ホーム > インタビュー&レポート > 心が軽くなるような開放感が味わえる ニューシングル『風にのって~Over the Moon』をリリース! リアレンジされたキャンディーズの曲も披露する全国9都市を 巡るホールツアーが大阪・フェスティバルホールから開催!! 伊藤蘭インタビュー
『風にのって~Over the Moon』を聴いて
開放感を味わっていただけたら嬉しい
――8月21日リリースの新曲『風にのって~Over the Moon』は昨年刊行された初のエッセイ『Over the Moon~わたしの人生の小さな物語』のタイトルともリンクしていますね。
「"Over the Moon"というのはエッセイのタイトルをどうしようかと考えてた時に出会った言葉で、これだ!と思ってタイトルにしたんです。"Over the Moon"の意味が "月を超えてしまうぐらい楽しい"とか嬉しい時に使う表現ということでいいなと。月が持つイメージにも惹かれましたし、新しいシングル曲を作るときに、この言葉をコンセプトにしたらどんな感じの曲ができるかしら...と、安部純さんに作詞作曲をお願いしたところ、こんな素敵な楽曲になりました」
――歌詞の中に、<気づかず握りしめた 幻想はもう脱ぎ捨てましょ>というフレーズがありますね。その"幻想"とはなんだと思いますか。
「それは皆さんの心の中にあるこだわりか何かでしょうかね。自分を型にはめてしまうようなことも含めて」
――幸せとはこうあるべきとか?
「大人になると、本当に楽しくてしょうがないという瞬間って、少なくなると思うんですよね(苦笑)。でもやっぱり人生にはそういう瞬間がたくさんあってほしいし、皆さんにもあってほしいなと、心に檻や塊のようなものがあったら、それをなるべく手放して、自由に心が軽くなったらいいなという感じで。この曲を聴いていただいて、開放感を味わっていただけたら嬉しいなと思います」
――<暗い夜も照らし出す><世界はshining bright>といったポジティブなフレーズも聴こえてきますが、今は日本も世界も社会全体がなんだか暗い状況ですよね。
「そうですよね。やっぱり、本来そうであってほしい世界観を歌ったという感じでしょうかね。今だからこそみたいなところはあるかもしれないですね」
――確かにそういう気持ちを持ってないと、どんどんネガティヴになってしまいますよね。
「だからこそ、せめて歌だけは...みたいなね」
――蘭さんの歌声もそうですし、ポップミュージックならではの明るい曲調を耳にしていると心が軽くなっていきます。
「『風にのって~Over the Moon』は去年出した『LEVEL 9.9』というアルバムの中の『Shibuya Sta. Drivin' Night』を作ってくださった安部純さんにお願いしました。『Shibuya Sta. Drivin' Night』が私にとってはとても新鮮な曲で、初めて声にエフェクトをかけちゃう歌だったので、そこでひとつ世界観が広がったなと感じて。次はどんな曲が出てくるかなとお願いしたら、この曲ができてきました」
――ソロで活動するようになって、蘭さん自身もすごく自由に新しいことにチャレンジされている印象です。
「やはり昔と少し違って、今はスタッフと一緒にゼロから作っているという実感があります。ゼロから音楽が出来上がっていく過程を確認できるのは¬、昔と違うことで、それが今の自分に活力を与えてくれる。すごく充実感を感じています」
――チャレンジ精神がより湧いてきているんですね。
「そうですね。これを仮歌でもらった時に、こんな難しい歌を歌えるのかな?と。キーも割と幅広く行ったり来たりしますし、難しいなあと思ってたんですけど。やってみると、"風にのって~"じゃないですけど(笑)、音に乗れたという感じはしていますね」
心のどこかに、いつでも何にでもなれる
自由さは残しておきたい
――今回のシングルにはもう一曲『大人は泣かない』という曲が収録されています。
