ホーム > インタビュー&レポート > 『FM802 MINAMI WHEEL』 初日の10月12日(土)に出演したpachae、Sundae May Club、 Maki、シャイトープ、PK shampooのライブレポートを公開
●pachae
『ミナホ』初日、ANIMAのトップバッターを務めたのはpachae。昨年はOSAKA MUSEのトリを担った彼らが、今年は開幕の号砲を鳴らした。毎年秋の本格化を告げてくれる『ミナホ』は、それぞれのアーティストがどの会場にどの時間帯で登場したのかを辿るだけでも、莫大なストーリーを伺うことができる。ともあれば、大型フェスへの出演や10月7日リリースの新曲「アイノリユニオン」でのタイアップなど、破竹の勢いを示すpachaeが要求されていたのは、その猛進のままに景気よく『ミナホ』を始めることであっただろう。
「そんな期待は何のその」と言いのけるように、ライブは「トロイメライ」でティップオフ。噴出したクラップに「大阪の手拍子、揃いまくってんねんけど!」と地元大阪への凱旋の喜びを滲ませた「ハツがハツラツ」、音山大亮(Vo,Gt)による切れ味抜群のカッティングが火花を散らした「WeLcOmE pOp!!!」を畳みかけ、変拍子やテンポのアップダウンをふんだんに活用したカラフルなpachaeのポップネスを刻みつける。<僕らは僕らの愛には叶わない!>のラインが巨大で普遍的な愛情を描く「アイノリユニオン」からチョウチンアンコウというファンシーな切り口で生活に光を与えてくれた相手への恋心を綴る「チョウチンカップル」を続け、質感の違うそれぞれのラブソングを連ねると、「遣る方無いブルース」でフィニッシュ。「pachaeでした! おおきに!」とアットホームな雰囲気で舞台を去った5人が、花丸満点のお祭り空間を建設した。
15時台のFANJ twiceに登場した長崎発のSundae May Clubは、『ミナホ』初出演。交通渋滞に伴い、ライブスタートが遅れたものの、到着そのままに舞台へ上がる背中からはバンドが培ってきた十分な地力を垣間見ることができる。また、メンバーの到着を待つ間に次々とフロアへ入ってくるオーディエンスの数は、彼らの注目度の高さを示していたと思う。
今か今かと高まり切った緊張感が浮遊する中、「5分前に着きました!」と「Sundae May Clubのテーマ」で名乗りを上げ、幕が切り落とされた。みやはら(Gt)が天にも登るような表情でレトロトーンなリフを唸らせた新曲「チャーミー」を経て、浦小雪(Gt,Vo)が凛とした歌声を響かせると次第に背面のライトへ光が灯っていく。そのままヒロト(Dr)の一撃でギアを上げた「晴れるな」では、悩み傷付いても歩みを止めない主人公の姿が映し出される。浦の少年性を帯びたボーカリゼーションが加速させる刹那的な輝きは、痛くも眩しいエネルギッシュな一幕を生成した。会場全体でのカウントから披露されたラストナンバー「夜を延ばして」まで、鮮烈なインパクトを刻んだSundae May Club。来年の『ミナホ』で間違いなく繰り広げられる万全のライブに、今から心が躍る。
ライブ冒頭、山本響(Vo,Ba)は「いつも通りやって帰る。スタンスは曲げない。それがロックバンド!」と高らかに宣誓した。10月12日(土)に限り、ライブが展開されたなんばHatch。そんな同会場の折り返しを担当したMakiは、宣言通り、混じり気のない純度100パーセントのロックバンドスタイルを体現してみせた。
ステージはのっけから怒号のような歓声が舞った「シモツキ」でキックオフ。毛ほどの隙も与えずに、「デカい声聞かせてください」の要求にフロアも大熱唱で応答した「虎」、呟くようなボーカルが今の季節の哀愁を呼び起こす「秋、香る」を立て続けにドロップしていく。広大なステージに対してギュッと中心で向き合う3人の風姿も、目つぶしライトがシンガロングと拳だけを照らす会場も、ミニマムで侵されることのない遊び場のクールさを象徴する。初期衝動を詰め込んだショートチューン「斜陽」を2度重ねた後、ダーティーでUKロック的なアティチュードを見せる「Record Dogs」「Lucky」をプレイし、大人の色気も忘れない構成も心憎い。もう戻れないと分かっている子ども時代を忘れないように、そして変わらずに歳をとっていけるように。ノスタルジーの残り香と共に、輝かしい今が続くことを願ったMaki、ここにあり!
