ホーム > インタビュー&レポート > Bye-Bye-Handの方程式、『秘密蜂蜜フェス』を大成功で終了。 盟友たちと客席全員で作り上げた、愛に満ちた伝説の日
2月最初の土曜日で節分のこの日。外の寒さは厳しかったが、会場の心斎橋BIGCATには熱気と活気が充満していた。賑わうロビー、チケットは見事ソールドアウト。Bye-Bye-Handの方程式が本イベントにいかに気合いを入れてきたか、また、集まったファンがどれだけこの日を楽しみにしていたかがすぐに伝わってきて、ロビーに用意されたフォトスポット、SNSで発信された各出演者バンドへの愛のある紹介動画、コマツタスクがイラストを、mojiasobiがイベントロゴを手がけたキービジュアル、それら全てがみずみずしい輝きを放っているように感じられた。
フロアには「秘密蜂蜜」にちなんだ2つのステージ「Honey STAGE」と「SECRET STAGE」が用意され、交互にライブが行われた。一体どうやってBIGCATにステージを2つ作るのだろう?と思っていたのだが、通常のステージをメインの「Honey STAGE」として使い、フロアの反対側に、「Honey STAGE」と向かい合うようにしてサブステージの「SECRET STAGE」が作られていた。サブステージと言えどもアコースティック的なものではなく、立派なスピーカーと柵が設置され、メインステージよりも近い距離感でがっつりライブが楽しめるようになっていた。また頭上にはキラキラのガーランドや電飾が飾られ、DIY感とパーティー感を醸し出す。いるだけで気分が高揚する、そんな空間が作られていた。
定刻の少し前になり、Bye-Bye-Handの方程式の汐田泰輝(vo.gt)、岩橋茅津(gt)、中村龍人(ba)、清弘陽哉(ds)がステージに登場。メインステージに飾られた、天井まで届くほど大きなバックドロップを指差して、「やばいっしょ?」と嬉しそうに笑顔を浮かべつつ、全員で注意事項とTRACK15の出演キャンセルをアナウンス。そして「楽しむ準備できてますかー! 好きに楽しんでいってくださいよろしくー!」とasmiにバトンをつないだ。
●asmi
Photo by 瀧川まどか
Honey STAGEでイベントの幕を開けたのはasmi。バイハンとは旧知の仲であるゆえに、紹介動画では「ど頭からアゲてほしい。1番贅沢なトッパー」と信頼と期待を寄せられていた。FM802 DJ 樋口大喜によるジングルが流れ、SEとともにベンドメンバーのWataru(gt/FIVE NEW OLD)、石井ゆかこ(ba/Soupnote)、馬場智也(ds/Soupnote)が登場。カラフルな衣装を纏ってステージに現れたasmiは、リラックスした雰囲気で大きく両手を広げる。ライブは『アイワナムチュー』からパワフルにスタート。続く『BLACK COFFEE』では浮遊感のあるボーカルを響かせ、ポジティブなオーラを放ってステージを跳ね回り、瞬く間に会場をひとつにしていく。MCでは「ここにいる1人1人が今日の秘密の証人になると思うので、1つ1つの光景をしっかりと目に焼き付けて帰りましょう」と明るく挨拶した。ここからはしばしメロウなゾーン。スッと目を閉じて曲に入り、『earth meal』と『last』を切なく儚く歌い上げる。
Photo by 瀧川まどか
TBS系火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』挿入歌の『開青』を経て、2度目のMCでは、バイハンとの出会いを回顧。asmiが音楽を始めたばかりの頃に「泰輝くんが強い目で"君は売れるよ"と言ってくれたんですよ。それが私は心強かった。泰輝くんは私の歌を1番に信じていてくれる人。泰輝くんが"asmiは最強なんやで、天才なんやで"と言ってくれたから歌えた歌があった。進むべき方向がわからない時はバイハンのライブを見に行った。私にとってバイハンは、1番大きな存在と言っても過言ではないくらい大切です。だから信じてもらえた気持ちに応えられたことが何より嬉しい。もしバイハンに何かあっても、私がバイハンを守れるように音楽を頑張ってます」と力強く想いを伝え、ラストは『ドキメキダイアリー』で華やかに締め括った。伸びやかでヘルシーな、最高の打ち上げ花火を上げたasmiだった。
