ホーム > インタビュー&レポート > 20年以上の時を経て、2024年ついに 本格的に動き出したrumania montevideo! 姉・三好真美、弟・三好誠が今思うこと
SNSの反響を受けて
また曲を聴いてもらいたいと思った
――rumania montevideoはデビューの頃からテレビで拝見していたこともありますし、今日は何から聞けばいいのか迷うほど聞きたいことだらけです。まずは、活動を再開されてみての率直な感想からお願いします。
三好真美(以下、真美)「まずは曲を作るところからスタートさせて、私は作詞をしているのですが曲によっては20年前に作って置いていたものを書き直したりもしているんですね。年齢と経験を重ねたことで、言葉が説教じみてしまうことに悩んでいたりします(笑)。ただバンド解散後は音楽から離れていたので、そういうことを新鮮に感じてもいます」
――音楽活動から離れられていたのですね。
真美「はい。手放したくて手放した訳ではなかったし続けたい気持ちもあったので、そういう状態で音楽に関わるのは怖かったんです。だからこそ音楽を聴くことも怖い時期がありました。それが改めて自分も活動を始めて受け入れられるようになったし、音楽をさらに好きになったところはあります」
――音楽を聴くのも嫌だったというのは、もっとやれたという気持ちもあって...?
真美「羨ましい気持ち、とかですかね。私は弟の曲をすごくリスペクトしているんです。音楽を聴くと、"弟の曲の方がいいなぁ"なんて思っちゃったりして。いつまでも手放せずにいたのかもしれないですね」
三好誠(以下、誠)「僕は実際に曲をリリースしてみてSNSを通じて反応が得られたんですけど、"サウンドのアレンジがモンテビっぽくない"という声があったのは意外でした。個人的に姉の声と歌い方があればモンテビだと思っているところがあるので、そういう意見があるのかと意外な気持ちでいましたね」
――そもそもrumania montevideoは1998年に結成されて、翌年にメジャーデビューしたわけですが、活動休止は2002年で実質4年ほどの短い活動期間だったのは意外な驚きでした。
誠「その期間中にインディーズのアルバム2枚とフルアルバムを3枚、シングルを7枚出したので、自分の中ではやりきったというか引き出しが空になった感覚があったんです。活動時間は短かったけども、自分の中ではすごく長く感じていたと思います」
真美「...私は長くは感じなかったなぁ。もっとやりたかったと思っています」
――太く短く濃密だっただけに、それぞれ体感が異なるのかもしれないですね。解散後の日々はどのように過ごされていたのですか? 先ほど真美さんは音楽からは離れていたとおっしゃっていましたが。
誠「僕は作曲家を目指していたのですがそれと並行して仕事も始めて。プライベートでは友達とデモを作るぐらいの音楽活動はしていましたが、表立っては全然」
真美「音楽という点で言うと私は全く。ドラムも触っていなかったし、カラオケにさえも行っていませんでした」
――おふたりとも本格的な音楽活動とは距離を置きながらも2019年にXでrumania montevideoの再開を宣言されて、実質的な活動再開となる2024年までタイムラグがあります。これは?
誠「実は19年にライブしてんな?」
真美「そうですね、はい」
誠「それをきっかけに活動を続けていこうかという矢先に、ライブがコロナで中止になったりして再開が足止めのような形になってしまったんです。そうこうしている間に、僕が仕事の関係で山口に移住することになって。姉の拠点は関西なのですが、今の時代なら離れていてもリモートで曲作りができるということで今年活動再開を決めました。でも単純に、SNSの影響は大きかったです。活動再開に関してすごく大きな反響をいただけたことが大きな原動力になって、またたくさんの人に曲を聴いてもらいたいという気持ちが芽生えたのは自分を後押ししてくれました」
――その2019年のライブをやろうということのきっかけはどんなことだったのでしょう。
誠「これもSNSなんです。僕はそれまで全くSNSをやって来なかったんですけど、当時始めてみたXに姉とリハスタに入って音合わせをした写真を、軽い気持ちでアップしてみたらその投稿がバズって」
――へぇ!
誠「僕らのことを待ってくれていた人がこんなにいるということに気がついて、これはもうライブをやるしかないんじゃないかと。それが2019年のことでした」
――当時音楽からずっと離れていた真美さんが誠さんに「音合わせしてみよう」と言われて、断りはしなかったんですね。
真美「私、根本的に弟からの提案を断ったことがないんですよ。そうだよね?」
誠「うん、そうかもしれんね」
真美「自分から動こうとしないタイプだけど、与えられたことに関しては一所懸命やりますという感じです」
――それは最初の活動中も?
