ホーム > インタビュー&レポート > 「ツアー行ってきます!」ザ50回転ズ、京都磔磔から バンドの20年を詰め込んだツアーをスタート―― 『"NO FUTUREじゃいられない! TOUR”~ツアー開幕! おこしやす京都編~』ライブレポート
ツアー初日の緊張感と期待感は、きっと長年キャリアを重ねたベテランアーティストでも変わらないのではないだろうか。今年結成20周年を迎えたバンド・ザ50回転ズ。ダニー(vo&g)、ドリー(b&vo)、ボギー(ds&vo)の3人は、2004年の結成以来、ロックンロールをこよなく愛し、ロックンロールに身を捧げ、ただひたすら実直にロックンロールを奏でてきた。この日はそんな彼らの魔法にかかったオーディエンスが磔磔に大集合。チケットソールドアウトの磔磔は身動きがとれないほどパンパンに埋まり、ライブが始まる前から熱気と高揚感に満ちていた。
定刻になり、フロア後方の階段から白いスーツに身を包んだボギーが登場。ものすごい歓声と拍手に迎えられてステージにスタンバイし、お馴染みDr. Feelgoodの『Riot in Cell Block Number Nine』をバックにビートを繰り出すと、黒いスーツ姿のドリーとダニーが順に姿を現し、プロレス入場でステージへ。この日からお披露目になった新衣装。ドリーの右腕とダニーの左腕には稲妻の模様が入っていて、たびたび嬉しそうに自慢する様子もキュートだった。
待ってました感満載でグンとテンションが上がった会場に、ダニーが「京都磔磔ー! ツアー初日よろしくー! 『NO FUTUREじゃいられない! TOUR』、この街から始められて幸せです! Are you ready!?」と叫び、勢いよくBay City Rollersのカバー『Saturday Night』を投下。まさに土曜日の夕方、これから夜の帳が下りる時間に最高のロックンロールをブチ込んだ。フロアは堰を切ったように身体を揺らして拳を突き上げる。ステージとフロアがバチッと繋がった感覚で、のっけから渦巻く熱狂に何度も鳥肌が立った。
蔦の絡まるステージにドドンと飾られた「20th Anniversary THE 50KAITENZ」の巨大なネオンも煌びやかに輝いて、ライブパフォーマンスを後押しする。もう本当にパーティ会場だ。
続き、ドリーがボーカルを担う『放課後のロックンロール』、フロアがジャンプの嵐を巻き起こした『レッツゴー3匹!!』とゴキゲンなナンバーを繋いでフロアの心を鷲掴む。『放課後のロックンロール』でダニーがドリーを「20年間ずっとベースを弾き続けた男!」と紹介し、その言葉を受けたドリーは「20年間ギターを弾き続けた男!」とダニーを紹介。するとダニーは見事なタッピング奏法で表情豊かにギターを奏でる。お茶目でサービス精神旺盛なところも変わらない魅力のひとつだ。
MCでダニーは「20年前のライブ映像を見たら、変わってませんでした(笑)」と話していた。確かにザ50回転ズのライブは、良い意味でずっと変わらない。だが、ふいにメンバーが繰り出すフレーズやギミックの妙に衝撃を受ける。3ピースとは思えない爆音にグルーヴ、表現力、息ピッタリのキメなどからは20年のキャリアが自然と滲み出る。決してマンネリ化しないのは、楽曲の良さや演奏力の高さ、ライブの構成力はもちろんだが、何よりもメンバー自身が全力でライブを楽しんでいるからではないだろうか。少年のように瞳を輝かせ、3人で顔を合わせて大好きなロックンロールをのびのびとプレイする。そのシンプルで純粋な喜びが伝わってきて、何度味わっても不思議と新鮮な気持ちになるし、とにかく楽しいのだ。3人の放つ音楽と面白さにあっという間に巻き込まれて、「そう、これこれ!」と勝手に笑顔になってしまう。
数曲を終えてダニーは手応えを示すように「最高の気分です!」とはちきれんばかりの笑顔を見せ、「20年やれたのも皆のおかげです! 本当にそう思います!」と感謝を述べる。「今日は50回転ズのヒットパレードセットリストを持ってきました!」と叫び、1stシングル『MONEY! MONEY!』から中毒性のあるギターリフとスカのリズムが最高に気持ち良い『KILLER』、ボギーがボーカルをとる『エイトビートがとまらない』(「20年ドラム叩いてます!」の紹介あり)を連続で披露して、さらに会場の熱量を高めていく。
事実この日のセットリストは、新旧織り交ぜた人気曲・名曲揃いで、フロアは最初から最後まで湧きまくっていた。会場後方にいても汗だくになるほどだ。中盤も『ゲゲゲの鬼太郎』や『グローリー・グローリー』、『少年院のソナタ』、『耳鳴りロック』と、磔磔の雰囲気にもよく合う、自然に身体が跳ねるナンバーを披露して、濃密な一体感を作り上げた。
