インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > フレッシュなサウンドが初夏を彩る新企画、 心斎橋JANUS 要注目アーティストによる スリーマンイベント開催!


フレッシュなサウンドが初夏を彩る新企画、
心斎橋JANUS 要注目アーティストによる
スリーマンイベント開催!

JANUSが注目するアーティストを集めた新しいイベント、その名も「attention!」。先月に続き、JANUSに2度目の出演となる鳥取県出身のシンガーソングライター、jo0jiや福岡在住の4ピースバンドmuqueに加え、初登場となるギターレスバンド、新東京によるスリーマンライブが実現した。

トップバッターは、Spotifyが次世代アーティストをサポートするプログラム『RADAR: Early Noise 2024』にも選出されるなど、今注目を集めている24歳のシンガーソングライター・jo0ji(ジョージ)。WONKの江﨑文武(Key)、井上幹(Ba)ら豪華なサポート陣を従え、2月28日にリリースした最新シングル「escaper」からライブをスタートさせた。

630MT0523-17.jpg空気を震わせるハスキーな歌声がただものではないオーラを放ち、観客の耳を瞬時に虜にする。鳥取県で漁師の息子として生まれ育ち、現在も漁港で働きながらアーティストとして活動しているjo0ji。地元の友達に呼びかけるような「こんちわ!」というフランクな挨拶からギターを持ち、1stEP『475』収録曲の「明見」へ続けると、未発表曲「一ぶる」も演奏。疾走感たっぷりのピアノサウンドから一転して、ルーツを感じさせるカントリーテイストが軽快な「言焉」では、ハンドマイクで客と音を楽しみながらコミュニケーションをとり、距離を縮めていく。

630MT0523-43.jpg

大阪でのライブは2回目ということで、「大阪はいつも温かく迎えてくれます!ありがとうございます!」と感謝を伝えるjo0ji。「今日は地元の友達がいっぱい来てくれているんです。大切な人に会えるのっていいですよね。みなさんは大切な人に会えていますか?」と続けたのは、2ndシングル「ランタン」だ。SNSや通信手段の発達で、人と人とのつながりが希薄になっている現代。文字や映像のつながりだけではなく、そばにいる誰かのありがたさに気づかせてくれる、そんな曲。さまざまな曲調で魅了しながらも、彼の音楽には一貫して人間としての根源的でシンプルな想いが宿っているようだ。

630MT0523-21.jpg

友人のために作曲し、音楽活動のきっかけとなった「不屈に花」では、力強いヴォーカルが心を揺さぶる。逆光でステージに立つjo0jiのシルエットが浮かびあがると、<くだらないことも愛したいよな>という言葉の先に、強い光が放たれるライティングが曲の世界観とマッチしていて実にドラマチックだった。そして、ラストナンバーは、「きょうは、幼馴染が来てくれてて。しんどいことがあっても元気になれるようにつくった曲です」と、ピアノの弾き語りで披露した「駄叉」。地元のライブハウスで演奏しているようなリラックスした雰囲気の中、話かけるようなタッチで紡がれる深淵な言葉たち。身近にいる大切な人たちの存在が彼の音楽、生きる力に結びついているのだと感じるライブだった。

630MT0523-45.jpg

続いては、2022年5月に結成された福岡在住の4ピースバンドmuque(ムク)。Lenon(Ba)、 takachi(Track make&Dr)、Kenichi(Gt)がスタンバイすると大きな歓声とクラップの中、Asakura(Vo&Gt)が登場。ダンスミュージックの高揚感でワクワクさせるオープニングを経て、「ブルーライト」の口笛が軽やかに響くと、青の照明がレトロポップなサウンドとリンク。ミラーボールが都会のビル夜景のように輝き、夜の高速道路をドライブするような爽快感の中、フロア全体が夜のはじまりに溶け込んでいく。

630MT0523-3.jpgドラマーのtakachiが手掛けるトラックは、シティポップやインディーロック、R&Bなど多彩なジャンルを引き連れて、新しい世界へ誘ってくれる。スタイリッシュかつエモーショナルなライブバンドとしての魅力にあふれたステージングは安定感抜群だ。Asakuraの紡ぐクリアなメロディと浮遊感のある歌声が彼らならではの多幸感を生み出していく。Asakuraは、「一緒に!」とステージをフルに使ってコール&レスポンス。「tape」「456」と続けた前半で、より一層一体感を高めていった。

