ホーム > インタビュー&レポート > 世界でバズってメジャーデビュー5周年 無限大の音色でジャンルも時代も超えるライブを 826askaインタビュー
――まずはプロフィールについて。5歳でピアノを始めたとのことですが。
「なにか習い事をしようってことで、じゃ友達と一緒に!って近所の教室に行ったんですけど、母が幼少期にエレクトーンをやってまして、私も...ということで、3年間ピアノをやったあと、そろそろエレクトーンを教えてくださいって先生にお願いしたんです。レッスンは楽しかったんですけど、練習はいやでしたね。週1回のレッスンの直前にちょろちょろってするだけでした(笑)」
――意外(笑)。エレクトーンに転向してから才能が開花した感じですか?
「どうだろう。ピアノの時から譜読みは早いって言われてたんですけど、それも(ピアノが)好きだったからなのかな。周りにエレクトーンをやってる子は1人ぐらいで、実は先生もあまりエレクトーンを教えたことがなかったから、先生も勉強しながら教えてくれてたんです。だから先生と一緒にやってる感じで楽しかったですね」
――ちなみに当時はどんな音楽が好きでしたか?
「年相応の流行ってる曲が好きだったと思うんですけど、エレクトーンで弾くのは両親からのリクエストが多かったかもしれないです。あと、けっこう映画を見せてもらってたので、その影響で最初に弾いた曲は『ジュラシック・パーク』だし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』も弾いたりしました」
――そして中学時代は吹奏楽部だったとか。
「兄が吹奏楽でドラムをやってるのをかっこいいなって思って、私も吹奏楽に入って打楽器をやってました」
――吹奏楽にはいろいろな楽器があるから、それらをやりたくなったりは?
「それはありましたね。エレクトーンって1人なのでやっぱりさみしいじゃないですか(笑)。みんなで合奏するのは楽しかったし...でも、そこで本物の楽器の音色を聴いて吸収して(エレクトーンの)弾き方にいかせるので、それは相乗効果でした」
――また、お父さんの発案でYouTubeに演奏を投稿するようになったとか。やってみた感想は?
「当時、8歳だったのでスマホも持ってないし、アップした動画を見ることもあまりなかったんです。単に今週末ちょっと動画撮ろうか?みたいにビデオを撮っていたので、それが世界に出てるって実感がなかったんですよね。徐々に登録者が増えて『スター・ウォーズ』を弾いた中学校2年生の時、コメントが海外から来てるよ!って見せてもらって、すごい!みたいな。自分じゃないみたいな感じでした。826askaの生みの親は父だと思ってます」
――さて2019年にメジャーデビューし、昨年は5周年。
「本当に濃い経験をたくさんさせてもらったなと思いますね。メジャーデビューの時は17歳で、そこからプロになるっていうのはこういうことなのか!みたいな気持ちに何度もなりました。良い意見もあれば...という経験もしたり、いろんなステージに立ったりして、スキルをアップしていかなきゃなとか。10代から20代になる5年間、いろんな刺激をいただいて大人になってきたという感じです」
――学校にも通いつつ...ですね。
「そうですね。学校行事とかを休んでイベントに出演したりも。でも、みんなにはできない経験をさせてもらってるからっていう気持ちが強かったですね」
――では、エレクトーンについても教えてください。個人的にピアノ経験者よりエレクトーン経験者は少ない気がしますが、エレクトーンに向いてる人ってどんな人ですか?
「ちょっとドラムに近い部分があって全身を動かすので、弾くことにおいてはリズム感が大事。あと打ち込みの作業となると...全部数字なんですよ。ピッチ、プラス5とか。私は数学が苦手なんで本当に難しいなって思うんですけど(笑)、機械とかプログラミングが好きで、弾くよりも打ち込みを得意としてる方もいらっしゃると思います。あと耳(が良い人も向いている)。耳コピするので。本物に近い音になるよう音色を選ぶっていうのが大変ですね」
――ところでエレクトーンの練習はどんな感じですか? ピアノだとお決まりの練習手順や、バイエルなどの教則本がありますよね。
「基本練習とか、私はあまりやらなかったですね。タッチの仕方は教わりました。長くブワーッて伸ばす音とか、指先で強弱をつけたりとか、弾き方で変わるんです。でもバイエルのようなものはせずに、いきなり曲を演奏したりしていました。だから(エレクトーンは)楽しいのかも」
――たしかに。とくに子どもは喜びそう。大人になった今はどうやって演奏する曲を選んでいますか?
「子どもの時に『宇宙戦艦ヤマト』とか、お父さん世代の曲をたくさん弾いていて、私の視聴者の方もお父さん世代が多いので、最近はその世代の方に喜んでもらえるように『西部警察』とか。逆に今はやりの曲もしっかりキャッチしてライブで弾いたりしてますね」
――エレクトーン向きの曲、そうでない曲ってあるんですか?
「向いているのはやっぱりゲーム音楽とか映画音楽とか。オーケストラサウンドの曲はすごく耳コピしやすいし、エレクトーン映えしますね。難しいのは歌詞がある曲。なんか...ちょっと安っぽくなっちゃう時があって、歌の部分の音選びがすごく難しいんですよ。」
――なるほど。では職業病的にこの人の声はこの音色かな?ってつい考えたりしますか?