MCを挟み、ダニーは「20年前と俺たち演奏変わらないって言ったよね。実は曲によってプレイ内容が変わったりするんだぜ......R&Bみたいにいこうぜ。演歌は日本のブルースじゃないか! ジュニア・ウェルズとバディ・ガイのセッションみたいにやってくれよ!」と、昨日ドリーにプレイ内容が変わることを伝えたという『天王寺エレジー』へ。期待値高まる中で披露されたドリーのブルージーなイントロからダニーの渋いギタープレイを経て、ハンドマイクでステージを練り歩きながら、リバーブたっぷり感情を込めまくって歌うダニーを、ドリーとボギーは優しく見守っていた。
20周年ということで、これまでの活動を振り返る場面も。今年50周年を迎える磔磔での初ライブの思い出話も飛び出し、ドリーは結成当初に「磔磔に出れたら解散してもいい」と言っていたと回顧する。それほどに思い入れの強い磔磔で「50周年と20周年を一緒に迎えられて本当に嬉しいです!」(ダニー)と喜びをあらわにした。
ここで「20周年にピッタリのナンバー、新しいのやります!」と、今回7インチがリリースされた新曲『NO FUTUREじゃいられない』を披露。パワフルでキラキラしたサウンドが会場を満たしてゆくと、続けざまに同曲のB面でドリー&ボギーが作詞を、ダニーが作曲を手がけた『SPACE ROCK』を投下。初めて3人で詞曲共作したというこの曲は、メンバーが順にボーカルを担っていく、ポップでスペーシーなナンバー。「20th Anniversary」のネオンが彼らを祝福するようにピカピカと光る。新たなアンセムになりそうな2曲を堂々とプレイして、"最新のザ50回転ズ"をしっかりと提示した。なお7インチは、ビンテージ機材を使用してメンバーのみでレコーディングとMIXを行ったというこだわりの1枚。ぜひ7インチもゲットして、音源ならではのサウンドも楽しんでほしい。
ライブもいよいよ後半戦に。「20年前と何も変わらない! 皆キッズのままだろ!?」という言葉が添えられた『WE ARE THE KIDS』を、ダニーは一言ずつハッキリと気持ちを込めて歌う。<今でもデカイ音で スピーカーを揺らしたら ステレオの向こうがわ 磔磔は飛び跳ねる>と歌詞を変えるとフロアは大歓喜。ノスタルジックな空気が会場を満たすと、間髪入れず青春パンク『NO NO NO』で再び勢いを加速した。
ラストスパートは盛り上がり必至の『YOUNGERS ON THE ROAD』、『涙のスターダスト・トレイン』、『おさらばブギウギ』という怒涛の展開で疾走感たっぷりに締め括る。ダニーは「本当にありがとう! 30周年、40周年、50周年でも会いましょう!」と約束し、メンバー紹介からバチバチにカッコ良いソロプレイへ。興奮したオーディエンスは最大音量のコール&レスポンスで応えていた。
最高潮の盛り上がりで本編を終え、すぐさま起こったアンコール。ミドルテンポの『Vinyl Change The World』では、ダニーが「ロックンロールにやられた同士でしょ?」とオーディエンスに呼びかける。ザ50回転ズの3人もそうだったように、ここにいるのはロックに運命を変えられた人たち。1人ひとりがロックンロールの魔法にかけられた時の記憶をなぞるように、手を挙げ歌を口ずさみながら、想いを宿した瞳でステージを見つめていたのが印象的だった。そこから『50回転ズのテーマ』へとなだれ込み、これ以上ないほどのエネルギーでアンコールを終了した。
メンバーがステージをはけた後も、鳴り止まないクラップ。しばらく動きがなく、このまま終了かな?と思ったところでメンバーがカムバック! 帰りかけていたオーディエンスも慌てて戻ってくる。初日からダブルアンコールということで歓喜に湧くフロアにダニーは「俺たち、ロックンロールの魔法がなかったら、アンコール2、帰ってこれませんでした! 皆と俺たちに捧げます!」と述べて、『ロックンロール・マジック』を思い切り響かせた。ロックンロールがなければ、ザ50回転ズとの夢のような時間に全身を浸すこともない。そう思うと、彼らの歩みは全て奇跡だ。思い残すことがないようにと全身全霊で踊り歌ったステージとフロア。ボギーは充実した表情を浮かべ、ドリーは「ありがとう磔磔! ツアー行ってきます!」と笑顔で手を振り、ダニーは地声で「ありがとうー!」と大きく両手を広げた。いつだって最高なザ50回転ズの節目の旅は、ここから続いていく。
こうして12月22日(日)の大阪編ファイナルまで全27カ所を廻るザ50回転ズの20周年ツアーは、最高のスタートを切った。お近くの会場に彼らが訪れた際は、ぜひ足を運んでほしい。セットリストは会場ごとに変えていくとのことなので、どうぞお楽しみに!