●the paddles
Photo by かい
SECRET STAGEの1番手は、バイハンのマイメンことthe paddles。パンパンのフロアに向けて柄須賀皇司(vo.gt)が気合い十分に「よっしゃー!」と叫び、メロディアスな『プロポーズ』を心地良く響かせる。続き『スノウノイズ』でぐんとギアをアップ! 疾走感のあるメロディーと、パワフルで優しい歌声に牽引されてフロアの手が挙がる。前のめりなエネルギーが会場を巻き込む様子は壮観で、松嶋航大(ba)も田中智裕(support ds)も心底楽しそうに音を奏でる。
Photo by かい
バイハンのメンバーもHoney STAGEからライブを見守る。柄須賀は「俺たちの大切な仲間が作ったこの景色、全部抱きしめて帰ります!」と叫び、全力でフロアを踊らせ、MCで柄須賀は「ついに来たね! 無事開催おめでとうございます!」と祝福。軽いトークで笑いもさらいつつ、「このフェスの構想を初めて聞いたのは、泰輝とasmiと茅津と一緒にいた時」だと話し始める。「あの日公園や居酒屋で話したことがどんどん実現していくって、当たり前じゃないと思います。全員でこの秘密共有してさ、人に言いたくなるぐらいのでっかい気持ち、最後まで持って帰ろうな!」と叫び、『今は、エバーグリーン』を披露した。サウンドはポップでキャッチーながら、内包するのはロック魂と愛。「バイハンが挑戦する時はいつでも俺たちがついてるんで!」とピースサインを掲げ、フロアと距離を近づける。最後は訴える力を増幅させて『カーネーション』を披露した。「辛いことがあったら俺たちに会いに来いよ! いつでも抱きしめたる」とオーディエンスにも愛を贈る。バイハンとの関係性が伝わる、包容力たっぷりの頼もしいライブで会場を温かく包み込んだ。
●プッシュプルポット
Photo by かい
リハの段階からファンが肩を組んだり拳を突き上げたりとすさまじい盛り上がりを見せていたのは、石川県金沢市発のプッシュプルポット。2022年2月のバイハンの『SCOOP SPEECH SPEED TOUR』の京都公演に出演予定だったが、コロナで叶わなかったため、今回はリベンジも兼ねたライブとなる。SEが流れると大歓声が上がりフロアが蠢く。ものすごいパワーだ。明神竜太郎(dr.cho)、桑原拓也(gt.cho)、堀内一憲(ba.cho)、山口大貴(vo.gt)の順にステージに登場し、山口が「皆声出せるか!」と叫んで『愛していけるように』を投下する。同時にオーディエンスが前に詰めかけ、真っ直ぐなサウンドに導かれて全員でシンガロング! 続けて「一緒にジャンプできるかい?」と『Fine!!』を投下して見事な一体感を作り出す。
Photo by かい
『バカやろう』では山口がハンドマイクでステージを降り、オーディエンスの上へ。しかし支えきれずに崩れてしまい、一旦演奏をストップ。謝りつつも山口は「俺、上に行きたいです!」と宣言し、次はしっかりと支えられて、オーディエンスの上に立ち上がり気持ち良く歌唱。そこから山口がダイブすると雪崩れが起きて2回目のストップ。しかしフロアには温かい空気が流れる。そんなところが彼らの本質を表していて素敵だなと思う。ステージに帰還した山口が『ダイナマイトラヴソング』でダイブすると、それをトリガーにダイバーが続出。水を口に含んで客席に噴射すると、さらに火が点き大騒ぎ状態に。間髪入れず『笑って』で熱狂の渦を作り上げる。そこからも一切勢いを緩めずに『最終列車』を叩き込み「生きてけよお前ら。こんな楽しい日があるよ。死ぬんじゃねえぞ」とエールを贈る。ラストの『こんな日々を終わらせて』で沸き起こった大合唱は、確実にハイライトのひとつ。終始豪速球で駆け抜けてフロアと熱を交換し、すさまじい余韻を残したのだった。
●Blue Mash
Photo by 瀧川まどか
