ホーム > インタビュー&レポート > yummy’g、アスノポラリス、OKOJO、Subway Daydream それぞれの音楽とポップネスを真摯に追求する4組が集った 『Grasshopper WEST vol.4』ライブレポート
Avril Lavigne「He Wasn't」をSEに登場したのは、オープニング・アクトにして本日最年少バンド、yummy'g(ヤミージ)。USインディーロックのゴキゲンなサウンドを思わせる、緩急のついた重厚感のあるバンドサウンドとポップなメロディが中毒性バツグンである。
ベースのARISAが前に躍り出て始まった「boooom」。結成から一年とは思えないほどのグルーヴィなベースラインと跳ねるドラム、痛快なギターサウンドの完成されたサウンドと、エネルギー漲るASUKAの歌声に、早速オーディエンスも拳を突き上げる。続いて間髪入れずに始まった「Monster」ではキャッチーなサビのメロディを武器に、yummy'gの世界へとジリジリと会場を引き込んでいく。
「O.A.という機会をいただけてうれしいです!」「今日のイベントが良くなるか否かはyummy'gにかかっていると思うんで、全力でやっていきます!」というガッツ溢れるMCからなだれ込むように、バンドの自己紹介とも言えるキラーチューン「I am」へ。続くUSウェストコーストライクなミドルテンポの「Switch」では、ASUKA(vo/g)とARISA(b/cho)の息のあったコーラスワークが光る。
そしてと も(ds)の刻む小気味良いクローズリムとARISAの伸びやかなベースから幕を開ける、ラストの「charge!!」へ。サビでのARISAの「BEYONDいけますか!」の声に腕を突き上げて応えるオーディエンス。トップバッターに相応しい爆発力溢れる演奏は、今日のライブの成功を高らかに告げるようであった。
続いてステージに上がるのは、今回唯一の広島からやってきたアスノポラリス。「自信のない日々にそっと寄り添う音楽」をコンセプトに、熱量のあるバンドサウンドを貫くようなハイトーンな歌声で、の落岩勇弥(g/vo)が暖かい詞を抒情的に歌い上げるバンドだ。落岩の爪弾く、柔らかなアルペジオから幕を開けたのは、そんな彼らのコンセプトを体現したかのような優しくも力強い、エモーショナルな一曲「銀木犀」。
続いて「大阪調子どうですか!」というMCから始まったのは、疾走感溢れるイントロからシンガロンが響く、終始ブチ上がりのキラーチューン「たまに間違える僕たちは」。「楽しみに来たんだろ!?」という落岩のアジテーションに呼応して次々に上がっていくオーディエンスの拳に、バンドの演奏もギアが上がっていく。
温まったフロアを四つ打ちのダンサブルなビートで踊らせ、ギターを掻き鳴らし高らかに歌い上げる「あの日のまま」では、きょーへい(g)のカッティングとオクターブを基調とした軽やかなギターソロが白眉。
「今日はGrasshopper、バッタの日なんで、ぴょんぴょん跳ねてさ、上に上に登り詰めていこうっていう日。今日が一番高いところが見えますように」という落岩の言葉から始まったのは、祈りのようなロマンチックな歌詞が優しく胸に沁みる「言えない」。オーディエンスのクラップが響き渡る暖かな空間を創り上げた。
そして《夢を見ているうちはまた会う日までさよならだ》という歌詞が切なくも心を優しく照らしてくれる「あの夏」を披露し、オーディエンスの心と耳を逃さずしっかりと掴んでいく。
「何か試練を越えるたびに新たな試練がやってくるけど、たまには休ませてくれよって思うけど、ここまで辿り着いたのならそれがすべて、忘れちゃいけないことちゃんと覚えておいて、忘れたくない日をずっとずっと覚えておいて」というMCから《だんだん歳をとってしわくちゃになっても良いのさ》という歌詞が寄り添ってくれるラスト「だんだん」へ。
「水曜日のド平日からライブハウスに集まってくれるあなたたち、俺たちはあなたを全力で楽しませるので、あなたたちも僕らを楽しませてくださいね」という落岩の言葉を体現するように、フロアと一体になったライブを繰り広げた。
DNCE「グッド・デイ」で入場したのは3組目OKOJO(オコジョ)。可愛らしいバンド名とは裏腹に、切なくも暖かいラブソングを息の合った演奏と共に熱く歌い上げる。
痺れるようなギターリフで幕を開ける「ラブソング」では早速オーディエンスのクラップが会場に響き渡る。真摯に愛の唄を歌い続けるOKOJOの代名詞と言えるような一曲だ。サポートメンバー・えぬがギターをこれでもかと弾き倒し、会場の熱量を否応なしに高めていく。
続く2曲目はイントロのテクニカルなギターフレーズと折に触れて打ち出されるカッティングが印象的な「サイチェン・マイフォーチュン」。サイチェンとは中国語で「さようなら」という意味。夏の終わりと共に訪れる愛する人との別れを甘く切なく、ダンサブルに表現する。続いての「最高なラブソング」では、ヤマト(ds/cho)の刻む四つ打ちとえぬのカッティングが絡み合い、心地よくフロアを揺らしていく。
続く「ええんやけど」はスロウなバラード。関西弁で綴られることでより心の柔らかい部分に染み込んでくる歌詞とメロディと泣きのコードに、オーディエンスもじっと聴き入る。
ヤマトのほろ苦い恋のエピソードからの「なりゆきまかせ」では、冒頭よりオーディエンスの拳も上がる。四つ打ちのビートが切なさを加速させていく中で、確実にフロアのボルテージも上がっていく。
そして「またライブハウスでお会いできることを楽しみにしています」という言葉から、ラストの「遮二無二に恋しない」へ。跳ねるベースラインとドラムの刻みがガッチリと噛み合い、揺れ動く心と、それでも進んでいく時間の物語を進めていく。彼らの演奏に聴き惚れるオーディエンスの様子が特に印象的なステージだった。
