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花*花が24年前のメジャーデビュー時に抱いた戸惑いと
現在に生かされている繋がり
「テレビに出るために音楽をやっているわけじゃない、
という気持ちもありました」

2000年にメジャーデビューし、「あ~よかった」(2000年)、「さよなら、大好きな人」(同年)など数々のヒット曲を発表してきた花*花。2025年にメジャーデビュー25周年を迎える二人が、それに向けたライブイベント『24周年記念ライブ~heading to quarter~』を東京、大阪で開催する。2003年から約6年の活動休止をはさむなど、紆余曲折もあった花*花は、どんな風に音楽と向き合いながらここまでやってきたのか。8月7日(水)にリリースされる初のカバーアルバム『Good Song Laboratory』にちなんだ話題も絡めながら、メンバーである、おのまきこ、こじまいずみに話を訊いた。

おのまきこ「私たちは『癒し系』と言われていたけど、全然違うよねって(笑)」


――7月に東京、大阪で『24周年記念ライブ~heading to quarter~』が開催されます。タイトル通り、2025年に迎えるメジャーデビュー25周年に向けた内容になりそうですね。

おの:2025年にお祭りをやるためには、その前の節目ではない年が大事というか。これまでいろんな方と出会ってきたので、いろんな人を巻き込みながら感謝も伝えたいですね。ただ、これまで25周年を目指してやってきたわけではなく、いろんなライブやイベントにお誘いいただいて、一つずつ楽しくやってきたらここにたどり着いたという感じなんです。目標を立ててめっちゃ頑張ってやっていくのではなく、少しずつ、丁寧にやっていたら結果的に長く続けることができました。

こじま:私たちにとって音楽を作ったりライブをしたりするのって、仕事ではありますが、でも歯磨きや食事と同じで日常的なものなんです。なので、目標とかゴールとか、そういう面では気合を入れ過ぎてやっているものではないというか。活動する規模の大小とかも関係なくて、自分たちがそのときできる音楽しかやってこなかったですし。ただただこの二人で音楽をやっていることが楽しくて、それはずっと変わっていないです。

――メジャーデビュー時に所属していた事務所の音楽事業打ち切りの影響で、2003年から2009年まで活動を休止されていらっしゃいましたよね。音楽が日常の一部分だった二人にとって、休止前と活動再開後では、なにか気持ちに変化はありましたか。

こじま:音楽は自分たちの日常にあるものだからこそ、休止前って「自分にとっての音楽ってなんなのか」「こういうことを私はやりたいんじゃないか」などいろいろ模索していて。当時は制作が追いつかないくらい忙しいときもありましたし。でも活動を再開してからここまでの15年で、花*花が求められている音楽がなんなのか自分たちなりに分かってきました。今は胸を張って「これが花*花の音楽やから」と言えるようになりました。

おの:あとメジャーデビューしてから一時休止までの約3年って、レコード会社の方、メディアの方などいろんな人と知り合うことができて、その出会いが活動再開後に繋がっているんです。6年くらい休止していましたが、10周年のタイミングで「また活動をやらないの?」と声をかけてもらって、そのとき、あの約3年で知り合った方々がいっぱい助けてくださいました。そこで「こんなにいろんな人が待っていてくれたんだ」と実感できたんです。6年の空白をみなさんが埋めてくださった気がして。私の場合はちょうど音楽と離れて自由に過ごしていたので、特に嬉しかったですね。活動再開をしたときもファンのみなさんが「おかえり」と言ってくださって。すべて、最初のあの3年があったからこそだと思っています。

――音楽面、人柄などいろんな面で花*花の印象が良かったんじゃないかなって思います。

おの:でも今よりも考え方が子どもだったから、嫌なことがあったらめっちゃ顔に出ていました。

こじま:絶対に出ていました。もしあのときSNSがあったら、いろいろ言われてたんじゃないかってくらい。

おの:私たちは「癒し系」と言われていたけど、全然違うよねって(笑)。



こじまいずみ「リリックは"文学"なので、時代性を感じさせたくない」


――音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)に初登場したときも、日本酒を一升瓶で持ち込んで"酒盛り"していましたし!

こじま:その映像が最近、TikTokかなにかにアップされていたらしくて私の息子が見つけたんですよ。息子から話を聞いたとき「ちょっと待って、ほんまに? 最悪や...」ってなりました(笑)。でもあの収録はすごくよく覚えています。ツアー帰りで、日本酒をお土産で持って行ったんですよね。で、MCのダウンタウンの松本(人志)さんと飲んで。

おの:私たち"CHAMP"って一回しか出ていないのに、そこでお酒を飲んでいたなんて...。

こじま:松本さんが最近、お酒を飲むようになったって聞いたから持っていたんですけど、私がすぐに飲んじゃったから、浜田(雅功)さんも「え、もう飲んだん?」と驚いたり。多分、その映像を息子の友だちが見つけて、「これってお前のお母さんじゃない?」となったみたい。ちなみに息子は、友だちとカラオケとか言ったら花*花の曲を歌っている映像とか送ってきたりするんですよ。

