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毎年恒例の『森山良子コンサートツアー2024~My Story~』が開催
12月にリリース予定のオリジナル・ジャズ・アルバム
『Life Is Beautiful』に先行して、表題曲がニューシングルとして
先行配信。あらゆるジャンルの曲を歌い、ライブに情熱を注ぐ!
森山良子インタビュー

昭和、平成、令和と時代を超えて、今年デビュー58年目を迎えた森山良子。『この広い野原いっぱい』『涙そうそう』『さとうきび畑』といった誰もが耳にしたことがある代表曲と共にあらゆるジャンルの曲を歌い続けているが、「小さい頃はジャズシンガーになるのが夢だった」という。そんな自身のルーツでもあるジャズのオリジナル・アルバム『Life Is Beautiful』(12月18日発売)が今年ついに完成した。同作にも収録されている表題曲『Life Is Beautiful』がニューシングとして10月18日に先行配信。今作はニューヨーク在住でジャズ・ピアニストでもある大江千里がプロデュースを担い、新曲7曲を書き下ろし。森山は昨年から何度も渡米して本格的にジャズボーカルのレッスンを受けた上でレコーディングに至った。そのニューヨークでのエピソードをはじめ、どのような思いで念願のジャズアルバムに挑んだのか。今月から開催する毎年恒例の『森山良子コンサートツアー2024~My Story~』への意気込みも含めて、歌への情熱を嬉々として語るインタビューをお届けする。

昔のジャズではなく今のジャズボーカルを
レコーディング前に何度も渡米して習得


――森山さんは今年でデビュー58年目を迎えられました。

「ありがとうございます。気が付いたら長くなってたっていう感じです(笑)」

――12月には大江千里さんプロデュースによるニューヨーク録音のニューアルバム『Life Is Beautiful』がリリースされますね。これは日本語のオリジナル・ジャズ・アルバムということですが、そもそもどのような経緯で制作されたのですか。

「以前から千里さんとは個人的な交流があって、彼の音楽を聞く機会もいっぱいあったので、いろいろお喋りしたり、ラジオの番組で喋って盛り上がった帰りに飲みに行ったりしてて。小さい頃はジャズシンガーになるのが夢だったんだ...っていう話をしたりしてたので、ジャズが大好きっていう私の気持ちもだいぶ前から知ってくださっていました。そんな中で、ジャズのアルバム作りたいと思ってるんだけど...という話も何度かしてたんですよね。そしたらある日、千里さんが、"良子さん、僕と一緒にジャスのアルバム作らない?"って提案してくれたんです。たぶん、私の気持ちが通じて、千里さんもその気になってくださったのかなって...」

――レコーディングする前に、何度か渡米してニューヨークにジャズ留学されたとか。

「はい。制作に入る前に、やっぱりニューヨークに行ってジャズを学ばないと、今のままでは無理だということになって。去年の11月から、2週間単位で3、4回、ニューヨークに行ってジャズボーカルレッスンを受けました。合計3人の先生に教えていただいて。ひとりはマンハッタン・トランスファーのジャニス・シーゲルさんです。彼女は私の父がトランペッターだったこともご存じで、"あなたのお父さんも楽器やってたのよね。そのトランペットやサックスの音をよく聴いて、そういうのを学んでいれば大丈夫よ"って、やさしく声をかけてもらって。彼女の歌声をすぐそばで聴くなんて、すごいことだなって実感しつつレッスンを受けました。もうひとりは、ニューヨーク・ヴォイセスのローレン・キンハン先生。彼女もシンガーで、たくさんの生徒さんを教えていらっしゃる本当にハートフルな先生です。最初は、グループレッスンに出たので、若い人から50歳ぐらいの方もいて、一曲ずつ歌っていくんです。ひとりの生徒さんが歌った後に、先生が"どうしたの? なぜこんな感じで歌ったの?"ってきいたら、その生徒さんが"こういう気持ちで歌いました"と答えると、"じゃあ今度はこういう気持ちで歌ってごらんなさい"ってアドバイスするんです。すると、歌が如実に変わるのでびっくりしましたね」

――森山さんご自身はどんなふうにレッスンを受けられたのですか?