「この曲は、"大人は泣かない"と言っておきながら、結局、(大人になっても)弱いところもまだまだあるし、成長しきれてないんだねっていう...、てへぺろな歌なんじゃないかなと(笑)。なんか多いんですよね...私、てへ...(笑)みたいな感じが。結局私たち大人になれなかったね、てへ...みたいな。もちろん普通の大人としての意識はちゃんとありますけれども、こういう仕事をしてるからなんでしょうかね。(俳優として)いろんな役をやらなきゃならないから、心のどこかに、いつでも何にでもなれるみたいなところを残しておきたいなと思いますね。私はもう大人だからとかそうじゃなくて、いつでも何にでもなれるという自由さみたいなことは意識するときがあります。だから、この曲は自然にそういう大人になりきれない大人になって歌ってるというイメージです」
――以前インタビューさせてもらった時に、蘭さんは歌を歌われる時、その曲の全体像を掴んで、その歌詞の女性像みたいなものをどれだけ自分で消化できてるか...というお話をされていました。この『大人は泣かない』の主人公はどんな女性像だと思いますか。
「う~ん...(しばし考えて)私に近いなと思います。 だから多分、前の(インタビューで話した時の歌の)女性像はきっと本来の自分とのギャップもあったんじゃないですかね(笑)。こっちの方がすっと入ってくるというか...、やっぱり完璧じゃないところがいいなと思います」
――そうなんですね。そこに蘭さんの自然体の可愛らしさが感じられるのかもしれませんね。
「なんかカッコつけきれないというかね(笑)」
――蘭さんにはどれだけキャリアや年齢を重ねてもにじみ出す大人の可愛らしさがあるように思います。大人になってくると頑なになってしまったり、ちょっと怖くなる人もいますが、蘭さんはそうならないやさしさや柔らかさを持ってらっしゃるので。
「あんまり押しが強い感じっていうのは苦手かもしれない。なので、私もそういう風にならないように気をつけようと思ってるのかもしれないですね」
昔の曲も歌うチャンスがあるなら歌っていきたいけれど、
今の私を反映させることができるのは新しい曲
――2019年に歌手としてソロデビューされてから、コンサートではキャンディーズ時代の曲も歌われていますが、ソロの作品としてアルバムやシングルも発表されています。新曲をリリースしていくことにはどんな思いがありますか。
「昔の曲は当然好きな方が多いと思いますし、いい曲が多いので歌うチャンスがあるのなら歌っていこうと思いますけれども。やっぱり今の私を反映させることができるのは新しい曲だと思うんですよね。曲調も自分の好きなサウンドにして、自分を出していける場所であることを曲作りにおいて大事にしたいですね。やはり自分がいいなと思う曲を歌って行きたいというのが基本的にあるので、それはしっかり守っていきたいところですね。自分の好みを音楽に反映させることはなるべく諦めないでやっていけたらなと思ってます」
――今回のニューシングルは蘭さん自身にとってはどういうものになりましたか。
「今までの世界観とも違うし、『Shibuya Sta. Drivin' Night』という、ちょっと都会的なシティポップっぽい曲があって、今回の新曲が生まれたという感じなので、作家の方々との出会いによって、楽曲の幅を広げてもらっているという感じがします。やはり、作家さんの感性とか個性をちゃんとキャッチできるアンテナは、いつも立てておきたいですし、見逃がさないようにしたい。それを受け入れる柔軟さも必要だと思っています」
――ちなみに、蘭さんは日頃からどんなふうに音楽を聴かれているんですか。
「ほっとした時とか、夜寝る前にちらっと聴く感じですけど。ヘッドセットをつけたりAirPodsで聴いたりしてます」
――サブスクで聴かれたりしますか。
「そうですね、いろんなジャンルを手軽に聴けるから。今の若い人たちはそれで育ってるじゃないですか。だから、全ての曲が同列に、同時間に聴ける。そういう人たちが生み出す音楽ってどんな感じになっていくのかなって。キャパシティが大きくて、引き出しもたくさんあるわけですものね。これからのミュージシャンが楽しみですね」
――蘭さんご自身は昨年デビュー50周年を迎えました。51年目の今の心境は?