――そうやって息子さんたちもカラオケで歌うくらい、花*花の曲はエバーグリーン化しているじゃないですか。8月には「良い歌には理由がある」というテーマのもと、カバーアルバム『Good Song Laboratory』をリリースされますが、そのテーマって花*花の曲にも言えることですよね。

こじま:花*花の歌を作るとき、二人の間で暗黙のルールみたいなものがあるんです。それは「10年先、50年先、100年先に聴いても『古い』と思われる言葉は使わないでおこう」ということ。音質、音程、使う音の種類は年代によるんです。そのときに流行しているミックスや、選ばれる音色もあります。ただリリックに関しては"文学"なので、時代性を感じさせたくなくて。歌詞の面はスタンダードであるべきだと自分たちは考えています。カバーアルバムで演奏している曲もまさにそうであると捉えていて、自分たちで作る歌詞や言葉も、いかに普遍的かどうかを無意識的にチョイスしています。

――だからなのか、花*花の曲は「どんな物事でも必ず終わる」というかなり現実的な内容のものも多く、それに沿った言葉が使われています。この「どんな物事でも必ず終わる」はまさに普遍的なテーマですよね。

こじま:そういうことに対して嘘をつきたくないんです。「花*花ってなにが売りなんですか」と聞かれたら、まさにその部分。うちらは同い年で、48歳になる世代。人生を本にたとえると、半分開いたところにしおりが挿みこまれている感じ。それまでのページって、生まれたこと、かわいらしい初恋、結婚とかの話が書いてある。でもこの先のページって「なにを手放したか」「誰がいなくなったか」とか、喪失や終わりの話がたくさん出てくる。それって誰もが歳を重ねると等しく経験するもの。そこは格好つけず、作品として書いていきたいんです。

おの:ある方が「花*花は生活ソング」とおっしゃってくださったのですが、私たちは広い世界のことは歌っていない。だからからこそ、いずみさんが言っていたように嘘がないんですよね。リアルな生活ソングなんです。妄想や想像の世界で曲を作ることもできるけど、自分たちが歌うとなるとちょっと違和感がある気がします。そういう部分が、自分たちの曲の普遍性に繋がっているのかなって。

――たしかに。

おの:あと、聴いてくださる方にも「全部共感してください」じゃないんです。自分はこう思いました、いずみさんはこう思いましたということを文章にして、音楽をつけているので、「あ、この部分はちょっと分かる」でいいんです。その"ちょっと"で聴いてくださる方とリンクできたら、花*花の曲としては大成功。



人生の最後の1ページに書くもの


――すごく丁寧に音楽作りをされているからこそ、デビュー当時、忙し過ぎてなかなか制作などに手が回らない状況ってもどかしかったんじゃないですか。あと、テレビ番組などにもたくさん出ていらっしゃいましたが、どこかで「本当にやりたいことはこれじゃない」という意識もあったんじゃないかなって。

おの:「私たちを番組に呼んでくださってありがとうございます」という気持ちはもちろんあった前提ですが、それでもすごく忙しくて、初めてのことだらけだったので、どうやって自分で自分に辻褄を合わせていこうか考えていました。私は「このテレビ番組に出ればライブにお客さんが来てくれる」「CDを買っていただいて、良い音楽を作ることができる」と思っていて。いずみさんにもずっとそう言っていたんです。

こじま:今だから言えますが、私は考え方が幼かったので「テレビに出るために音楽をやっているわけじゃない」という気持ちが強かった時期もありました。そういうとき「自分はこの世界に向いてないんちゃうかな」って悩みましたね。でも今はなにをするにしても楽しいです。どんなことでも楽しく受け入れられるようになりました。

――そういった経験は今後の活動にも生かされそうですね。

おの:いずみさんがさっき、人生を本にたとえていたじゃないですか。「私だったら残りのページになにを書くんだろう」とさっきからずっと考えていて。最後のページには多分「なんやかんやあったけど、おもろかった」と書いて終わる気がします。

こじま:私はこの10年くらいでやっと地に足がついた気がしているんです。やりたいことはこれだと言えるようになって、「こういう音楽をやろう」とジャッジできるようにもなってきた。そういう歩みのスピードって、速くなったり、遅くなったりするじゃないですか。それを繰り返していたら、最後の1ページに書く一文が自然と見つかるんじゃないかなって。この世を去る間際に「やっと、地に足がしっかりついた」と書ければ、最高の人生ですね。

Text by 田辺ユウキ




(2024年7月 2日更新)


Check

Live

花*花 24周年記念ライブ
~heading to quarter~

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:262-208
▼7月20日(土) 19:00
daikanyama 晴れたら空に豆まいて
全自由 大人-6500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
全自由 子供(4歳~小学生)-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳以上はチケット必要。3歳以下は保護者1名につき1名まで膝上無料。お席が必要な場合は有料。
※販売期間中は1人1公演4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:262-208
▼7月27日(土) 16:00
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
全席指定 大人-6500円
全席指定 子供(4歳~小学生)-3000円
※4歳以上はチケット必要。3歳以下は保護者1名につき1名まで膝上無料。お席が必要な場合は有料。
※販売期間中は1人1公演4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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