Text by ERI KUBOTA
Photo by 小林まり
(2024年9月10日更新)
「ザ50回転ズ20周年ワンマンツアー"NO FUTUREじゃいられない!TOUR”」
~ツアー開幕!おこしやす京都編~
2024.9.7 Sat at 磔磔
01. Saturday Night
02. 放課後のロックンロール
03. レッツゴー3匹!!
04. MONEY! MONEY!
05. KILLER
06. エイトビートがとまらない
07. ゲゲゲの鬼太郎
08. グローリー・グローリー
09. 少年院のソナタ
10. 耳鳴りロック
11. 天王寺エレジー
12. NO FUTUREじゃいられない
13. SPACE ROCK
14. 船乗りたちのメロディ
15. デヴィッド・ボウイをきどって
16. WE ARE THE KIDS
17. NO NO NO
18. YOUNGERS ON THE ROAD
19. 涙のスターダスト・トレイン
20. おさらばブギウギ
EN1.1. Vinyl Change The World
EN1.2. 50回転ズのテーマ
EN2.1. ロックンロール・マジック
~バリバリバリット!R&R甲子園編~
チケット発売中 Pコード:276-535
▼9月14日(土) 16:00
神戸VARIT.
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上有料、未就学児童入場可。
※20周年記念特製ステッカー付。当日会場にて、入場時お渡し致します。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400
【徳島公演】
▼9月15日(日) club GRINDHOUSE
【静岡公演】
▼9月21日(土) 浜松FORCE
【神奈川公演】
▼9月23日(月・祝) F.A.D YOKOHAMA
【千葉公演】
▼9月24日(火) 千葉LOOK
【岩手公演】
▼9月28日(土) the five morioka
【宮城公演】
▼9月29日(日) LIVE HOUSE enn 2nd
【新潟公演】
▼10月5日(土) GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【長野公演】
▼10月6日(日) 長野ライブハウスJ
【石川公演】
▼10月8日(火) 金沢GOLD CREEK
【茨城公演】
▼10月18日(金) 水戸ライトハウス
【福島公演】
▼10月19日(土) 福島OUT LINE
【岐阜公演】
▼10月21日(月) 岐阜CLUB ROOTS
【香川公演】
▼10月25日(金) DIME
【広島公演】
▼10月26日(土) SIX ONE Live STAR
【北海道公演】
▼11月7日(木) CASINO DRIVE
▼11月9日(土)・10日(日) BESSIE HALL
【大分公演】
▼11月21日(木) club SPOT
【鹿児島公演】
▼11月23日(土・祝) 鹿児島SRホール
【熊本公演】
▼11月24日(日) NAVARO
【岡山公演】
▼12月7日(土) CRAZYMAMA KINGDOM
【福岡公演】
▼12月8日(日) LIVE HOUSE CB
【東京公演】
▼12月14日(土) WWW X
【愛知公演】
▼12月15日(日) 名古屋クラブクアトロ
~大阪で生まれたバンドやさかい編ファイナル~
▼12月22日(日) 16:00
BIGCAT
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上有料、未就学児童入場可。
※20周年記念特製ステッカー付。当日会場にて、入場時お渡し致します。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400