出演キャンセルとなったTRACK15に代わって登場したのは、大阪・寝屋川発のBlue Mash。優斗(vo.gt)がお客さんとしてasmiから見ようと、電車で会場に向かっていた時にSNSで出演キャンセルを知り、すぐさまメンバーに連絡して引き返し、機材を積んで阪神高速を飛ばしてやってきたそうだ。オーディエンスは大興奮でステージ前に詰めかけ、拳を突き上げる。優斗は「初めまして! 部外者Blue Mashです! よろしく!」と叫び、ものすごいパワーで『愛すべき日々』を投下した。「名前だけ聞いたことあるよって人! 気づくのがおせえよ!」と挑発的に煽り、がなるように歌う。西川源太(gt)は前に出て、荒川ソラ(ba)は頭を振り乱し、スギヤマリョーマ(ds)も一心不乱に楽器を鳴らす。爪痕を残すんだというヒリヒリした気持ちが痛いほど伝わってくる。
Photo by 瀧川まどか
MCでは経緯を説明してバイハンに感謝を述べ「出たかったけど誘われなかった。(お願いする時に)おちゃらけてしまった」と想いを吐露する優斗。選ばれなかった悔しさ、しかし貪欲に掴み取ったチャンス。音楽への情熱と本気、反骨心、あふれる感情がないまぜになった表情と言葉が、見る者の胸を鷲掴む。最後は晴れやかな顔で「音楽の神様って見てるもんですね。映画みたいな30分やって帰ります!」と『素直』へ。感極まって涙を拭いながら歌う優斗の姿にオーディエンスも拳を挙げて応え、後半ではダイバーも出現。優斗は自分たちも1年前にBIGCATで企画をしたからわかるとして、「2ステージってめっちゃお金かかるんですよ。俺はやりたかったけどできなかった。バイハンはすげえと思います。このイベントも、俺らが電話して急に出させてくれるのもカッコ良いけど、俺の方がカッコ良いと思ってます! それがロックバンドっちゅうもんでしょう?」と笑顔を浮かべ、爆発力を伴ってラストチューン『このまま僕らが大人になっても』まで3曲を連投した。本気の想いと行動は人の心を動かす。きっとこの日の彼らのライブを忘れることはないと思う。聖地・BIGCATで泥臭く命を燃やし、全身全霊で7曲をぶつけたBlue Mashは、とても眩しく輝いていた。
●ammo
※写真の無断転載/転用禁止
Photo by AOI
5バンド目に登場したのは、紹介動画で「いつも大事な時にいてくれるバンド」と紹介されていた大阪発のammo。SEが流れ、北出大洋(ds)の元へ岡本優星(vo.gt)と川原創馬(ba.cho)が集まり、拳を合わせて気合いを入れる。岡本が「俺たちの始まりの歌!」と叫び『フロントライン』を勢いよく投下すると、力強い歌声とパワフルなサウンドに引っ張られ、のっけからダイバーが続出。川原はステージ上で走りこみ、膝立ちになってベースを弾いて盛り上げる。間髪入れず『突風』を叩き込んでまたひとつ熱を上げ、岡本は「ど真ん中、任せてくれてありがとう! 前半戦のトリと後半戦のトッパーでいきます!」と『おもしろい方へ』を披露。岡本のメロディーメーカーぶりが伝わる、良質なメロディーが耳を喜ばせる。もちろんフロアはジャンプとハンズアップで応え、熱を生み続ける。
※写真の無断転載/転用禁止
Photo by AOI
『CAUTION』を経て、MCでは岡本がギターを鳴らしつつ「蜂蜜みたいな甘くてとろけるような、そんな日を作ろうと思ってるよ! ただなあ! 甘ったるいライブは絶対しねえ! 親友バイハンが言ってくれたんだ! 2回目3回目と続くフェスにしたいって。俺たちもそう思うし、そう思わせたいと思ってるよ。そして数年が経って、今日のことを思い出した時に、"伝説の1回目だったね"って言わせなきゃダメでしょ! ロックバンドの熱に溶けて帰れ! 『星とオレンジ』!」と叫ぶと大歓声が上がり、盛り上がりは最高潮に。さらにシームレスに『これっきり』を投下、「ずっとずっと続くイベントになりますように」とメッセージを贈り、最後は『何℃でも』で締め括った。同い年バンドのバイハンにどこまでも寄り添った、エモーショナルなライブを見せてくれたammo。彼ら自身も1月にメジャーデビューしたばかり。これからの活躍が楽しみでならない。
●レトロマイガール!!
