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音楽×マルシェでお届けする関西ローカルの
カルチャー博『méli mélo osaka』ライブレポート

“すきを見つけよう!だいすきを育てよう!”をキャッチコピーに、音楽×マルシェでお届けする関西ローカルのカルチャー博を掲げる『méli mélo osaka 』が7月15日(月・祝)にCreative Center OSAKA(名村造船所跡地)で開催された。今年が初開催となった同イベントのライブレポートをお届けする。

marche①カワハラ-1.jpgイベント名の"méli mélo(メリメロ)"は「いろいろなものがあって楽しい」「わちゃわちゃ」という意味のフランス語に由来する。会場入り口からかわいいオーナメントや入場ゲートが迎えてくれ、すぐに"méli mélo"な雰囲気を楽しむことができた。ライブは屋内ステージの<studio PARTITA>とテント仕立ての<arcade>の2ステージで実施。両ステージ間にはマルシェやワークショップ、フードなど全14店舗が並ぶ。まさに "わちゃわちゃ"を詰め込んだ賑やかな場所で、自分の"すき"を発見し存分に楽しめる空間になっていた。

marche②ヨシマツ-2.jpgマルシェには、ハンドメイドのアクセサリーやキャンドル、バッグやポーチ、スマホケースや、アパレルから陶器、クッキーにいたるまで、かわいくてオシャレで見ているだけでワクワクする雑貨やお菓子が並ぶ。今回はチケットの先行販売でマルシェの「お買物券付きチケット」を限定数販売しており、ゲットできたラッキーな人たちがお得にマルシェで買い物を楽しんでいる姿も多くみられた。フード店舗はホットドッグや、バリエーション豊富なフライドポテトにフレーバーソーダなど、小腹がすいた時に嬉しいラインナップでたくさんの人が列をつくる。さらには鹿革の革細工ワークショップまであり、小さな子からカップルまで自分だけのオリジナル小物づくりに取り組み、méli mélo osakaの思い出を作っていた。

630-1.jpg"わちゃわちゃ"な空間で、真剣に音楽を楽しむ人、音楽を聴きながらゆったりとマルシェを楽しむ人、マルシェでの出会いやスタッフとの会話を楽しむ人、友達とフードやドリンクをシェアして楽しむ人、家族でワークショップを楽しむ人、それぞれがそれぞれの楽しみ方を見つけ、皆が笑顔で溢れていた。

630Marche④-1.jpgさて、ここからは屋内と野外ステージで移動可能な5分のインターバルで交互に行うタイムテーブルが組まれていたライブを各ステージの出演順にレポートしていこう。

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13時に開演した<studio PARTITA>のトップバッターはシンガーソングライターのkiki vivi lily。前半はギターをバックに座って歌う柔らかな雰囲気。中盤の『Lazy』では「一緒に歌ってくれませんか」と声をかけて徐々に観客との距離を縮めていく。後半になると、「みんなで盛り上がっていきましょう!」と立ち上がり、曲調もグルーヴィーな展開に。サポートのMELRAWがギターからサックスに持ち替えて迫力あるソロを聞かせ、「一緒に踊りましょう」と誘ってフロアを気持ち良く揺らした『Blue in Green』。甘い歌声で観客を引き込み、親しみやすいポップネスとブラックミュージックが溶け合う軽快なサウンドで場内を心地よく暖めてくれた。

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ゆうらん船は、本村拓磨 (Ba) / 永井秀和 (Pf) / 内村イタル(Vo/Gt) / 伊藤里文 (Key) / 砂井慧 (Dr)からなる5人組。ダブルキーボードが特徴的で、独自の進化を遂げた創造性豊かな音像を描き出す。『Waiting for the sun』からゆったりとしたテンポで始まり、音量やテンポを自在に変えていく高度なアンサンブル。聴き手の自由なイマジネーションにゆだねるような詩的で暗示的なリリックも耳に残る。圧巻だったのはラストの『PIANO』。刺激的なシンセの音がリードし、「猛スピードで行けよ」と繰り返される歌に導かれるように各パートが鳴らす刺激的でエモーショナルなサウンド。ストレンジな音の海を回遊するような没入感満点のパフォーマンスに大喝采が送られた。

