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FM802開局35周年、伊藤政則802DJ歴35周年を記念した
トークバトル、その名も『FM802 35th ANNIVERSARY
“Be FUNKY!!” SPECIAL MASA ITO’S BATTLE OF 4』が
7月の大阪に降臨!

国内はもとよりボン・ジョヴィやナイトレンジャーなど海外のミュージシャンのリスペクトも厚いハード・ロック/ヘヴィ・メタルの第一人者、伊藤政則。FM802開局35周年、そして伊藤政則の802DJ歴35年を記念したトークイベント『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” SPECIAL MASA ITO’S BATTLE OF 4』が7月8日~11日の4日間にわたり旧桜宮公会堂で開催された。
伊藤が各界の著名なゲストを招きトークを繰り広げる名物企画『政則十番勝負』のエクストラ版ともいえるイベントで、今回はFM802から中島ヒロト、浅井博章、落合健太郎、大抜卓人の4人を毎日1名ずつゲストに迎え、打ち合わせなし本番一本勝負のトークバトルを開催。日頃番組では知ることのできないDJたちの素顔をFM802の長男・伊藤が連日にわたって暴いていった、ラジオ愛と笑いに満ちた4日間をレポートでお楽しみください!

【DAY1:大抜卓人】

トップバッターは『on-air with TACTY IN THE MORNING』(月~木6:00~11:00)でおなじみの大抜卓人。ステージには大抜の私物であるギターが並び、のちにエピソードも披露されるが、ひとまずテーブルのゴングを伊藤政則みずからが鳴らす。まずは伊藤が「802の何が好きかを明確にした方がいい」と大抜に迫り、トークバトルの火蓋が切って落とされた。

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"政則チルドレン"を名乗る大抜は、802でDJをスタートした際に「FMラジオはジャーナリズムたれ」という訓示を得たことを振り返り、

大抜「アーティストが何を考え、何を発信しているかを捉えて言葉にする。それがジャーナリズムだと思う。政則さんはそれをずっとやってこられた」
伊藤「そんな難しいことじゃなく好きなことをやってりゃいいし、好きって気持ちが大切。802はアーティストとの関係が密接で、フレンドリーというのとも違って粘着度が強い。いろんな放送局で番組をやってきたけど、802のような放送局は他にないよね?」
大抜「ないと思います」
伊藤「そう。他にはないようにしてきたのが802で、類を見ないぐらいアーティストと接近戦を繰り広げて、ものすごく近い関係を築いてきてる。ヨイショするわけじゃないけどそこで仕事できてるのは嬉しいね」
大抜「僕もそうです。僕も政則さんの『ROCK ON』(金24:00~27:00)のリスナーの1人で、政則さんはたとえばスキッド・ロウが最初にナンバーワンを獲るまでのヒストリーや彼らを見てきたご自身のストーリーを踏まえて曲紹介をされる。そこはDJとして僕も大切にしていますし、それは802にしかできないところ」

と開始早々真面目に語っていたが、背後に並んだ大抜のギターに話が及ぶと一転。彼がこれまでに築き上げた幾つもの知られざるエピソードが明かされていく。

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この日伊藤が身に着けていた衣装とはからずも同じドット柄のギターは大抜の一番のお気に入りで、ヴィヴィアン・キャンベルがホワイトスネイクに在籍した頃のモデルだという。熱烈なファンである大抜は、2002年にヴィヴィアンがデフ・レパードの一員として来日した際にインタビューする機会を得た。が、「ホワイトスネイクにいた頃の話が聞きたい、と言ったらヴィヴィアンの機嫌が悪くなっちゃって(笑)」とあっけらかん。他にもポール・ギルバートやヌーノ・ベッテンコートなど名だたるギターヒーローにアプローチしたことや、ドッケンのジョージ・リンチを前に『ミスター・スケアリー』を弾いたという逸話には伊藤も唖然。さらにB'zの松本孝弘の前で『ULTRA SOUL』をゾウさんギターで演奏したという報告に、「...相手がいい人たちばかりで本当によかったな」とたしなめるように言い、場内は笑いに包まれた。

