ホーム > インタビュー&レポート > imase、jo0ji、なとりが1つのステージに! 2020年代の音楽シーンを牽引する 3人によるライブイベントの模様をレポート!
開演前の場内に、今回のライブにちなみSNSで募集した質問に答える3人のトーク(全文は雑誌『Rolling stone Japan Vol.29』に掲載)が流れる。3人が初めて会った時の印象や、それぞれの好きな曲を言い合ったり、公私共に仲の良い3人のおしゃべりは聞いていてとても心地良い。
開演が近づき本日のMCを務めるFM802 DJの中島ヒロトが登場。「ワクワクしますね〜!このイベントならではの、この3組ならではのお楽しみがたくさんあるのでぜひご期待ください」の言葉に気持ちが高まる。
最初に登場したのはjo0ji。小走りに鍵盤へ向かい、彼の弾き語りで『不屈の花』が始まった。jo0jiを照らすピンスポットライトのようにまっすぐで柔らかな歌声が、空気を震わせ、観客の心に染み渡っていく。漁師の父を持ち、現在も鳥取の漁港で働きながら音楽活動を続けるjo0ji。友人のために書いたというこの曲は彼が初めて作った曲で、YouTubeにアップした『不屈の花』のデモをimaseが聴きDMを送り、2人の交流が始まったという。
お囃子のようなイントロに乗せた『明見』は、威勢のいい巻き舌ボーカルで聴かせる。「imaseの曲やるよ」と告げ、ギターをかき鳴らし『恋衣』をブルージーにカバー。『恋衣』はjo0jiの一番好きなimaseの曲なのだそう。ライブアレンジがなされた『眼差し』に続き、『Nukui』のサビを「一緒に歌って。頼むよ」とフロアに微笑みかける。ハンドマイクでステージをゆらりゆらりと自由に歩き、時にはステージに座り込んだり、お客さんが話しかける声に応えたり、手を振ったり。フォークやブルース、ニューミュージックと呼ばれる音楽もルーツにある彼が生み出す楽曲は、1曲の中にいくつもの展開が潜んでいたり、サウンドのスタイルやアレンジも多彩。ライブも定型をなぞることのない自由さがあって、そのステージングに触れていると、こちらまで肩の力が抜けときほぐされていくようだ。
フロアを見渡し「いっぱい人がいる、嬉しい嬉しい」と満足げに話し「imaseの曲よかった?あいつ、いい曲書くよね」と話すと、フロアから「最高だったよ!」と声がかかる。すると「調子乗っちゃうよ?」と上機嫌のまま、今度はなとりの『食卓』をカバー。リズム&ブルースのアレンジが施され、原曲の持つ不穏な気配が、まとわりつくような酩酊感へ姿を変えている。
jo0jiならではの節回しが、時折笑って泣いているようにも聴こえた『ランタン』から終盤の『駄叉』、ラストの『≒』は、温かい光に包まれているような心地がした。親しい友人から届いた手紙のようなjo0jiの歌は、行間にも言葉以上のメッセージが息づいているようで、メロディーも音の一つ一つも聴き逃すことができない。
再びMCの中島ヒロトが登場。ライブを終えたばかりのjo0jiがバックステージで、「トップバッターは緊張したけど、今日のお客さんが温かかったから楽しめた」と話していたという。「続いてステージに登場するのは、なとり」と中島が告げ、大きな歓声がなとりとバンドメンバーを迎えた。
長身のシルエットが「なとりです!どうぞよろしく」とギターを手にする。1曲目は『絶対零度』。「かかってこい!」「歌え、大阪!」と、楽曲も煽りもいきなりフルスピードだ。フロアは激しいクラップで応え、なとりはさらに『エウレカ』、深いベースラインが耳を惹きつける『EAT』とロックに振り切ったナンバーを叩きつけ「もっと踊れるよな?」と遠慮も容赦もなくフロアに火をくべる。『絶対零度』でなとりは「全部、燃やし尽くして」と歌い、「その目に映った、全部を抱えて/生きていくんだ」とつま先を前に向ける。運命や絶望に足を掬われてたまるかという意志と、すべてを燃やす熱量、これ以下の温度は存在しない絶対零度といったあべこべなものが共存する世界が、時々刻々に変化する人の感情や意志に通じるようで聴いていて思わず拳に力が入る。ディストピアを想像しがちな『エウレカ』にほとばしる生命力も、聴き手の体温を確実に上げている。
