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オルタナティブファンクバンド・BREIMEN
2024年春、メジャーシーンへ!
バンドに欠かせない「いなたさ」とは

「常軌を逸した演奏と自由なスタイルで 現行のバンドシーンで注目を浴びる“BREIMEN”。 この度、第二章の幕開けとともに「型破り」となるメジャー1stアルバム、発売決定!」。5人組オルタナティブファンクバンド・BREIMENが、この春フルアルバムを持ってメジャーシーンへと進む。2015年に旧名の“無礼メン”としてスタートし、現在の5人での体勢が整った2018年“BREIMEN”と名前も新たにしてから6年。音を楽しむということを曲で、ライブで、MVやさまざまな試みも含めて体現してきたバンドがどんな作品でメジャーシーンへと切り込んでいくのだろう。その期待を持って再生したメジャー1stアルバム『AVEANTIN』は、個性さまざまで全部が強い、全曲シングルになりえそうな強靭な曲が出揃い、ここから彼らがどんな景色を見せてくれるのかワクワクさせられる作品となっている。この『AVEANTIN』リリース目前の3月下旬、高木祥太(Ba&Vo)、サトウカツシロ(Gt)、ジョージ林(Sax)が来阪したタイミングで、今の気持ちを語ってもらった。インタビュー終わり、高木に「どの曲が好きでした?」と聞かれて筆者は「寿限無でした!」と答えたが、高木曰く「誰に聞いても本当にバラバラなんですよ。そういうアルバムになりました」と言っていたのが印象的だった。あなたは、どの曲に惹かれるだろうか。

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メジャーデビューすることは
「新しいワクワクを探す」イメージ



――今日はメジャーデビューアルバム『AVEANTIN』発売前ということで、アルバムのお話を伺いたいのですが、まずは今の率直な想いから伺えますか。

高木「メジャーデビューは...どっちでもよかったっていうのが正直なところです」

サトウ「バンドが目指すひとつのステップとしてメジャーデビューがあったとすると、BREIMENはそのレベルにとっくに達していると思っていたので、特に大きなことでもなかったというか」

高木「ただ契約の話がきた時は、悩みましたね」

サトウジョージ「うん」

高木メジャーになることでチームや環境が変わって変な感じになったら最悪なのでちゃんと見極めたかったかな。」

――決定打になったことはあったわけですよね。

高木「本当にしつこくて諦めないおじさんたちがいたんですよ(笑)。しつこいけどいいおじさんたちで、俺らの音楽を好きな上で関わってくれようとしてるのはわかった」

サトウ「決断の最終段階の時に言ったことをすごく覚えてるんですけど、"もう俺、このおじさんたちのこと好きになっちゃった"って」

――そういう"いいおじさんたち"と一緒にやることが、バンドにとっていいと思えたからハンコを押したと。

サトウ「おじさんたちは、本当にただ俺たちのことを好きでそばでいつも見守ってくれているので、バンドのあり方みたいなものは何も変わってないですね」

高木「契約前に今まで通り自分たちで舵を取っていきたいっていう話はしましたけど、飛び込んでみたら想像以上に任せてもらえてます」

――何にせよメジャーデビューとなると、バンドとしてやれることが広がるのだろうなという想像はつきます。

高木「予算感とかが変わるから、今までMV撮れなかったものが撮れたりするだろうし。ただメジャーデビューに至った経緯としては、3枚アルバムを出してインディーでやるのに飽きたところもあったんです」

サトウ「ある程度インディーでやれそうなことはやったというか。バンドとしての目標は長く続けていくことだから、その上で違った景色を見たいというのもありましたね」

――なるほど。今回のメジャーデビューアルバムの資料に "BREIMEN、第二章の幕開け"という言葉がドカンと掲げられていることにも注目して、今日は第一章であるインディー時代のことも少し振り返っていただきたいなと思っています。先ほど「インディーでやれることはやった」というお話がありましたが、インディーでやれることはどういうことだったのでしょうか。

高木「リスクを取れること、ですかね」

――というと?

