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“今の僕たちの初期衝動が詰め込まれた、良いアルバム”
DENIMSが『RICORITA』で見せた衝動と素直なクリエイティブ

大阪発の4人組バンド・DENIMSが、6月12日に4thフルアルバム『RICORITA』をリリースした。2023年1月リリースの前作3rdフルアルバム『ugly beauty』以来、『春告』『おふろのうた』『たがまま』『Runinn’』と、コンスタントに世に送り出した配信シングルや、前身バンドであるAWAYOKUBA時代のセルフカバー曲『たりらりら』を含む、全10曲が収録された今作は、全て自主スタジオで録音されたもので、彼らの経験と実力、やりたいことがリアルに結実した、今のDENIIMSのモードも表した集大成的な1枚となった。今回は釜中健伍(vo.gt)と岡本悠亮(gt)に1年半ぶりのインタビューを実施。7月からは全国10カ所を廻るワンマンツアー『RICORITA release oneman tour「Journey to RICORITA」』が行われる。久々だという真夏のツアーでともに旅に出よう。

『ugly beauty』を経て整った、DIYでの制作環境



ーー最近のDENIIMSはどうですか?

釜中「今までで1番良い感じだと思います」

ーー制作もライブも順調ですか?

釜中「そうですね。前作『ugly beauty』からペースよく出せるようになってきた感じはします。『ugly beauty』のリリースツアー(202212月~20233月開催)中に、今回収録されてる『春告(M-7)』をリリースしたり。ツアー中に曲を出せたことなんか今までなかったし、ツアーが終わってからもコンスタントに配信シングルを5曲も出せましたし」

ーー前作は徳人(土井/ba)くんが加入して初めてのアルバムでしたが、今の4人での曲作りのペースが完全に作れた感じですか?

釜中「ペースというか雰囲気が作れました。前のアルバムと違って、今回は自分たちのOSAMI studio.DIYで録音したんです。単純にレコーディングスタジオを予約する時間がなくて済むので、曲ができて"この時期にリリースしたい"となったら、ちょっと無理して自分たちで録音して、ミックスとマスタリングだけエンジニアさんに送ることができて。自分たちのスタジオで録音できる環境を整えられたのは、大きいかなと思います」

ーーDIYにしようと思った理由はありましたか?

釜中「ずっと自主レーベルでやってたんですけど、2つ前のEPmore local(20209月リリース)』と前作『ugly beauty』はHIP LAND MUSICにお世話になっていて、今回からまた自主レーベルに戻ったんです」

岡本「『春告』を江山(真司/ds)に録ってもらって、エンジニアさんだけ別注したんですけど、その流れでアルバム制作に入ったから、割と自分らのペースでやれたのかな」

釜中「『春告』がCMソングで依頼がきて、まずショートバージョンを作って、エンジニアさんに投げて返ってきたものを聴いたら、"僕たちのスタジオでも音良い感じやん"となって。ちゃんと要望さえ伝えたら、自分たちのスタジオで十分だなということがわかったのもあって、結果的に全部DIYになってますね」

ーーそれこそ『ugly beauty』は、レコーディングディレクションに韻シストのTAKUさんやドラムテックの方といった外部の力も入れながら制作されていましたが、その経験が今作に活きた部分もありますか?

釜中「やっぱりTAKUさんに色々教えてもらったのはデカかったですね。音楽的な部分もやし、単純にエンジニアさんへの伝え方とか。レコーディングで意識するところは学べたので、DIYでやっていこうとは思ってなかったんですけど、自然とそうなっていきましたね」




"利己と利他"。アルバムタイトルをつけた理由



ーー前作は"相反するふたつのものを受け入れて先に進んでいこう、人生は素晴らしい"ということを歌った作品でしたが、今回は"私と貴方のためのアルバム"がテーマです。そうなったのも自然な流れですか?

