ホーム > インタビュー&レポート > “ここにいる全ての人が俺にとって大事な人や!” reGretGirl、4年ぶりの野音ワンマンで響かせた地元愛と決意 『reGretGirl presents SUMMER ONEMAN LIVE 2024 “ どうにかなってしまいそうな野音編”』ライブレポート
真夏の夕刻、少し暑さがやわらいだ大阪城野外音楽堂には、めいめい好きなTシャツやタオルを身に纏ったファンたちが集合していた。物販には長蛇の列。会場入口付近に設けられたフォトスペースでは、笑顔で写真を撮る人の姿が多く見られた。
やがて定刻になり、Back Mashroomの『リンク』をSEに、十九川宗裕(ba)と前田将司(ds)、サポートメンバーの三浦太郎(gt/フレンズ、HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、重永亮介(key)がステージに登場。オーディエンスは待ってましたとばかりに大歓声で迎え入れる。続いて笑顔の平部雅洋(vo.>)が現れると、そのテンションはさらに上昇した。
平部は声高らかに「おい大阪! "どうにかなってしまいそうな野音編"! 一緒にいこうぜよろしく!」と叫び、勢いよく『after』を響かせる。力強く伸びる平部の歌声と疾走感あふれるサウンドに導かれ、サビでは早速客席の手がアップ。サポートメンバーもノリノリで、1曲目からキラキラした景色が生まれると、平部は嬉しそうに「最高やな!」と叫ぶ。間髪入れず前田がビートを叩き込み、さらに勢いを増して『ピアス』をプレイ。「最高の夏にできる?!」と叫んだ平部にシンガロングで応えるオーディエンス。メンバーはファンの愛を一身に受け、音の塊を堂々と解き放っていく。続けざまに国道26号線をテーマにした『ルート26』で突き抜け、平部は「reGretGirlでいっちゃん早いやつやります! 置いていかれんなよ!」と高めて『Remind』を投下。"ワッ!"と湧いた客席のクラップと拳はより一層熱を帯びる。思い切り歌声を張る平部に、全身でベースラインを繰り出す十九川、抜群の安定感でボトムを支える前田。心底楽しそうなサポートメンバーのバイブスも混ざり合って、楽しくも最高の一体感を作り出した。
のっけからフルパワーで4曲を駆け抜け、MCでは平部が「暑い! 大丈夫?」と客席を気遣いつつ、「今日は一緒にどうにかなりにきました! 最後までよろしくお願いします!」と笑顔。「入場の時に塩タブレット配布したやろ?"塩は舐めても、夏の暑さは舐めたらあかん"」という格言も飛び出し、和やかにトークを展開する。平部は「3年前に上京したんやけど、離れれば離れるほど愛って強まるねん。恋愛に似てるのよ」と大阪愛を語り、「でも大阪以外から来てる人がいっぱいいるのも知ってるねん。関西人のダルいノリについてきてな」と思いやり、本編へ。
エッジーなサウンドの中に3人の絆と気合を感じた『バブルス』、躍動感と生々しさの宿るアンサンブルが身体を揺らした『インスタント』を経て、『ハングオーバー』では情景の浮かぶ恋愛模様をキャッチーなメロディーに乗せながら、「もっともっと求めてくれよ!」と叫び、客席との距離をぐんと近づける。ふと空を見上げると、ステージの上には白い半月が浮かんでいた。
2度目のMCでは、今年3月に箕面萱野へと延伸した大阪メトロ御堂筋線の話を経て、ワンマン恒例、前田のハッピーMCタイムへ。前田は金髪にするためブリーチを2回したそうで、薬剤が頭皮に沁みてあまりの痛さに「どうにかなってしまいました」と報告。金髪はメンバーからも好評で、ニコニコ手を振る前田にほのぼのさせられた。
そして平部が4年前のワンマンを振り返る。「コロナ禍真っ只中で、キャパ制限でスッカスカの中、配信もありでやったんですけど、4年経ってパンパンの大阪城野音に立てて、目の前に皆がいてくれるのが嬉しい」と感慨深げ。 「4年前のワンマンで1曲目にやった曲を聴いてもらおうと思います」と『テレフォン』を力一杯歌い上げた。さらにセミが鳴く中でゆったり叙情的に『シャンプー』を奏でた後は、7月に配信リリースされたばかりの『純ラブ』を披露。パワフルでキャッチーで爽やかな夏らしいナンバーだ。十九川のコーラスもよく響き、オーディエンスは歓喜して思い切り手をあげる。
「ここは大阪やし、3人でやるのは俺たちの原点なので、数曲お付き合いください」と平部。サポートの2人がはけ、平部、十九川、前田の3人で、地元・和泉府中の情景が特に色濃く描かれた楽曲たちを披露していった。地元の商店街の名前がタイトルになった『ロードイン』、「春になると黒鳥山公園には綺麗な桜が咲く」と紹介された『ブロッサム』、平部の元カノの家の近くにあり、平部がフラれた夜にひとり涙を流した『二色浜』。そして、今年4月に再録バージョンが配信リリースされた『帰り道』。平部は『帰り道』を歌う前、「reGretGirlを始めるにあたって、多分一番最初に作った曲。ちょっと昔に戻ったつもりで歌ってもいい?一番付き合いの長い曲です」と言葉を添えた。