高木「何かが起きた時に責任を問われる範囲がメジャーとインディーでは全然違うと思うんです。インディー時代は事務所にも入っていなくて、全部自分たちの責任になるからこそ突発的に思いついたことができました」

――スピード感あることができそうです。

高木「俺らは思いつきですぐやりたいタイプだから、じゃあもう明日やろうっていうテンションで4時間耐久セッションをやりました。実はあの時は...ねぇ?」

サトウ「うん。制作に行き詰まっていて」

高木「なんか身動き取れないし、やる? って。スタジオにいる状態で、フライヤー作ってセッティングもやって告知してっていうすごいテンポとスピード感のことを、メジャーでやるのは難しいと思います。ただ、インディーで何をやりたかったかって聞かれると正直明確な答えはなくて、振り返ってみると結果的にインディーでしかやれないこといっぱいやったなぁっていう感じです。俺ら、目標とか決めずにやってきましたからね」

サトウ「俺ら、相当目標ないっすよ!」

――とにかくバンドを続けることが大事だった?

高木「いや、楽しいことをやるのが大事だったかな」

ジョージ「みんな飽き性だしどんどん新しいことをやりたいというか、どんどんワクワクしたいんですよね。インディーで3枚アルバムを出してやりたいこととやれることをある程度消費して、そもそもバンドを長く続けるためには楽しくないといけないからこそこのタイミングでメジャーデビューして、場所を変えて新しいワクワクを探すみたいなイメージだったかなと思います」

――ということはインディーからメジャーへの流れって、バンドとしてはごく自然な流れだったんですね。スーッと、というか。

サトウ「それ! スーッとって感じですね」

高木「 "第二章"っていうのもメジャーと第二章が紐づいているっていうよりは、BREIMENとしてここまでやってきたことにちょっと飽きてきたこととメジャーデビューが重なって第二章っていう意味合いの方が強いかな」

400_2403150010.jpg――バンドとして新しいフェーズに入っていきたいというか。

高木「そうですね。アー写でいうとインディー時代はフィルムの質感にしてきたけど、そういう面でもこれまでのBREIMENを見慣れてしまったし、自分たちでも思い描いたBREIMENの像が一旦できあがったんですよね。それを進化させる・部分的に壊すっていうことを音楽的にはやってきたけど、自分たち自身がBREIMENという存在に飽きないために進んだというのが正しいかもしれないです」

サトウ「あと、邪な気持ちももちろんあります」

――邪!

サトウ「自分たちはいいものを作れているという自覚はあったので、メジャーに行けば市場はデカくなるじゃないですか。それで多くの人に聞いてもらうチャンスは増えるから、いいものを大きな市場に持っていって、あわよくば広げてお金いっぱいみたいな夢も個人的にはあります」

高木「俺も全然あるよ! 俺、音楽業界の構造って基本的に変わってないと思ってるんです。過去にはパトロンと呼ばれるファンがいて、その人たちがミュージシャンの芸術性に惚れ込んで、入れこんでもらえることでミュージシャンは活動を続けられる。ある種、自分達が長く続けるためにファンが広がってくれたらいいですよね」

――邪と言ってもバンドが評価されたからこそのメジャーデビューですし、正当な流れだと思います。

サトウ「ただ僕ら自身が外からの評価に対して、価値基準を持っていないんですよ」

高木「いけだゆうただけは別ですよ。彼はそういうの気にするから。これ、書いといてくださいね」

――(笑)書きましょう。

ジョージ「昨日も焼肉屋でその話してたしね」

高木「そうそう。これはディスとかではなくて、バンド内でも価値基準はバラバラってことですけどね」

ジョージ「ミュージシャンとしてはいろんな人がいると思っていて、大衆に向けて売れる音楽を作って資産を得るのはいいことだしひとつの形だけど、その傍らで自分たちにしか作れない世界観だったり、今までになかった何かを作り上げるのもミュージシャンの形だと思うんです」

高木「俺らはとにかく集まってセッションして楽しくてっていうので音楽を作ってきているから、そこでたまたま聞く人が増えて関わる人が増えた感じなんですよ。マジで。だからその感覚でいると、順当な気もするけど邪っていう気持ちもわかるかな」

サトウ「俺、そこまで考えて邪って話したわけじゃないけどね(笑)」

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今作『AVEANTIN』は
曲ごとにテーマを持つダンスアルバム



