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ファンキー加藤が堂々宣言
「なにごともやる前に負けること考えるバカいるか!」
ソロデビュー10周年「俺は今が一番、可能性を秘めている」と
言える理由

2006年にFUNKY MONKEY BABYSのメンバーとしてメジャーデビューを果たし、数々のヒット作を生み出したファンキー加藤。2014年からはソロ活動もスタートさせ、「My VOICE」、「輝け」(2014年)などエネルギッシュな楽曲を発表してきた。そんなファンキー加藤が7月24日にソロ曲のベストアルバム『My BEST』をリリースし、さらに同作を提げて9月より『10th Anniversary LIVE TOUR「Your VOICE」』を全国10か所で開催。2013年に一度終えたグループ活動も、2021年にFUNKY MONKEY BΛBY'Sとして再始動させるなど、まさにミュージシャンとして脂が乗っている感があるファンキー加藤。そんな彼を突き動かしているのは、多くのリスペクトを集める伝説的プロレスラーの名言だった。

人生も折り返し地点「未来って永遠じゃない」


――ソロ活動をスタートさせてからの、この10年。音楽はもちろんのこと、幅広い活動をおこなってきましたね。

映画『サブイボマスク』(2016年)で俳優、間寛平さんの『寛平マラソン』への出場、プロレスにまつわるお仕事など、いろんなことにチャレンジさせてもらっています。ソロをやる前はグループ活動がとても忙しく、脇目もふらず前に進まないといけなかったんです。チームでスクラムを組んで壁を乗り越えていくことは、それはそれで豊かな時間なのですが、ソロ活動はもうちょっと自分のやりたいことに寄せることができるんです。

――ソロ活動では、孤独さを感じたりはしませんか?

孤独さはありますね。先日も、ファンモン再始動後としては久しぶりに一人で音楽番組の生放送へ出演しましたが、めっちゃ緊張しちゃって。もともと緊張しやすいタイプなんですけど、そのときは特にガチガチになりました。目立ちたがり屋なのに"緊張しぃ"という、ややこしいタイプでして。でもソロをやってきたおかげで、少しずつですが"緊張しぃ"が薄らいできました。

――そんなソロ活動の一つの節目として、ベストアルバム『My BEST』をリリースされました。

アルバムを作って「自分は一貫して、希望を歌っているな」と改めて感じました。僕は音楽って、聴く人にとっての「希望」だと捉えているんです。というのも、自分は中学生のときにイジメを受けたことがあって「消えたい」と思ったりしました。でも、そういう気持ちを癒してくれたのが音楽でした。だからこそ、自分も誰かの希望になる音楽を奏でたいと常々考えていて。歌詞を書いているときも、その瞬間は半信半疑の綺麗事みたいに見えていても、曲としてできあがってステージ上で歌うときは、綺麗事ではなく本気でそう思えるものになる。聴いてくださる方のなかには、そんな自分の音楽に後押しされて夢を叶えたり、目標に向けて歩み出せたりしたという方もいらっしゃいました。そういう声をいただけるので、ずっと音楽には可能性を感じ続けています。

――中学時代に「消えたい」と考えていた若者が、その後、ミュージシャンになって希望や未来について歌うようになるとは。『My BEST』でも、未来という歌詞が出てくる収録曲が多数ありますし。

たとえ「全部失ってしまった」と感じたとしても、誰にだって未来は残っているはず。自分はなにがあってもそのワードだけは忘れたくないんです。ただ未来の捉え方って、年齢とともに変化するものだと最近は感じるようになってきて。というのも僕は12月で46歳を迎え、人生も折り返し地点を過ぎた...と考えると「未来って永遠じゃないんだな」と実感しちゃうんです。



「優しい光」配信リリース後、「おふくろが倒れたんです」


――だからこそ、お母様のことを題材にした「優しい光」とかパーソナルなことを歌う曲があるのかなって。誰だって年齢を重ねると、「親の面倒をどうしようか」など今後のことを具体的に考えるようになり、親との向き合い方も変わってきますよね。

「優しい光」とか、今までの自分だったらなかなか歌えなかったですね。そのあたりは音楽特有の包容力に甘えたところもありました。だって、母親への気持ちを手紙に書いて朗読しろと言われたら、自分は照れくさくて絶対に無理。だけど音楽はそれを可能にしてくれる。もちろんずっと感謝の気持ちはあったから、「じゃあソロデビュー10周年だし、この機会に躊躇していた母親への素直な想いを口にしようか」と。あともう一つ、「優しい光」を作った理由があるんですけど。

――どういう理由ですか?