「もうどこまで私は元気で頑張れるのかな...という感じですよね(笑)。おかげさまで今のところは元気なので、しばらく大丈夫そうです。5月のEXシアター六本木で、"みんなそろそろ終活なんか考えてるんじゃないでしょうね? ダメよ!"と、みなさんに言っておきました(笑)。自分の身の回りを整理するのは、家族のためにも自分のためにも絶対必要なことだと思うんですよ。でも、それだけの人生じゃね...。だから、とにかく今楽しいこともやってほしいなと思います。せっかく生まれてきたんですから、自分の人生を楽しんで、充実させてほしいです」
『伊藤 蘭 ~Over the Moon~ コンサートツアー 2024-2025』では
リアレンジしたキャンディーズの曲も披露
――8月25日から『伊藤 蘭 ~Over the Moon~ コンサートツアー 2024-2025』スタートされます。今回は大阪フェスティバルホールが初日ですね。
「いつも初日は緊張しますけど、 ステージに出る前までが一番緊張していて、出てしまうと少し安心するので、早く皆さんの前に出ていきたいなという心境になります。大阪は昔から本当にお世話になってます。とても親しみを感じる街です。大阪のお客様はストレートで熱いですよね(笑)。ひときわ客席の温度が高いように感じます」
――今回はどのようなステージになりますか。
「コーラスを入れて8人のバンド編成のステージです。曲目はキャンディーズの曲が半分で、リアレンジした曲とソロコンサートで歌うのは初めてのキャンディーズ曲を2曲増やしました。キャンディーズの曲が少し多いような気がしてるんですけど(笑)」
――キャンディーズの曲がどんなふうにリアレンジされているのか楽しみです。
「リアレンジした2曲は5月に六本木のEXシアターでみんなに聴いていただいた『やさしい悪魔』と『アン・ドゥ・トロワ』です。その時は1日限りの公演だったので、今回の全国ツアーでも披露することにしました。キャンディーズの曲をリアレンジして、今までの雰囲気を変えるというのは私にとってはちょっと冒険だったので。皆さんの反応を知りたくて5月のEXシアターでやってみたところ、皆さんが喜んでくださったので、 新鮮に聴こえてくるのかなと。アレンジによって曲の表情が変わるので、それもきっと楽しいのかなって思います」
――蘭さんのステージは衣裳も華やかでファッショナブルですね。
「今回もブロックに分かれた全体の構成に合わせていろいろ考えてます。新しい曲のイメージに合わせる時もありますし、衣裳を考えるときはいつも楽しいですね」
――近年は若い女性の方などファン層が広がってきたそうですね。
「そうですね。ステージから見る客席の雰囲気が少し変わったように感じます。ソロ歌手として行った初めてのコンサートのときは、 私も観てくださる方も、両方手探りな感じが少しあったと思うんですけど、それがだんだん取れてきて、客席が若々しくなってきたような気がしてます」
――では最後にファンのみなさまに向けてメッセージをお願いします。
「キャンディーズ世代の方々も、当時は幼くてコンサートに行けなかった方も成長されてコンサートに参加できる年齢になられてると思うので、そういう方にも来てほしいですし、キャンディーズ世代だったお父さんは奥さまを誘い、娘さんや息子さんにも声をかけて、みんなで来てほしいなと思います。ご家族で楽しめるコンサートにいたしますので、ぜひ遊びに来てください」
Text by エイミー野中
(2024年8月23日更新)
Single『風にのって~Over the Moon』
発売中 1650円(税込)
MHCL 31000
《収録曲》
1. 風にのって~Over the Moon
2. 大人は泣かない
3. 風にのって~Over the Moon(オリジナル・カラオケ)
4. 大人は泣かない(オリジナル・カラオケ)
1973年9月1日、キャンディーズのメンバーとして「あなたに夢中」で歌手デビュー。1978年、キャンディーズ解散とともに一時芸能活動から離れたが、1980年、映画『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督・作)に主演し本格的に女優として復帰する。音楽活動では2019年5月に歌手としてソロデビュー。2023年、3rdアルバム『LEVEL 9.9』をリリースし、同年12月には初のエッセイ『Over the Moon~わたしの人生の小さな物語』を発表。 2024年、8月21日にニューシングル『風にのって~Over the Moon』リリース。8月25日から全国9都市を巡るホールツアー「伊藤 蘭 ~Over the Moon~ コンサートツアー 2024-2025」を開催する。
https://www.diskgarage.com/feature/ito-ran/2024-2025/
▼8月25日(日) 18:00
フェスティバルホール
指定席-9900円
U-18シート-5500円(18歳未満対象、要身分証)
[共演]佐藤準(音楽監督・key)/江渡大悟(g)/笹井克彦(b)/そうる透(ds)/notch(perc)/竹野昌邦(sax)/渡部沙智子(cho)/高柳千野(cho)
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
【宮城公演】
▼9月8日(日) 仙台サンプラザホール
【埼玉公演】
▼9月19日(木) 大宮ソニックシティ 大ホール
【愛知公演】
▼9月23日(月・祝) 愛知県芸術劇場 大ホール
【福岡公演】
▼9月28日(土) キャナルシティ劇場
【熊本公演】
▼9月29日(日) 熊本県立劇場 演劇ホール
▼2025年1月12日(日) 17:00
ロームシアター京都 メインホール
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
▼2025年1月13日(月) 17:00
神戸国際会館こくさいホール
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888