――インディーズでリリースした3枚に対して、今回のメジャーデビューアルバムはBREIMENの音楽を聞く人のパイを広げることになると思います。ちなみに3枚目のアルバムを作り終えた時、次はどんな作品を作ろうと思っていたかを知りたいなと思っていました。そのイメージはメジャーデビューによって変化をしたのかどうかも含めてお話いただけますか。

高木「とりあえず3枚目を作り終えた時点で俺、めちゃくちゃ空っぽになったんですよ。とにかく筆が動かなかった時期を経て、タイアップ曲を作るチャンスがきたので半ば無理やりエンジンをかけて動き始めました。それがすごくよかったんです。タイアップだからテーマはもらうけど自分とうまくつなぎ合わせることで"BREIMENの音楽"を作ることができたから、結果的にタイアップどうこうじゃなくてもスルッと聞ける"自分の曲"が3曲できたんです。その3曲は、結果全てアルバムに収録もしましたし。でもそこからフェスにめちゃくちゃ出たこともあって、また制作に手がつかない時期に入りました」

サトウ「制作しなきゃヤバいよねって言いながらフェスに出まくって」

高木「夏休みの宿題がずっと脳裏にあるみたいな感じで」

――でもBREIMENは、ライブしまくることが後々の制作にめちゃくちゃ活きてくるバンドだと思いますし。

高木「それはもちろんですけど、どっちもどっちなところがあって。BREIMENはライブセッションバンドでその場でゼロ→1をすごいスピードで作り上げていくけど、その印象で行くと制作もその場でイェーイェーみたいに勢いで作っていくと思われていると思うんです。でも実は、制作はマジで時間かけるんですよ。そこは俺らの特徴であり矛盾だと思っていて。セッションの時はその場のアプローチで行けるけど、制作の時は「待った!」がかけられるじゃないですか。自分たちに手札がたくさんあるからこそ、その中からこれしかない! というものを全員が見つけたくなるから、めちゃくちゃ時間がかかるんです」

――これしかないと思える音を探すのは果てしない作業でしょうねぇ。

高木「そう。ひとりひとりもそうだし、1曲1曲もだし。別にもっとラフに作ろうと思えば作れるんですけど」

サトウ「...いや、お前はもうそういうふうに作れないと思うよ」

高木「わかる、わかるよ。そうなんだよ。理論上は可能だけど無理で、どこかで意味とか理由を探しちゃうし、それがないと作れない」

――じゃあレコーディングまでにある程度曲のイメージを作り込んでいても、いい意味でぶっ壊れちゃう感じですか?

高木「『AVEANTIN』はこういう感じにしたいっていうのが事前にイメージとしてあったパターンですね。そのイメージが曲の大元の種だとしたら、水をやって芽を出させるまでの時間が長い感じですね。ただ、スタジオに持っていく前に俺には曲を生み出すゼロ→1作業があるわけで、曲作りとスタジオとふたつのゼロ→1作業があるから、時間にしたら果てしないことになるんです。例えば「眼差し」っていう曲はフレーズは朝帰りした時に適当にピアノを弾いてたら思いついて、ピアノの前に座るたびに弾いてみるけど曲にはならなくて。それが半年ぐらい経ってスタジオでまた弾いてみたら"お母さん"っていうテーマとバチっとつながる時がきて。それをバンドに持ち込んでからも時間がかかるから。時間がかかるし、時間をかけたいバンドなんです。そこは絶対に削りたくない。僕ら今回のアルバムインタビューで"めちゃくちゃスケジュールがタイトだった"って話してるんだけど、この曲数でもっと楽にやる方法はいくらでもあるというか」

――え、いやいやいや!!!

