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豪華コラボを実現させた3年半ぶりのニューアルバムをリリース
BURNOUT SYNDROMESインタビュー

人気アニメのテーマ曲を数多く手がけ、ワールドワイドな活動を展開する大阪出身の3ピースバンド・BURNOUT SYNDROMESが、5枚目となるオリジナルアルバム『ORIGAMI』を11月27日にリリース。FLOW、東山奈央、CHiCOをはじめとする注目のアーティストを招いたこの作品について、そして2025年に控える結成20周年について3人に話を聞いた。

――ニューアルバム『ORIGAMI』は前作『TOKYO』から約3年半という時間が空きましたね。

熊谷「最初から自分たちだけでやるというよりは、ほかの人たちと一緒にやって、どう楽曲が変わるのかを試したいというのがあったので、いわゆるコラボ曲を多めにしようと考えて、それで結構時間が経ったという感じです。やっぱり1人で作るより、2倍、3倍の時間がかかるので」

――コラボ曲を多めにしようと思ったきっかけは?

熊谷「前回のアルバムでもCHiCOさんとコラボ曲を作らせてもらったし、また私が楽曲提供をよくするので、(コラボ)相手に対して別のお題があるような感じがしていて。刺激がもらえると言えばいいのかわかんないですけど、とにかく今までにないものが作れる、成長するような感じがあったので、そういうのをやりたいなと」

――今回は6組(ボーナストラックを除く)のアーティストが参加。どのように人選を?

熊谷「流れというか、仲よくなった人と作るという感じです。一緒にライブとかを重ねて、この人のこういう曲を聴いてみたいなって感じて、それを書くっていうのの繰り返しでした」

廣瀬「みんなそれぞれに個性があるアーティストさんだったので、どの方とやっても発見があって新しい音楽が作れているような感じがして、本当に学ばせていただいたことが多かったです」

――参加アーティストをいかす曲作りはどのように?

熊谷「アーティストさんが今までやってきたこと、発表してきた楽曲が一つのヒントで、あとはビジュアルや売り出し方の二つ。それを見て、沿った楽曲を書くのか、はたまた今までやってないような切り口もあるんじゃないかっていう真逆のイメージで作る楽曲のどっちかかなと。全曲どっちかにはなっていて、こういうイメージだよねっていう曲もあれば、わ、そんな曲歌うのっていう驚きも。相手のアーティストのファンの方の感情も考えて書くような感じですかね。何でもできるんで相手に合わせたいなと」

――プロデューサー的な視点ですね。それは日ごろから?

熊谷「なってるかもしれないですね。別に作りたいものがあるわけでもなく、どっちかというと欲されてるものを作る方が作りやすいかなという感じ。自分が書きたいこと、言いたいことみたいなのはあまりないので、みんなが聴きたいものを作るみたいな」

――曲ごとに別の人格を感じるのはそのせいですね。

熊谷「アルバムとして曲を並べた時、こういうメッセージだったらこういう締めの曲が欲しいかなとか、こういうオープニングが欲しいかなっていうので(作っているから)、別に私が何かを伝えたいわけではないので」

――そして今作にもアニメのテーマ曲が2曲(ボーナストラックを除く)。いわゆるアニソンとそれ以外の曲との違いは?

熊谷「アニソンの方がお題がはっきりしてるかなという感じですかね。歌詞以外に原作やアニメっていうメッセージがすでにあるじゃないですか。アニソンでなければ歌詞で全部を描き切らなきゃいけないけど、アニソンは歌詞がアニメの一部で(歌詞とアニメが)一緒になってるので、ある種歌はボヤッとしてても、それはそれで作品(アニメ)の補完になるような気がするし、全然違うことを書いてても、それはそれでアニメとリンクしていくような気もするし。(アニメと)切っても切れないっていうのが書き方としては違うかなと思います。ほかのアルバムの曲は、その曲で完結させないといけないので、ここ何言ってるんだろう?っていうのがあまりない方がいいのかなって思いますね」

――ただ個人的にはアニソンの方が雑味が少なく伝わりやすい印象です。

熊谷「あまり自分では考えてはないんですけど、いろんな人に聴いてもらうという心構えがあるから、自然とそうなるのかもしれないですね。流れるように作ってるのかもしんないですけど、ちょっとそれっぽさというか、クセのある単語を減らしたりしているかもしれないです」