そして今回トリを務めるのはSubway Daydream(サブウェイデイドリーム)。キャッチーなボーカルとドープな音楽愛に溢れた楽曲が絶妙なバランスで混じり合う、タイムレスな輝きを放つバンドだ。
早速一発目から、フロアをドライブさせる「Stand By Me」を投下。たまみ(vo)の「Grasshopper行きましょう!」の声に呼応するように熱量を高めていくフロア。更にそれに呼応するようにメンバーたちのシンガロングが一体感を高めていく。続く「ケサランパサラン」はギターポップへの憧憬が眩しい一曲。キュートなサビの《ケサランパサラン》のフレーズは思わず口ずさんでしまう中毒性を秘めている。アウトロではキュートなこれまでのキュートなポップネスから一転、ツインギターのユニゾンフレーズとスイッチングしたハイテンポなビートで畳み掛け、オーディエンスのボルテージも早速マックスに。
高まったボルテージもそのまま、イントロの凶暴なスネアの乱れ打ちとギターフィードバック、そしてたまみ(vo)の《Are you ready? Mad honey!》 のキュートなフレーズが印象的な「マッドハニー」へ雪崩れ込んでいく。90'sグランジ愛が炸裂したヘヴィなサウンドで、音楽好きのオーディエンスの心もガッチリと捕まえ、踊らせていく。
続いてはローの効いたベースラインと広がりのあるギターサウンドでフロアにクラップを生み出す「Teddy Bear」。きらびやかな照明と呼応し、フロアをドリーミーな世界に染めていく。
たまみの「一緒に皆で前に進んでいけるように、ここで一生懸命歌わせていただきます」という言葉から、果敢に同期を取り込み、一歩を踏み出した楽曲「kiosk」へ。等身大の生活と葛藤を描く一曲で、オーディエンスとの心の距離をグッと縮めていく。続いてたまみがアコースティックギターを抱え始まったのは「Timeless Melody」。幾重にも重なるエバーグリーンなメロディラインが心地よくオーディエンスの身体を揺さぶっていく。
「最後まで居てくれてありがとう!」という感謝の気持ちから、最後はバンドきってのアンセム「Radio Star」へ。サビでは《Radio Star》のコールがフロアに響き渡り、今日の多幸感に満ちたライブを象徴するかのようであった。
そして鳴り止まないクラップを受け、アンコールで披露されたのは、藤島雅斗(g/vo)とたまみのツインボーカルがバックビートをヒートアップさせていく、文句なしのキラーチューン「Freeway」。
ライブを観ていてこんなにもメンバーたちの「音楽が好きで仕方がない!」気持ちがビシバシ伝わってくるバンドもそうそういない。そんな気持ちがフロア全体にも伝播していくような、多幸感溢れるステージであった。
全4バンドが、それぞれの音楽とポップネスを真摯に追求し、オーディエンスと時を共にした3時間。才能ある新進気鋭のアーティストたちがGrasshopper(=バッタ)のように勢いよく飛び立てるようなイベントにしたい!という思いの込められた本企画をきっかけに、これからもまだ見ぬアーティストが高く高く飛び立つ様を沢山の音楽好きたちに見届けていってほしい。
Photo by 桃子
Text by 伊藤博明
(2024年12月 2日更新)
【東京公演】
▼12月9日(月) 19:00
下北沢DaisyBar
一般-2400円 学割-1900円(要学生証)
[出演]Cloudy/komsume/マママ・ダ・マート
※ドリンク代別途必要。過去公演(vol.0~27)の半券持参で1,000円キャッシュバック。
[問]下北沢 Daisy Bar■03-3421-0847
OKOJOワンマンツアー2024「どのツラさげとんねん」
【大阪公演】
▼12月24日(火) 19:00
ROCKTOWN
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]ROCKTOWN■06-6632-6900
First One Man Show「Friday I'm In Love」
【大阪公演】
▼2025年1月31日(金) 19:30
Live House Anima
一般-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割-2000円(当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※学割チケットをお持ちの方は公演当日有効な学生証をお持ちください。ご提示いただけない場合は差額を徴収する場合もございます。
[問]GREENS■06-6882-1224
Grasshopper
公式サイト:https://fan.pia.jp/grasshopper/
X:https://x.com/grasshopper_pia
Instagram:https://www.instagram.com/grasshopper_pia/
yummy'g
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Instagram:https://www.instagram.com/yummy.g_official/
アスノポラリス
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OKOJO
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Subway Daydream
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