高木「いや、ありますよ。あるよね?」

ジョージ「全然あると思うよ」

高木「みなさんが想像する3倍ぐらいかかるんですよ。そういう性質のバンドなんです」

サトウ「最終的に曲ができて、レコーディングするじゃないですか。そこまでの道のりも果てしなく長いから、どこからが本番かわからないっていうか。アレンジの段階でも、普通のバンドのレコーディングぐらいの音源でやってる感じあるし」

高木「プリプロを人に聞かせると、本番だと思われるクオリティーはあります」

サトウ「俺ら、2回レコーディングしてる? って」

高木「今回のアルバムはギターも俺も、デモをそのまま使ってることが結構あって。「yonaki」のサビのドラムもデモ音源だし。制作の段階で、自分たちのプリプロのハードルを下げないと、逆にレコーディングのワクワク感がなくなるよねって。自分との戦いになっちゃうしより時間もかかるから、最後の方は気持ちプリプロ甘めにしようって感じで」

――先ほど「『AVEANTIN』はこういう感じにしたいっていうのが事前にイメージとしてあった」とおっしゃっていましたけど、収録曲の多彩さからいうとテーマがあって曲作りを進めたという形ではなく、やりたい曲が完成していって最終的にテーマが見えてきたという流れかなと思っていました。

高木「1枚目の『TITY』は違いましたけど、2枚目3枚目のアルバムは最初にアルバムのテーマがしっかりとある形でした。ただ、BREIMENは曲のレンジが広いバンドだとも思っているんです。そのレンジの広さを表現できていたのが『TITY』で、いろんな曲がすでに存在していて、それに何曲かをプラスしてアルバムにした形でした。アルバムにテーマを持たせるとトンマナが揃いすぎるところがあるんですけど、俺は本来そういうアルバムが好きなんですね。つながりもすごく見えるし。そういう意味では『FICTION』がテーマ激重アルバム(高木自身の過去の恋愛がテーマ)なんですよ。俺はすごく好きなんですけど」

――激重(笑)。

高木「でも『TITY』にはテーマがない分、入りやすい軽さがあって。そこから時代を経てできあがったBREIMENのいろんなレンジを『AVEANTIN』で集約できたらなというのがありました」

――じゃあさっきお話されていた『AVEANTIN』の制作イメージというのは?

高木「"ダンスアルバム"...踊れるっていうことだけを頭に置いてやろうと思ったっていうことですね。それ以外は曲ごとにテーマを持たせた作品にしようと進めたので、『AVEANTIN』は曲ごとに看板があると捉えてもらえたら」

――なるほど! ちなみに今 "踊れる"というキーワードが降りてきたところに、きかっけはあるんですか?

高木「...不況だからじゃないですかね。コロナがあって今また社会が回り始めて、でもコロナ後の1〜2年の方が周りを見ていてもしんどそうな感じもするし。俺自身もしんどさを感じた瞬間もあって、じゃあもう踊るしかねぇなと思ったのと去年フェスにいっぱい出たんですけど、前作の『FICTION』はプログレアルバムだったので盛り上がる曲でスタートしても『FICTION』の曲をやると、自分たちもスンっ! ってなるんですよ。だからライブをたくさんやったことも"踊れる"ことが必要だって気づくきっかけだったのかも。俺はライブに救われていたからこそ、みんなで楽しめるものをっていう気持ちも生まれたのかな」

630_2403150006.jpg――高木さんのそういう制作のモードを、サトウさんやジョージさんはどのように見ていたんですか?

サトウ「俺は右から聞いて、左から流してました」

ジョージ「(笑)! 確かに『FICTION』はすごくいいんですけど、映画に例えたら2時間見たらめちゃくちゃ疲れるけど心にグッとくる作品だったと思うんです。その一方で、見て"あ、もう終わり?"と感じる映画もあるわけで」

高木「爽快感のあるやつね」

ジョージ「どっちもよさがあるけど、『FICTION』はちょっと重すぎたかなぁって」

一同「(笑)」

ジョージ「『FICTION』の完成視聴会をした時に...ツラ...みたいな時間が俺にはあって。根本的にはノれる曲が好きだから、祥太から『AVEANTIN』のイメージを提案されたときはいいねいいねやりたい! って。俺はすごいよかったね」

高木「や、でも俺最近『FICTION』聞くんだけど、マジで天才だなと思ってんの。バンドとして」

ジョージ「あ、それもわかる」

高木「普通にどうやってこれができたのかわかんない」

ジョージ「それ言われて改めて聞いたけど、いいアルバムだよね」

高木「相当いいと思ってるよ」

――『FICTION』は長編映画で、『AVEANTIN』は短編映画集っていう感じがしますよね。

高木「『ブラック・ミラー』(新しいテクノロジーがもたらす予期せぬ社会変化を描く、ダークで風刺的なSFアンソロジー。2024年現在シーズン6までの視聴が可能)だ!」