「ローレン・キンハン先生には一番長く、いろんなことを教えていただきました。(ニューアルバムの)千里さんの曲も何曲かできていたので、"ここはもうちょっとこういう風に歌った方がいいんじゃない?"ってアドバイスしてもらったりして。ちょっと慣れてきて私が遊びでアドリブを始めたりすると、"いいね! 交互にアドリブしようよ"----なんて言ってもらって。もうキャーキャー言いながら、最後はみんなで笑いながらも抱きしめ合うくらい楽しい時間で、ジャズの本当の面白みっていうのを教えてくださいました。もう1人は、有田純子先生っていう在米歴35、6年のピアニストです。千里さんが通ってたジャズ学校の先生で、本当に厳しくて。まず、"良子さんの ジャズは昔のジャズだ"と言われました(苦笑)。私はエラ・フィッツジェラルドとか、小さい頃から聴いている大御所のジャズが、これこそジャズと思っていたので。ジャズも変わってるんだ...って、ちょっとびっくりしたんですけども。"こういう人の歌を聴いてごらんなさい。無駄な動きしないで、ものすごくちゃんとど真ん中から 柔らかい声を出して歌ってるから..."ってアドバイスされて、いろんな若いアメリカのシンガーの曲を聴きました。ダイアナ・クラールとか、そんなに感情を込めないで淡々と歌ってるっていう感じですよね。私はやっぱり自分の歌だから、せっせと一生懸命歌っちゃうんです。でも、今のジャズボーカルはそうじゃないっていうことを教わりましたね。だから、レコーディングの前はずっと発声練習をしてました。どうやったら軽くて、今のジャズに適したサウンドを作れるかっていうことを考えながら、それが一番難しかったです」

――10月18日にリリースされる先行配信シングル『Life Is Beautiful』も今の時代に沿ったジャズボーカルの唱法で歌われているんですね。

「そうです。ちょっと物足りないような気もするんですけども。何回も聴いてると、なるほど、これでいいんだみたいな感じになってくるんですよね」

――『Life Is Beautiful』は軽やかさの中に温もりがあって、包み込まれるような感触だなって。

「よかったです。ありがとうございます」

――以前の森山さんであれば、ああいう歌い方はしなかった?

「絶対してないですね。もっと歌い上げてると思いますし、もっと声を張って、もっと感情も入れて、余計なフェイクしたりとかしてて...。でもそうじゃなくて、メロディーラインと歌詞と、あとは発声がしっかりしてればいい歌になるんだっていうことをとことんまで教えていただいたんで、それはすごく勉強になりました。まだ100%マスターしたわけじゃないんですけれども、そのエッセンスは実際に歌の中で反映することができたかなって思います」



ニューアルバム『Life Is Beautiful』(12月予定)には
『涙そうそう』などカバー曲も新バージョンで収録


――アルバム『Life Is Beautiful』はオリジナルが7曲で、カバー曲として『NADA SOUSOU』(※『涙そうそう』)と大江千里さんの『Gloria』が収録されています。

「千里さんも名曲がいっぱいあるのでカバーしたいな...って言ったら、"じゃあ、『Gloria』はどうですか?"って提案されて、『Gloria』を軽く歌いました。とはいえ、なかなか難しい曲ですから、私が苦戦していると、千ちゃんが私の横に来て、"こういう気持ちで歌ったらいいんだよ"って、ジェスチャーで私に伝えてくれようとして。その動きがオーバーでちょっとしたハプニングもあったりして(笑)、面白かったですし、そうやってみんなで一生懸命作ったアルバムになったなと思います」

――(取材時点では)まだ全曲聴けないのが残念です。ちなみに、『涙そうそう』は『NADA SOUSOU』という表記になっていますが、どんなアレンジになっていますか?