真美「それこそモンテビ結成の時も、弟に誘われたのがきっかけでしたしね」
――姉弟ならではの関係性も活動再開の鍵になっていたんですね。ちなみに2019年に久々に音合わせをした時の感触や感想を覚えていますか。
誠「...少し話がズレてしまうかもしれませんが、なぜ2019年に音合わせをしようと思ったかというのにはもうひとつあって、2002年活動休止っていうのがどこか中途半端に終わってしまっているという気持ちが心のどこかにあったんです。だから音合わせをした時はすごくワクワクしましたね。これでまたライブができるんじゃないかって」
真美「私も音合わせをしてみて、やっぱりバンドっていいなと思ったし、いろんな音が重なって体に入ってくるのは気持ちがいいということも思い出しました。ただ自分の歌に関してはすぐに元通りというわけにもいかなくて、感覚としては少し時間がかかるかなと思いましたね。その点、楽器の人はいいなぁって(笑)」
――音楽から離れていた年数イコール喉を使っていなかった年数なわけですもんね。
真美「そうですね。喉も生き物で今も完全に戻ってはいないんでしょうけど、ある程度みなさんの前で歌えるかなと思うまでには時間がかかりました」
――もう一度活動を始めようと決めてから、おふたりの中で共有したことや話をしていたことなどはあったのでしょうか。
誠「そうですね、最初の活動時はライブを全然やれないままだったんです。だからこそとにかくライブをやろうと。それがやり残していたことなんだなという感じですね。当時はとにかく制作とレコーディングばかりしていて、ライブ準備にすら到達できないままタイミングを逃し続けてバンドも解散してしまいました」
――なるほど。今回の活動再開にあたって、正式メンバーはおふたりになるわけですよね?
真美「そうですね」
――だとすると、"rumania montevideo再始動"でなくても、...例えば新しいユニットとしてスタートするという方法もあったと思うんです。でもそうではなくてrumania montevideoを続けていくという道を選んだ理由を伺えますか。
誠「元々僕ら兄弟中心で始まったバンドだということもありますし、僕のサウンドと姉の詞の世界と歌声があればrumania montevideoとして成り立つだろうという考え方ですね」
真美「私も同じ思いでした。rumania montevideoという名前も形も好きだし、当時歌っていた曲もこれから歌い続けていきたいという希望もあります。だからこそ他の名前でやることは考えられませんでした」
誠「だからとにかくrumania montevideoの名前でライブをやりたいというのが、再始動の原動力ですね。まずはライブを決めて、そのためには何が必要かを考えてシングルを出そうと。ライブでは過去の曲ももちろんやりますけど、そればかりをやり続けるのもちょっとアレなので、ならば新しい曲をと。その流れでアルバムも作ろう、じゃあライブ会場で限定発売しようみたいな感じでアイデアが膨らんでいきました」
――ということは、アルバムを想定して新しい曲を作っていったということだったのでしょうか。というのも配信が当たり前になってから、とにかく強い曲を作ってシングルリリースを重ねて、それらをまとめた作品集としてアルバムがある。だからテーマはあとからつけるという制作方式が多い印象があるんです。お話を聞いていると、アルバムありきで新曲を作っていくというやり方だったのかなと。合ってます?
誠「そうですね、アルバムありき。そもそも配信を重ねるという構想が、自分の頭にはなかったです。アルバムを作りたいという気持ちがあって、この曲、 この曲とどんどん集めて作っていった感じですね。当時作っていたけどお披露目していなかった曲をアップデートさせたものと、新しく作ったものと半々ぐらいでしょうか。ただ中でも意識したのは、"姉の歌声が最大限に活きる曲"。そこに姉の詞の世界が乗るんですけど、この22年を経てどんな変化を見せてくれるだろうという楽しみもありました」
――新曲はさておき、眠っていた曲を2024年の2人のフィルターを通してアップデートさせるのは、一種の答え合わせのような感じもしますね。
誠「まさにその通りでした。なので昔のイメージをそのまま持ってくるべきか、今の...生のリアルなサウンドを持ってくるのがいいのかは一番悩んだところです。あまりにも悩ましかったので、最終的には"今やりたいことをやる"という方法を採用しました」
真美「私はいざ作詞しようと思ったら、なかなか進まなくて。昔書いた歌詞を目の前にしても、どこか納得がいかないんです。悩みながらもやっぱり作り直したいと思った時に、"昔の自分によりそう"ということを思いついたんです」
――と、いいますと?
真美「その歌詞を作った頃に聴いていた音楽や読んでいた本、見ていたドラマや映画を改めて見たりしながら、当時を思い出しつつ自分の中にインプットしていったら2024年の自分がスッとアウトプットできたような感覚でした。だからアップデートしたという感覚ではなく、昔の自分に寄り添っていくような体験を通して2024年のrumania montevideoの曲ができていったなと思っています」
活動再開後、大切にしているのは
姉へのリスペクト
――まずアルバムからの先行という形で11月にシングル「snow loop」がリリースされました。再始動1曲目、打ち込みを多用しているというところに意外性を感じずにはいられませんでした。
誠「これに関しては"曲がこのアレンジを呼んでいた"という感覚で、「snow loop」には打ち込みが必要だったという結果です。この曲を最初に選んだのは、一度自分のYouTubeにアップした時に評判がよかったのと、今の季節にピッタリだからという単純な理由なんですけど(笑)。あとは、アレンジャーの古井弘人さんから上がってきたサウンドが今の自分たちにドンピシャで、アルバムの中の表題曲になるという直感したのが大きかったかなと思います」
――そしてクリスマスには2曲目の「Smile again」がリリースされたところです。こちらは当時のモンテビサウンドを彷彿とさせる、"らしさ"溢れる楽曲でした。1曲目と2曲目のコントラストがとても鮮やかで、その分アルバムはどういったものになるのだろうという期待感を煽ってくれます。
誠「そうですね、アルバムの全体像は「Smile again」に近いものがあるのかなと思います。この曲にモンテビっぽさやいい驚きを感じていただけたならうれしいです」
――「Smile again」で表現したかったことを言葉にすることはできますか?