――1話ずつモチーフは違うけど、めちゃくちゃ面白い。

高木「『FICTION』があってこそ、『AVEANTIN』がこういう形になったのはあると思います」

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――ちなみに今回のアルバム制作中にメンバー間でよく飛び交っていた言葉とか何かありますか? 作品をより深く聞くためのヒントとして。

高木「おぉ、いい質問。うーーん、なんだろ? ......『いなたい』かな?」

サトウジョージ「うんうん」

ジョージ「それだけではないけども、割と根底にはあったかな」

――それは言葉選びやサウンド面で?

高木「いろいろなところで局所的に、ですね。そもそもファンクとは、いなたいものだと思っていて。まぁ、いなたいっていう言葉もニュアンスなのですごく難しいですけど、例えば「ブレイクスルー」みたいな曲もビートタイプとアレンジだけで、それを変えれば全然違う形があると思うんです。でも俺はそこに音質や音選びでいなたさを入れたくて。いなたさの対局にあるのが洗練されてるっていうことだと思っていて、俺らプレーは"高い演奏力がある"とか言われるけど、別にプレーヤーとしてはそういうタイプではなくて個性タイプなんですよ。その人の音があるってわかる感じ。そのベクトルに確実にいなたさがあると思っていて、それは正確さと対局にあるズレとか整わせすぎないこと、それを残したり意図的にやったりすることですね。そういうBREIMENにはそういうミュージシャンが集まっているんです」

ジョージ「この間渋谷の街を運転中時にエレクトロ的な曲を聞いてたんだけど、すごく街のキラキラ感と合うんですよ。あぁいいなと思うけど、祥太はこういうサウンド好きじゃないよなって思って」

高木「あははははは!」

ジョージ「いや、結局BREIMENっていうバンドでやろうってなった時に、グリッド揃えてめちゃくちゃ綺麗に整えて渋谷の夜景に合うようなサウンドを作るのって一番無意味かなと思ったんです。個性を持った5人が集まってるから、ちょっとしたズレや違和感をあえて残すことにBREIMENらしさがあるし、僕らがやるならそういうことをしないと意味がいないなと思いました」

――そのいなたさは、すごく今回のジャケットにも表れていますよね。

高木「そうですね。これは構図としてはアイドルの作品でもいけると思うんですよ。でも俺らの持ついなたさがブレンドされていて気に入ってます。もしいなたいという言葉がピンとこないなら、僕ら以外のバンドと僕らの曲を聞き比べてもらったら、その見えてくる違いがいなたさである可能性はありますね」

――なるほど。そしてこのアルバムを携えてツアーが始まりますが、今考えていることはありますか?

高木「なぁ、お前インタビューの頭めちゃくちゃ喋ったのに、なんで今黙ってんの?」

サトウ「お前の話があまりにも長すぎて、途中で"歯医者行きたいなー"とかいろいろ考えだして。そしたら歯医者行ってめちゃくちゃ痛かったことまで思い出して」

高木「BREIMEN関係ないだろーよ(笑)」

サトウ「神経直で触られてわー、って。歯医者変えようかなとか。あと、制作長いって話してたじゃん? 俺たちじゃなかったらもっと短くできるって話の時に、ライターさんが"いやいや"って言ったでしょ。でも祥太の長い話聞いて"こういうことか"と思ってるかなーって」

――さっき「いやいや!」って言ったのは最近アルバムって今までリリースしたEPやシングルをまるっと収録したベストアルバムのような形が多いなと思っていたんです。対して『AVEANTIN』は既出曲も少ない分新しく制作された曲が多ければ、そりゃ時間もかかるよね。じゃあ制作時間を短くする方法なんかなくない? と思って。