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「初日だしドッカーンと笑いをとって締めないとと思ってるけど難しいな」と苦笑する伊藤を尻目に大抜はペースを崩すことなく、「ポイズンはなんで来日しないんですか?」と質問。翌日登壇する落合とは同い年でよく食事に行く仲とのことで、「何かメッセージはある?」と聞かれると「自分のペースで頑張ってください! いつものオチケンさんで」としれっと答えた。伊藤が最後に「こんな弾まないトークショーも珍しい。(感想を)お客さんに聞いてみたらいいよ」と言うと、すかさず大抜は場内を見渡し、「どうでした? 楽しかったですよね?」とみずからも膝を叩いて盛り上げる。数々のエピソードで笑わせてくれた大抜の憎めない人柄、失敗したことも含め一つひとつの経験を糧にどこまでも前向きに突き進むタフさが伊藤によって引き出された初日のバトルはどちらの勝利だったのか?

【DAY2:落合健太郎】

初日は爆笑&苦笑のうちに予定時間をオーバー。しかし本日のゲスト、落合は21時から『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes On!!-』(月~木21:00~23:48)の生放送があり延長戦は避けなければならない。まずは伊藤が「子供の頃から"おちけん"と呼ばれてたの?」と振ると、その答えとともに、落合が小学校から大学まで13年間アメリカで過ごしたことへ話が及ぶ。話の流れで落合が「伊藤政則(いとう・せいそく)」というペンネームを本名だと認識していたと衝撃の告白。「海外とのお仕事の時はMASA ITO、それ以外は伊藤政則で二刀流かと思っていた」と驚きを隠せないでいると、「伊藤政則(いとう・まさのり)だよ! この場にいる人で、"せいそく"が本名だと思ってる人なんていないよ? すごいなオチケン!」(伊藤)と驚きを通り越して感心する様子。

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高校時代は引っ込み思案だったという落合が、大学で突如演劇に開眼。即興劇に目覚めたが単位の関係で断念し、次にキャンパスラジオに出会う。週に1回日本の音楽だけを流す2時間の番組を担当した。帰国後は将来を見据えて俳優業を志し、なんと西田敏行や竹中直人が在籍した劇団青年座のオーディションを受け、見事合格。

伊藤「もしかしたら今頃役者になってたかもしれないの?」
落合「そうなんですよ!」
伊藤「なんで青年座だったの?」
落合「受験料が安かったんです(笑)」

その後青年座の養成所に通いながらDJスクールにも特待生で所属し、やがてZIP FMのDJオーディションを受け合格。名古屋でDJをスタートした。「おちけん」の愛称は名古屋時代に先輩DJが命名。話を聞きながら伊藤は、現在の場所へ辿り着くまでに落合が幾つもの関門をクリアしてきたことを讃え、「途中で挫折する人だっている。802のDJとして番組を持つなんて、"選ばれた人"だからね」との言葉を贈った。

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前日に登壇した大抜からのメッセージ「自分のペースで頑張ってください! いつものオチケンさんで」を伝えるとともに、恒例の質問である「FM802のどんなところが好きか?」と訊ねる。落合は「一体感がある。距離感が近い。DJ同士もそうだしDJ とスタッフ、DJとアーティストの距離感も近い」と答え、それには伊藤も「802はワンアンドオンリーだよな」と返していた。

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さらに伊藤が、「何か聞きたいことない? 犯罪事案以外は喋れるよ(笑)」と投げかけると落合は、これまで伊藤が執筆してきた膨大な洋楽作品のライナーノーツやラジオでのトークスキルを挙げ、伊藤ならではの音楽の聴き方や言葉の説得力、発想力の源に切り込んでいく。伊藤は小学生の頃から読書感想文や作文が得意だったと語り、ラジオを聴き始めてからは、リクエストハガキを送る際には文字は綺麗に書くこと、ピックアップされやすい内容を書くことを第一義とし、自身を"ハガキ職人だった"と振り返る。また、ブログや投稿で誰でも文章を書き発信できる今は、インパクトのあるものが書けるかが重要という持論を述べ、「同じ曲を紹介してもDJによってその曲から聴こえるものは違ってくる。それはDJの個性。"好き"ということはとても重要で、自分はこの曲が好き、このバンドのこういうところが好きだという気持ちで紹介することが大事。じゃないとリスナーに伝わらない」と語る。DJのみならずライターとしてコラム執筆なども手掛ける落合は終始頷きながら聞き入っていた。その落合に、「そういう気持ちで今日も21時からの番組を頑張ってください!(笑)」と温かいエールを送り、見事に時間ぴったり、拍手に包まれる中DAY2の幕が降りた。