釜中「僕、相反するものを歌うのはずっと好きで、それは今回も一緒なんですけど、今回のテーマは、自分に子どもができたのも大きな理由のひとつやと思います。ずっと自分自身のために音楽をやってるし、それは変わらないけど、人のためになればいいなということを歌えるようになった。『たがまま(M-10)』という曲は特に、我がままであり他の人のためでもある。そのテーマをタイトルにしようというので『RICORITA』(=利己利他)にして。『RICORITA』もリード曲の『Song For You & Me(M-2)』も『たがまま』も、アウトプットが違うだけでテーマ的には全部同じ。"こういうアルバムを作ろう"と思っていたわけじゃないんですけど、作っていくとそういう曲が多くなっていたし、曲が揃った時に"自分の歌うテーマってなんだろう"と考えて、テーマとタイトルを決めました」

ーー良いタイトルですよね。響きや字面は可愛いけれど、漢字にすると一気に見えるものが変わる。

釜中「後付けやけど、調べたら"RICO"がラテン語で"裕福な、おいしい、かわいい""RITA"がイタリア語で""という意味やったんです。最初『たがまま』を言い換えたようなアルバムタイトルを色んな言語で探したけど、全然しっくりくるものがなくて。で、おかゆ(岡本)の息子がりたくんという名前で、由来に"利他的"という意味があることも聞いてたので、じゃありたくんから取ろうとなって。"利己"も良い言葉を探したけど、おかゆが"そのままでいいんちゃう"と言って、『RICORITA』になりました。響きがポルトガルっぽくて、アルバムジャケットの雰囲気にも合うタイトルだなと思いました」

630DSC06041.pngーーおかゆちゃんにとっては、より思い入れのあるタイトルになったんですね。

岡本「そうですね。息子に"りたくんの名前がアルバム名になるよ"とは言いましたよ」

ーー今いくつですか?

岡本「その時は9ヶ月とか10ヶ月。多分わけわかってないですけど、"あー"言うてました」

ーー(笑)。もう少し大きくなった時が楽しみですね。意味深い1枚であり、集大成的な1枚になったんですね。

釜中「音楽的にも毎度バラバラで、"なんでもやりたいことやっちゃおう"というのはずっと変わらずですけど、単純にクオリティも上がってると思います。前身バンド・AWAYOKUBAの『たりらりら』を再録したり、リード曲の『Song For You & Me』は、初期の激しめのDENIIMSみたいな雰囲気だけど、"利己・利他"の精神性が持てている。最初の初期衝動とは違う、今の僕たちの初期衝動が詰め込まれた良いアルバムかなと思いました」

岡本「ギターに関しても、ほんまに頭の中にあるものをそのままトレースできたので、透明度は今回の方が高いですね。漠然とやりたいことがあっても、バンドで合わせていくうちに"やっぱ違うかな"となったり、自分の実力のなさで表現しきれないことが毎回あるんですけど、今回は全体を通してすごい透明度で表現できたので、そういう意味では前作を超える出来だと思います」

ーー制作過程はスムーズでしたか?

岡本「僕はあまり悩まんかったですね。歌に関してはまた別かもしれないです」

釜中「曲によりけりですけど、想像通りにできた曲はかなり増えた気がします。でもアルバムは毎度苦労しますね。シングルはアルバムのことを意識せずに作ってはいるけど、かなり丁寧にやったし、アルバムの中でとっ散らからない曲順や流れを考えないといけない。『Song For You & Me』をアルバムの顔にしようと決めた時は、変に意気込んじゃって大変でした」

岡本「確かに、『Song For You & Me』はめっちゃ時間かかったな」




DENIMSにとって、現状打破したい人にとって、今必要な歌



ーー『Journey To Begins(M-1)』はまさに1曲目というイメージで、『Song For You & Me』に繋がる幕開けの曲になっていますね。そのために書いたのかなと思うぐらい。

岡本「これはほんまにそうです」

釜中9曲でもアルバムとして成り立つかと言ってたんですけど、『Journey To Begins』があるとないでは全然違うよなというので、最後らへんに急遽作りました。逆にそういう曲の方が、気負ってなくて良かったりする」

ーー1曲目を『Song For You & Me』にする案もあったんですか?

釜中「持ってる手札が9曲しかなくて、残り時間も少ないけど、自分たちのスタジオやからパッと録っちゃおうと。『Song For You & Me』と同じキーにしといて、アウトロをバーンと伸ばしてから、『Song For You & Me』にダンと繋がるようなイメージで作りました」

ーー繋ぎが気持ち良くて物語感が増すのと、<始まりはこれから>というフレーズでDENIMSとしての新たなフェーズも感じましたが、その辺りはどうですか?