――アルバム『ORIGAMI』のいくつか気になる曲について。まず先ほど名前が挙がったCHiCOさんとのリード曲「Xross Road」。バンドの下積み時代のことが歌われています。

熊谷「CHiCOさんは楽曲もライブも今まで一番多く一緒にやってきたので、アルバムの表題曲的なものを書く時、CHiCOさんにお願いしたいなと。内容は"If"というか 仮にこうだったら......みたいな世界線なんですけど、CHiCOさんとこの3人でバンドを組んでたらっていう物語を通して、あの人とのあの出会い......出会いというものの大事さを描けたら、このアルバムのメッセージになるのかなと」

石川「今だから歌える歌だなっていう風に思います。振り返ってあの時こうだったな、でも今はこうだよって歌えるのが、やっぱり長くやってきた結果かなと思いますね」

廣瀬「自分たちが経験したことが間違いなくその歌詞の中に入ってるし、今も世界中に音楽を届けに行ってるっていうのもうそ偽りないので、本当のことですよね。別の世界線だけれども、本当のことだなっていう感じ」

――そして「Xross Road」の次、4曲目の「魔王」はテレビアニメ「魔王学院の不適合者Ⅱ」2ndクールのオープニングテーマで、アルカナ役の声優・東山奈央さんとのコラボ。熊谷さんがXにポストした同曲の"ウラバナシ"を拝見しましたが、曲のヒントとなった宗教や神話の話もあって興味深かったです。ほかにも6曲目でASCAさんとのコラボ曲「KUNOICHI」には九字護身法、パラスポーツアニメ「アーチェリー編」のテーマ曲である9曲目の「Amateras」には天岩戸伝説、11曲目の「BABEL」にはバベルの塔と、宗教や神話に関するモチーフが歌詞に盛り込まれていますね。

熊谷「みんなが知ってるから使いやすいっていう気もして。それもタイアップみたいなもんで、バベルの塔という単語自体で別に物語があるじゃないですか。天照(大神)もそうですけど、物語を1個別に置いてある方が、その比喩とかが持ってきやすいので、結果として使うのかなって感じがしますね」

――そしてラストの「ORIGAMI」についても。情景が目に浮かぶ曲ですが、これは実話ですか?

熊谷「実話ではないです。大阪の人間なので関西弁を使ってみたいなって。で、本当に年配の方しか使ってない感じがあるコテコテの関西弁と、最新の感じの今のサウンドを混ぜたいなと思って作りました」

――「ORIGAMI」はアルバムタイトルでもあります。

熊谷「『Xross Road』も一つの表題曲なんですけど、このアルバムを締めくくるもう一つの表題曲というか。『Xross Road』は人との出会いを大事にしてますっていう全体的な メッセージで、この12曲目の『ORIGAMI』はアルバムに対して、こういうアルバムだよ、こういう気持ちで書いたよっていう最後の曲。おばあちゃんにこんなことを言われたっていうのがあって、それでこのCD(『ORIGAMI』)を空に掲げたというストーリーがおもしろいかなと。このアルバムの12曲が『ORIGAMI』という曲のストーリーのもとに作られてたらロマンチックというかドラマチックだなと思って書いてます。こういう動機で(12曲を)書いてたよっていう」

――さて最後に来年迎える結成20周年について。アニバーサリーイヤーの予定はいかがですか?

石川「予定......あるんですかね?」

廣瀬「20年で終わるんだったら何か考えそうですけどね。まだやるから、永遠に」

熊谷「19年目と何が違う?」

石川「逆に何かせなあかん年としか思ってないというか」

廣瀬「半世紀ならプレッシャーも......」

石川「みんな、そんなに20年だ!ってあります?」

――何かするアーティストが多いと思います。

熊谷「そうなんだ」

石川「結構巻き込んでやることやと思うんですよね。周りと一緒に。でもそんなに巻き込む人がいないというか」

廣瀬「13歳で結成したんで20周年という気持ちもあまりないというか。まだまだ祝ってよって感じじゃない。50周年ぐらいになったら、じゃあやりましょうっていう」

熊谷「50周年まで置いとこうよ」

――みなさん特技があるからいろいろできそうですが。石川さんは落語の動画をアップしていますよね。驚きました。

石川「あれは僕の実家なんです。実家のお寺で練習してたんです」

――実家がお寺! で、あの小噺は......。

石川「僕が作りました。特に意味はなく歌詞にすることもまったくないんですけど」

――すごい。芸人になりたかったとか?

