インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > マーク・パンサーもメンバーに名を連ねる globeの楽曲のみを演奏する5人組バンド・ gl∞beが楽しみながら走る、2025年への道


マーク・パンサーもメンバーに名を連ねる
globeの楽曲のみを演奏する5人組バンド・
gl∞beが楽しみながら走る、2025年への道

90年代を“若者”として流行に敏感に過ごした者たちにとって、globeは青春の中に必ずある。TVで、ラジオで、プリクラを撮ったゲーセンで、学校帰りのカラオケBOXで。常にglobeの音楽が共にあったのではないだろうか。あれから時は流れ2024年。globeはその歩みを止めているが、何よりもglobeを愛してやまない5人のアーティストがglobeの楽曲のみを演奏するgl∞be(グルーヴ)というバンドをスタートさせた。特筆すべきは、そのメンバーにglobeのマーク・パンサーが名を連ねていること。元々は、TM NETWORKや小室哲哉楽曲をバンドで演奏するライブ『Groove Live Project』が始まり、そこから派生する形で誕生したgl∞be。来年本家・globeがデビュー30周年を迎えるにあたって、そのアニバーサリーを盛り上げていこうとこの秋gl∞beのワンマンライブを恵比寿ガーデンホールで開催することを発表した。そんなgl∞beからドラムのNORI、ボーカルの望月英莉加、そしてDJのマーク・パンサーglobeのインタビューを敢行。プロジェクトスタートのきっかけや、gl∞beというバンドについて、じっくりと語ってもらうことができた。特に30代後半〜50代のみなさん、ぜひ最後までチェックを!

――今日はぴあ関西版WEBに初登場となるgl∞beさんです。いろいろ見てみたのですが、インタビューを受けられるのも初めてですか?

望月「初めてです!」

――やっぱりそうでしたか! まだみなさんが関わられている『Groove Live Project』やgl∞beに関して、詳細を記しているところが見当たらないなという感じだったので今日はいろいろとお話を伺えたらうれしいです。まずはプロジェクトに関わっている時間以外は、みなさんどういった活動をされているのかというところからお聞かせいただければと思います。

NORI「僕は本業が別にありまして、そちらがメインです。ただ、元々音楽誌の『Rolling Stone Japan』に携わっていた経歴を持っていまして、そういうところがプロジェクトにつながったのかなと思います。雑誌をやっている時にミュージシャンや音楽に携わるいろいろなスタッフの方と知り合ったのも大きかったですね」

――そうなんですね! 望月さんは?

望月「17歳から歌う事を生業にして、音楽活動をしていました。groove live projectが発足する前10年くらいは、音楽業界からも、歌う事からも離れていました。最近はインフルエンサーみたいな事もしています。ミュージカルで共演したご縁で、宇都宮たかしさんのツアーにまわらせていただいていた時、異業種のパーティーで、TM NETWORKの大ファンだという(熱い思いを持っている)Noriさんと意気投合したのが、出逢いでした」

――あぁ、それがプロジェクトにつながるんですね。マークさんは、最近はどのような活動をメインにされているのでしょう?

マーク・パンサー「メインは来年のglobe30周年に向けて引っ張りだこみたいな感じですね」

――引っ張りだこ!

マーク「globe本体は動いていないけれど、来年の30周年に向けて地方でDJやトークショーをやったり。実は周年が近づくとそういう仕事が急に増えるんです」

――それは25周年の時も?

マーク「そうですね。周年が終わると少し落ち着くんだけどその波を消さないように僕がいろいろ動き回って、また周年に近づくと盛り上がっていくという流れができていますね。だから今まさに、イベントが増えてきているタイミングです。あと、KEIKOちゃんを盛り上げるのが僕の役目ですね!」

――それはなんとなく、メディアも世間も理解している感じがありますよね。

マーク「KEIKOちゃんを盛り上げたいと思って大分に通うようになってから、毎週末大分でイベントをやっているようなスケジュールです。KEIKOちゃんも大分でトークショーに出たりしていますし、僕が出るイベントの楽屋にKEIKOちゃんが遊びにきたりもしますよ」

――ふむふむ。そういった3人が今活動を共にされているわけですが、そもそも事の始まりはNORIさんが始められた『Groove Live Project』なんですよね?