釜中「もうその通りです(笑)。あとこれも全然意識してなかったんですけど、僕、おかゆが作った『irotoodore(M-9)』のタイトルも歌詞もまだ知らない時に、『Journey To Begins』を作ってて、<いつのまに色がつき 動き出した灰色の世界が>という歌詞を書いてたら、たまたまおかゆも"俺が今作ってるやつも色の歌やねんで"という不思議な繋がりもありましたね」

ーー制作に苦労したというリード曲『Song For You & Me』は、DENIMSらしい曲で、最後の<こんな歌が今必要なんだ>という宣言が素敵でした。

釜中「嬉しいです。ずっとバンドをやってきて、凝り固まった癖を潰したい部分もあるし、久々に"ドカーン!"という曲を作っちゃおうみたいな。<こんな歌が今必要なんだ>というのは、自分たち自身も打破したいし、聴いてる人も現状打破しようという気持ちになってくれたらいいなという意味合いがありますね」

630DSC06000.pngーー裏でずっと細かいギターフレーズが鳴っていますが、ギターに関するこだわりはありますか?

岡本「いや、"思いついたままをやったれ"という感じですね」

釜中「レコーディングの最後バッタバタやったもんな。時間ないから、おかゆと江山で街の練習スタジオに入って、ギターだけ録って」

岡本3時間スタジオ予約して、ギター録ろうとしたら、横の部屋のラッパーの練習してる音が混線して、僕のアンプからずっとラッパーの練習してる音が入ってきて、1時間半ぐらいラッパーの練習待ちみたいな。"あいつらタバコ吸いに行った。今のうちや!"みたいな」

ーーめちゃくちゃ気を遣ってますね。

岡本「こっちのためにラップ止めてくれとも言えないんで。でもトータル1時間ちょいぐらいで録れたので、最初の1時間半は僕らもタバコ吸って待ってました。何テイクもやってないので、スピード感は乗せられたかなと思います」

ーーMVの撮影は過酷だったそうですね。

岡本「過酷でしたね」

ーーでも可愛いMVですよね。

釜中「今回はthe McFaddinRyoma Matsumoto(VJ)くんに監督をお願いしたくて。撮影場所も曲ができる前から決まっていて、今回は全部お任せしました」

ーー江山くんのブリーチも監督のアイデアですか?

釜中「そうです。みんな同じ美容師さんに切ってもらってるんですけど、美容師さんが"江山くん金髪にしようとしてたよ"と言ってたから、ほな演奏シーンとサイドストーリーで江山がどんどんブリーチしていく映像があった方が面白いなと」

ーー確かに。あのテンションの演奏を何十回もやったというので、過酷だったんですか?

釜中岡本「そうですね」

釜中「ビデオはええ感じのとこを押さえてるけど、ソロカットで超激しく動いたり」

岡本「監督も、"もっと激しく! そこでビール飲んで!"とか言ってくるし」

釜中「いい感じに乗せてくれる。やっぱりセンスめっちゃ好きでしたね」

岡本3分ぐらいの曲なんですけど、何テイクやったんやろうな」

釜中「半日くらいね。終わった時は震えてました。でも僕らもそのテンション感は絶対にパッケージしたかったし、楽しかったですね」



これまでにない楽曲と、いつもみたいに遊んだ曲



ーー『Runnin'(M-3)』は、ただただ気持ち良い曲ですね。

釜中「僕は『Song For You & Me』と『Pray To The Moon(M-4)』がアルバムで新曲としてキーになると思って作っていたんですけど、テンションが真逆の2曲なので、その接着剤みたいな曲を探した時に、シングル曲の『Runnin'』がしっくりきましたね」

ーー『Pray To The Moon』もキーになる曲だと。

釜中「ピアノリフから作ったんですけど、今まではコードをじゃんじゃんって弾くばかりで、メインになるフレーズをピアノであまり作ってなかったから、やってみたいなと思って。このアルバム唯一の鍵盤曲で、僕ら的には久しぶりな、ムーディーやけど熱い曲です」

ーー歌詞はどんなことを思って書いたんですか?

釜中「歌詞は基本それぞれの想像にお任せする感じなんですけど、亡くなった人に対して想いを届ける、鎮魂歌のイメージで作った曲です。今居ない人に想いを乗せて、月に願うように歌う。これまでそういう楽曲がなかったので作ってみました」

ーー完全なるバラードというより、楽器のアンサンブルが綺麗で、良い空気感がある曲ですね。

釜中「今回はどの曲もスタジオの鳴りを意識して、遠くにマイクを立てたりしました。特に『Pray To The Moon』は、おかゆのギターソロをマイク3本ぐらい立てて録って。ちょっと遠くのマイクを入れると、空気感が混ざったような音になるので、バランスを選んで、ほんまにそこで弾いてるような雰囲気の音色にしたり」