大切に奏でられた楽曲たちはreGretGirlの歴史を辿りつつ、全楽曲の作詞作曲を手がける平部雅洋という人間の人生を追体験するような感覚で、オーディエンスは拳をあげながらもしっかりと演奏に聴き入っていた。3人から放たれるサウンドは骨太で、波のように重なる間奏も、息ぴったりのキメも、少しいなたいギターソロも、揺れる歌声もエモーショナル。平部は「感傷に浸ってまうわ」と、時折涙を拭ったり、感極まったように上を向いていた。当時を知る人やメンバーにとってはとても懐古的な時間だったが、平部が口癖のように何度も「一緒に」と言っていたように、目の前のオーディエンスを決して置いてけぼりにはしない。誠実にまっすぐに、ただ歌を届けていた。
ここでサポートの三浦と重永がステージにカムバック。平部は軽くギターを鳴らしつつ、思い出話をするように言葉を紡ぐ。「今も帰るたびに思い出す、忘れられない愛だ恋だを歌にして、でっけえ声で歌って皆に聴いてもらって。それってちょっと幸せだなと思ってます。人生そのものが音楽。たいして何もない街、それでも今日は大阪だから、絶対に歌おうと思って持ってきました」と『イズミフチュウ』を、オレンジのライトの下でノスタルジックに響かせた。陽が落ちる時間に重なった『ダレヨリ』は、平部の弾き語りや泣きのギター、高音のピアノもよりエモーショナルに雰囲気を高めたのだった。
平部は「やっぱ大阪ワンマン特別やわ!」と充実感を浮かべ、「どんだけ"皆のために"と歌っても、結局は自分のためやし自分の人生だと思ってしまう瞬間があって。それは逆も然り。音楽は僕の一部やし、皆は僕の一部や。その一部をどんどん大きくしたい」と夢を語る。「まさし(前田)がいてとっくん(十九川)がいて、reGretGirlをやって、誰よりもあたたかく優しい人間であれたらなとずっと思ってます。持ちつ持たれつ、どこまでもいこうな!」と約束し、「まだまだギアあげていきたいんですけど、盛り上がっていけますか?一緒にどうにかなってしまおう! 俺は本当のことしか歌えへんぞ!」と叫び、最強の自己肯定感爆上げソング『KAWAII』を投下。一糸乱れぬクラップでひとつになったところに『ルックバック』を畳み掛け、クライマックスに向けて加速度的に熱量を引き上げていった。
そしてラストスパート。「次は皆の声聴かせてくれ!」と『Shunari』を響かせると、イントロから素晴らしいシンガロングが発生し、メンバーも満面の笑顔を見せる。「あ〜、終わりたくないなあ〜!」と惜しみつつ、いよいよ本編最後の曲へ。アンセム『ホワイトアウト』だとわかった瞬間、客席から響き渡ったシンガロングにはメンバーもグッときた様子。まっすぐで泥臭く、等身大で嘘のない言葉と音楽は、否が応でも心と身体を揺らす。やがて最高潮に高まった会場、すっかり暗くなった大阪城野音の空に"バーン!"と鮮やかな銀テープが放たれ、一番の大歓声が会場を包み込んだ。
アンコールでは、まだ世に出ていない新曲を最速で初披露。「マジで一番早く聴けるのはここにいる皆」という言葉に高まるオーディエンス。「久々にど直球の失恋ソングを書きました」と勢いよく投下された新曲は爽快なロックチューンで、客席は初見にも関わらず、拳をあげて身体を揺らしていた。
ここでreGretGirlから嬉しいお知らせも。12月に3度目となる対バンツアー『LOVE × CALL TOUR 2024-2025』の開催が決定した。12月1日(日)の福岡を皮切りに、札幌・旭川・名古屋・大阪を廻る。ゲストアーティストの解禁を楽しみに待っていよう。
平部は「ほんまはこのMCするつもりじゃなかってんけど、大阪やから話したくて」と前置きし、言葉を紡ぎ始める。平部のアンプの横に置かれた、ライブでは使われないギター。そのギターは亡くなった友人の持ち物だったという。「俺はライブで言葉を歌を交わしてるつもりや。ここにいる全員とまだまだ見たい景色がある。皆の人生は送れないけど、間違いなく皆の一部になれると思ってる。色々な思い出を胸に秘めて今日歌いにきました! 正解なんてわからへんけど、ただ傍にいることはできる。reGretGirlで一番優しい歌」と述べて『tear』を披露した。
歌い始めてギターの方をチラッと見やった平部。目の前にはたくさんの拳があがる。何度も涙を拭いながら歌い上げた『tear』は、平部の優しさと亡き友への想いを乗せて大阪城野音をあたたかく満たしていった。全力で放つ想いの深さと強さには、思わずこみあげるものがあり、オーディエンスもそんな平部の気持ちを受け止めて、しっかりと聴き入っていた。本当に優しく美しい光景。平部の「ここにいる全ての人が俺にとって大事な人や! また絶対会えるようにさ、絶対死ぬなよ!」という魂の叫びは、確実に1人ひとりに届いていた。
