ホーム > インタビュー&レポート > “キャッチーなメロディーに踊れるグルーヴ” 4thアルバム『ISLAND』に込められた ポジティブなメッセージを届けに行く。 2025年2月1日(土)から 全国ツアーが開催。 toconoma インタビュー
みんなが聴いていたJ-POPの要素をモチーフとして、
ニューアルバム『ISLAND』の中に入れている。
――2023年に15周年を迎えて、日比谷野音も大成功となりましたね。そんなバンドの勢いと充実ぶりを感じさせる4thアルバム『ISLAND』がリリースされました。
西川隆太郎(key.)「ありがとうございます。去年は15周年のツアーをやって、その時も今回の『ISLAND』に入っている楽曲はいくつかやったりしたんですけど、野音でも結構やったんじゃないかな。8曲目の「Open World」もその時に下ろしたりして、(先行シングル曲の)「Futurez」(M-7)と「Quest4」(M-8)もやってますね。僕らは月金働いているので、野音ではコンセプトを"WEEKEND HEAVEN=週末天国"として、"みんなで休日を楽しもう"ということでやったんですけど。ああいう野外でみんなお酒飲みながら、踊りながら、楽しく休日を過ごすというコンテンツで、アーティストもお客さんも全員一緒の時間を楽しむということは、僕らだからこそできるところもあるし、自分たちが今までやってきたことの1個の集大成というか。そういう意味では結構良かったのかなと思いますね」
――タイトルの"ISLAND"というのは日本のことなんですね。
「そうですね。コロナ禍の頃から楽曲制作はしていたんですが、時期的に鬱々とした部分があったのでポジティブなアルバムにしたいよねみたいなところが想いとしてはありました。本来であればアルバム『VISTA』でワールドツアーもやりたかったんですけど、ちょうどコロナ禍で実現ができなかったので、次のアルバムはそういった意味でもインストバンドの持つボーダレス性みたいなところも含めて海外にも出てきたいよねという意味合いも込めて、島国日本から世界に発するポジティブなメッセージとして『ISLAND』というタイトルをつけた感じです」
――これまでも香港などアジア圏でライブをされているように、海外というのはずっと視野に入れてきたのですか。
「そうですね。日本のお客さんもすごく盛り上がって頂いてるんですけど、やっぱり海外って日本とは違うグルーヴがあるというか自分たちが思ってなかったところですごい盛り上がったりして、そういう面白さとかもあるしインストバンドなのでお客さんもシンプルに楽曲の意味とかを考えずメロディが持ってるメッセージ性みたいなことを感じて、踊ったり楽しんだりできるところもあるんで。海外行きたいなっていうところは思ってましたね」
――今作の音楽性についてはどんなことを意識していましたか。
「シンプルに言うとJ-POPのエッセンスを詰め込んだということですね。僕らが若い時はいわゆるJ-POPランキングのトップ100に入るような曲を聴いていて、ある種みんなが同じ音楽を聞くような時代だったんで、共通のポップネスみたいなのはメンバー全員にあるような気がして。(前作)『VISTA』も若干そうですけど、メロディーだったり全体の構成とかミックスとか、若干玄人寄りな感じかなっていう印象はあったんですけど。40歳を迎えてもっとあけっぴろげなポップネスと言いますか、すごくわかりやすい感じのJ-POPの要素をモチーフとして入れてみてもいいんじゃないかみたいのが今回割と強くあって。そこがポジティブな感じをより助長させている気もしてます」
――メンバー全員が共通して好きだったJ-POPのアーティストって具体的には?
「色々いますよ。安室奈美恵さんとか、B'zさん、小室哲哉さんとかね。やっぱりその時代を席巻していた方々の楽曲が、自分たちの中に脈々と刷り込まれていて。自分たちなりに解釈して楽曲の中に取り入れていくみたいな、そんな感じのイメージかもしれないですね。だから、(初めて聞く曲でも)とっつきやすいというか」
――いかにもB'z、小室さんっていう感じではないと思いますが、メロディーとか楽曲展開にそういう要素があるんですね。
「はい、モチーフはそういうメロディーのエッセンスだったりするんですけど。細かいサウンドみたいなところは、やっぱり今を意識するみたいなそういうこだわりはありますね。僕の場合はシンセサイザーの音色をあまりいなたくしすぎずに、もう少しプリッとしたサウンドにしてみるとか、そういうのを結構心がけたりしてました。メロディーとか音色を言葉で説明するのって難しいんですけど、今のいろんな洋楽のアーティストが使ってるような帯域をちょっと強く出してみたりとか、そういう音楽的な細かい調整みたいなことですね」
――ちなみに西川さんが意識されてる洋楽アーティストというのは?