Photo by 瀧川まどか
続いてSECRET STAGEに立ったのは、大阪北摂の3ピースバンド・レトロマイガール!!。2020年1月に結成、2021年3月に本格始動したバイハンの後輩バンドだ。花菜(gt.vo)が「秘密蜂蜜フェスよろしく!」と叫び、『映画で会いましょう』をパワフルに解き放つ。張りのある歌声と骨太ロックが気持ち良く疾走し、会場に風を起こす。あやき(ba.cho)のコーラスもアクセントとなり、1曲目から楽曲の良さをバッチリ提示した。
Photo by 瀧川まどか
続く『君と夕焼け』も3人の軽快なアンサンブルが心を弾ませる。バイハンとの対バンは2022年11月にANIMAで行われた『純粋無敵 - 市内で交わるツーマン編 -』以来、2度目。MCでは「バイハンとは地元が近くて、勝手にキタのお兄ちゃんやと思ってます。愛のこもったイベントで、サブステージの装飾がばちばちで素敵で、ほんまに呼んでもらえて嬉しい。ちょっとでも届いたらいいなって気持ちで歌いに来ました」と嬉しそうに述べて、新曲の『週末ワンルーム』を投下。ブレない歌声をポップかつロックに響かせると、ひらおか(ds.cho)の力強いビートにノイジーなギターとベースが重なるイントロから、メリハリのある展開が印象的な『逃避行』、<ミツバチ 頼らせて 甘さを足して>という歌詞がこの日にぴったりのバラード曲『ふたり』を披露し、「もう胸がいっぱいな気持ちでいます。最後一緒に盛り上がってくれますか?バイハンにエールを込めて!」と再び勢いを増して、ベースリフが効いた応援歌『グッドバイマイタウン』、最後は新曲の『バンジー!』を豪快にかっ飛ばした。シンプルで熱く、堂々たるステージングと安定感のある演奏力。見ているとこちらも力がみなぎってくるようなフレッシュなライブで、しかと存在感を示したレトロマイガール!!だった。
●ねぐせ。
Photo by AOI
リハで『ロックンロール・スーパーノヴァ』を歌い、自身のファンだけでなくバイハンのファンも喜ばせたのは、バイハンとは久々の対バンだという「ねぐせ。」。結成3年ながら今年6月には日本武道館単独公演を行う、人気急上昇中の4ピースバンドだ。りょたち(gt.vo)が「バイハン呼んでくれてありがとう! やれる?」と言って『愛してみてよ減るもんじゃないし』を響かせると、早速クラップの嵐が起こる。ねぐせ。らしいポップネスに乗って、りょたちの甘い歌声が会場を満たしてゆく。なおや(gt)としょうと(ba)が前に出て楽器をかき鳴らし、なおと(ds)が「ハイ! ハイ!」と合いの手を入れると一斉にフロアの拳が上がり、一体感で包み込んだ。『スーパー愛したい』では<バイハンのフェスと>と歌詞を変えて歌い、またしても会場の温度を引き上げる。頭上でのクラップとシンガロングでひとつにすると、一気に激しいツービートで加速し『あの娘の胸に飛びこんで!』を投下。途端にモッシュピットとダイバーが出現し、お祭り騒ぎ状態に。
Photo by AOI
短いMCを挟み、どこかノスタルジックな空気を感じる『片手にビール』でゆらゆら踊らせる。恋人との思い出を等身大の歌詞で綴った『日常革命』をしっとりと聴かせ、MCでは「今日のメンツめっちゃ良くない?バイハンにありがとーって言おうか」と皆で感謝を伝える。りょたちのアカペラから始まった『ベイベイベイビー!』では、見事な大合唱が起こり、最高の一体感で披露されたアンセム『グッドな音楽を』では、歌詞を<最低だって思うのはバイハンが最高だからだ>に変えて歌い、最後は極め付け!「あと1分あるから1曲やるわ!」と『あの娘の胸に飛びこんで!』をショートバージョンで披露。時間いっぱい使って盛り上げ、フロアを沸騰状態に変化させた。メンバーの名前を呼ぶ声や「ありがとう!」の声がいつまでも止まなかったことが、ライブの素晴らしさを物語っていた。
●Arakezuri
Photo by かい
