ホーム > インタビュー&レポート > 松任谷正隆との共同プロデュースとなる 『AYAKA HIRAHARA Concert Tour 2024 - 2025 ~ The Swinging Classics! ~』開催
昨年のデビュー20周年記念ツアーは
チャレンジし続けた20年の総集編に
――この秋に開催される『AYAKA HIRAHARA Concert Tour 2024 - 2025~ The Swinging Classics! ~』は昨年の20周年記念コンサートツアーに引き続き、松任谷正隆さんとの共同プロデュースとなります。今回はどんなツアーになりますか。
「今年もまた松任谷正隆さんを共同演出、プロデュースに迎えましたので、正隆さんにお知恵を借りながら、ただクラシック音楽をアレンジするというわけではなくて、クラシックという言葉が持つ本来の意味である古典的で、根源的な自分の音楽のルーツをたどるコンサートにしようということで、"~ The Swinging Classics! ~"というタイトルに決めました。」
――ちなみに平原さんにとって昨年開催された松任谷正隆さんとの20周年のツアーはどのような体験でしたか。
「昨年のアニバーサリーコンサートツアーではジャンルに関係なくいろんな音楽が好きで勉強してきた平原綾香の20年を正隆さんが紐解いてくれて、それを引き出してくれました。デビューして20年間いろんなコンサートをしてきて、いろんなジャンルの歌も歌ってきましたけれども、ここまで、ジャンルに関係なくまぜこぜにコンサートの演目を決められたのはもしかしたら初めてかもしれない。登場シーンではサックスも吹きましたし、恒例のボイスパーカッションをやったり、ジャズを歌ったり、ポップスを歌ったり、オペラを歌ったりしました。自分にできないことにチャレンジし続けた20年というものが、去年のアニバーサリーコンサートで総集編として披露することができましたね」
――20周年ツアーというのは平原さんにとって、ひとつの大きな節目になったんですね。
「実は、正隆さんにプロデュースしていただくことになって、事前に(平原綾香自身の)この20年、強いては39年間生きてきた物語というか人生を正隆さんにインタビューしてもらったんです。 たしか、1回のミーティングで4時間ぐらいやってたと思います。そして、それをまとめたものを全部MC(トーク)にしてくれたんです。私からここで日記を読む形式にしたいと提案させてもらって。生まれてから今までの私に語りかけるような演出にしたんです。 そしたら最後に、父(=サックス奏者の平原まこと氏)が亡くなる前の、"2年前のあーやへ"って、 呼びかけるシーンがあって、そういう演出になったことにちょっとびっくりしました。こんなにプライベートでいいんだろうか?とか、 父のことをもうこれ以上話しちゃいけないじゃないかとか、 悲しみはあんまり表に出さない方がいいんじゃないかと思ってたので。そういう演出になって、毎回私も泣きましたし、お客さんも泣いていたし、 それは大切な人を失った経験をした人の悲しみとして表現できたというところが、私にとってもお客さんにとってもすごく実りのあるものだったと思いました。あのツアーは正隆さん無くしてはできなかったなって正直思いました。きっと自分でプロデュースをするならばそれなりのものができたと思うんですけれども、 1曲目に、"あーやのお父さんの十八番だった『ジョージア・オン・マイ・マインド』をサックスで吹いてくれないか?"って言われた時に、もう涙が溢れてきて...。もし私が自分でプロデュースしていたら絶対選べないし、怖くて絶対吹けなかったものだったんですけど...。正隆さんに言われて決心がついて。父が亡くなってから、ちゃんと吹いたのは昨年のコンサートツアーが初めてでした。なので、私にとってはこの20周コンサートツアーは父の悲しみを乗り越えるツアーだったように思います」
今回はストリングスを入れた
クラシカルな編成でのロングランコンサート
――そんな20周年ツアーを経て、今回は『~ The Swinging Classics! ~』ということで、 タイトルを見ただけでとてもワクワクするように感じられます。このツアーはどんな選曲になりそうですか。
「もうほんとにこれから決めるんですけれども、クラシカルな編成だから、 クラシックが始まるのかなと思ったら、急に曲想が変わったり、ある意味音楽で遊んでいくようなコンサートになりそうです。ある意味クラシックでセッションするのかもしれないし、ジャズをクラシックっぽく演奏するのかもしれないし、 ポップスからジャズが生まれるかもしれない。 今まで私も20年間音楽漬けだったんですけど、さらに音楽漬けになるような選曲がいいなと思っています。私のルーツはジャズですけど、学校でクラシックとジャズを勉強しました。でも、家では全く英才教育ではなくて、音楽をやりなさい、練習しなさいと1度も言われたことがなくて。面白いことを言わないとご飯食べさせてもらえないぐらいのお笑い家族だったんです。でも、そういうのが良かったんでしょうね。父も、自分のコンサートをする傍ら、スタジオミュージシャンとして、ジャズ、クラシック、ポップス、演歌、童謡といろんなジャンルを吹いてきている人だったからこそ、そういうのが自然に身についていたんですね。いろんな音楽を愛してきた人生を私のコンサートに生かせたらいいと思います」