ファンモンで父親への気持ちを歌った「ヒーロー」(2009年)を出したじゃないですか。あれからずっと、ファンの皆さんとか、特にお母さん世代から「母親の歌はいつ出すんですか!」「『ヒーロー』だけ、ズルい!」って(笑)。だから「いつか作らなきゃ」と思っていたんです。でも先ほども話したように母への気持ちってちょっと照れくさいというか、パーソナルな部分が強くなるから「グループで歌うのは違うな」と感じていて。ただ頭の片隅にはずっとあったので「ソロデビュー10周年を大義名分にすれば、照れくさくないかも。よし、歌うぞ」と。

――「ヒーロー」がそこまで加藤さんのなかで十字架になっていたとは!

そうなんですよ。でもうちのオヤジは「ヒーロー」がいまだに好きで、スナックへ行っては「これ、俺の息子が作った曲なんだ」と言っているみたいで(笑)。そういえば一回、電話が来ましたから。「ここで飲んでるから、お前も来い」って。「やめてくれ!」と断りましたが、でもまあ、それも嬉しいことですね。

――親はやっぱり、我が子が自分たちのためになにかやってくれるのは嬉しいものなんでしょうね。

そういえば2月に「優しい光」を配信でリリースしたあと、おふくろが倒れたんです。一時は親父から「どうなるか分からない」と言われていたんですが、結果的には元気になって。ただ、そういうこともあって「おふくろへの想いを形にしておいて良かった」と改めて思いました。なによりおふくろは、あの曲を聴いて喜んでくれていたし。だから音楽に限らず、なんだって、やりたいことはやれるうちにやらなきゃだめ。



勉強のために、ELLEGARDEN、10-FEETのライブを見たら...


――加藤さんの曲は「応援歌」と称されることも多いですよね。『My BEST』やファンモンの曲を聴いていても、なにかと戦っているイメージの曲が多いですし、「応援歌」という表現も納得できます。

それって裏返せば、僕は弱い人間ということなんです。ずっとなにかに怯えているから、ファイティングポーズをとり続けている。ロックフェスに出ると「自分は弱い人間だな」と思う瞬間があるんです。フェスって、若くて勢いのあるバンドと共演する機会が多いじゃないですか。そういう若いバンドのライブを見ることができないんです。意地やプライドではなく、単純に「かっこいい!」「すげえ!」となり過ぎて、自分のパフォーマンスに影響が出ちゃうから...。

――え、そんなことあるんですか(笑)。

これ、本当なんです(笑)。以前も「他のバンドのライブを見て勉強しよう」と思ったことがあって、後輩じゃないけど、ELLEGARDENや10-FEETとか見たんです。で、3曲目くらいで「これは耐えられん、ダメだ」となっちゃって(笑)。ライブが良過ぎて、逆に帰りの車とかで塞ぎ込んじゃって。実際の僕は器が小さいんです。だから無理やりでもファイティングポーズをとり続けて、気持ちを全面に出して歌わないと、自分を保つことができないんです。

――そうやって活動を続けてきた加藤さんの、ソロ10周年のアニバーサリーライブ『Your VOICE』が9月から12月まで全国10か所で開催されますね。

ファンのみなさんあっての10周年。そういえばこの取材の前日、前々日に『My VOICE』リリース記念のフリーライブがあって。ただ2日間でめちゃくちゃ体力を使っちゃって、神戸でのフリーライブでは声を出すのが大変だったんです。そのとき、ファンのみなさんが僕以上に声を出してくれて。「"Your VOICE"ってこういうことだな」って。でもきっとファンのみなさんは「ったく、加藤は本当にしょうがないやつだな。プロなんだからもうちょっと調整しながら叫べよ。すぐ叫んで声を枯らすんだから」となっていたでしょうね(笑)。