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『Your Favorite Things』からの2曲は鍵盤でゆったりと、3曲目からは立ってギターの弾き語りを披露した柴田聡子。2月にリリースされた最新アルバム『Your Favorite Things』からの新曲を中心に構成されていたが、音源よりもグッと音数を減らすことでボーカルの美しさがより際立っていた。「いいんですよ、自由で...」とやさしく声をかけてマイペースに進行。その場にいる誰もがじっと聴き入らずにいられない。そんな独自の歌世界に観客が吸い込まれている光景を、「こちらから見ると皆さん光の中に溶けていていい感じです」と表現していた。後半は『後悔』から小気味良いカッティングギターでテンポアップ。フロアからもクラップが広がり、リズミカルに感情を解き放つようなボーカリゼーションに大きな拍手が湧き上がる。ラストの『ワンコロメーター』では激しいストロークで加速。高まるクラップと歓声で場内を明るく一体化させてステージを後にした。

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小山田壮平はシンプルなギターの弾き語りスタイルで登場。ソロの曲だけではなくandymori時代の楽曲を織り交ぜて、1曲目はandymoriの2ndアルバム『ファンファーレと熱狂』から『16』で始まり、続く2曲目は今年1月にリリースされた最新ソロアルバム『時をかけるメロディー』からの『マジカルダンサー』というように過去と現在をつないでいくような構成だった。心の繊細な部分に触れるその歌声は今も昔もずっと変わらない。MCでは『méli mélo osaka』 の記念すべき初開催の日に呼ばれたことに感謝し、「これからも2回3回、10回と続いていくことを願いまして」と歌ってくれたのはアルバム表題曲『時をかけるメロディー』。力強くのびやかな歌声を会場の隅々まで送り届けた。地声とファルセットを交えてエモーショナルに響いた『雨の散歩道』。また、"わちゃわちゃ"という意味の"méli mélo"にちなんで、「わちゃわちゃしよう!という曲を聴いてください」と『Life is Party』を。その後も『空は藍色』『すごい速さ』とandymoriの曲が続いて大喝采に。ラストは"また涙に流されても~歩き続けるのさ"と歌う『スライディングギター』で痛快なストロークを奏で、笑顔でステージを去っていった。

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<studio PARTITA>のトリを飾るのは奇妙礼太郎BAND。4月から全国47都道府県を巡る弾き語りツアー中の奇妙礼太郎がこの日はバンドセットで登場。ステージに姿を表すと「イエー!イエー!イエー!」と不敵に煽り、『愛の讃歌』から凄まじい声量とボーカリゼーションで一瞬にして世界を変える。その後も、中盤の『赤いスイートピー』では1コーラス歌うと、2番は観客にシンガロングを促して一体感を高め、最後は圧巻のロングトーンで観客の心を鷲掴みに。後半にはファンキーな曲調の『でっかい犬』、ジャジーな鍵盤が入る『ピアノメン』といった多彩な振れ幅で会場全体を熱く揺らして盛り上がる。さらに『オーシャンゼリゼ』では、「もっともっと~」と煽って再び観客の大合唱を誘発する場面も見られ、誰一人として傍観者ではいられない熱量と多幸感に包まれた。ラストはエナジー大爆発の『わたしの歌』。この日一番の大喝采となり、鳴り止まないクラップが続く中で幕は降ろされたのだった。

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<studio PARTITA>を出て、各アーティストの物販やマルシェがあるオープンスペースをまっすぐ行った先に設置されていたのが<arcade>。両サイドに無数のカラフルなリボンが飾られたステージは手作り感があり、ストリートライブのような開放的な雰囲気だ。トップバッターのSubway Daydreamは双子の藤島裕斗(Gt.)、藤島雅斗(Gt.Vo.)、幼馴染のたまみ(Vo.)、Kana(Dr.)からなる男女4人組。2020年に結成され、eo Music Try 20/21で準グランプリになるなど早くから注目されてきた。この日は爽やかで温かみがあるアコースティク編成で、2月に出た新曲『ジェリーフィッシュ』から始まり、2曲目の『Timeless Melody』というタイトルがぴったりな親しみやすいグッドメロディーで惹きつける。時々目を閉じて気持ち良さそうに歌うボーカルのたまみ。『ケサランパサラン』では「一緒に声だしてくださ~い」とやさしく呼びかけてシンガロングを引き出す。メンバーのMCでは「みなさん自由に楽しんで観てくれてたのが演奏しててすごい気持ちよかった」と嬉しそう。最後に、「ライブハウスで見れば、今日とはまた違う僕らの一面が見れると思う」とアピールしていたが、彼らにとってもきっと新鮮な体験だったに違いない。