「これはみなさんが知っていてくださっている曲なので、あまり原曲をそこねないような感じでと、千ちゃんも配慮をしてくださって軽いラテンのリズムになっています。実はラテンっていうものを歌ったことがなかったものですから難しかったです。でも、簡単な曲より難しい方が出来上がった時に楽しいですから。それも面白かったですね」

――ちなみに、歌詞にはどんなテーマがありましたか。

「歌詞は楽しくて面白くて、人生をすごく肯定してますね。苦しかった思い出があったとしても、やがて自分の人生を美しいと感じられるようになるっていう、すごく自分の生きざまを肯定していこうっていう精神が流れていると思います」

――『Life Is Beautiful』というタイトルもそうですが、歌詞を聴いていて、人生讃歌のようにも感じました。

「ああ、それもあるかもしれないですね。さよならの中にもあなたと会えてよかったっていう肯定が必ず入ってきて、人生を楽しく見つめるような視点が必ず出てくるので。そういうところが前向きなアルバムなんじゃないかなと思います」

――良いことばかりじゃないし、悲しいことも辛いこともあるのが人生だと思うのですけども、こういう軽やかで温もりを感じる歌が聴けるのはすごく幸せだなと思います。

「よかったです(笑)。千ちゃんも喜びます。過去の悲しみも、今生きていることが全部肯定してくれてるんだっていうような話を千里さんがしてました。彼も辛いことがいっぱいあって、本当に落ち込んだこともいっぱいあるけれども、やっぱり人生って生きてると素晴らしいと感じられるからって...」



コンサートでは"森山良子らしいな"と
お客さまが喜んでくださる曲が並び、
そこに少しジャズが入ってきたりするかも


――ライブのほうも精力的に続けてらっしゃいますね。

「はい。それが私のライフワークだと思っているので。コンサートができなくなったら、歌ってる意味がないかなって思っています。もちろんラジオのレギュラー番組とかありますけれども、歌があって、自分のライブ感があるからこそ楽しくできるんだと思うんですよね」

――そのために、日頃から体力作りも?

「そうですね、ストレッチしたり、階段は絶対にエレベーターとかエスカレーター使わないようにしています。ボーカルトレーニングもそうですし、ステージに立つ心構えっていうのは常に持っています。ちょっと1ヶ月ぐらい怠ってると、あれ、この歌どうやって声を出してたんだっけ?って、体が忘れちゃったりするんですよね。これはまずい!と思って、14歳の頃から習っている声楽の先生にお電話して、お稽古するんです。するとまたそこで自信を持って歌えるようになります。やっぱり歌いたいから、自分で、"このだらしない歌はなに?"...って思った時は自分が辞める時だと思ってるので。そういう日がなるべく遠くにあってほしいと思っています」

―― 今回の『森山良子コンサートツアー2024~My Story~』では12月にリリースされるジャズアルバム『Life Is Beautiful』からの新曲も歌われますか。

「コンサートではお客さまが"これが聞きたかったな"とか、"これが森山良子らしいな"って喜んでくださる曲を歌っています。そこにもしかしたら少しジャズが入ってきたりするのかな。それはこれからリハーサルして決めていきます」

――ステージセットや衣装などは?