「僕の好きなミュージシャンたちは60歳をこえても超元気」


――ベストアルバムのリリース、『Your VOICE』の開催、さらに7月31日には初の著書『未完声』も発表されました。ビッグなプロジェクトが続いて、これを終えたら心にぽっかり穴が空いたりしませんか。

それがね、うちの事務所がめちゃくちゃ先まで予定を組もうとしているんですよ。2028年に僕が50歳を迎えるから、そのプロジェクトをどうするかとか。ただ2026年にはファンモンの20周年もあるし、そこに向けてのプロジェクトもあったりして。だから当分は走り続けます、燃え尽きるわけにはいかないんです。

――加藤さんってどんな50歳になるんでしょうね。

42、43歳くらいの時に一度「これ以上、歳をとりたくないな」と、しんどくなったことがあって。でも僕の好きなミュージシャンたちは今、60歳をこえても超元気なんですよね。桑田佳祐さん、長渕剛さん、布袋寅泰さん、とか、みなさん驚くほど若々しい。かっこいい先輩方を見ていると、そんなことは言っていられない。40代なんて、まだまだだなって。

――それこそ加藤さんがお好きなプロレスの選手たちって、40代が一番良い時期ですもんね。

僕はよく、自分の年齢とプロレスラーを照らし合わせるんです。「あのプロレスラーは今の俺の年齢のとき、なにをしていたんだろう」って。僕はもうすぐ46歳ですが、アントニオ猪木さんは46歳のとき「出る前に負けること考えるバカいるかよ」って、あの伝説の言葉を口にしているんですよね。

――1990年2月10日、坂口征二選手と組んでのタッグマッチ戦で、橋本真也・蝶野正洋組と対戦する前、インタビュアーから「もし負けるということがあると」と話を振られたときですね。

「アントニオ猪木さんはあの言葉を46歳のときに言っていたのか」と気づいてめちゃくちゃ元気をもらいました。おっしゃったように40代のプロレスラーってそもそも、肉体的に一番脂が乗っていますよね。肌もツヤツヤだし、筋肉の盛り上がりもすごい。でもやっぱり気持ち次第なんですよね。「40代で老けたな」ではなく、「俺は今が一番、可能性を秘めているんだ」と思わなきゃ。それだけは忘れず、自分にも言い聞かせて生きていきたいです。猪木さんは「出る前に負けること考えるバカいるかよ」でしたが、僕はなにごとも「やる前に負けること考えるバカいるか」って!

Text by 田辺ユウキ




(2024年9月11日更新)


Check

Release

ファンキー加藤ソロデビュー10周年の軌跡を辿るベストアルバム

Album『My BEST』
発売中 3630円(税込)
MUCD-1525

《収録曲》
01. My VOICE -2024 ver.-
02. 輝け
03. 40
04. つながるから
05. 吼えろ
06. 冷めた牛丼をほおばって
07. ヒマワリノユメ
08. 太陽
09. ぼくらのうた
10. ブラザー
11. 花
12. 希望のWooh
13. 本当のこと
14. MUSIC MAGIC
15. VOYAGE
16. まわせ!
17. 優しい光

Live

ファンキー加藤 10th Anniversary LIVE TOUR 「Your VOICE」

【神奈川公演】
▼9月14日(土) SUPERNOVA KAWASAKI
【岡山公演】
▼9月23日(月) YEBISU YA PRO

Pick Up!!

【大阪公演】

9月21日(土)一般発売 Pコード:270-395
▼10月4日(金) 19:00
BIGCAT
スタンディング-5800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳未満は入場不可。4歳以上は有料。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【香川公演】
▼10月12日(土) DIME
【宮城公演】
▼10月19日(土) 仙台 darwin
【新潟公演】
▼11月3日(日) GOLDEN PIGS RED STAGE
【北海道公演】
▼11月16日(土) BESSIE HALL
【愛知公演】
▼11月29日(金) ボトムライン
【福岡公演】
▼12月7日(土) Fukuoka BEAT STATION
【東京公演】
▼12月18日(水) LIQUIDROOM

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