岡本「かと思ったら、急に一音だけ右から左に流れるギミックがあったり。渋くてオールドなだけのギターソロにしたくなかったので、途中でギミックを入れたりしました。ほんまに、"古いもの好きやけど新しいことしたい"というのは、この曲で体現できたと思います」

釜中「コーラスもそうですね。ずっとやりたくて、やる曲なかったけど"これや"と思ってやりました」

ーーディスコファンクの『Sleep Well(M-5)』は、うにお(釜中の愛猫)が浮かびました。

釜中「猫に対して歌った歌やけど、これも全然それぞれの解釈で。ブリーチした女性の髪と捉えてくれてもいいです(笑)。この曲は遊びまくってますね。制作の最後らへんに、ほんまに思いつきで作った曲です。コード進行はアルバムでは1番変なのかな。ファレル・ウィリアムスやN.E.R.D.のプロデューサーチームのザ・ネプチューンズが作るような、スペーシーでギャラクシーな雰囲気のコード進行だなと思って。そこから肉付けして、みんなで遊んでアンサンブルを作りました」

ーーおかゆちゃん的にこの曲はいかがですか?

岡本1番何していいかわからなかったですね」

釜中「結構僕がおかゆのパートを作ったんです。おかゆのギターだけになるところやアウトロは、おかゆが風邪ひいて休んでる時に、適当にふざけてプリプロで録ってたやつが良かったから、"あれでいこうや"みたいな。ただ、弾くのばりムズい(笑)。前作でいう『syotyu-mimai』みたいに、肩の力を抜いた曲。アルバムには毎回こういう曲は入れたいですね」

ーー聴いてても楽しくなりますね。ライブはギターが大変ですか?

岡本「逆に1番楽やと思いますね。他の曲は弾きながらコーラスするので」

釜中「おかゆあるあるなんですけど、おかゆのギターフレーズはすごい難しいけど、コーラスも結構やるので。弾きながらのコーラスは超人的です」

岡本「リリースから12年経ったら崩していったりもできるけど、さすがに最初から崩すのはちょっと。お客さんも音源聴き込んで来てくれるので、最初の方は頑張りますよ」




ライブの中で育っていった、大切な曲



ーーAWAYOKUBAのセルフカバー曲『たりらりら(M-6)』は実に12年前の楽曲で、懐かしいですね。なぜ今のタイミングでこの曲を再録したんですか?

釜中「結構前から再録したいと企んでて。そもそもライブでも演奏してるし、新しいお客さんにとっては、"あの曲なんなん?"みたいな。音源になってないし、ライブではやるし、盛り上がるし、でも音源にないやんと。前までは音源にしないでおこうと意固地になってたんですけど、別にどんどんやっちゃったらええやんというのと、さっき言ったみたいに、今の僕らだからできる初期衝動を音源としてパッケージしたくて。演奏面も、音や歌声も、昔とは全然違うので。あと配信シングルが『おふろのうた』『たがまま』『Runnin'』で、結構ゆったりしっとりの曲が続いたので、爆発するような曲を出したくて入れた感じです。他のAWAYOKUBAのアルバムも結構好きな曲が多くて、今後も何曲かセルフカバーは出そうと思ってます」

ーー歌詞はそのままですよね?

釜中「そのままですね」

ーー再録するにあたって、どんなところを意識しましたか?

釜中AWAYOKUBAの時はキーボード編成だったので、おかゆのフレーズはおかゆが加入後からライブアレンジをする中で足して、作り上げていたものが育っていったので、新たにアレンジするとかはなく、ライブでやってるのをそのまま、でもちゃんとタイトに録音しました。新しいフレーズはちょっとあるけど、そんなにやんな」

岡本「そうですね」

ーーフェイクのような、巻き舌っぽい歌い方は?

釜中「ガヤというか、歌ってないところでわーっと言ったりするのは昔やってたので、それをもう少しスタイリッシュにして。実は歌録りは結構大変でした。昔のままのフロウでやるとちょっと違って、でもカッコつけても違って。僕の声質は、頑張ると結構ガキ臭くなるので、カッコつけすぎず大人っぽすぎず、勢いを乗せたまま、どちらの良いところも取れるテンション感での譜割りやリズムの取り方、発声を目指しました。ちょっと苦労したけど楽しかったです」

ーー昔からのファンの方もきっと嬉しいでしょう。

釜中「発表した時は喜んでくれましたね」

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ケルト音楽とアイルランド語で色を歌った『irotoodore



ーーそして、冒頭で1曲目の『Journey To Begins』との色の繋がりのお話があった、おかゆちゃん作の『irotoodore』。アイルランド語の歌詞が入っているということで、制作はどこから始まったんですか?