「あるある(笑)。しっかりした声だったらサックスかなとか、細い声ならフルートかなとか」
――声以外は?
「エレクトーンで再現するならこの音かな?みたいにはいつも思っちゃいますね。一度、恐竜の鳴き声を出そうってなったんです。その時"Stand Up"とかいろいろとしゃべってくれる音色があるんですけど、それのトーンを低くすると、恐竜の鳴き声に聞こえるんですよね。ウワーッみたいな」
――音色一つひとつ、試すんですか?
「そうです。これやったら近くなるかな?みたいな。加工とかもできるのでほぼ無限大(笑)」
――すごい。カバー曲は実際の音色に近づける作業に手間がかかりそうですが、オリジナル曲ならその手間は少なくて済みそう。カバーとオリジナルで曲へのアプローチは違いますか?
「オリジナルは鼻歌を録音してから作るんですけど、やっぱり想像が大事かなと。最初にどういう曲にしたいのか、どういう音にしようっていうのを全部考えて、そのイメージに合わせて音選びをする。すべての音を出した時を想像して...。だから作ってみてなんかちょっと違うなってことばかりですね。良いと思ったのに1時間後に聴くと全然良くない!みたいな(笑)」
――悩ましい(笑)。それではライブの話も。過去のライブ映像を拝見しましたが、客席に背中を向ける配置で演奏されていました。鍵盤やペダルはよく見えますが、観客の気配を背中で感じて演奏するのは難しいのでは?
「ちょっと斜めにしていますね。でも明るい曲とかでお客さんの方を見る時は、(回した)首がすごいことになってます(笑)。弾いてる時は首しか動かせないので、途中にリズム(のパート)を作って、歩き回ったり動いたりしていますね。でも、鍵盤は見えた方が絶対かっこいいじゃないですか」
――ちゃんとコミュニケーションのタイミングを作っているんですね。そしてライブといえば、デビュー5周年記念のライブが3月23日(日)に大阪であります。すでに東京公演は終了しましたが、いかがでしたか?
「関東の公演だと久しぶりに来てくださる方も多くて、"昔から応援してるけれど、(ライブは)久しぶりです"っていう方がいらっしゃったり。あと、お祝いのライブなので全員とツーショット撮影したんです。直接"今日は楽しかったよ"って言ってもらえるのがすごくうれしかったですね。それにハプニングもありまして、1曲目から私の返し用のスピーカーが鳴ってないっていう。すごく焦ったんですけど、それもみなさん逆に喜んでくださって(笑)。一体感があるライブでした」
――ハプニングはライブならでは(笑)。あと、過去のライブ映像では観客と言葉のやり取りをする場面がかなりあった気が...。
「あります。掛け合いとか、"askaちゃーん!"っていう声とか、普通にやりとりしたり、ゆるい空間になってます(笑)。なるべくコミュニケーションをたくさん取ろうっていうのは意識してますね」
――今度の大阪公演はどんなライブにしたいですか?
「お子さんからご年配の方、幅広い世代の方に来てほしいので、どの世代でも1曲は知ってる曲があるようにセットリストを考えてます。それが大変なんですよ(笑)。ドラマとか映画とかアイドルソングとか、令和、平成、昭和、いろんなジャンルの曲を時代を問わずたくさん演奏したいなと思ってます」
――では最後に今後の目標や夢を。
「イギリスに行きたいなって思いますね(笑)。最初に海外で取り上げてくださったのがイギリス(のデイリー・メール・オンライン)で。観光とかでも海外に1回も行ったことがないので、いつか海外の地を踏みたいです!」
Text by 服田昌子
(2025年3月21日更新)
福井県鯖江市在住のエレクトーンプレイヤー。5歳からピアノを、8歳からエレクトーンを習い始め、YouTubeに自身の演奏動画をアップしたところ、2016年1月(当時中学2年)に映画「スター・ウォーズ」の楽曲のメドレーが海外メディアに取り上げられて人気が上昇。日本のテレビ番組でも話題となり、以降はメディアやイベント、単独ライブなど活躍の幅を広げる。2019年3月に1stアルバム『DEPARTURE』でヤマハミュージックコミュニケーションズよりメジャーデビューし、2020年には自身初となるオリジナル曲を収録した2ndアルバム『possible』を、2021年には20歳を迎えると同時に3rdアルバム『smile』をリリース。また2021年は「826aska 20th Anniversary Live Tour“smile”」を全国9都市で実施した。2023年5月24日には4thアルバム『With you』を発表。YouTube動画の総再生回数は2億6千を突破し、チャンネル登録者は85万人以上(2025年3月現在)を誇る。
826aska オフィシャルサイト
https://www.826aska.com/
チケット発売中 Pコード:289-862
▼3月23日(日) 15:30
松下IMPホール
プレミアム席-8260円(前方席確保、特典付)
指定席-6000円
※4歳以上有料。3歳以下のお子様は大人1名につき1名まで膝上無料。但しお席の必要な方は有料。
※終演後、来場者全員と2ショット写真撮影あり(スマートフォン・携帯電話のみ)。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は、2/23(日)朝10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888