トリ前はバイハンの盟友・Arakezuri。リハが始まると、前のめりになったファンの熱気に圧倒される。紹介動画で「信頼と実績のバンド」と言われていたが、堂々たる佇まいでリハを行う姿や、早くもフロアを掌握する空気には納得しかない。白井竣馬(vo.gt)が「あっちゅーまに終わる人生! 俺たちとあんたで作る」と叫び『たいせつ』を投下すると、ものすごい数の拳が天を突く。石坂亮輔(gt.cho)と宇野智紀(ba.cho)が前に出て訴えかけるようなパワーを放ち、椿佑輔(ds.cho)のエッジーな一打がさらなる熱を生み出す。『最愛の日々を越えて』では、パンキッシュなサウンドに巻き込まれたフロアの後方まで、もれなく手が挙がる。すごい光景だ。ちょうどこの日、7周年を迎えたArakezuri。MCで白井は「大好きなバイハンに俺たちの7周年を捧げたいなと思いました。本当に呼んでくれてありがとう!」と笑顔。そして「バイハンに俺たちの声を届けてやろうぜ!」とHoney STAGEで見ていたメンバーに愛を込めて『必然』をシンガロング。バイハンメンバーは嬉しそうにその様子を見つめる。
Photo by かい
『ウルトラエール』でオーディエンスの上に乗った白井は「俺、バイハンに会いに行きたいんです!」と、『クアトリーセンチュリー』を歌いながらオーディエンスに運ばれてフロアを縦断。Honey STAGEで待ち構えていたメンバーに抱きとめられ、白井は岩橋と肩を組んで声を張り上げる。さらに中村と汐田が客席に勢いよくダイブ! 言わずもがなフロアは大熱狂の渦に。SECRET STAGEに帰還した白井は「メインステージめっちゃ気持ち良いで!」と笑顔。「次はメイン頼むわ」との言葉も聞こえたので、来年に期待である。白井は「何やってもダメやなって瞬間はいっぱいある。それでも俺たちは今日のバイハンみたいに挑戦したりする。俺たちも負けたくないし、あんたにも負けてほしくない」と滔々と述べて、1月に配信リリースされた新曲『だめでもともと』を鮮やかに投下して命をきらめかせ、ラストは『ヒーロー』でライブを終了した。全身全霊のステージングでエモーショナルな空気を作り出し「あんたのヒーロー、バイハンのヒーロー、Arakezuriだセンキュー!」とバイハンへとバトンをつないだArakezuri。双方の友情に胸が熱くなる濃厚な30分だった。
●Bye-Bye-Handの方程式
Photo by かい
いよいよ大トリ・Bye-Bye-Handの方程式が登場! ここまでつながれてきた各バンドとオーディエンスの熱量、その根底に流れる"大好きなバイハンのためにこの日を良いものにしよう"という一体感が会場全体に宿り、待ってました感がすさまじい。SEが流れるとクラップが沸き起こり、割れんばかりの大歓声に包まれる。汐田は「やっと歌える! 俺たちが『秘密蜂蜜フェス』トリ、Bye-Bye-Handの方程式だ! あとは任せとけ!」と荒々しく煽り、勢いよく『風街突風倶楽部』でライブをスタート。続けて『daring rolling』『ソフビ人間』と爽快でロックなナンバーを連続披露。もはや呆気にとられるレベルの大熱狂を見せて、ステージとフロアの距離をぐんぐん近づける。『熱帯夜と遊覧船』で見せた中村と清弘のユニゾン、そこに重なる岩橋のギターリフ、岩橋と頭をくっつけて歌う汐田の荒々しいボーカルが最高にカッコ良い。MCでは汐田が「俺の友達の8組のアーティストに拍手! 今日呼んだ8組のバンドの中心に俺たちがいる! 名だたるフェスに呼ばれるのを待つのはもう飽きたんだわ! だから自分たちで1番カッコ良いフェス、作ってみました!」と叫び、『romance tower』へ。さらに歌うようなギターリフが響いた『目を閉じるだけ』、軽快なアンサンブルが輝いた『ひかりあうものたち』を歌い上げた。
ここで、スペシャルゲストのasmiが登場。披露するのはもちろん『甘えたいだけなのだ feat.asmi』。汐田はハンドマイクで、asmiと2人メロウに歌声をハモらせる。asmiの少しハスキーな歌声が楽曲に切なさを加え、素晴らしい空間を作り出した。asmiとのコラボを終えた汐田は「何だかドキドキしてきた! 受け止めてくれ!」とポップでキャッチーな『ジュウブンノサン』を繰り出し、ライブ構成に強弱をつける。