NORI「英莉加を含め、今のgl∞beのメンバーと交流が増えるようになった時期があって。その中で"ちょっとライブやりましょうよ"という話になったのがきっかけです。僕がTM NETWORKやglobeが好きだったこと、メンバーもそれらにゆかりがある人が多かったので彼らの曲をバンドでカバーするイベントとして『Groove Live Project』を始めました。40代ぐらいの年齢の人が、もっと普段の生活の中でちょっとライブ行こうと思えるような場所があってもいいよね、そういうライブをやろうと」

――つまり『Groove Live Project』は"ライブをやろう"というプロジェクトとしてスタートした、と。

NORI「スタートはそうですね。それがglobe30周年が近づいてきたタイミングで、改めてそれを盛り上げたいですよねという方向性になって、マークさんにも『Groove Live Project』に参加してもらって、30周年に向けてどんどんライブをやっていこうというのが今です」

――『Groove Live Project』スタート時は、あくまでもマークさんはゲストアーティストの1人だったんですね。

NORI「はい。DJをやっていただいたり、globeの曲を一緒にやっていただいたり。その頃はマークさんだけではなくて、TM(NETWORK)の木根尚登さんや超新星のゴニルなど、小室さんにゆかりのある人が出演してくれていました」

――その頃ライブでやっていた曲というのは...?

NORI「TM、globe、あとは小室さんが作った曲をメインにしていました」

――『Groove Live Project』というものがあると知った時のマークさんの感想をお伺いできますか。

マーク「最初はBillboard Live Tokyoで開催された『Groove Live Project』にDJで呼んでもらったんですけど、その時も"globe縛りで"という依頼をもらって。そしたら当日めちゃくちゃ盛り上がったんですよ。その後ラップをやって欲しいということで、披露したら、あまりにも楽しくて! バンドでやるのも楽しかったし、TMやglobeを大好きな人が集まっているのもよかったし。バンド経験者ならわかると思うんですけど、みんなで演奏することでグルーヴが生まれるっていうのがこのプロジェクトのタイトルにもなっているように、とにかく気持ちよかったんですよ。英莉加の声がまたグッとくる...KEIKOを思い出させてくれる声だし。超気持ちよくて、楽しくてしょうがなくて。それでちょうどglobeが来年30周年だから、それに向けて僕らでワンマンをやろうよって。僕が提案しました」

――プロジェクトにはゲスト参加スタートだけど、マークさんがgl∞beの言い出しっぺなんですか!

マーク「やっぱりTKの音楽は楽しいし、気持ちいいんですよ。プロジェクトには途中参加でしたけど、僕が火をつけられた感じもありますよね」

NORI「マークさんからの提案を受けて我々も"やらせてください!"の一言ですよね。僕も、僕らの世代の人もglobeは誰もが知っていて、曲を聞けばすぐわかる。子どもの頃に覚えた歌詞って全然忘れないから、メロディーが流れれば歌えるし。だからイベントを開催すればめちゃくちゃ盛り上がるんですよ」

望月「素敵なメンバーとライブをさせていただくのは本当に楽しいですよ! それはglobeさんがかっこいいからでglobeという芸術はずっと残していかなきゃと思うんですよね。いろんなアーティストの方が、カバーされてるますけど、私はやっぱりKEIKOさんは、唯一無二だなって思うんです。そのリスペクトの想いがありますから、こうやって我々であたためて、いつかKEIKOさんが戻って来てくださったらいいなって思うんです」

――みなさんの意識としてglobeが活動していない間も、シーンを温めていこうというニュアンスなのでしょうか。

マーク「それもあるけど...本家が動いていないなら歌っちゃえ! みたいな感じじゃないですかね(笑)。僕ね、イベントに出演するとカラオケとかも歌わされるのね」

――どうしても期待してしまいます(笑)。

マーク「聞きたいのもあるし、みんなも一緒に歌いたいんですよ。要は本家が今は歌っていないから。ギターの健ちゃんも、本来なら本家の後ろでサポートメンバーとしてギターを弾いていたはずなのに、今は本家が動いてないならばどこで弾きゃいいんだと。それならばgl∞beで弾くしかないよね。 KEIKOも僕がgl∞beのことをインスタにアップすると、"いいね"とか言ってくれるんですよ。」