【DAY3:中島ヒロト】

3日目は『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』(月~木14:00~17:51)でおなじみ中島ヒロトが登場。この日は伊藤の71歳のバースデーで、誕生日にちなんで中島に抱負を尋ねられると、「特にない。今のままでいい。これまで正月に一年の目標を立てたこともない(笑)」とし、「それよりも、中島ヒロト目線で"伊藤政則がこういうことをやったら面白い"っていうアドバイスはないですか?」といきなりの無茶ぶり。これには中島も「それ、僕が言っていいんですか?」と恐縮したのち、一旦仕切り直して伊藤のために取り寄せたスタン・ハンセンのTシャツをプレゼント。

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スタン・ハンセンとはプロレス好きなら知らない者はいないレジェンドレスラーなのだが...、

伊藤「(Tシャツを広げながら)俺プロレスは好きなんだけど、スタン・ハンセンが好きって言ったことはないんだよな」
中島「嬉しいか、嬉しくないかだけ言ってくださいよ!(笑)」
伊藤「嬉しいよ!(笑)。俺プロレスのTシャツは1枚も持ってないんだから!」

「ヒロトとは長い付き合いだから」(伊藤)というだけありトークもリラックスしたムードで進む。過去に一度中島が番組のピンチヒッターを伊藤に依頼した事があったというエピソードや、20年ほど前に2人で年越しの特番を担当した事を振り返った。その特番では伊藤がリスナーの悩み相談に乗り、なおかつ相談内容にマッチした曲を選んでオンエア。番組終了後はお正月らしくお節料理を囲んだ思い出を語った。また、今回のイベントの告知で伊藤が「大抜、落合、浅井は音楽。ヒロトを攻めるポイントはエロ本(笑)」とコメントした真相も明らかにし場内を爆笑の渦に。興が乗ってきたところで中島は「こんな機会だから言いますけど、最初は政則さんが怖かった(笑)」と告白。その理由の1つとして、伊藤と同い年で仲の良いベテランDJマーキーと伊藤のやりとりを、中島目線でモノマネを交えて再現。これには場内が沸きに沸いた。

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今回のトークイベントで伊藤は、ゲスト全員に共通の質問「FM802の好きなところ」を聞いている。中島の回答は「DJの仲が良い」。月・火曜日に登場した後輩DJの大抜、落合へのさりげなく温かい言葉とともに、

中島「何人かでご飯食べに行ったり、特番とかで忙しくしている後輩がいたら"体、大丈夫?"って声をかけたりはしますね」
伊藤「そんなことしてんの? へえ、優しいんだねえ!」
中島「優しんですよ僕は(笑)」

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さらに、中島ヒロトが出身地である熊本でDJとしてスタートした頃のエピソードや、現在の活躍の入り口となるFM802のオーディションについても深掘り。四次審査まであったというオーディションの内容など、ここでしか聞けない貴重なエピソードの数々を引き出していった。最後に中島が「ハードロック、ヘヴィメタルに詳しい政則さんも好きだしラジオDJとしての政則さんが好き」と敬愛を込めて語ると、伊藤は「また一緒に特番やろうよ。俺、ニュース読んでみたいな(笑)」と提案。拍手で応えるお客さんに「みんな、"伊藤政則さんと中島ヒロトの特番をやってほしい"ってXでつぶやくんですよ」(中島)と笑わせ大盛況のうちにDAY3が終了。

会場には翌日のゲストである浅井博章の姿があり、伊藤もトークの中で「さっき楽屋に浅井くんが来たよ。明日と日にちを間違えたのかなって。真面目なんだね、浅井くんは」と話していた。さて今回の4日間のうちもっとも盛り上がったと噂の最終日はいかに?