「最近よく聴いてるのは FKJさん、ルイス・コールさんとか。あと、ロバート・グラスパー、ハイエイタス・カイヨーテとかですかね」
グランドピアノを弾いた『Back to the Futurez』は
今までにない感じのレコーディングでした。
――1曲目の「SignaL」からアッパーな幕開けでインパクトが強いですね。
「「SignaL」はアルバムのリード曲として 出していこうというのはみんな意識していました。リード曲をド頭に持っていくのは僕らのアルバムでは初めての試みで、1曲目からBPMも割と速い曲ですし、元気感が増すというかね」
――「Open World」(M-9)も新たな幕開けを提示するような楽曲ですが、この曲はラストですね。
「「Open World」って、今までの、toconomaサウンドの代表みたいな感じがあって。エモさとか僕がエレピ一発でシンプルな音色だったりとか15、6年やってきたいわゆるtoconomaのサウンドっていう感じの印象が割と強いんですけど。『SignaL』はタイトルにもあるとおり「信号が青に変わる瞬間」というイメージで、自分たちがビシッと先(ある種の未来)に照準を合わせて、ドンと前進するっていう曲になるといいなっていう意味合いも込めているので、やっぱり1曲目に「SignaL」を持ってきた方が勢いがあるし、新しいステージに登っていくイメージもあるだろうということで 決めたような気がします」
――中盤に「Back to the Futurez」(M-6)、次に「Futurez」(M-7)と続いてますが、「Back to the Futurez」はピアノだけでシンプルですよね。メロディーにちょっと和を感じたんですけれども、そのへんはなにか意識されて?
「これはそれこそ小室哲哉さんの影響がかなり色濃く出てますね。globeの1stアルバムで、「Feel Like dance」の前に、「Feel Like dance」のメロディーをピアノだけで弾いてる「GIVE YOU」っていう曲があって、その後に「Feel Like dance」が収録されてるんですけど、それを参考にさせていただいて...。僕ら世代だったら、ひょっとするとわかるんじゃないですかね。この流れは。もしや...?みたいな(笑)」
――どんなふうにレコーディングされたんですか。
「『Back to the Futurez』は当然僕だけなんで、今までにないレコーディング風景でしたね。この曲は本当に代々木のポニーキャニオンのスタジオでグランドピアノで録ったんですが、久石譲さんが使ってた非常に歴史のあるピアノなんです。当初はライブの中でもインタールード的に使おうと思って作った曲でしたし、アルバムの中にもインタールード的に入れる予定で。2、3テイク録ってさくっと次の曲に行くのかなと思いきや、僕が弾いて戻ってきたら、他のメンバーとかエンジニアの人とかが今のすごい良かったよねみたいな話になって、なんか非常に音楽的な話にどんどんなっていき蓋開けたら13テイクぐらい録っていて。すごく楽しかったというか貴重な経験でしたね。バンドでグルーヴを作っていくのとはまたちょっと違うレコーディングだったので。」
――こういう曲が聴けるのもアルバムの醍醐味ですよね。
「そういう意味で言うと、ポジティブなアルバムに仕上がったというイメージはあるんですけども、楽曲の幅みたいなところに関しては、今までのアルバムと比較すると一番強く出てるのかなっていう気はしますね。BPMの速い、音圧がすごい入った「SignaL」みたいな曲もあれば同じように速い曲なんだけど、ちょっとエモさがある「Open World」とか、ちょっとドープな感じに寄った「Syncer」(M-3)とか。月明かりに照らされた夜の湖のボートとか情景が浮かぶ「Touch the moon」とか、爽やかな「SODA」とか...」
――曲作りの時は西川さんのキーボードが中心になって?
「僕が全部メロディーを考えてるわけではなく、ギターが持ってくる曲も多いですね 。大体、BPMとコードとリフと象徴的なメロディーがあって、それを簡易的に構成にしてデモにして。それをバンドで作り込んでいく作業が始まって。もう少し構成は短くした方がいいんじゃないかとか、このメロディーはもう少しこうした方がいいんじゃないですかっていう細かい調整をしていくって感じで、毎週土曜日のスタジオで詰めていく。もちろんデータ上でやり取りもししますけど」
――ふだんの仕事と音楽活動を両立させて続けられる一番の理由は?