誠「サウンドに関していうとやっぱり"モンテビサウンド"というか、少しざらついたギターに切ないメロディーみたいなところを出したいと思っていました。当時の僕らの音のこともよく知ってもらっている古井さんに手がけてもらったからこそできたことでもあると思うし、僕ららしさを出すことができてすごく満足感があります」
――真美さん、詞の方はどうですか?
真美「この曲は元々タイトルが決まっていたんです。弟がデモを作った時点で浮かんでいた言葉で、これをキーワードにしながらどんどん世界を広げるように歌詞を書いていきました」
誠「この先行で出した2曲が、今度のアルバムの柱になっているんです。アルバムの中でもとにかく自分たちがいい! と思った曲から聴いていただきたいという気持ちがあって。この2曲もいいけど、いい曲はまだまだあるぞ、と声を大にして言いたいですね」
――ちなみに今度のライブ会場限定で発売される22年ぶりのアルバムですが、どういう作品になっているのでしょうか。
誠「『FLEX』というタイトルをつけたのですが、スラングで自慢するというような意味があるんです。どうだ! みたいなちょっと冗談めかした感じも意味に込めています。実は僕、バンド名を考えるのがすごく好きで何十個もメモで残してあって。それを曲のタイトルやアルバムタイトルを考える時に参考にしたりしているんです。そのリストの1位にずっとある言葉がFLEXだったので、ここ一番で使おうと。そしてジャケットは当時からずっと僕らの作品のアート周りを担当してくれていたGAN小島さんにお願いしました」
――最近はグラフィックを多用したジャケットが主流になっている中で、そこはかとない90年代~2000年代前半のニュアンスがあって、すごく懐かしい気持ちになりました。
誠「うん、僕もそう思いました!」
――そして年明け早々には、久々のライブもあります。1月は梅田クラブクアトロで、3月の渋谷クラブクアトロ公演に関してはもう完売となっています。今どんなライブをしようなど考えていることはありますか?
誠「まずは当時出していた7枚のシングルは全曲披露するつもりです。あと再始動以降、姉はボーカルに専念しているんですけど、ライブでは1曲...」
真美「そうですね、叩きます」
――おぉ!
真美「歌を取り戻すよりも、意外にドラムの方が一度やったことを忘れていないというか、多少体が動いている感覚はあります」
――もうすぐですが、ライブもすごく楽しみです。ライブが終わった後、バンドとしてどう進んでいくかの構想は描かれていますか。
誠「まずはライブ会需限定でアルバムを販売しますが、東京公演が終わり次第配信がスタートします。なので今度はアルバムのレコ発ツアーができればいいですね」
――そちらも楽しみです。最後にお伺いしたいのですが...久々に姉と弟で音楽活動を共にしてみてどうですか?
誠「難しいですね~」
――難しい?
誠「若い時、僕は上から目線でこれはこう違うんだ、ああだこうだみたいなのをずっと言っているタイプだったんですよ。姉と弟だしという感覚で。でも今は離れての作業が基本だし、年に何回か会うかぐらいだからこそ乱暴な言葉遣いで接していたら...Oasisみたいにね?」
――リアムとノエル的な。
誠「うん、兄弟喧嘩で解散にならないようにと。だからこそ当時よりもしっかりとリスペクトを持ちながら接していると思います」
――お姉さんとしては...?
真美「私は全くやりにくいことはないですよ。弟がやたら気を使っているなぁとは思いますけど」
誠「そうでしょそうでしょ」
真美「でもそれも、年を重ねたからこその新しいやり方なのかもしれないなぁと思って見守っています(笑)」
取材・文/桃井麻依子
(2024年12月27日更新)
Single「snow loop」
配信中
Single「Smile again」
配信中
三好誠と彼の実姉である三好真美を中心に1998年に結成されたバンド。1999年にリリースされたメジャー1stシングル「still for your love」が16万枚のスマッシュヒットを記録。その後シングル7枚、アルバム3枚を発表後2002年に活動休止するも、2019年に突如再始動を発表。そして2024年に活動を本格的に再開する。2025年1月11日に大阪・梅田クラブクアトロ、3月29日に東京・渋谷クラブクアトロでライブを開催。会場で22年ぶりのニューアルバム『FLEX』を限定販売する。
ルーマニアモンテビデオ 三好誠note
https://note.com/rumaniamontevi2
三好誠X
https://x.com/rumaniamontevi2
三好真美X
https://x.com/matautaoukana
チケット発売中 Pコード:279-489
▼1月11日(土) 17:00
梅田クラブクアトロ
前売-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
【お問合せ】miyoshiguitar@gmail.com