石川「いや。でも好きなんすよ。めちゃくちゃ好きです」

――20周年寄席とかは?

石川「求められればいいっすけど(笑)」

――廣瀬さんも本格的なラーメンを自作していますよね。

廣瀬「メンバー3人、音楽に限らず好きなことを結構やっちゃう。それも全然別々でバラバラのことをやってて。でも、全員音楽が好きで、それを続けてるっていうだけです。別の方向の、なんかこっちも勉強してみようかなというのがありながら成長してるっていう感じだと思います」

――ちなみに落語とラーメンが音楽にフィードバックされることは?

石川「根本的に歌詞が、言葉が好きなんですよ。熊谷の歌詞がすごい好きで、時々落語的だなって。ダジャレとかに近いじゃないですか。だからダサくなりがちなんですけど、"弓を引くには 胸を張らなきゃ"(『Amateras』歌詞)は、夢を見るためには胸を張らないといけないよ"っていう......落語だと、ちょっとオチやサゲみたいなところで、"やっぱ胸は張らんとあかんな"言うて終われるところ。『初恋カプチーノ』も"聞きたいこと一杯あったのに""一杯 一杯"で(いっぱいと一杯が)かかってたり。そういうのがサッと言えるのがかっこいいなって思ってたら、落語やってみようかなみたいな(笑)。熊谷くんの歌詞がいいなと思うのはなぜなんだろう? 熊谷くんはどういう風に考えてんだろう⁇って思った時に日本語の美しさとかも......。でも僕が思いつくやつはしょうもないんで落語にして勝手に(動画を)あげてます」

――廣瀬さんのラーメンは?

廣瀬「どうなんだろう? 無理やりだとドラム上手な人って料理上手が多い」

石川「わかる気がする、それ!」

廣瀬「ASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知さんも料理やられてるし、Dragon Ashの櫻井さんもフェスで食堂を出してたり」

石川「凝り性な人が多いんですよ」

廣瀬「(ドラマーは)組み立てていくんですよ、順番に物事を。それが得意っていう。で、同じようなことだと、ライブとかで使う映像を作ったりするんですけど、熊谷が描いた絵を私が映像にしたり。ドラムに限らずそういうなんかシステマチックなことが結構好きで、ドラムを原点として自分が培ってきたものが、バンドにいかされてるのかな ......とこじつける(笑)」

――ドラマー=料理上手なんですね(笑)。やっぱり落語もラーメンも20周年で披露したらファンは喜びそう。

廣瀬「求められれば......(笑)」

Text by 服田昌子




(2024年12月16日更新)


Check

Release

Album『ORIGAMI』
発売中

【通常盤】(CD)
3300円(税込) ESCL-6032

【初回生産限定盤】(CD+BD)
7700円(税込) ESCL-6030~1

《CD収録曲》
01. Paradise of Birds
02. I Don't Wanna Die in the Paradise(×FLOW)
03. Xross Road(×CHiCO)
04. 魔王(×東山奈央)<TVアニメ「魔王学院の不適合者Ⅱ」2ndクールOPテーマ>
05. 星屑ライダーズ
06. KUNOICHI(×ASCA)
07. I feel you(×halca)
08. 初恋カプチーノ
09. Amateras<パラスポーツアニメ「アーチェリー編」テーマ曲>
10. FORÇA(×niLL)
11. BABEL
12. ORIGAMI

-Bounus Track-
13. Good Morning [New] World!(×石崎ひゅーい)
<TVスペシャル『Dr.STONE 龍水』OPテーマ>
14. FLY HIGH!! -Portuguese Ver.-

《BD収録内容》
Good Morning [New] World! TOUR 2023-2024
Documentary & Live

Profile

熊谷和海(ds&cho)、石川大裕(b&cho)、廣瀬拓哉(g&vo)から成る大阪発のバンド。2005年結成、2016 年にTVアニメ「ハイキュー!!」オープニングテーマとなったシングル「FLY HIGH!! 」でメジャーデビュー。その後も「Dr.STONE」、「銀魂」、「魔王学院の不適合者Ⅱ」など数々のアニメ主題歌を担当。人気は国内にとどまらず、2022年からは毎年ワールドツアーを開催し、2024年には自身初のアメリカ単独ツアーを成功させるなど全世界をフィールドに活躍する。

BURNOUT SYNDROMES
オフィシャルサイト

https://burnoutsyndromes.com/