岡本「冒頭がケルティックな北欧音楽っぽい始まり方で、アイルランド語の歌詞の部分から軽くなって、サビではカタルシスで解放される、ミュージカルみたいな展開の曲をやりたくて。歌詞を書く時に、どうせやったらアイルランド語で書いてみようかなと思って、色のことはあまり考えずに、なんとなく鬱屈した気持ちの時に歌詞を書いてて。でもその時点から、<遠くの空はもう 鉄に焼かれて>とか、色を連想するフレーズが多かったんですよ。アイルランド語で<dearg, dubh, Bán, gorm, buí, glas.>というのは、赤、黒、緑、黄色とか、色のことを言ってます」

ーーおかゆちゃんの楽曲は、どこかおとぎ話のようなストーリー性がありますね。

岡本「ここ何年かは、そういう世界観が好きなんでしょうね」

釜中「前は三国志やったしな(笑)。中国、アイルランド、その前はアメリカ」

ーー抽象的なような、少し情景が浮かぶような。

岡本「一貫して何のことを言ってるというのはないんですけど、鬱屈した部分と、"バーン!"とワイシャツもネクタイも捨てて、全裸で草原を走り回るような爽快感を表現してます」

釜中「歌詞って、本来それでいいもんね。今の俺らは歌おうとしすぎてるとこがあるかも。ただ曲をいっぱい作ってるから、キャラ分けというか細分化の意味でも、テーマ的なものがあった方が書きやすい」

ーー息抜き的な1曲でもあるのかなと思いますね。

釜中「おかゆの作る曲は、僕が作る曲とは全然違うので、毎回良いフックになる。おかゆものびのび好きなようにやれるし、良いなと思いますね」

ーータイトルは最後につけたんですか?

岡本「最後につけました。"どこが芯やろう?"と自分で見返してみて、色のところが背骨やなと思って。『RICORITA』と同じように敢えてスペースを空けずに、一瞬何語かわからない雰囲気にしたくて、全部小文字にしました。気持ち良くライブでやりたい曲ですね」



色んな経験を経たから出せる、成熟した初期衝動



ーー最後は『たがまま』でエモーショナルに締まりますね。

岡本「こう見ると、ほんまに映画みたい。『irotoodore』が壮大な終わり方するから、『たがまま』がエンドロールみたい」

釜中「シングルで出した時よりも、アルバムの最後にある『たがまま』というところで、めっちゃ反応がありました。アルバム自体のテーマを表す曲でもあるし、色んな曲があって最後に出てくるから、また聴こえ方が変わってくるなと思いましたね」

ーー改めてどんな1枚になりましたか?

釜中「今回のアルバムは奇をてらわなくなったというか。変なことをしたいなというアイデアはちょくちょく出てくるんですけど、敢えてしようとは思わなくて、さっきおかゆが言ってたみたいに、最初に思ったイメージ通りを表現することに対して素直になったから、曲を作るスピードも早くなったのかなと思いますね。もしかしたら次はめちゃくちゃこねくり回して変なことになってるかもしれないけど、"RICORITA"はそういう感じでした。素直に出た1枚ですごく気に入ってますし、大事なアルバムです」

岡本「カマチューには"その言葉なんか嫌やな"と言われたんですけど、色んな経験を経て、改めて今ここに来ての衝動というので、表現するなら"中期衝動"。初期衝動ほど若作りしてないけど、色々経たからこそできることがある」

釜中「そう、それは言いたいねん。でも"中期衝動"はイメージちゃうねんな(笑)」

岡本「確かに、油ぎってるな(笑)」

ーー76日(日)のKOBE太陽と虎から、全国ツアーが始まりますね。

釜中「いつもリリースツアーが冬から年を跨ぐ感じだったので、夏に廻るのは久々で嬉しいです。めっちゃ気合い入ってますし、今になってまたライブが良くなってきた実感があって。よりクオリティが上がったからこそできるエモーショナルが出せるかなと思ってます」

岡本「音源が良い音で録れたので、ライブも完成度の高いものをできたらなと思います。爆発」

釜中「爆発。エクスプロージョンで」

ーーよろしくお願いします。爆発させてください!

Text by ERI KUBOTA
Photo by 桃子




(2024年7月 5日更新)


Check

Release

経験と初期衝動が融合した、現在の集大成。4thフルアルバム『RICORITA』発売中!