各会場がフィナーレを迎え始める21時半のなんばHatchにやってきたのは、3度目の出演となるシャイトープ。自身のプロフィールに『ミナホ』を契機として耳目を集めたことを記載するほど、同イベントに並々ならぬ思いを抱く彼らは、静から動へ、動から静へ、さながらジェットコースターのようなライブを展開した。
まずはオープニングナンバーに「pink」をセレクトし、丸いベースサウンドとミニマムなビートで飾られた佐々木想(Vo,Gt)の色気漂う声色で会場をゆっくりと満たしていく。かと思えば、タカトマン(Dr)のハイハットを合図に突入した「None」、「やろうか『ミナホ』!」と誘った「誘拐」でアクセルをベタ踏みに。スポットライトを目一杯に浴びる3人と曲終盤で回り始めたミラーボールが視界の滲むワンシーンを演出した「ランデヴー」で急降下すると、再び「curry & rice」「マーガリン」で加速する。
目まぐるしく楽曲が移ろっていくものの決して強引に緩急を作り出しているわけではなく、サウナの交代浴のごとく双方が引き立て合っているのも見事だった。食卓の香りがする「curry & rice」のタイトリングや<ロックンロール信じていいのかい>と吐露する「マーガリン」に顕著なように、いずれの楽曲も生活の延長線上に根を張っているからこそ、BPMに依拠せず一貫して普遍的な音が鳴らされているのだろう。至極のバラードと飛翔するアッパーチューンの相互作用が炸裂した40分。アンカーのPK shampooにバトンを託した。
『ミナホ』1日目、なんばHatchの最終走者は、初出演となった昨年に続いての登壇となるPK shampooだ。遅くまで会場に残った音楽ラバーたちの耳に飛び込んできたのは、ヤマトパンクス(Vo,Gt)の叫びと唸るギター。白色の照明で4人のシルエットが浮かび上がると、「夜間通用口」でロケットスタートが切られる。
「なんばHatchなんてやったことないし、こんなんもう......。もしかしたら、天使になるかもしれない」と完璧な曲振りを決めた「天使になるかもしれない」からニシオカケンタロウ(Ba)のゴリゴリなダウンピッキングがかまされた「君の秘密になりたい」を経て、届けられたのは「星」。天使にも星にも生まれ変わることのできる彼らは、命を燃やす輝きや避けることのできない死とどこかオーバーラップする。書き殴ったみたいな歌詞と一見無茶苦茶にさえ思える演奏の行間には美しい天使が住んでいて、その存在を私たちは満天の星空を彷彿とさせるライティングや身体中の隙間を埋めていく轟音から覗くことができる。だから、PK shampooのステージは胸を掻き立てられるのだ。
「空のオルゴール」「あきらめのすべて」とショートチューンを連打し、ゴールテープを切った4人。アンコールでは「病める時も健やかなる時も、終電がない時も『ミナホ』が終わっても、一緒に踊ってくれますか?」と問いかけ、「死がふたりを分かつまで」でハートウォーミングな約束を結んで1日を締めくくる。音止めは23時20分。最後のハウリングが静寂に変わるまで、「どうか、この夜がずっと続きますように」と願いたくなるステージだった。
Text by 横堀つばさ
Photo by ハヤシマコ/キョートタナカ
写真提供:FM802
(2024年10月25日更新)
●開催日時:10月12日(土)・13日(日)・14日(月・祝)
<12日(土)出演>
・pachae @Live House Anima
・Sundae May Club @FANJ twice
・Maki @なんばHatch
・シャイトープ @なんばHatch
・PK shampoo @なんばHatch
MINAMI WHEEL HP
https://minamiwheel.jp/
「HOLIDAY! vol.6」
【大阪公演】
Pコード:273-410
▼11月2日(土) 16:00
味園 ユニバース
一般 全自由-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割 全自由-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]サニーデイ・サービス/TENDOUJI/浪漫革命/ナードマグネット/Sundae May Club/Khaki
※6歳以上有料、5歳以下入場不可。
※学割チケットをご購入の方は、入場時に学生証の提示必須/忘れた場合差額を支払って入場可。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
Maki Tour 2024-’25「チャンタ」
【大阪公演】
Pコード:272-436
▼11月3日(日・祝) 18:00
BIGCAT
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]PK shampoo
※小学生以上チケット必要。未就学児入場不可。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
「TRUST RECORDS presents 祝!滋賀B-flat 25周年!」
【滋賀公演】
Pコード:282-479
▼12月13日(金) 18:30
LIVE HOUSE B-FLAT
前売-3300円(整理番号付)
[出演]Maki/Arakezuri
[問]RAD ENTERTAINMENT(株)■052-253-5936
「GLICO LIVE “NEXT” SPECIAL」
【大阪公演】
Pコード:283-076
▼11月11日(月) 19:00
BIGCAT
オールスタンディング-3300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]CLAN QUEEN/シャイトープ/w.o.d. [司会]ハタノユウスケ
※16歳未満は入場不可。
※体調不良等、止むを得ず出演者の一部が急遽変更になる場合があります。一部出演者の変更を理由としたチケットの払い戻しは行いませんのであらかじめご了承ください。
※出演者が許可した場合を除き、撮影、録音・録画禁止。
[問]清水音泉■06-6357-3666
「NEW ISLAND FESTIVAL」
【大阪公演】
Pコード:278-763
▼12月21日(土) 16:00
味園 ユニバース
スタンディング-5500円(ドリンク代別途要)
スタンディング学割-5000円(高校生以下対象、ドリンク代別途要)
[ゲスト]鎮座DOPENESS/PK shampoo/ザ・おめでたズ/ブチギレ氏原/岡田康太/南翔太 [DJ]ina takayuki
※未就学児童入場不可。【学割チケット】学割対象は、18歳以下の小学生・中学生・高校生となります。入場時に学生証・生徒手帳・在学証明書・その他学生であることを証明できるものをご提示ください。複数枚購入の場合は、同行者様も学生証の提示が必要です。学生証をお忘れの場合は一般料金(差額)をお支払いいただくことがございます。高校生以下で学生証のない方(小学生、未就学児など)は、学生証の代わりに身分証、又は年齢を証明できるものをご持参ください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888