「めっちゃくちゃ、人がいるんですね。みんな来てくれてありがとう」と場内を見渡し、「jo0jiもかっこよかったし、この後imaseくんもかっこいいライブをすると思うけど、今日は俺が一番かっこいいパフォーマンスをして帰る!」と意気込み、「まだ世に出ていない曲を持ってきた」と『FLASH BACK』を投下。立錐の余地もないほど会場を埋めた観客にこれ以上ないプレゼントだ。
「OK??」とみんなが声を合わせた『DRESSING ROOM』を歌い終え「歌ってても(会場の)声が聞こえることってそんなにない」と、表情は見えないながらなとり自身がフロアの熱気に興奮気味なのが手に取るようにわかる。今夜同じステージに立つ2人を「ライバルであり友達であり、ある種の兄弟」と呼び、2人のカバーを披露。なとりが選んだのはimaseの『ミッドナイトガール』とjo0jiの『Nukui』。ショートバージョンながら、濡れたような質感のあるなとりのボーカルは文句なしの破壊力があることを改めて知らしめた。最後は彼の代名詞といえる『Overdose』。大音量の拍手と歓声に「踊れ!歌え!」と叫ぶ声は凄まじく、その熱量が最高潮に達したところでジ・エンド。最上級のカタルシスをもたらした。
MC中島ヒロト曰く、ステージの後になとりが「大阪こんなに盛り上がってくれるんだ」と感動しつつ「煽りすぎたかな?」と話していたそう。また2人のカバーを歌ってみて改めて2人は自分にとって音楽を通じたソウルメイトであるとジンとした面持ちだったという。いよいよ本日の最後、imaseの登場を待つばかりとなった。
オープニングSEが流れる中、バンドメンバーに続いてimaseが登場。そこからいきなりの『NIGHT DANCER』!imaseの背中には羽があるのか?と思うほど軽やかに、所狭しとステージを跳んで、舞って伸びやかなハイトーンを聴かせる。「なとりとjo0jiで疲れちゃいましたか?皆さん」とフロアを煽るのも忘れない。眩しいぐらい賑やかなロックチューン『LIT』で会場中を陽のエネルギーで満たした後、「スマブラで勝ってトリになったimaseです」と挨拶。そういえば今回のライブの出番順をゲームで決めるショート動画が公開されていた。
imaseによると、「なとりもjo0jiもすっごい煽ってくるわりにめちゃめちゃ弱い(笑)」のだそう。そんな3人の仲の良さが伝わるトークにまぎれて、「なとりとjo0ji、めっちゃカッコよかったよね」とフロアと会話のキャッチボールをし、imaseも2人の曲をカバー。自身の『I say bye』からなとりの『糸電話』、jo0jiの『不屈に花』と歌い繋いで、最後もう一度『I say bye』へと戻る仕掛けがニクい。歌い終えたimaseは、jo0jiとなとりに感謝の言葉を捧げていた。
一転してシリアスでダークなimaseが堪能できる曲『Dried Flower』、さらにガラリと世界が変わり80'sシティポップ色豊かなナンバー『Nagisa』。この2曲で彼の持つ多彩で柔軟な音楽スタイルの片鱗を惜しげなく披露。ほぼ全編ファルセットの『Nagisa』でもステップを踏むようにステージを歌いながら歩き、フロアを沸かせる。青と黄色の照明も目に爽やかだ。
終盤の『ユートピア』では「大阪の皆さん、両手上げれますか?」と呼びかけ、「素敵な景色をありがとう!」と笑顔を見せる。理想郷(=ユートピア)と題したこの曲でimaseは「1人 孤独に 怯えないで 妬み 嫉みに 溺れないで そんな誰もが 笑う日々を 幻でも いつまでも待っている」と歌っている。彼が歌っているのは現実を離れた理想郷ではなく、今生きている現実と地続きのユートピアなのだ。ラストの『Happy Order?』でとびきりはじけてステージを締めくくり、いよいよアンコールへ!