【DAY4:浅井博章】

最終日7月11日のゲストは、4人の中では一番先輩となる1993年DJデビューの浅井博章。登場するなり、伊藤政則に「昨日、出番じゃないのになんで来てたの?」とツッコまれた浅井は、「僕の人生なんて、みんなに比べたら面白くないから、大丈夫かなと思って...」と、偵察の理由を話し、緊張の表情をみせた。

DAY1、DAY2も自身の番組『EVENING TAP』(月・火18:00~21:00)の生放送がなかったら観に来たかったという。「なんでそんなに緊張してるの? なにか秘密でもあるの?」と伊藤が聞くと、浅井は自身の性格について、「カフがあがると、きちんとした人格を演じるようにしているんです。カッコつけちゃうんですよ」と明かし、「オフモードの自分をリスナーに見せないようにしてきた」とも。伊藤は「月・火・水の3人とは全く違うタイプだね(笑)」と、浅井の知られざる人物像に迫っていく。

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浅井のDJ人生は大学生のときにはじまった。何気なく入ったDJサークルの新歓合宿で、はじめて人前でDJを経験。そこから洋楽にハマり、音楽漬けの日々となった。そして話題はアイドルが大好きだったという中高生時代の趣味の話へ。

毎月4冊のアイドル雑誌を購読するほどアイドルにハマっていた浅井少年。「読者投稿のページにちょっとエッチな短編小説を書いていたんです。黒歴史なんですけど...」投稿は数回に渡り採用され、3000円~1万円の賞金を受け取っていたというエピソードが明かされると、「すごい! DJより、作家を目指した方が良かったんじゃない!? 印税がっぽり!(笑)」と目を丸くする伊藤。さらに「今は簡単にインターネットで古本を探せますからね...」と不敵な笑みを浮かべると会場は笑いに包まれた。「銃を突きつけられても当時のペンネームは言いません!(笑)」と恥ずかしがる浅井だったが、伊藤は、「高校生で投稿が採用されて、現金をもらうなんてすごいことだよ!」と浅井の秘めたる文才を絶賛した。

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そして、バーやレコード店でDJの腕を磨き、大学3年の夏にFM802のオーディションに合格するまでのヒストリーがたっぷり語られ、観客も熱心に聞き入っていた。好きなことを仕事にするまでの浅井の弛まぬ努力とバイタリティに終始感心する伊藤だった。

共通の質問「FM802の好きなところ」に対する浅井の答えは、「楽曲をフルコーラスでかけること」。
「音楽をかけたくてDJになったので。僕が好きな音楽を少しでもほかの人にも好きになってほしい。"音楽ファースト"をこれからも大事にしていきたいです」と真面目に語る浅井だったが、伊藤は、「日曜の朝『SUPERFINE SUNDAY』(日曜7:00~12:00)に、エロい話は絶対ダメだな(笑)」と容赦なくイジり、会場は爆笑に。

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浅井「ダメですよ! 朝ごはんを食べてるファミリーが聞いてるんですから!」
伊藤「エロい話がダメなら、番組内でここにいる人だけにわかるキーワードを言ってよ! 投稿してた雑誌名は?」
浅井「やめてくださいよーー!(笑)B×××です...」
伊藤「CMいきます!B×××とか(笑)」

伊藤の無茶ぶりで、半ば強制的に約束させられるとゴングが鳴り、大爆笑の中イベントが終了。果たして番組内でキーワードは叫ばれたのか。気になる人はぜひradikoのタイムフリーでチェックを!(笑)。

文:梶原有紀子、岡田あさみ
写真:写真提供:FM802、撮影:田浦ボン




(2024年7月19日更新)


Check

担当番組

伊藤政則

「ROCK ON」
金 24:00~27:00


大抜卓人

「on-air with TACTY IN THE MORNING」
月~木 6:00~11:00


落合健太郎

「ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-」
月~木 21:00~23:48

「Chillin’ Sunday」
日 15:00~18:00


中島ヒロト

「THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS」
月~木 14:00~17:51


浅井博章

「EVENING TAP」
月~火 18:00~21:00

「SUPERFINE SUNDAY」
日 7:00~12:00