――やはり平原さんにとってはお父様の存在、育ってきた家庭環境も大きかったんですね。
「"巨人の肩の上"っていう大好きな言葉があって。自分が遠くを見渡せるのだとしたら、それは自分が巨人の肩の上に乗っているからっていう意味で、すごく共感するんです。私も多くの音楽を聴いて育ったので、クラシックをするにも、 ほんとに素晴らしい作曲家がいて、その人たちの音楽を聴いてきたわけだし、私にとっては、ジャズの名手も、父もそうです。 だから自分の音楽ですって絶対恥ずかしくても言えなくて...。いろんな人たちにたくさんの影響を受けて、自分の個性も生まれて、それがまぜこぜになって私の歌として出てくるので、ある種の巨人の肩の上に乗ったコンサートというのを目指そうと思ってます」
――ちなみに、ステージの演奏はどのような編成になりそうですか。
「ストリングスを入れたクラシカルな編成でのロングランコンサートになります。20年間、本当に音楽漬けで、歌いたいけど歌えなかった曲が歌えるようになった喜びとか、できなかったものにチャレンジし続けた20年というものが、また今年のデビュー21周年目に実を結んでくれるんじゃないかと期待しています」
――各会場選びはどのようにされましたか。
「コンサート会場はできるだけ音響的にもストリングスの音が綺麗に響くクラシックホールを選びました。ポップスを歌うということはクラシックホールではとても難しいことなので、いろんな課題が残ってはいるんですけれども、 今一生懸命みんなで作り上げてる最中です」
ミュージカルとコンサートを行き来するのも自分らしい。
どちらも真剣に取り組んでいる。
――ところで、平原さんは音楽活動だけでなく、ドラマやミュージカルにも出演されています。
「ちょうど今、ミュージカル(『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』)ではサティーンという役で、結核を患っている花形トップスターというとても重要な役を演じています。演目自体はとっても豪華で何十曲と歌ってます。私は歌うこと自体、 デビュー当時からチャレンジだったんです。父の影響でサックスを学んで、『Jupiter』でデビューすることになった時に、歌自体がチャレンジだったんですね。でもその後、 2014年にミュージカルというものにチャレンジすることになり、今年でちょうどミュージカルデビュー10周年を迎えました。10年やってくると、またいろんな声も出せるようになり、 いろんな役も演じられるようになってきて、とても幸せに思ってます」
――音楽をする時と演じる時の向き合い方の違いや気持ちの切り替え方法などがあれば教えていただけますか。
「平原綾香と俳優の違いということでは、平原綾香はやることが多いですね。というのは作詞作曲もしたいし、自分でプロデュースもしたいし、 歌をお届けするまでにすごく時間がかかります。 でも、ミュージカルは素晴らしい人がアレンジもして、曲も書き、詩も書き、演出をしてくださいます。なので、俳優として、また歌い手として 頑張るというところに集中できるので、それはそれで私にとっての癒しです。 今現在は平原綾香とミュージカルを行き来してる状態で、今年がミュージカルデビュー10周年ということもあって、この『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が終わった後、10月から『AYAKA HIRAHARA Concert Tour 2024 - 2025~ The Swinging Classics! ~』が始まりますが、来年オペラ座の怪人の続編『ラブ・ネバー・ダイ』(*2025年1~2月上演)というミュージカルに出演して、またコンサートに戻るというスケジュールになっていまして。それで今回はちょっとロングランツアーにはなってしまうんですけれども。こうやって行き来するのも自分らしいかなと思って、どちらも真剣に取り組んでいる最中です」
――デビュー21年に入って、次の10年20年も視野に入れていると思います。今後に向けての抱負も聞かせてください。
「やっぱり世界というものがインターネットの力で近くなってきているからこそ、海外のファンの人たちがダイレクトでメッセージをくださるということが増えてきました。そういう人たちにも生で歌を届けていけたらいいなと思う気持ちがどんどん強まってますね。なので、いつかはちゃんと世界中でコンサートができるミュージシャンになりたいと思っています。私は40歳になったのですが、同年齢の友達がみんな結婚して子供がいるからコンサートに来れなくなっちゃったんです。それがすごく寂しくて、いつか、 "シャウト・アンド・クライ・ツアー"っていうのをやりたいなと。それは子供たちが泣いても大丈夫だよっていうコンサートです。子供が集中できる時間って限られてるから、いつものコンサートより短くして、耳に影響出ないようにいつもより少し音をちっちゃくして、 だけど大人の本気を見せるっていうツアーをいつかぜひ実現させたいんですよね。今、NHK教育テレビ『おかあさんといっしょ』の人形劇『ファンターネ!』でミミコ姉さんの声をやっています。今までは子供たちからも"ジュピター"だって言われてたのが、20年目になったら、ミミコ姉さんだって言ってもらえるようになって。 それが大きな変化なので、子供たちにも音楽をもっともっと届けていきたいなと思います」