高木「はいはい」

サトウ「なるほどねー。まぁ、でもどんなシチュエーションであれ、こいつの話は長いっすよ」

高木「話の長さは関係ないだろー」

サトウ「ひとつの質問にあれだけ答えられるってすごいわぁと思って聞いてて。舌で歯を触ってるうちに、歯医者のこと考えたしだと」

――まずは歯を治して、ライブに挑むぞと。

サトウ「治してね!」

高木「あ、そういえば俺の父がフラメンコギタリストなんですけど、フラメンコギターを始める前にジャズギタリストをやっていて、若い頃ニューヨークに行ってギターの修業して、謎にタップダンスも習ってやっていくぞ! って言いながら日本に帰ってきたんですよ。その理由が"歯が痛いから"で」

サトウ「保険適用されないからねぇ」

高木「歯が痛くて帰ってきた結果、フラメンコギタリストになりましたからね。っていうことで!」

――めちゃめちゃ綺麗なオチでしたねぇ。4月から始まるツアー、ライブもMCも期待しながら大阪公演でお待ちしております!

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Text by 桃井麻依子
Photo by ピー山/Takafumi Yamashita




(2024年4月23日更新)


Check

Release

初回生産限定盤
通常盤

MAJOR 1st Album『AVEANTIN』

発売中
Ariola Japan

初回生産限定盤
5980円(税込)
BVCL-1370/1

通常盤
BVCL-1372
2980円(税込)

《収録曲》
01. a veantin
02. ブレイクスルー
03. 乱痴気
04. ラブコメディ
05. 眼差し
06. LUCKY STRIKE
07. T・P・P feat.Pecori
08. 寿限無
09. 魔法がとけるまで
10. yonaki
11. L・G・O

Profile

ブレイメン=5人組オルタナティブファンクバンド。2015年に高木祥太(Vo/Ba)を中心に無礼メンの名で結成され、2018年に現在の5人体制になると共にBREIMENとして始動。2020年2月に1stアルバム『TITY』を発表。そして2021年5月にリリースした2ndアルバム『Play time isn't over』がASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文の私設賞「Apple Vinegar Award」で特別賞を受賞した。2022年5月にリリースされた岡野昭仁(ポルノグラフィティ)と井口理(King Gnu)のコラボ曲「MELODY(prod.by BREIMEN)」では高木が作詞・作曲を手がけ、BREIMENメンバーが編曲と演奏を担当したことでも話題に。同年7月に3rdアルバム『FICTION』をリリース。そしてこの4月フルアルバム『AVEANTIN』でメジャーデビューを果たした。

BREIMENオフィシャルホームページ
https://www.brei.men/

Live

BREIMEN MAJOR 1st ONEMAN TOUR 「AVEANTING」

【北海道公演】
▼4月26日(金) mole
【宮城公演】
▼5月10日(金) 仙台Rensa

PICK UP!!

【大阪公演】

▼5月18日(土) 18:00
なんばHatch
スタンディング一般-5000円(ドリンク代別途要)
スタンディング学割-3500円(ドリンク代別途要、公演当日要学生証)
※未就学児入場不可。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。出演者は予告なく変更になる場合がございますので、予めご了承ください。【学割】小学生、中学生、高校生、大学生、専門学生が対象となります。予備校の学生証は学校法人が定めたもののみとなります。会場で学生証の提示が必要となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【石川公演】
▼5月24日(金) 金沢AZ
【福岡公演】
▼5月31日(金) Fukuoka BEAT STATION
【広島公演】
▼6月1日(土) LIVE VANQUISH
【愛知公演】
▼6月7日(金) ボトムライン
【神奈川公演】
▼6月28日(金) KT Zepp Yokohama

チケット情報はこちら


 

「FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-」

【大阪公演】
▼6月29日(土) 12:30
大阪城音楽堂
前方自由席-5500円(整理番号付)
後方立見-5500円(整理番号付)

[出演]Kroi/サバシスター/Chilli Beans./BREIMEN/NEE/離婚伝説 [オープニングアクト]ヨナツメ [司会]板東さえか/樋口大喜

※小学生以上は有料。前方自由席でお席が必要な場合は未就学児童も有料。
※雨天決行。荒天の場合は主催者判断のもと中止となります。
※出演者の変更・キャンセルによる払戻しはいたしません。また公演延期や中止の場合以外の払い戻しもございませんので、予めご了承ください。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。雨天時はレインウェア等をご利用ください。
※パラソル/テント類も持ち込み禁止です。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
[問]FM802 http://funky802.com/i/lc/

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