特大の手拍子に応え、まずはimaseが登場。今公演のコラボTシャツを着たimaseに「なんぼ?」と声がかかるのは大阪ならでは(笑)。「アンコールは1人じゃなくて3人で」とji0jiとなとりを呼び込み1曲目は『メロドラマ』。なとり→imase→jo0jiと歌い継ぐのだが、3人それぞれのボーカルの発色の違いが素晴らしい。12月の『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』でもimase&なとりの共演があったけれど、この3人の取り合わせは貴重で贅沢で、なにより3人の個性が滲み出た声の相性が抜群だ。続く『メトロシティ』はさっきまでのメロウネスを吹き払い、歌詞の「C・I・T・Y」の振りを踊ったり、なとりのいる照明が当たらないゾーンへimaseを引っ張り込んだり、jo0jiはファンサービスを楽しんだり、YouTube TikTokで見ることのできるimaseとなとりがノリノリでこの曲を歌うショート動画の延長のようなわちゃわちゃとした盛り上がり。最後は斉藤和義のカバー『歩いて帰ろう』。
2021年の近しい時期にimaseとなとりはそれぞれにSNSで楽曲を公開しはじめ、リスナーが彼らに出会ったのとほぼ同じ頃に2人も出会った。jo0jiとimaseの出会いは最初に書いた通り。コロナ禍にSNSを通じて音楽活動を開始した3人が、感性が響き合って繋がり、しかも同世代だった。「この3人で舞台に立てるってすごいことじゃない?」「またやりたいね」とアンコールで話していたが、本人たち同様に観ている側ももれなく同感だろう。2020年代の牽引者である3人のこれからに期待しつつ、いつかまた3人でさらにスケールアップしたステージを見せてくれることを今から心待ちにしている。
取材・文/梶原有紀子
写真提供/FM802、撮影/ハヤシマコ
(2025年2月25日更新)
01. 不屈に花
02. 明見
03. 恋衣(cover)
04. 眼差し
05. Nukui
06. 食卓(cover)
07. escaper
08. ランタン
09. 駄叉
10. ワークソング
11. ≒
01. 絶対零度
02. エウレカ
03. EAT
04. FLASH BACK
05. DRESSING ROOM
06. 金木犀
07. ミッドナイトガール(cover)、 Nukui(cover)
08. フライデー・ナイト
09. IN_MY_HEAD(expand)
10. Overdose
01. NIGHT DANCER
02. LIT
03. I say bye
04. Dried Flower
05. Nagisa
06. EGOIST
07. ユートピア
08. Happy Order?
EN1. メロドラマフライデー・ナイト
EN2. メトロシティ
EN3. 歩いて帰ろう
「jo0ji 2man tour 馴染」
▼3月7日(金) 19:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング-6000円(ドリンク代別途要)
[共演]Omoinotake
※小学生以上有料、未就学児童入場不可。会場構造上、場所によってはステージ/出演者が見え辛い場合がございます。客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
なとり ONE-MAN LIVE TOUR「摩擦」
【名古屋公演】
▼5月9日(金) Zepp Nagoya ※SOLD OUT
▼5月17日(土) 18:00
Zepp Osaka Bayside ※SOLD OUT
1F全自由(一般)-5900円(ドリンク代別途要)
1F全自由(U-22割)-5400円(ドリンク代別途要、ライブ当日22歳以下の方対象)
2F指定席-6500円(ドリンク代別途要)
2F後方立見-5400円(ステージや演出が見えづらい立ち位置になる可能性もございます)
※未就学児入場不可。開場/開演時間は変更となる場合がございます。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。録音・録画機材(携帯電話)使用禁止。営利目的の転売禁止。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
【福岡公演】
▼5月18日(日) Zepp Fukuoka ※SOLD OUT
【東京公演】
▼5月22日(木) Zepp DiverCity(TOKYO) <追加公演>
【東京公演】
▼5月23日(金) Zepp DiverCity(TOKYO) ※SOLD OUT
【北海道公演】
▼6月1日(日) Zepp Sapporo
「なとり ONE-MAN LIVE at 日本武道館 2026」
「imase Hall Tour 2025 ‘Remake’」
【千葉公演】
▼4月19日(土) 市川市文化会館 大ホール
【福岡公演】
▼4月27日(日) 福岡市民ホール 大ホール
【広島公演】
▼5月11日(日) 広島文化学園HBGホール
【愛知公演】
▼5月15日(木) 愛知県芸術劇場 大ホール
▼5月18日(日) 17:00
フェスティバルホール
指定席-6600円
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
【東京公演】
▼5月21日(水) LINE CUBE SHIBUYA
【宮城公演】
▼6月8日(日) トークネットホール仙台 大ホール
【北海道公演】
▼6月19日(木) カナモトホール
【岐阜公演】
▼6月28日(土) 土岐市文化プラザ サンホール
「imase LIVE "Have a nice day" in NIPPON BUDOKAN」