ラストは全てを出し切れと言わんばかりに『soak』で思い切りブチ上がる。のっけから歓声をあげて拳を突き上げるオーディエンス。ハンドマイクで「ありがとうな!」と叫び、通路に降りた平部。「スーパーベーシスト!」と紹介された十九川の渾身のソロ。全身全霊で激しいビートを繰り出した前田。サポートの2人も一心不乱に楽器を操る。ステージと客席との熱いエネルギーの交換が、エモーショナルで眩しい景色を作り上げた。
こうして『reGretGirl presents SUMMER ONEMAN LIVE 2024 "どうにかなってしまいそうな野音編"』は大団円を迎えた。平部の地元愛はもちろんよく伝わってきたが、ライブ中に話していた「俺は誰よりも優しくありたい、あたたかい心を持っていたい。そのために音楽を続ける」という言葉が印象的だった。きっとこの言葉は、ファンに勇気と安心をくれたに違いない。「フロム大阪、フロム和泉、フロム和泉府中! reGretGirlでした!」と出自を叫んで深々とお辞儀をし、涙を浮かべつつも晴れ晴れとした表情でステージを後にしたメンバー。客席からの鳴り止まぬ歓声と拍手は、この日彼らが託した全ての想いを受け取ったことを示していたと思う。
reGretGirlは8月29日(木)に、昭和女子大学 人見記念講堂で初のホール公演『reGretGirl presents SUMMER ONEMAN LIVE 2024 "ひとりだと思わないためのホール編"』を行う。そして対バンツアー『reGretGirl presents LOVE × CALL TOUR 2024-2025』は、オフィシャルファンクラブ"ルート26"でチケット最速先行受付中。こちらも是非チェックしてほしい。
Photo by 宇都宮
Text by ERI KUBOTA
(2024年8月15日更新)
01. after
02. ピアス
03. ルート26
04. Remind
05. バブルス
06. インスタント
07. ハングオーバー
08. テレフォン
09. シャンプー
10. 純ラブ
11. ロードイン
12. ブロッサム
13. 二色浜
14. 帰り道
15. イズミフチュウ
16. ダレヨリ
17. KAWAII
18. ルックバック
19. Shunari
20. ホワイトアウト
EN1. 新曲
EN2. tear
EN3. soak
【福岡公演】
▼12月1日(日) DRUM LOGOS
【札幌公演】
▼12月6日(金) ペニーレーン24
【旭川公演】
▼12月7日(土) CASINO DRIVE
【名古屋公演】
▼12月10日(火) Zepp Nagoya
▼12月12日(木) 19:00
Zepp Namba(OSAKA)
1F スタンディング-4400円
2F 指定席-4400円
[ゲスト]有
※未就学児入場不可。ドリンク代別途必要。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
▼9月21日(土)・22日(日・祝) 12:00
大阪城音楽堂
前売-3000円(整理番号付)
前売<学割>-2000円(当日要学生証、整理番号付)
[21日(土)出演]Arakezuri/SHE’S/超能力戦士ドリアン/TRACK15/Bye-Bye-Handの方程式/夜の本気ダンス/リアクション ザ ブッタ/reGretGirl/Re:name [オープニングアクト]Chim Chap
[22日(日・祝)出演]アルカラ/UNCHAIN/カネヨリマサル/帝国喫茶/Hakubi/FIVE NEW OLD/ブランデー戦記/LEGO BIG MORL/他 [オープニングアクト]EVE OF THE LAIN
※<学割について>
※対象者は小・中・高校・専門学校・大学・大学院生となります。
※入場時に受付にて学生証をご提示ください。お忘れの場合は一般チケット料金(差額)をお支払い頂きます。
※小学生は年齢を証明できるものを、中学生以上の方は学生証をご持参ください。
※雨天決行/荒天中止。小学生以上は有料。未就学児童は保護者同伴の場合に限り無料。未就学児童のみでの入場不可。
※出演アーティストは都合により変更になる場合があります。その際も払戻しは一切行いませんので、予めご了承下さい。
※再入場可。
※会場内外にて発生した事故・盗難に関して主催者・会場・出演者は一切の責任を負えません。貴重品等はくれぐれも自己管理願います。
※場内傘の仕様はお控えください。
※アルコール持ち込み禁止。
※熱中症対策(水分補給、帽子、タオル等)、雨天時対策(レインコート等)の準備をお勧め致します。
[問]ヘッドライン■06-6809-5858
[問]清水音泉■06-6357-3666
※reGretGirlは21日(土)出演。