ホーム > インタビュー&レポート > 20年目の特別な「8ottoの日」を、w.o.d.が祝福 『8otto presents [ONE OR EIGHT]』ライブレポート
8ottoがw.o.d.と対バンするのは、昨年4月に行われたw.o.d.の自主企画イベント『TOUCH THE PINK MOON』以来2度目。この時はw.o.d.が8ottoにラブコールを送り対バンが実現したが、今回は8ottoが逆オファー。フロアには両バンドのグッズを身につけたファンが集合した。ステージ上手側のDJブースでは、DAWAがCloud NothingsやArctic Monkeys、Death from Above 1979などのロックサウンドを鳴らしてじわじわと雰囲気を高めていた。
先攻はw.o.d.。ヴァニラ・ファッジがビートルズをカバーした『Ticket to Ride』をSEに、逆光の中でサイトウタクヤ(vo.gt)、Ken Mackay(ba)、長谷川が登場。大歓声に迎えられると、早速爆音で『1994』を響かせる。腹から揺るがす疾走感に導かれ、のっけからフロアの手もアップ! いつもと違う編成ゆえに最初はどこか不安げな空気も感じられたが、元良のドラムとはまた違うナイスグルーヴが生まれていて、やはり演奏にはプレイヤーの個性が表れるんだなと感じさせられると同時に、長谷川の対応力の高さに感服する。本人たちも良い感覚を掴んだのか、Kenと長谷川は目を合わせてニコッと微笑み合っていた。
「w.o.d.です。よろしく」とのサイトウの挨拶に続けてエッジーに披露した『Mayday』。鋭い眼差しで張り上げる歌声と、安定感と躍動感が共存したベース、爆弾のようにパワフルなビートで、ガンガンフロアを揺らしていく。ノイジーなサイトウのギターソロから挑発的なKenのベースソロと続いたシーンは痺れるカッコ良さだった。
MCでサイトウは「大好きな8ottoに呼んでいただいてめちゃくちゃ嬉しいです」と感謝を述べる。そして「ドラムはドミコから長谷川くんです。もうヒーロー。ほんとありがとうございます」と長谷川を紹介し、昨晩からの経緯を説明する。前日に広島でドミコとツーマンライブ(『QUATTRO MEETING '24 "In The Summertime"』)を行っていたw.o.d.。ライブ中に元良が体調を崩してしまい、長谷川が飛び入りでセッションをした流れから急遽サポートが決まったそうで、サイトウは一晩で曲を覚えた長谷川を「すごすぎる」と絶賛。リハ中にグルーヴも生まれてきたと話す。「今日はパーティーのつもりで来たので、大幅に変更して色々やろうと思います」との言葉にオーディエンスは歓喜の声をあげた。(なお元良はすっかり回復し、無事ライブにも復帰したそう!)
サイトウの弾き語りによる『オレンジ』を経て、2度目のMCでKenがサイトウを労うようにビールを持ってくると、嬉しそうに3人でアルコールを流し込む。満面の笑顔を浮かべながらドラムでサイトウのトークに相槌を打つ長谷川の姿に、会場は和やかな雰囲気に包まれる。すかさず入ったサイトウの「大丈夫。w.o.d.のドラマーは元良くんだからね!」という元良へのフォローからは、あたたかなバンドの絆が感じられた。
そして8ottoをゲストに迎えた4月の『TOUCH THE PINK MOON』を回顧する。サイトウは「最高でしたね。あまりに楽しかったので、またやれたらいいなと思ってたら速攻誘ってくれて。昔から大好きなバンドで、一緒にやれてるのが夢のよう。オルタナティブロックに目覚めた影響のデカいバンドです」と瞳を輝かせて8ottoへの想いを語り、「秘密兵器持ってきてるんですよ」と8ottoの『SAY』をカバーした。
少し歪んだ音で奏でるキャッチーなギターリフ、地を這うベースライン、上昇感を感じるビート。サイトウの歌い方はいつもより柔らかく、しかしパワフルで最高のグルーヴを作り上げる。大歓声の中、ラストチューン『踊る阿呆に見る阿呆』へ。Kenは高まったのか、フロアに降りる場面も。最高潮の熱量と歓喜の渦を巻き起こし、サイトウは「ありがとう、バイバイ」と言って、楽しそうに長谷川とハグを交わしながらステージを後にした。
直後にDAWAが『踊る阿呆に見る阿呆』の<Shall we dance?>にリンクさせて、<しゃるうぃーだんす!>という歌詞が入ったドミコの『猿犬蛙馬』をかけたのは、さすがの一言。3バンドへの愛とリスペクトが感じられる選曲だ。DAWAはその後もドラムサウンドが印象的なロックナンバーで8ottoへとバトンを繋いでいった。