「舞台美術は、柴田あゆみさんっていう切り絵作家の方が、たった1人で切っていく切り絵の世界を毎年足しながら製作しています。最初は3段ぐらいだったんですけども、そこに何段も足していっていて、高さが8メートルくらいあるすごく奥行きが深い真っ白なステージ。私はそれが大好きなんです。白い衣装は必須ですけど、真っ赤な衣装を着るとお客様がすっごく喜んでくださるんですよ。時にはブルーの時もありますし、そういうビジュアル面も楽しんでいただければと思います」

――ちなみに、大阪公演が開催されるフェスティバルホールは森山さんにとってどんな印象ですか。

「フェスティバルホールはリニューアルする前からずっと歌わせていただいていて、とても愛着のあるホールです。(リニューアルしても)新しいホールにはないような温かみがちゃんと残っていて、ホールを作った方々の愛が込められていると思います。そういうものって、長い年月をかけてホールの壁がいろんな音やいろんな人の気持ちを吸い込んでいって、ちょっとずつ出来上がっていくものだと思いますが、リニューアルしても以前と変わらず温かさがこもった良いホールでよかったなって。そこに来てくださるお客様もきっとそういう思いを受け止めてくださってると思うので、みんなで心を通わせ合い、お互い元気に音楽を楽しみましょう!という気持ちになります」

――森山さんの歌声から生きる元気や温かい気持ちをお客さまも受け取られるんじゃないかと思います。

「ありがとうございます。コンサートってピンポンなんですよね。こちら側だけが歌ってるわけじゃなくて、返してくださる方がいることによって、またエネルギーが湧くっていうか。だからいつもエネルギーが行ったり来たりしている感じで、それがあるからやめられないっていうか...、嬉しくなります。だからこそ、今でも日本中いろんなところに行って、歌い続けられてるんです。もう歌えなくなったらどうしようっていう感じです(笑)」

Text by エイミー野中




(2024年10月24日更新)


Check

Release

大江千里プロデュースによるジャズアルバム

Album『Life Is Beautiful』
2024年12月18日(水)発売
3300円(税込) MHCL-3117

《収録曲》
01. MORIYAMA
02. LOST AND FOUND
03. Oshaberi Bossa Nova
04. Futari Dakeno Togetherness
05. TONIGHT’S SPECIAL
06. Life Is Beautiful
07.Gloria
08. NADA SOUSOU
09. Soramimi Datte

『Life Is Beautiful』からタイトルトラック「Life Is Beautiful」配信スタート!

ストリーミング、ダウンロードはこちらから
https://LGP.lnk.to/pks9Uk

OFFICIAL MUSIC VIDEO
https://www.youtube.com/watch?v=aOf1rX2eN0U

Profile

もりやまりょうこ…1948年1月18日、日本ジャズ界のパイオニア的存在であるトランペッター森山久の長女として誕生。1967年1月20日、シングル『この広い野原いっぱい/一番星の歌』でレコードデビュー。2022年、デビュー55周年を迎える。同年、NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』にアニー・ヒラカワ(安子・ローズウッド)役として出演し、大きな話題を呼ぶ。これまでにレコーディングしてきた楽曲は900曲以上。最新作は、2024年10月18日配信のデジタル・シングル『Life Is Beautiful』。12月には同名タイトルの日本語オリジナル・ジャズ・アルバムがリリースされる予定。

オフィシャルサイト
https://www.ryoko-moriyama.jp/


Live

「森山良子コンサートツアー
 ~My Story~ 2024」

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:272-290
▼10月27日(日) 16:00
フェスティバルホール
全席指定-7500円
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【宮城公演】
▼11月2日(土) 東京エレクトロンホール宮城
【東京公演】
▼11月7日(木) J:COMホール八王子
【佐賀公演】
▼12月21日(土) 鳥栖市民文化会館 大ホール


「森山良子コンサートツアー
 ~My Story~ 2025」

【静岡公演】
▼2025年2月19日(水) 静岡市民文化会館 大ホール
【富山公演】
▼2025年2月23日(日) 富山県民会館 ホール
【神奈川公演】
▼2025年3月12日(水) 神奈川県民ホール 大ホール
【岐阜公演】
▼2025年3月20日(木) 岐阜市民会館
【広島公演】
▼2025年3月27日(木) 広島文化学園HBGホール
【兵庫公演】
▼2025年3月29日(土) アクリエひめじ 大ホール

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