ホーム > インタビュー&レポート > 「歌いたいなと思った曲の中から カバー曲も入れて音楽的に広がりのあるライブに」 『HIROYA OZAKI -IN BLOSSOMS TOUR-』が 大阪・BIGCATからスタート! 尾崎裕哉インタビュー
その時にしか残せないものを念頭に
毎回制作に挑んでいる
――2022年にお父様(=尾崎豊)の没後30年を迎え、昨年は『I LOVE YOU』のカバーが音源として初めてリリースされました。原曲はお父様の1stアルバム『十七歳の地図』(1983年発表)に収録されてますね。
「『I LOVE YOU』のカバーを出すというのは、普通はデビューしてすぐやることだと思うんですよ。(デビュー当時)ちょうど自分がテレビ番組の中で『I LOVE YOU』を歌ってそれが話題になって...という流れがあったので。 でもあえてそうしなかったので、ずっとタイミングを逃してたんです。 でも、尾崎豊の没後30年のイベントがあって考え直すことが多くて、気持ち的にはもうやってもいいのかなと...。 それがたまたま、『I LOVE YOU』がリリースされて40年の節目の年だったということもあって。その時にしか残せないものっていうのを念頭において、毎回制作には挑んでいるので、とても意味があるものになったんじゃないかなと」
――『I LOVE YOU』という曲自体は裕哉さんがずっと歌ってきた曲ですね。
「そうですね。『I LOVE YOU』は15歳くらいの時に歌って、17歳で歌って、その後の 20代、30代と全部聴き比べたんですけど、歌う年代によって声質も違うし。昔は、自分は下手くそだなと思ってたんですけど(笑)、(その年代にしか歌えない)初々しさみたいなものが残ってたりするので。歌手活動が続くのであれば、この先で振り返った時に、あの時の自分はこうだったなって思えるようになるかもしれないなと...」
――裕哉さんはお父様から受け継いでいるものも大きいと思いますが、ロックからジャズやブラックミュージック調のものまで幅広く歌う柔軟性をお持ちです。今後、裕哉さんがオリジナル曲としてどういう作品をリリースしていくのかということも興味があります。
「もっとギターをフィーチャリングした楽曲を増やしていきたいなと思ってます。普段のライブではギター1本でやってるのに。プロダクションに入ると結構トラックが豪華になるので、音源がバンドアレンジになっているものとかもっとやりたいなっていうのはありますね。あと、弾き語りとかそういうのじゃなくて、ジョン・メイヤーに近いようなものができるといいなあって思ってますね。生ドラムが入ってたりするバンドっぽいものがやりたいなと。やっぱ"俺の心を揺さぶってたのはロックンロールだよな..."みたいな感じにちょっと思ってて。最近は2000年代初期の音楽をよく聴いてます」
――そうなんですね。近年はその頃のファッションやカルチャーなどが注目されてたりしますし、そろそろ2000年代初期頃の音楽の揺り戻しがありそうですね。ちなみに裕哉さんがよく聴いているアーティストというのは?
「ジミー・イート・ワールドとかコールドプレイの前期のようなサウンド感がいいなと。The Postal Serviceもけっこう良くて。デス・キャブ・フォー・キューティーのボーカルが参加してるユニットで、ロックとエレクトロを融合させたみたいなサウンドです。ふだん自分が出している音楽からは想像つかないかもしれないけど(笑)」
――シンガーとして歌うことと、シンガーソングライターとしてご自身の曲を作るのはどちらがお好きですか。
「それは全然違うことなので比べたことはないけど。でも、何にも考えずに歌ってる方が楽しいし楽ではあるかな...。曲作りっていうのはもっと自分と向き合う時間の方が長いので...。でも、やっぱり(曲を)生んでいく方が楽しいかもしれないですね」
――実際に何か作り始めているんですか。
「断片的なものはたくさん蓄積してて、それをいつどうやって形にしていくのかっていうところだけですね。 目的が見えてないと動かなかったりするので」
――次の作品がEPになるのか、アルバムになるのかとか?
「そう、タイアップなのかとか...。なので、ちょこちょこ作ってはいるけど、まだちゃんと形にすることはあまりできてないかもしれない」
――具体的には次の新作のリリース予定などは?
「まだ、これからですね。でも、年内にちょっと何か出したいなとは考えています」
春のツアーは内なる花や夢を咲かせていくというイメージ
キーボードとのツーマンライブで
――弾き語りのライブをはじめオーケストラとの共演など、ライブの方も意欲的に行われていますね。
「去年はすごくライブが多くて。茨城県の結城市で開催しているジャズフェス(『YUKI JAZZ FESTIVAL』)に出る機会もあったし...」
――ちなみにジャズフェスではどんな曲を歌われているんですか?
