ホーム > インタビュー&レポート > 秋のはじまりを未来につなぐ夜 心斎橋JANUS×ぴあの共催イベント第二弾
先攻は、11月27日にメジャー3rdアルバム『see you, frail angel. sea adore you.』のリリースを発表したHomecomings。12月からは、リリースを記念した全9公演のアルバムツアー「Homecomings oneman live"angel near you"」がスタートする。3人体制となって初となるリリース&ツアー直前の最新パフォーマンスに期待が高まる。ぬいぐるみたちも見守るステージに、畳野彩加(Vo.G)、福富優樹(G)、福田穂那美(B)、サポートドラムのユナ(Dr/ex.CHAI)が静かにスタンバイすると、オープニングナンバーの「Blue Hour」へ。1音ずつ互いの呼吸を確かめるように音を重ね、命を吹き込んでいく丁寧な演奏にあっという間に惹きこまれてしまう。やがて、畳野と福田のハーモニーが初めて重なったとき、光が射して視界が開けるような感動を覚えた。
続いて演奏された映画『三日月とネコ』の主題歌「Moon Shaped」は、今年2月の石田成美(Dr)の卒業を経て、3人が新章へ歩み出したバンドの転換点ともいえる曲。畳野の真っすぐでピュアな歌声が、徐々に熱をおびて胸に迫る中、ユナのドラムがバンドアンサンブルを力強く支えていて頼もしい。終盤エモーショナルにギターを掻き鳴らした福富と畳野。余韻を受けて、畳野がつぶやくように言った「The Novembersとのツーマンで、きょうは最高の夜になると思います」という言葉が確信となった。
ユナの躍動感のあるドラムがバンドに新たな煌めきをもたらしていた「luminous」。ここからセットリスト全体も濃密に進行していく。前作『New Neighbors』からの「euphoria/ユーフォリア」は中盤のハイライト。包容力のある畳野のギターと澄み渡った歌声に呼応するように青い照明が会場全体を照らすと、没入感が高まる。ノスタルジックで温かい「Here」の流れを受けた解像度の高いノイズの中、畳野はギターをチェンジ。エモに回帰した「Shadow Boxer」のストレートなメッセージと目まぐるしく浮遊するサウンドスケープは、息をのむ美しさだった。
「今日はじめてやる新曲です」と、畳野が紹介して鳴らされたのは、新曲「ghostpia」。畳野のクリアな高音ヴォーカルが響き、閃光のようなリズムの瞬きにあわせ、4人の音がひとつになっていく。常に最高のグルーヴを更新し続けるバンドの今が詰め込まれた音とパフォーマンスに観客は大きな拍手と声援を送った。「とにかく新しいアルバムを聴いてほしい」と真摯に語った畳野。ラストソングは、バンドアンセムとなりつつある「US/アス」。ユナの四つ打ちドラムと福田のベースが道筋をつくり、リズミカルに明日への一歩を踏み出すようにライブを終えた。
続いては、5月から9月にかけて全国8会場でリリースツアー「"The Novembers" Release Tour2024」を完走したばかりのThe Novembers。小林祐介(Vo, G)高松浩史(B)吉木諒祐(Dr)ケンゴマツモト(G)が「Singin' in the Rain」のSEとともに現れた4人は、ホムカミの空気感をつなぐようにメロウな「あなたを愛したい」でライブをスタート。柔らかな小林の歌声が誘う甘美なイントロダクションで会場を包み込んだ。ケンゴマツモトがノイジーなギターで導いていく「美しい火」、「Morning sun」へと続く流れは、シンセポップのきらめきと開放感、4人の魂がぶつかり合うようなフィジカルなバンド感のバランスがすばらしく、オーディエンスはその気持ちよさにどっぷりと浸る。
束の間のブレイクのあと、ブライトなメロディと疾走感が心地良い「seaside」で駆け抜けると、小林の美しいファルセットで魅了する「Rhapsody in beauty」など、ビビットでスリリングな轟音を響かせながら、初期の重要曲に心酔する中盤。繊細なシーケンスを吉木のビートが乗りこなす「Rainbow」では、イントロからフロアに熱狂が生まれ、そこからはダーク&ヘヴィなサウンドで攻め続ける怒涛の展開。シャウトを連発する小林のシルエットが浮かび上がるライティングも神がかっていた。一体感が頂点に達したところで、最新作のオープニング曲「BOY」で締めくくった本編。<今夜生まれ変わる>という歌詞にロックバンドであることの誇りと希望が込められているようだった。
「こんな夜を作ってくれたぴあ、JANUS、Homecomings、DJ DAWAさんありがとうございました」と、アンコールを受け登場した小林は、この日はじめてのMCで想いを伝えた。
「ホムカミの音楽が好きで、ずっと聴いてきたので、共演を楽しみにしてきました。バンドって、考えや好みの違う他人と何かをつくること。それってすごく非効率的なことだと思うんです...でも、うまくいったり、うまくいかなかったりすることに愛おしさや価値、意味を感じています。"お前だから意味があるんだよ"って、相手に対して思えるか。バラバラな人間4人でやってきたことを誇りに思っています。ホムカミは音楽の趣味が合う仲間がただ一緒にやっているのではなくて、いろんな葛藤、約束をふまえて、人生や命をかけてやっている...そんな姿を見て、同業者として背筋がのびるし、いつも感動をもらっています。最後にこの曲をホムカミに捧げます」