21年目の本当に大事なコンサートツアーの幕開け
――最後に、このツアーの公演を楽しみにされている方々へメッセージをお願いします。
「新型コロナの規制が緩くなり、やっと通常のコンサートができるようになりましたが、私たちミュージシャンはまだそこに囚われてるところもあるんですね。私の友達もコロナ禍の影響で活動しなくなったミュージシャンがいるし、 そういった悔しさとか悲しさがまだあるので、あの時できなかったことができるようになっても、当たり前のことが当たり前にできなかったことを忘れないように、それができることへの感謝というのは全く薄れていなくて。普通にコンサートができる喜びを感じてのコンサートツアーになりそうですね。(デビューして)20年経つと、デビュー当時は小学生だった子が、今は私より先に結婚して子供を産んでるという、ここまで 長い年月コンサートができてるということも感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、ステージで歌えるだけでも私は幸せなんだけど、今回また松任谷正隆さんという強力なプロデューサーと一緒に共同プロデュース/演出ができるというのも最高に幸せに思います。平原綾香は50歳になったらどんな自分になっていきたいか、そういうのをやっぱり今のうちに描いていかないといけないっていうのを、いつもスタッフと 話し合っています。どうやったら人の役に立てるのか、音楽で人にちょっとでも元気をお届けするために、<平原綾香 Jupiter 基金 >を立ち上げて、来年で10年になります。そういった意味では、歌を歌うということが、もう自分の人生とは切り離せないんです。デビュー当時の歌うことが慣れてなくて辛かったあの時代から、やっと歌うことが恥ずかしくなくなって前に進めた10年からまた10年経って、今は歌うことが生き甲斐だと思えるようになった。その20 周年を超えた21年目の本当に大事なコンサートツアーの幕開けです。初めての人も、これからの平原綾香を知る人も、私の公演に毎回来てくださる方も、楽しみにいらしていただけたら嬉しいなと思っております。 ぜひ何回でもお越しください!」
――ちなみに、関西で公演される際に平原さんが楽しみにされていることがあれば、ぜひお聞かせください。
「私は両親が関西なので、デビューする前はずっと大阪で年越しをしていました。なので、私にとって関西はふるさとのような場所なんです。関西に来るとお客さんが全員親戚に見えて、ああ~帰ってきたなって思います。また両親も新幹線で大阪まで移動すると、東京にいるときは標準語だったのに大阪駅に着いた瞬間、急に関西弁になるんですよね(笑)。大阪の空気がそうさせるのかわかんないですけど。だから大阪に来ると私もグッとスイッチが入るので、そのスイッチを楽しみに、関西ならではのコンサートができる私自身を楽しみにしてます」
Text by エイミー野中
(2024年9月10日更新)
【埼玉公演】
▼10月19日(土) 和光市民文化センター サンアゼリア 大ホール
【東京公演】
▼10月20日(日) たましんRISURUホール 大ホール
【栃木公演】
▼10月26日(土) 那須野が原ハーモニーホール 大ホール
【群馬公演】
▼10月27日(日) メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎 大ホール
【茨城公演】
▼11月3日(日・祝) 水戸市民会館 グロービスホール
【宮城公演】
▼11月4日(月・祝) トークネットホール仙台 大ホール
【愛知公演】
▼11月10日(日) 愛知県芸術劇場 コンサートホール
【愛媛公演】
▼11月14日(木) しこちゅ~ホール 大ホール
※追加公演
▼11月16日(土) 16:30
神戸国際会館こくさいホール
全席指定-8000円
※未就学児童は入場不可。
[問]神戸国際会館こくさいホール■078-231-8162
【新潟公演】
▼11月17日(日) 新潟県民会館 大ホール
【神奈川公演】
▼11月23日(土・祝) 相模女子大学グリーンホール 大ホール
【千葉公演】
▼11月24日(日) 多古町コミュニティプラザ文化ホール
※追加公演
▼12月15日(日) 17:00
フェスティバルホール
全席指定-8000円
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888