「『Fly Me To The Moon』とか『Georgia on My Mind』とか、スタンダードで割と広く知られている曲をやったり、オリジナルの曲をジャズカルテットにアレンジして歌ったりもしてます」
――前にインタビューでお聞きした時にご自身のライブの中のリクエストコーナーでは米津玄師さんKREVAさんの曲もカバーしていると。
「そうですね。弾き語りのときはリクエストコーナーもあるので、最近はヒゲダンや藤井風さんのリクエストが多かったりして。この前やって面白かったのは、新しい学校のリーダーズの『オトナブルー』とか、 井上陽水さんの『氷の世界』とか、いろいろやってます(笑)。それをギターの弾き語りにするのが楽しいというか。ある程度、これならできるかなっていうのはなんとなくはわかるので、その中で選ぶことにはなるんですけど。自分の声質的に合う合わないもありますし。 でも、なるべく広くチャレンジするという意味でアイドル曲もやったりしてます」
――4月に開催される『HIROYA OZAKI -IN BLOSSOMS TOUR-』はどんなツアーになりますか。
「春にやるツアーなので、人それぞれ新しい季節が始まるし、前向きになれるコンサートにしたいなという願いでこのツアータイトルをつけました。内なる花や夢を咲かせていくというイメージで。これはいつも一緒にやっているキーボーディストの皆川真人さんとのツーマンのライブで、僕はギターとボーカルです」
――どんな曲が聴けそうですか?
「普段のワンマンだと、本当にメジャーな曲しかやれないので、ファンが"あの曲本当は聴きたいんだよ"って思ってくれてるような曲もやりたいし、弾き語りだとどうしても表現できないグルーヴ感だとかサウンド感が出せそうなものをやりたいなと思って。例えば『つかめるまで』とか、『Rock'n Roll Star』とか、そういう楽曲も織り混ぜてできるといいかなと思ってます」
――ということは、普段のライブではあんまり歌われてない曲も聴けそうですね。
「そういうのをやる良い機会かなと。カバーもいくつか入れようかなと思ってます。せっかくキーボードと2人なので。フットワークは軽くしつつ、ライブアレンジを色々考えられる楽曲を選びたいなと。(カバー曲は)基本的にはたぶん尾崎豊の曲になると思いますけどね。いつも歌いたいなって思った曲を並べてから決めるので、その時の気分で決まると思います」
――このツアーは大阪のBIGCATが初日です。
「BIG CATでは(デビューして)最初の頃とか結構バンドでやってたんですけどね。最近は梅田クラブクワトロが多かったので割と久々だと思います」
――では最後に、ファンのみなさまに向けてメッセージをお願いします!
「今回一緒にやる皆川真人さんはいろんな方のサポートもされているし、ピアノだけじゃなくてシンセも使えるので、音楽的に広がりがあるライブになると思います。僕がギターを弾かずに歌だけに集中できる曲もあると思うので、シンプルな編成の中でいろんな演奏が期待できるんじゃないかな。ぜひ楽しみにしていてください」
Text by エイミー野中
Photo by 田浦ボン
(2024年3月19日更新)
混迷の時代に希望と光を探し、歌を届けることを使命として、独自の存在感で輝き続けるシンガーソングライター。1989年、東京生まれ。父はシンガーソングライターの尾崎豊。15歳までの10年間を米国ボストンで過ごす。慶應義塾大学大学院卒。2016年にDigital 1st Single『始まりの街』をリリース。2023年4月に4th EP「I LOVE YOU」リリース。フルオーケストラとの競演によるクラッシックスコンサートや、弾き語りワンマンツアーやバンドツアーなど、多様なスタイルでのライブ活動を行っている。2024年4月13日(土)から弾き語りツアー『HIROYA OZAKI -IN BLOSSOMS TOUR-』がスタート。また、6月16日(日)には、“OZAKIがOZAKIを歌い繋ぐ”をコンセプトに、父である尾崎豊の1st Album『十七歳の地図』、2nd Album『回帰線』から選曲された(予定)、特別なセットリストでお届けする「OZAKI PLAYS OZAKI」を、東京 EX THEATER ROPPONGIにて開催する。
尾崎裕哉 オフィシャルサイト
https://www.hiroyaozaki.com/
チケット発売中 Pコード:260-404
▼4月13日(土) 16:30
BIGCAT
全自由-6500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は、3/30(土)朝10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888