Photo by かい
MCでは「俺たちの挑戦の中で1番大きいイベント。そんな特大の秘密を一緒に目撃してくれて本当にありがとう!」と述べ「8組の対バンを見て、たくさんのものをもらいました。3つわかったことがある」と話し始める。「まず俺たちが今まで当たり前に出てたサーキット、イベント、フェス。あいつはとんでもないものでできてる。本当に大変だ。マジありがとうございます!」とスタッフを労い感謝を述べる。続けて「BIGCATは関西のバンドにとって外せない場所。俺も皆と同じようにそっちで大好きなバンドを見てた。2回くらい立たせてもらったけど、何だか地に足が着いてなくて。俺がバンドを始めるキッカケになったバンドは20歳でここをソールドさせてた。俺は4年という歳月がかかって、ましてやワンマンじゃなくて。でもようやく本当の意味でBIGCATに立てた気がしてます。その数年後に大好きなバンドは解散して、対バンもできずに終わってしまった。だけどわかった。解散した俺の大好きなバンドとバイハンは何が違うかって、今日出てくれた8組のバンドがいたからです。あとひとつは簡単だよ。今日もバンド続けてきて良かったです。ありがとうございました!」と魂を込めて叫ぶように言葉を紡ぎ、『ラブドール』を爆発力たっぷりにプレイ。そのキラキラした姿に牽引されてフロアも拳を上げ、ダイバーを出現させた。この熱量は終盤にかけて高まる一方。しかし汐田は「足りない足りない! 物足りない!」と煽りまくる。『あの子と宇宙に夢中な僕ら』では、岩橋がギターを抱えたままフロアにダイブ! 高まる拳とシンガロングでBIGCATを揺らし、ラストは『風鈴』で、これ以上ないほどエネルギッシュに駆け抜けた。
Photo by かい
すぐさま起こったアンコールに応え、ステージに戻ったメンバー。汐田は「ありがとー! ほんとに楽しかった!」と充実した表情を見せ、嬉しいお知らせを幾つもアナウンス。5月に日本コロムビアより1stフルアルバム『ソフビ』が発売されること、先行シングル『春のチャンス』が2月4日にリリースされることを発表し、「おかん誕生日おめでとうー! 俺をリリースしてくれてありがとう!」と汐田のお母さんの誕生日をお祝いした。また、改めてBlue Mashに感謝を述べた汐田。実は優斗の電話の10分後に、bokula.のえい(gt.vo)も連絡をくれたと告白。TRACK15とbokula.とBlue Mash、バイハンの4バンドで対バンが実現する日も近いかもしれない。
先ほどアナウンスされた新曲『春のチャンス』を披露。みずみずしく軽快なポップソングだ。もちろんフロアはハンズアップで応え、BIGCATに美しい光景が広がった。そして出演者全員をステージに呼び寄せ、『ロックンロール・スーパーノヴァ』を歌唱。一気に賑やかになったステージでは、それぞれが自由な楽しみ方で多幸感を味わっていた。最後は汐田が「来年も絶対にやるぞー! これにて『秘密蜂蜜フェス』終了〜!」と締め括り、大団円でイベントは閉幕した。バイハンの4人は前に出て手を繋ぎ、深々とお辞儀。達成感に満ちあふれたメンバーの笑顔が、本当に眩しかった。いつまでも鳴り止まない、フロアから贈られる「ありがとうー! おめでとうー!」の歓声と温かな拍手。バイハンというバンドはとことん愛されている。
本当に愛に包まれた素晴らしいイベントとなった『秘密蜂蜜フェス』。バンド同士の相乗効果も印象的で、まさに誰1人欠けてもできなかった、全員で作り上げた1日だった。この甘い「秘密」の目撃者と証人が、来年も増えることを心待ちにしていよう。
Photo by AOI
Texy by ERI KUBOTA
(2024年3月 1日更新)
●asmi
1.アイワナムチュー
2.BLACK COFFEE
3.earth meal
4.last
5.開青
6.Call me
7.ドキメキダイアリー
●the paddles
1.プロポーズ
2.スノウノイズ
3.花
4.WARNING!