「続けられる要因はいくつかあって。楽曲制作のクリエイティブな作業ものすごく楽しいし、作ったものをライブで披露してお客さんが喜んでくれるっていう、この2つは結構大きくて。ミックスの細かい調整とか音色の細かい調整とか、けっこう内向きな作業ですけど、それはそれですごく好きで。ライブはもう本当にそういうのも一切関係なく休日をみんなで楽しむっていう。このアウトプットが最大限できるところにバンドのカタルシスがあるかもしれないですね」
――今までにフジロックに出演されてますし、日比谷野音でやったり、toconomaは野外が似合うライブバンドだなという印象です。
「僕らの雰囲気も楽曲も含めて、やっぱり外が合うんでしょうね」
――ライブでは予定調和に収まらない爆発力みたいなものが生まれるのでは?
「そうですね。"休日を楽しみたい!"っていう活動方針なんで。ひょっとしたら音源の通りにやってない可能性も結構多々あります(笑)。でも、音源は音源の良さがあってそれはそれで聞いてもらえればよくて。ライブはライブでそれを崩していく楽しみみたいなところもあったりして、お客さんもそれを期待してるところもあったりするんで。かなりトリッキーなる日になることもありますね」
――即興的な展開になると。
「そうですそうです。特にツアーとかを回ってるとそういうのがどんどんできて、ツアーファイナルとかになってくるともはや別の曲になるみたいな(笑)、そういう時もあって...」
――ライブで曲が進化してくんですね。
「 たまに、"昔のアレンジが好きです"っていうXの投稿を見たりすると、次のライブは若干おとなしめのアレンジにしたり(笑)、そういうフレキシブルなところもあって」
――そんなライブで触れることで、また行きたい!ってリピートするファンが増えていくんですね。
「同じ曲でも、毎回ちょっと違うんですよね。だから "今度のツアーの名古屋と大阪行きます!"みたいにおっしゃっていただいたりして。その方々はやっぱりそういうのもある程度期待して見にいらしていただけるのかなと思います」
――新作の話題にもどりますが、今作が完成されて達成感を感じているのはどういうところですか。
「"キャッチーなメロディーに踊れるグルーヴ"、というすごくベーシックなサウンドコンセプトがtoconomaにはあって。それがアルバムを通して割と一番良い状態になったのが今回の『ISLAND』なのかなと。さっき話したポジティブさがそうかもしれないですし、J-POPのニュアンスもそうなのかもしれない。色々総合した結果、自分たちのベーシックなサウンドコンセプトに一番ミートしているアルバムになったんじゃないかなと。そういう意味ではある種の原点回帰みたいなところもあります。自分たちのサウンドが強く現れた、非常にキャラクタリスティックなアルバムになったんじゃないかと思いますね。全曲推しです!」
パンチのあるセットリストで、
お酒飲みながらみんなで盛り上がれるショーに
――2月から始まる全国ツアーはどのようなライブになりますか。
「全公演、土曜日なので。土曜日が仕事の人には本当に申し訳ないなと思いつつ、やっぱ社会人が1番弾けられるのは土曜日っていうところもあったりしますし。18時スタートで何時に終わるかちょっとわかんないんですけど(笑)。ついMCで喋っちゃうんですよね。なるべく遠方の方をケアしながら帰れるような時間には終わりたいなと思うんですが。名古屋とかもやっぱりワンマン久しぶりに行きますし、すごく楽しみにしています。『ISLAND』のリリースツアーではあるものの。去年、15周年やった時もそうでしたけどみんなで休日をゆるく盛り上がるっていう、そんな感じのショーを全か箇所でできればいいなと思ってます」
――スピード感がある曲で、ガンガン押していくっていうよりも、緩い曲も交えて?