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ガットギターの素朴な弾き語りが魅力の周辺住民は小倉聖によるソロプロジェクト。MCでは、「今年旗揚げのイベントに呼んでいただけて嬉しいです。(先に出演したSubway Daydreamを観ていたそうで、)お客さんが笑顔で揺れているのを見て泣きそうになった...」と話していたのが印象的だ。丸メガネに白シャツ、足は雪駄という出立ちで奏でられる音楽は異国のルーツミュージックを昇華したような味わい深さが漂う。前半は音源になっていない3曲を歌い、後半は昨年リリースされたEP『祝福を見上げて』から『ほしの座標』『鳥』『わたしの循環』を披露。哀愁を孕んだ独特のボーカリゼーションで、一度耳にすれば忘れられない余韻を残していった。

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両ステージを通じて唯一のHIPHOPアーティストが神戸出身のNeibiss。ビートメイカー/DJ/ラッパーのratiff(ラティフ)とラッパーのhyunis1000(ヒョンイズセン)の二人組。「今日唯一の楽器持ってないグループなんでユルく楽しんでください」と声を掛けてライブを進行していく。前半は『BOSSA TIME』『FLASH』といった最新アルバム『Daydream Maker』からのナンバーを中心に繰り出す。初見でも自然とそのノリに馴染んでしまうフレンドリーな雰囲気だ。中盤は少しテンポアップしてわちゃわちゃ感を誘発し、ラスト2曲では同じく関西出身のtofubeatsとのコラボ曲『don't like u』も披露されて観客も楽しそうに揺れていた。

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(夜と)SAMPOはメンバー全員が会社員で、「仕事をしながら誰かの心を奮わせる音楽を作る」をモットーに、昨年メジャーデビューを果たした5人組。この日はギターやベースもアコギにウッドベースというアコースティックセットで登場。メンバー全員が座った状態でのステージングだが、一曲目からスピード感がある『春』で気持ちよく走りだす。2曲目の新曲『プラズマクラシックミュージック』はさらに躍動感がアップして観客との掛け合いも飛び出すほど。中盤には少しテンポを落とし、緩急自在に多彩なナンバーで魅了する。またMCではメジャーからの1stアルバム『モンスター』が8月28日にリリースされることが発表され、9月の東阪ライブでは「キーボード5台になります!」と声高にアピール。ラストはパワフルなボーカルとエネルギッシュな演奏で圧倒した『はだかの世界』で熱く締められた。

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そして、イベントのクロージングアクトとして登場したのは眞名子 新。時間は19時過ぎで、バックに灯された豆球の照明ともマッチした弾き語りを奏でる。カントリー&フォークミュージックをルーツに、遠くまでよく伸びる太い声量の持ち主で野外ライブが似合う印象だ。「本当に素敵なフェスに呼んでいただいてありがとうとざいます!」と挨拶し、『ライリーストーン』からは5月にリリースされたEP『カントリーサイドじゃ普通のこと』からのナンバーを中心にパフォーマンス。「ライブの時、あんまり雨が振らないんで助かってます」と晴れ男をアピールし、「明日も晴れたらいいなという気持ちを込めて」口笛が似合う『風船』を歌った。最後の曲はEPのリード曲でもある『一駅』を歌い、心に沁みる余韻を残してライブは終了。当日の天気予報では雨も心配されていたが、開催時間内に雨が降ってくることはなく、穏やかにエンディングを迎えた。

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2ステージ間の移動もしやすいコンパクトな空間で、多彩なライブと手作りのマルシェが同時に楽しめるméli mélo osaka。今年の第一回目を体験して、新たな"すき"を見つけた人もきっと多かっただろう。関西発の新しいイベントとして、来年以降はどんなふうに継続されていくのか楽しみにしていたい。

Text by エイミー野中
Photo by Riku kawahara/他




(2024年8月 1日更新)


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Live

●柴田聡子

ジャニスの◯◯と◯◯シリーズ「柴田聡子とHelsinki Lambda Club」
【大阪公演】
▼9月28日(土) 19:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]柴田聡子/Helsinki Lambda Club
[DJ]DAWA
※未就学児童入場不可(小学生以上入場可、要チケット)。
※出演者が許可した場合を除き、写真撮影、録音・録画禁止。
[問]JANUS■06-6214-7255

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●奇妙礼太郎

「梅田Shangri-La 19th anniversary」
【大阪公演】
▼8月29日(木) 19:00
Shangri-La
自由-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]奇妙礼太郎/荒谷翔大(solo set)
[問]Shangri-La■06-6343-8601

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●(夜と)SAMPO

「1st ALBUM『モンスター』Release Tour 大阪編」
【大阪公演】
▼9月21日(土) 17:30
Live House Anima
全自由-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]フリージアン/他
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

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