5.今は、エバーグリーン
6.ブルーベリーデイズ
7.カーネーション
●プッシュプルポット
1. 愛していけるように
2.Fine!!
3.バカやろう
4.ダイナマイトラヴソング
5.笑って
6.最終列車
7.こんな日々を終わらせて
●Blue Mash
※セットリスト未公開
●ammo
※セットリスト未公開
●レトロマイガール!!
1.映画で会いましょう
2.君と夕焼け
3.週末ワンルーム
4.逃避行
5.ふたり
6.グッドバイマイタウン
7.バンジー!
●ねぐせ。
1.愛してみてよ減るもんじゃないし
2.スーパー愛したい
3. あの娘の胸に飛びこんで!
4.片手にビール
5.日常革命
6. ベイベイベイビー!
7.グッドな音楽を
8. あの娘の胸に飛びこんで!(short)
●Arakezuri
1.たいせつ
2.最愛の日々を越えて
3.シャニムニ
4.必然
5.ウルトラエール
6.クアトリーセンチュリー
7.だめでもともと
8.ヒーロー
●Bye-Bye-Handの方程式
1.風街突風倶楽部
2.darin rolling
3.ソフビ人間
4.熱帯夜と遊覧船
5.romance tower
6.目を閉じるだけ
7.ひかりあうものたち
8.甘えたいだけなのだ feat.asmi
9.ジュウブンノサン
10.ラブドール
11.midnight parade
12.あの子と宇宙に夢中な僕ら
13.風鈴
EN1.春のチャンス
EN2.ロックンロール・スーパーノヴァ
「プッシュプルポット 3rd mini album 『生き抜いたその先で』 release tour 2023-2024 "ハイエースで一騎駆けツアー"」
【大阪公演】
▼3月22日(金) 19:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]サウンドクリエーター06-6357-4400
「GREENSとJANUS企画 コボブル」
【大阪公演】
▼3月21日(木) 19:00
心斎橋JANUS
一般-3300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学生-2800円(高校生以下、当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]kobore/Blue Mash
[オープニングアクト]カラノア
※学生チケットは当日学生証提示必要。提示なしの場合は差額をいただきます。
[問]GREENS■06-6882-1224
「THE BONDS 2024 GIGANTIC TOWN MEETING」
〈OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2024 SPIN-OFF〉
【大阪公演】
▼4月13日(土) 12:00
梅田クラブクアトロ/umeda TRAD/梅田BananaHall/梅田Zeela
リストバンド引換券-4000円(ドリンク代別途要)
[出演]Enfants/UNFAIR RULE/East Of Eden/おいしくるメロンパン/ガラクタ/CLAN QUEEN/DURDN/Doul/Deep Sea Diving Club/This is LAST/なきごと/Bye-Bye-Handの方程式/Billyrrom/ブランデー戦記/muque/紫 今/Laughing Hick/リアクション ザ ブッタ/LET ME KNOW/レトロリロン/他
※リストバンド交換10:30~
※リストバンド交換・インフォメーション本部⇒梅田BananaHall 2F
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888