NORI「globeが活動していなかろうがファンは常に曲を聞いているだろうし、カラオケで歌っているんですよ。それと同じで、僕らもプロジェクトを通して自分たちでglobeさんの音楽を奏でているというわけです。そのバンドに本家メンバーのマークさんがいて、globeでギターを弾いている健さんがいて。自分のことながら、globeのファンとして興奮しちゃいますよね」



"∞"のマークがポイント!
示したいのは"Forever globe"


――整理させていただくと、『Groove Live Project』はライブを開催するプロジェクトとして始まって、今年に入って『Groove Live Project』から派生する形でgl∞beというバンドが始動したという流れで合っていますか?

NORI「うん、それで正解です。今回はglobeの30周年に向けてglobeの"o"を"∞"に変えて、ファンも彼らは永遠だとわかっているのは大前提で、globeが永遠に続いて欲しいという願いを込めて名前をつけました」

――gl∞beはプロジェクトから派生した...コピーバンド? オマージュバンド? カヴァーバンド? ...なんと書けばいいのだろうとインタビュー前に考えていました。本家にも所属されているメンバーがいるのにコピーバンドっていうのも変なのかな? と。

NORI「マークさん、なんて言ったらいいと思います?」

マーク「こういうバンド、普通はあり得ないと思うんですよ。gl∞beの場合はメンバー5人の気持ちがひとつになっちゃったからこれはいけるよねっていう確信があって、新しくて面白い絆が生まれている気がするんです。だからオマージュでもトリビュートでもなく、僕たちが本当に心の底から楽しんでいるバンドですよね。カテゴリーしようがないというか」

――ちなみに披露するのはglobeの曲のみですか?

マーク「そうですね。次は何をやる? ってglobeの曲の中から選んで、それをバンドアレンジして練習して発表するというのが続いています」

――メディアとしてはgl∞beはこういうバンドだ! とわかりやすく紹介したがるので、オマージュバンドなのか、トリビュートバンドなのか、カバーバンドなのか、しっくり伝えられるものはなんなのだろうと考えていたのですが、それはご本人たちとしてはピンときていないと。

望月「なんとなく私たちの中でもそれを言い切るのはやめようというか、なんかどこにもあてはまらないねっていう状態ですね」

――ちなみにNORIさん、望月さんにとってglobeとglobeの曲はどんな存在として心にあるのでしょうか。

NORI「僕はglobeを聞いていたのは16歳の頃なんです。その頃の体験って文化的な原点になってくるじゃないですか。それもあって、自分の中での影響はめちゃくちゃ大きかったと思っているんです。僕からすると、本当にこのバンドで今そのまっただ中に浸っているので、自分の文化観を形成してきたところにも近づけている感覚があって、とにかく心地がいいです。gl∞beのイベントに来てくれている人たちも、同じ感覚なんじゃないかなぁ」

望月「あの頃の小室さんが、作られた世界は凄くて、アメリカンドリームみたいなのがあって、私もあの世界を夢みてデビューした1人です。私は音楽活動する中で洋楽と邦楽の葛藤みたいなものがありました。唯一globeさんは、楽曲もビジュアルも大好きな壮大なアメリカのエンターテイメントを思わせるようなかっこよさが、当時から今までずっとあって、今も色褪せずかっこよくあり続けられるサウンドは凄いなとおもいます。だからこそ、globeさんと、globeさんの楽曲はずっと語り継いでいて欲しいと思います。また、いい大人が同じ気持ちを持ってピュアなところで繋がって、音楽をやらせてもらってるのも、幸せで最高だなと感じてます」