630MT0523-44.jpg

MCでは、「大阪には最近、月1ペースで来てます。ホームになりつつあります!」とKenichi。「実家っすね!」とAsakuraも笑顔。リラックスしたトークでほぐしたあとは、5月15日に配信リリースされたばかりの新曲「desert.」を披露。オーディエンスから得られる"力"をテーマにしたというナンバーは、ビート感とアコースティックギターのコントラストが鮮やかで、切なさと意志を感じさせるAsakuraの歌唱力が際立つ。そして、その先にある光を求めて歩みを進めるような未発表曲「バラドーナツ(仮)」へ続けられると大きな拍手がおこった。

630-1.jpg

昨年12月から始動した自主企画の第三弾、PLAYPARK3が6/22(土)東京、7/5(金)大阪の2会場で行われることを告知すると、「行くよー!!」というあたたかいファンの声援が。思わず笑顔がこぼれるメンバー。そして「Dear,my friends」シンセの煌めきとともに後半戦へ。躍動感のあるギターサウンドに自由度を増したAsakuraの表現力が光る。お互いに顔を見合わせて、この瞬間に生まれる音を楽しむメンバーの表情も最高。

630MT0523-9.jpg「my crush」でtakachiが軽快にスティックをまわすと「いくぞー!」とAsakuraがラストスパートをかける。「Bite you」の挑発的なヴォーカルと紫と緑の照明がサイケデリックな雰囲気をつくりだすとクライマックスへとかけぬけた。"無垢"というワードから「周りに影響されず、自分たちのやりたい音楽を作り続けたい」という意味が込められた「muque」というバンド名のとおり、自分たちの鳴らす音楽への愛情と信念を示したステージ。彼らがこれからの音楽シーンに風穴を開けることは間違いない。

630MT0523-54.jpg
ドラムカウントとともにロケットスタートをきった新東京。サングラス姿のヴォーカル杉田春音(Vo)が颯爽に現れると、赤い照明がギラつく中、1stフルアルバム「NEO TOKYO METRO」からの先行配信曲「Escape」の躍動感溢れるダンサブルなサウンドが観客の脳を覚醒させる。冒頭から攻めモードで怒涛のセッションを繰り広げる4人に早くも会場はヒートアップ!

6300MT0523-9.jpg大蔵倫太郎(Ba)の鼓動を刻むようなベースからデビュー曲「Cynical City」へ。「久しぶりの大阪のライブ!ぶちあがっていきますか!もっとちょうだい!」と杉田がシャウトすると、目まぐるしいギターレスサウンドの世界に導かれ、オーディエンスは手をあげて、体を揺らしてこたえる。田中利幸(Key)のシンセと大蔵倫太郎のベースによるインプロの応酬に面食らっていると、そこへ保田優真(Dr)のドラムが複雑に絡み合い、エネルギーが爆発。すべてをむき出しにするような裸の音像にもうついていくしかない。

新東京-2.jpg

「きょうは大学の授業をとばしてきました!そのぶんアガってくれないと困る!最後まで走り抜けていきましょう」と杉田。この音の成熟ぶりで、メンバーの半数が現役大学生という事実に驚かされる。新東京のみ、写真撮影、録音・録画OKということが報告され、動画や写真に収めながらライブを楽しむファンも。やわらかで流麗なピアノが耳心地よい「さんざめく」では、歌詞の世界観の通り、月夜の風景が目に浮かぶようだった。演奏後は、興奮を抑えられないお客さんから「やばいやばい!!」という言葉も飛び交い、「どうやばい?」と杉田が返すと「めっちゃええよ!」と素直なレスポンスが。そんなライブハウスならではのフレンドリーなやりとりが楽しい。

6300MT0523-45.jpg
スラップベースのアタックが炸裂する「NTM」から、エモーショナルな「metro」の美メロが心をくすぐる瞬間も鮮やかに記憶に残る後半戦。ライブ恒例の手拍子タイムでは、「優真(ドラム)のリズムにあわせてやってみて!」と、杉田のリードで、ちょっぴり難しい変拍子をみんなで何度も練習。息を合わせて会場がひとつになるとジャジーなピアノが美しいラストナンバー「36℃」へ。杉田の繊細なハイトーンが会場を包み、アンコールは「Morning」でそれぞれのパートが強力な個性を放ち、予測不能なグルーヴで翻弄。強烈な余韻をのこし終幕となった。

6300MT0523-54.jpg

Photo by 松本いづみ
Text by 岡田あさみ




(2024年6月17日更新)


Check

Set List

●jo0ji
01. escaper
02. 明見
03. 一ぶる
04. 言焉
05. ランタン
06. 不屈に花
07. ≒
08. 雨酔い

●muque
01. ブルーライト
02. tape
03. 456
04. desert.
05. バラドーナツ(仮)
06. Dear,my friends
07. my crush
08. Bite you
09. TIME

●新東京
01. Escape
02. Cynical City
03. The Few
04. さんざめく
05. NTM
06. metro
07. 36℃
EN. Morning

Check!!