「ライブのセットリストは毎回色々考えるんですけど、ある程度抑揚があった方が自分たちも心地いいというか。速い曲もやるし、ちょっとしっとりした曲もやりながら、最終的にはみんなが笑って帰れるような、そんなツアーになるといいかな」
――客層は大人の方が多いんでしょうか。
「いや、でも結構バラバラかもしんないですね。割と年齢近しい人もいれば、もう少し若い方もいらっしゃったりとかで。バンドスコアとかも無料でホームページからダウンロードできたりするんで、それを大学生のサークルの方々がバンドでコピーしてくれて、またライブ来るみたいなそういう流れもあったりして」
――ここをぜひお楽しみに!というような、ライブの注目ポイントがあれば教えてください。
「今回に関しては、やっぱり私のピアノソロですね(笑)」
――さきほど話題に出た『Back to the Futurez』ですね。
「本当はすごい緊張して嫌なんですけどね、ちょっとやらざるを得ないかなっていう...、半分冗談ですけど。とはいえ、今回はけっこう強い楽曲がいっぱいあるし、「SignaL」も含めてパンチのある盛り上がるセットリストになります。そこを期待してぜひ踊りに来ていただければなと思います」
Text by エイミー野中
(2025年1月28日更新)
配信&発売中
[Track List]
1. SignaL
2. SODA
3. Syncer
4. Touch the moon
5. Orion
6. Back to the Futurez
7. Futurez
8. Quest4
9. Open World
全9曲
配信リンクはこちら
toconoma(トコノマ)…2008年東京渋谷にて結成したインスト・ジャム・バンド。 情熱的なダンスビートから生まれるグルーヴに、感情的なメロディー。歌は無くとも、それ以上に 伝わる何かがそこにはあった。紡がれた音はジャンルという壁を乗り越え、シーンの彼方を切り拓 く。 2017年6月3rd album“NEWTOWN”リリース後、FUJIROCK 2018(FIELD OF HEAVEN stage)に出演 を果たし、10周年ワンマンツアーを東京TSUTAYA O-EAST (ソールドアウト)、香港を含む全4カ所 で開催。アジア圏でもワンマンツアー開催/野外フェス出演など精力的に活動し、2020月7月8日に 3年ぶりに4th album “VISTA”をリリース! 2020年9月より全国6か所を延期等を乗り越えtoconoma JAPAN TOUR “VISTAS”としてツアーを 実施、2021年5月に渋谷TSUTAYA 0-EASTにてファイナルを開催。8月には初のドキュメンタリー DVD “VISTAS”をリリースし既に生産分は完売。2021年8月にはSPECIAL OTHERSを招いての自 主企画「TOCOJAWAS(トコジョーズ)2021」を恵比寿GARDEN HALLにて開催しチケットは即完売。2022年2度目のFUJI ROCK FESTIVAL(FIELD OF HEAVEN stage)にも出演を果たす。2023年結成15周年を迎えワンマンツアー「TOCONOVA」、8月には自身初となる日比谷野音公演を満員御礼で成功させ、自分たちのペースを保ちながらゆっくり活動中。2024年11月6日、4thアルバム『ISLAND』リリース。
【名古屋公演】
▼2月1日(土) NAGOYA JAMMIN’
▼2月15日(土) 18:00
BIGCAT
スタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は保護者同伴で入場可。
※各会場年齢のわかる身分証持参で20歳以下入場料無料(別途ドリンク代)。入場はチケット購入者が入場した後になります。キャパシティーが超える場合は入場をお断りする場合がございます。
[問]GREENS■06-6882-1224
▼2025年4月12日(土)・13日(日) 13:00
Spotify O-EAST/Spotify O-WEST/Spotify O-nest/duo MUSIC EXCHANGE/clubasia/LOFT9 Shibuya/SHIBUYA CLUB QUATTRO/Veats Shibuya/WWW/WWWX/TOKIO TOKYO
1日券-8800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
2日通し券-16800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[12(土)出演]
東京スカパラダイスオーケストラ/THE SPELLBOUND/SPECIAL OTHERS/THA BLUE HERB/envy/Boris/The Novembers/world's end girlfriend/downy/LITE/Rega/fox capture plan/揺らぎ/mudy on the 昨晩/ドミコ/MONO NO AWARE/Cody・Lee(李)/Helsinki Lambda Club/TENDOUJI/NOT WONK/Enfants/どんぐりず/SUSHIBOYS/QOOPIE/the engy/Billyrrom/muque/荒谷翔大/Emerald/First Love is Never Returned/Blu-Swing/goethe/brkfstblend/HALLEY/luvis/LAUSBUB/高井息吹/幽体コミュニケーションズ/pavilion/Simmer Pine/New Action! …and many more!!
[13(日)出演]
渋さ知らズオーケストラ/ZAZEN BOYS/おとぼけビ~バ~/SOIL&"PIMP"SESSIONS/踊ってばかりの国/DYGL/奇妙礼太郎BAND/TENDRE/BREIMEN/kiki vivi lily/NIKO NIKO TAN TAN/DÉ DÉ MOUSE/toconoma/the band apart/People In The Box/MASS OF THE FERMENTING DREGS/tricot/jizue/JYOCHO/kurayamisaka/モーモールルギャバン/SuiseiNoboAz/Khaki/luv/トリプルファイヤー/saccharin/浪漫革命/Nao Kawamura/POLYPLUS/JABBERLOOP/ひとひら/雪国/yubiori/171/the bercedes menz/aldo van eyck/Qoodow/life crown/北村蕗/New Action! …and many more!!
※toconomaは13(日)出演予定
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)。
※開場・開演時間は変更となる可能性がございます。
※アーティストのキャンセルや変更等による料金の払戻しはございません。
[問]SYNCHRONICITY■info@synchronicity.tv
Web Site
https://toconoma.xii.jp/
Instagram
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YouTube
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