そして8ottoの出番。SEが流れ、ステージ上に置かれたバンドロゴのネオンが光るとRYO(gt.cho)、Yoshimura Seiei(gt.cho)、TORA(ba)が登場。最後に現れたMaenosono Masaki(vo.dr)が両手を広げると、高まったフロアは大歓声と拍手で迎え入れる。
1曲目は『Mr.David』。Maenosonoが高らかに掲げたスティックを振り下ろすと同時に勢いよく放たれたサウンドは、とてもパワフルでポップネス。横一列に並んだ4人から音の塊が大迫力で飛んでくるが、それぞれの音の粒もしっかりと際立って聴こえるのが8ottoのすごさ。続き、TORAのベースラインが鳴り響く中でMaenosonoは「All Right,everybody! 今日は祭りじゃー! 楽しい夜を!」とがなり声で叫び、オルタナサウンド全開の『You Just Not Only One』を披露。爆音の波に身体を揺らされたかと思えば、ボーカルとキメだけのパートからストップモーション、後半は爆発力をもって一気に音圧がアップするというメリハリのきいた展開に、フロアのテンションがまたひとつアップする。個々のテクニックとキャリアに裏打ちされた大人の渋みを感じる演奏は最高で、激しくもダイナミックな音の渦にただ飲み込まれていく。RYOとYoshimuraのツインギターの絡み合いが印象的な『0zero』もインパクト大。滲み出る貫禄にやられまくりだ。
MCではTORAが「8ottoです。よろしくどうぞ!」と挨拶し、「w.o.d.、DJ DAWAさん、来てくれた皆さんありがとうございます。長谷川くんもありがとう」と感謝を口にする。「僕らも乾杯したいです」と言うと、8ottoの新グッズであるグラスとともにお酒が登場。マイクの前で「プシュッ!!!(エコーあり)」と良い音をさせて会場にいる全員で乾杯した。
メンバー紹介を経て、ここからさらに勢いをつけ『CHINA』、『HYPER,HYPER,HYPER』を連続で披露。すさまじいエネルギーを放ちながら、華やかにクラッシュしていくオルタナサウンドはもう格別。イントロから4人の連続のキメが耳を貫いた『Uprising』は、アナログ音源とライブでしか聴くことができないナンバー。<立ち上がるしかないぜ!>と力強く伝えるメッセージはリリースから13年経っても鮮やかに、生々しく胸に迫ってくる。爆音のソロプレイは全身をビリビリと痺れさせた。続く『I Wanna Light』では、Maenosonoの叫ぶようなボーカルもカッコ良く、グルーヴ感たっぷりのビートに牽引されて、オーディエンスはひたすら床を揺らしまくる。
2度目のMCでは、12月6日(金)に味園ユニバースで20周年を締め括るライブ『8otto 20th anniv. 「Galaxy Express 888」』を行うという嬉しいアナウンス。ステージ袖で見ていたサイトウが、お酒を飲みながら満面の笑顔で手を振る。TORAは「かわいい。w.o.d.大好きです」と相思相愛ぶりを見せつけた。
ラストパートはライブアンセムを連投し、これ以上ないほどにブチ上げる。サビで猫も杓子も躍らせた『SRKEEN』、イントロのスカのリズムから予測できない楽曲展開と満載のギミックに<Hey!>と拳を上げて高揚した『It's All Right』を駆け抜け、Maenosonoは「お前らのエネルギーはそんなもんか! まだまだいけるぞ! 俺たちは世界で一番なんだよ! 1人ひとりが世界で一番なんだ!」と大声で叫び、フロアを煽って『赤と黒』へ。ノリノリで湧きまくるフロアに飛び降りたMaenosonoはオーディエンスの間を練り歩きながら歌い、会場全体をなおも熱狂に巻き込んでいった。
本編ラストは『SAY』。「w.o.d.もやってくれたし、俺たちもやろうと思います。照明さん電気消してください」とのTORAの合図で、会場は真っ暗に。暗闇にわななくギターリフがドキドキ感を高める。「Everybody! 一緒にいこうぜ、1.2.3.4!」でパッと明るくなった瞬間のフロアの盛り上がりは言うまでもない。オーディエンスは狂喜乱舞で跳ねまくり、袖で見ていたサイトウとKenも笑顔で思いきりジャンプ! 楽曲後半、Kenが足取り軽やかにステージに乱入! その場で手短にTORAにコードを教わり、実に滑らかに演奏にジョインした。これにはオーディエンスも大興奮。Kenも8ottoのメンバーも本当に楽しそうで、その場にいた全員を笑顔にしてしまう、とびきり特別でハピネスな空間が生まれたのだった。