通常盤(CD)
3300円(税込)
OSAMI-0007

【収録曲】
01. Journey To Begins
02. Song For You & Me
03. Runnin’
04. Pray To The Moon
05. Sleep Well
06. たりらりら
07. 春告
08. おふろのうた
09. irotoodore
10. たがまま

Profile

釜中健伍(Vo/Gt)、岡本悠亮(Gt)、土井徳人(Ba)、江山真司(Dr)からなる4人組バンド。Rock,Funk,Soul,Country,Jazz 等のルーツミュージック要素を取り入れたサウンドと、人間味溢れる歌詞や甘酸っぱいメロディを武器にエモーショナルなライブで観客を沸かせている。古い物好きだけど新しい事をしたい。大人だけど子供のように。お洒落だけど泥臭い。そんなバンド。国内外の大型フェスに出演する傍ら、多ジャンルのアーティストが出演する自主企画フェス『ODD SAFARI』を大阪・味園ユニバースにて2018年以降毎年開催している。2024年6月12日には4thフルアルバム『RICORITA』をリリース。7月からはリリースツアー『RICORITA release oneman tour「Journey to RICORITA」』を全国10カ所で開催。

Live

「Journey to RICORITA」

PICK UP!!

【兵庫公演】

▼7月6日(土) 18:30
神戸 太陽と虎
一般-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割(高校生以下)-1500円(当日要身分証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※学割は高校生以下。当日学生証提示必要。提示なしの場合は差額をいただきます。保護者1名につき未就学児童1名無料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【横浜公演】
▼7月15日(月・祝) F.A.D YOKOHAMA
【香川公演】
▼7月20日(土) TOONICE

PICK UP!!

【京都公演】

▼7月21日(日) 18:00
磔磔
一般-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割(高校生以下)-1500円(当日要身分証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※学割は高校生以下。当日学生証提示必要。提示なしの場合は差額をいただきます。保護者1名につき未就学児童1名無料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【大阪公演】
▼8月12日(月・祝) 18:00
umeda TRAD
一般-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割(高校生以下)-1500円(当日要身分証、整理番号付、ドリンク代別途要)
※学割は高校生以下。当日学生証提示必要。提示なしの場合は差額をいただきます。保護者1名につき未就学児童1名無料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【福岡公演】
▼8月17日(土) INSA
【広島公演】
▼8月18日(日) 広島・4.14
【愛知公演】
▼8月30日(金) 名古屋クラブクアトロ
【宮城公演】
▼9月6日(金) LIVE HOUSE enn 2nd
【東京公演】
▼9月7日(土) LIQUIDROOM

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「Journey to RICORITA -EXTRA-」

【北海道公演】
▼8月2日(金) 19:30
CASINO DRIVE
前売-4000円(整理番号付、オールスタンディング、ドリンク代別途要)
※未就学児童無料、小学生以上有料。客席を含む会場内の映像・写真が公開されますので予めご了承ください。公演の中止または延期、及び開場開演時間の変更以外による理由のチケット代払い戻しは致しかねます。また、時短要請などの状況に合わせ開場/開演時間が変更になる場合がございます。写真撮影OK。会場内禁煙。
[問]一般社団法人くわくわ企画■090-1156-6551

【北海道公演】
▼8月3日(土) 興部町CITY LIGHTS COOP
※セミアコースティックver

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「ONE MUSIC CAMP 2024」

▼8月24日(土) ・25日(日)
三田アスレチック 野外ステージ
土曜1日入場券-8500円
日曜1日入場券-8500円
2日通し入場券-12000円

[24日(土)出演]石野卓球/a子/大比良瑞希/グソクムズ/SPECIAL OTHERS ACOUSTIC/TENSAIBAND BEYOND/TOSH/Nagakumo/七尾旅人/FORD TRIO(Thailand)/モーモールルギャバン/ラッキーセベン

[25日(日)出演]ZAZEN BOYS/サニーデイ・サービス/xiangyu/Johnnivan/STAP Sigh Boys/DENIMS/勃殺戒洞/MASS OF THE FERMENTING DREGS/LEPYUTIN(Thailand)

※2日通し入場券をご希望の方は、8/24の公演からお選び下さい。事前に必ずオフィシャルHP(https://www.onemusiccamp.com
)の注意事項をご確認の上ご購入ください。
[問]株式会社ONE■info@onemusiccamp.com

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