――そんなおふたりのお話を聞いてどうですか? マークさんにとってglobeとはどんな存在なのでしょうか。

マーク「globeは確かにすごかったけど、その中にいる3人はただただ楽しんでいました。小室さんはプレッシャーがすごくあったと思うんです。100万枚を確実に売らなきゃいけない時代で、globeは自分もメンバーとして名を連ねているのに最初の3枚は100万枚いかなくて。それでも実験をしようとか新しいことをしよう、他のJ-POPとちょっと違うことをしようみたいな、常に挑戦をするようなチームでした。...ちなみに小室さんはglobeのことをユニットとは呼ばずにバンドと呼んでいたんだけれど、そのバンドとしての考え方が小室世代と言われた他のアーティストたちとはちょっと違ったのかもしれないですね。そういう部分が多くの人の心に残っているんじゃないのかな。面白いバンドですよね。そういうバンドと環境を小室さんが作ってくれたのが、本当にすごいことなんだと思います」

――日本の音楽シーンの一時代を築いたメンバーのひとりであるマークさんからそういうお話を聞くと...10月にはgl∞beのワンマンライブが発表されていますね。

マーク「すごい演出をNORIさんは考えていると思うんですけど、それは来てのお楽しみです。本家よりすごいことやるんじゃないのかなって、僕はちょっとドキドキしています。ただそれに向けて、8月も9月も小さい規模のライブハウスでやるところがこのバンドのいいところですよ。そういう場所で聞くglobeはすごくレアで面白いだろうし」

――NORIさん、現段階でお話いただけることはありますか?

NORI「いろいろ考えてはいます。いい会場ですし、やるからには驚いてもらえる仕掛けができるといいなとは思っています」

マーク「曲数も8月9月のライブに比べると、10月のワンマンは3倍ぐらいになると思いますよ。曲数が増えるとストーリーもできあがってくるだろうし」

――10月のワンマンの後もバンドとして続いていくわけですよね?

望月「バンドの面白さって、打ち上げとかそういう場所でまた新しいアイデアが生まれるところなんです。この間も...言っていいのかわからないですけど、来年のプランが打ち上げで出てきてしまいまして」

マーク「僕、酔っ払ってたから覚えてないけど!」

NORI「何て言ってたっけ? でもね、自分たちが楽しい限り続いていくと思いますよ」

――本家30周年に華を添えるのをまずは目標に。

マーク「本当、心にあるのはそれですよね。僕たちのおかげ! なんていう気持ちはないですけど」

――本家に華を添えるのが、本家メンバーであることも他にないですし。

マーク「gl∞beはバンドでやれていることが究極の面白さなんです。今まで僕1人でDJをやりながら後ろの大画面でKEIKOをリンクさせたり、いろんなことを考えてやってきたんだけれど、これがバンドになるとより音楽愛が生まれて。やっぱり音楽っていいよねって思えているんです。gl∞beの音楽からまたglobeを見てもらえるとうれしいなと思います」

取材・文/桃井麻依子




(2024年9月21日更新)


Check

Profile

グルーヴ…ドラムのNORIが2022年から始動させた『Groove Live Project』から派生した、globeの楽曲のみを演奏するバンド。メンバーにはglobeのメンバーであるマーク・パンサー globe (DJ)、望月英莉加(Vo)、globeのバックでも演奏を担当していた木村建(Gt)、Shinnosuke (Key)、NORI(Dr)らが名を連ねる。NORI自身が多大なる音楽的影響を受けたTM NETWORKへの感謝を込めて立ち上げた『Groove Live Project』は、これまで2022年2月の@Blues Alley JapanではTM NETWORKの木根尚登、同年10月の@Billboard Live Tokyoと2023年6月の@EX Theater Roppongiにはマーク・パンサーや超新星のゴニル らが出演し、他では見ることのできない特別なライブイベントを開催してきた。そして2024年には来年30周年を迎えるglobeへのリスペクトと“永遠”という意味を込めてメンバーは「gl∞be」としてライブやイベントに出演することを決定。globeのオリジナルメンバーであるマーク・パンサーはもちろん、ボーカル・望月英莉加の力強い高音が大きな存在感を放つパフォーマンスも必見だ。

Groove Live ProjectオフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/grooveliveproject


Live

『GROOVE 2024 - Road to 30 -』
【東京公演】
▼10月24日(木) 恵比寿ガーデンホール

チケット情報はこちら