すぐさま起こったアンコールを求めるクラップに応えてカムバックしたメンバー。RYOがセンターに仁王立ちになり、まるで和太鼓を叩くようなフォームでMaenosonoのドラムを力強く鳴らす。Yoshimuraはシンバルを叩き、Maenosonoはほぼアカペラで歌声を伸びやかに響かせる。『Ganges-Fox』を前衛的かつエモーショナルなプレイで奏でて圧倒すると、最後に破壊力抜群のアンセム『Generation 888』を投下! 待ってましたとばかりに拳を突き上げ、頭を振り乱して踊るフロア。仰け反ってギターを弾きまくるYoshimura、熱を宿してギターをかき鳴らすRYO、激しくもビートを支えるTORA、生命を燃やして叫ぶように歌い叩くMaenosono。まさに会場がひとつになり、巨大なエネルギーを生み出した。鼓膜が破れそうなほどの爆音で、アンコールを一瞬で駆け抜けた。
こうして20回目の「8ottoの日」は大成功で幕を閉じた。急な事態にも対応して貴重なライブを見せてくれたw.o.d.と、堂々たる存在感と圧倒的な実力で会場を魅了した8otto。こんなにカッコ良い関西発のバンドがいることの喜びと誇りを、改めて噛みしめる素晴らしい時間だった。両バンドの仲はより深まったようで、ライブが終わりDJタイムになった後も、ステージではYoshimuraとTORA、Maenosonoが即興でポロポロと音を奏でており、サイトウはゴキゲンで耳を傾けていた。すっかり先輩を慕っている様子で、微笑ましい気持ちになった。
8ottoは9月13日(金)にYogibo META VALLEYにてNewspeakとの対バンライブ『AFTER SEVEN SQUAD』が、10月1日(火)には堺ファンダンゴでのライブ『堺ファンダンゴ5周年記念 #1001』の開催が決定している。20周年を締め括る12月の味園ユニバース公演まで、まだまだアニバーサリーイヤーを走り抜ける。
Photo by ピー山/Takafumi Yamashita
Text by ERI KUBOTA
(2024年9月 5日更新)
01. 1994
02. Mayday
03. オレンジ
04. SAY(8ottoカバー)
05. 踊る阿呆に見る阿呆
01. Mr.David
02. You Just Not Only One
03. 0zero
04. CHINA
05. HYPER,HYPER,HYPER
06. Uprising
07. I Wanna Light
08. SRKEEN
09. It’s All Right
10. 赤と黒
11. SAY
EN1. Ganges-Fox
EN2. Generation 888
【大阪公演】
▼9月13日(金) 19:30
Yogibo META VALLEY
オールスタンディング-4400円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Newspeak/8otto
※小学生以上は有料。
※学割:入場時の1ドリンク代オフ当日、学生証をご提示ください。
[問]GREENS■06-6882-1224
【大阪公演】
▼10月1日(火) 18:30
FANDANGO
前売-3800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]8otto/おとぎ話/SuiseiNoboAz/LOSTAGE
[問]FANDANGO■072-256-4326
【大阪公演】
▼12月6日(金) 18:00
味園 ユニバース
早割3次 一般-4700円(整理番号付、ドリンク代別途要)
早割3次 学割-2000円(当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]有
※小学生以下は無料、中学生以上は有料。
※再入場時、1ドリンク代別途要。
※飲食物持ち込み不可。
※飲酒される方は年齢の分かる身分証を必ずご持参下さい。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されますので予めご了承ください。公演の中止または延期、及び開場開演時間の変更以外による理由のチケット代払い戻しは致しかねます。
※学割チケットご購入の方は、入場時に学生証をご提示いただきます。学生証をお忘れの場合は該当チケットの差額を頂戴いたしますのであらかじめご了承ください。