そんなリスペクトを込めて選んだ曲は「ANGELS」。仲間たちと何を分かち合うのか、大切にしてきたものに誇りをもって<ちょっといいかげんくらいで別にかまわない>とすべてを包み込む歌と演奏が胸を打つ。どうしようもないときは、この夜を共有できた奇跡を噛みしめて、最後に小林が残した「またいい未来で会いましょう」という言葉をお守りに。2組に勇気をもらった美しい夜だった。
Text by 岡田あさみ
Photo by キョートタナカ
(2024年11月11日更新)
●Homecomings
01.Blue Hour
02.Moon Shaped
03.Luminous
04.euphoria/ユーフォリア
05.Here
06.Shadow Boxer
07.ghostpia
08.US/アス
●THE NOVEMBERS
01.あなたを愛したい
02.美しい火
03.Morning sun
04.seaside
05.Rhapsody in beauty
06.Romance
07.Rainbow
08.Hamletmachine
09.BAD DREAM
10.BOY
EN.ANGELS
FRIKO「JAPAN TOUR 2024」
▼11月19日(火) 19:30
梅田クラブクアトロ
スタンディング-7500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]Homecomings
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569
Homecomings oneman live “angel near you”
▼12月20日(金) 19:30
KYOTO MUSE
スタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割スタンディング-3500円(学生証要提示、整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳以上チケット必要。学割チケットは入場時に学生証提示必須、未所持の場合は差額1,500円を徴収いたします。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569
【愛知公演】
▼12月21日(土) NAGOYA JAMMIN’
▼12月22日(日) 18:00
Shangri-La
スタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割スタンディング-3500円(学生証要提示、整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳以上チケット必要。学割チケットは入場時に学生証提示必須、未所持の場合は差額1,500円を徴収いたします。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569
【東京公演】
▼12月28日(土) Zepp Shinjuku(TOKYO)
【石川公演】
▼2025年1月18日(土) 金沢vanvanV4
【香川公演】
▼2025年1月19日(日) TOONICE
【福岡公演】
▼2025年1月21日(火) The Voodoo Lounge
【宮城公演】
▼2025年1月24日(金) LIVE HOUSE enn 2nd
【北海道公演】
▼2025年1月26日(日) BESSIE HALL
「TOUR – UЯA – The Novembers」
【東京公演】
▼11月26日(火) LIVE HOUSE FEVER
【愛知公演】
▼12月17日(火) 池下CLUB UPSET
▼12月18日(水) 19:30
Shangri-La
スタンディング-5500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割スタンディング-2500円(当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以下は入場不可。中学生以上は有料。学割チケットは入場時に学生証の提示が必要。
[問]GREENS■06-6882-1224
Homecomings オフィシャルHP
https://homecomings.jp/
Homecomings オフィシャルX
https://x.com/homcomi
The Novembers オフィシャルHP
https://the-novembers.com/
The Novembers オフィシャルX
https://x.com/THE_NOVEMBERS
心斎橋JANUS HP