを見て
バンドとしていい歳の取り方を知りたい



――お話を聞いていると、イベントを"群馬で開催する"ということが大事にしているのだなということがめちゃくちゃ伝わってくるんですけど、地元ファーストな考えを持つFOMAREが今回大阪でライブサーキットイベントを開催するというのは意外にも感じました。今回の企画はどんなところから始まったのでしょうか。

「そもそも今回のイベントの前に、僕らがやっていた『SLAM』というイベントがベースにあるんです。『SLAM』という言葉には、スラム街という街の呼び名もあるようになんでもありというようなニュアンスも感じていて。そんなふうにハードコアも歌ものもメロディックも関係なしにライブハウスに呼んで定期的にイベントをやっていました。それが発展してライブサーキットになって、東京で開催していたんです。ただサーキットイベントって、1バンドの出演時間はどうしても短くなるじゃないですか」

――30〜40分前後が多いですよね。

「僕らのイベントでは125分だったんです。そうなるとお客さんは必然的に東京の人・関東の人に限定されて、関西の人には来てもらえなかったんです。見たいバンドが12ついたとしても、ライブ時間が短いと旅費や宿泊費まで出そうと思えないですよね。でもサーキットイベントなので、見たいバンドだけではなく偶然出会うバンドとかいろんなバンドを見てほしいなと思うんです。あぁ、関西の人にも僕らがおすすめのバンドのライブを見てほしいなぁと」

――確かに関西は関西でサーキットイベントはあるし、わざわざ東京へ見に行くってよほど好きじゃないとないかもしれないですね。

「そうなんです。あと、HEY-SMITH主催の『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL』に出演させてもらった時に、同じライブサーキットでもバンドが主催することですごくいい色が出るし、雰囲気が変わっていいなと思ったんです。あぁ、こういうのをやりたいなって。あと大阪で開催することで関西の人だけじゃなく、ワンチャン岡山や関西近郊の人も来てくれないかなぁと思ったりもして」

――確かに! 特に中・四国にお住まいの方なら、東京へはハードルが高くても大阪ならばという人もいらっしゃるかもしれないですね。ちなみにこのライブサーキットをアメ村で開催するということに意味はありますか?

「それはやっぱりライブハウスがたくさんある街だからというところが大きいです。あとは初めて大阪でライブをやったのもアメ村だし、基本的にずっとアメ村でやってきたのでやっぱりここかなと。居心地もいいし友達の店や飲み屋さんもあるから、そういう意味で安心感があります。大阪の中でも地元みたいな感覚の街だから、ここでやりたいと思いました」

――ちなみに先ほど"サーキットイベントをバンドが主催することでいい色が出る"というお話になりましたが、FOMAREが主催することでどういった色が出せると思いますか?

「俺らも多分まだ感じたことない色が出せるとは思うんです。やっぱり東京と大阪では、お客さんの求めるものも反応も全然違います。だからこのイベントを大阪でやることで、面白い色は出せると思っています」

――面白い色を出すべく誘ったアーティストはどんなアーティストたちですか。

昔から仲がよくて一緒にライブハウスでやっていたバンドや仲がいい先輩だけど対バンだけしたことがなかったバンド、ずっと見に行っていて今回初めましてのバンドだったりとか、群馬の若いバンドもですし、東京で飲み友になったバンドたちが出てくれたりとか。初めて一緒にやるバンドがたくさんいるのも特徴ですね」

――とにかくFOMAREがオススメしたい! バンドが一堂に集まると。

「うん、そうです。全アーティストオススメです」

――個人的に楽しみにしているバンドはいますか?

「どれも楽しみなんですけど...強いて言うならばザ ニンクスですかね。21歳ぐらいの若いバンドで、結構ハードコア系というかメロディック系なんですけど、青春パンクっぽい感じも混ざってある意味ミクスチャーになるのかな。すごい楽しみにしています。若い彼らがどんなライブをするんだろう? ということも含めて、ライブを見られると思うとワクワクします」

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――ちなみに大阪で開催するにあたって、大阪という土地柄を意識したバンドのセレクトになったりしたのかなというところも気になります。

「あぁ、ありますね。勝手なイメージですけど、東京よりは大阪の方が日本語のロックが響いているなという印象があります。そういうバンドがしっかりと根付いているという感じですかね。それこそさよならポエジーはお互いデモ音源しかない頃から一緒にツアーを回ったりしていましたけど、最近対バンが少なくなっていたんです。彼らを東京に呼ぶよりは大阪で一緒にやって、さよポエのお客さんにもたくさんのバンドを見てほしいと思いました」

――なるほど。当日来ていただくお客さんに、どんなふうにイベントを楽しんでもらえたらうれしいですか?

「正直、全バンドを見られるタイムテーブルじゃないんですよね。でもなるべくたくさんの出会いの場にしてほしいから、見る意欲のある人はフルで見ないで! っていう感じでしょうか(笑)。ピンときたバンドがいたら、また別の機会にライブに行ってもらって。それこそ10分くらいでもいいと思うんです。いいなと思えるバンドは絶対また見に行くと思うので、その直感に従ってとにかくサーキットしてほしいですね」

――それこそザッピングするような気持ちで。

「そうそうそう! ショッピングモールみたいな感じで見てもらえると。まとまった場所にあるからちょんちょんって見て。いいなって思ったら本店に行ったりネットで検索したりするみたいな感じにしてほしいですね」

――一瞬でもいいから、生の演奏を見るのがいいですよと。

「そうですね。ライブハウス同士の距離もそう遠くないので、そういうことができるのかなと思います」

――主催だし出演もするし、なかなか難しいかもしれませんが当日自分たちはどのように楽しもうと思われていますか?

「全バンド、見たいっすねぇ。フルステージは見られないのはちょっと寂しいけど、極力見たいです!」

――ほんと、どれだけ見ることができるかも楽しみですね。そしてこのフェスを開催することで今後のFOMAREに反映させたいことはイメージできますか?

1日でここまでいろんなジャンルのバンドを見られる機会って、バンドをやっていてもあまりない気がしていて。だからこそ僕らもこの機会にいろんなことを吸収していい作品、いい曲作りに生かしたいし。ほんとこのサーキットは僕ら自身の勉強になると思うんです。先輩たちはこういうライブをしてこういう感じのお客さんがいて、みたいなことも含めて。そういうことを通して、バンドとしてのいい歳の取り方を知れたらうれしいなと思います!」

取材・文/桃井麻依子
撮影/キョートタナカ




(2025年4月22日更新)


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Live

「FOMARE Presents “SLAM CIRCUIT 2025 OSAKA”」

【大阪公演】
▼4月26日(土) 15:00
BIGCAT/ANIMA/Pangea/BRONZE
オールスタンディング-5800円(整理番号付、ドリンク代別途要)

[出演]FOMARE/HERO COMPLEX/ねぐせ。/TETORA/シンガーズハイ/ONIONRING/アルステイク/さよならポエジー/See You Smile/SHE’ll SLEEP/waterweed/THE FOREVER YOUNG/ジ・エンプティ/LOFT/EVERLONG/ザ ニンクス

※6歳以上チケット必要。
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[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400

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