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“全部の感情を隅から隅まで出した1枚。最終的には愛だよね”
Nulbarich・JQがアルバム『The Roller Skating Tour』で表現した喜びと感謝

2023年12月20日、Nulbarichが『NEW GRAVITY』以来約3年ぶりとなる5th フルアルバム『The Roller Skating Tour』をリリースした。TVアニメ『ミギとダリ』のED主題歌『Skyline』をはじめ、Kroiの内田怜央(vo&g)をゲストに迎えた『DISCO PRANK feat.Leo Uchida(Kroi)』 、オランダのポップ・マエストロであるBenny Singsとの『Just A Game feat.Benny Sings』、ラッパー・PUNPEEとの『DAY feat.PUNPEE』、また、旧知の仲であるプロデューサーのSUNNY BOYやYaffleといった豪華クリエイターと作り上げた全13曲が収録された意欲作。今回はJQ(vo)に、アルバム制作についての話をたっぷり聞いた。コロナ禍を越えて、制作を通して見出した喜びとは。また、1月26日(金)にZepp Nambaで行われる『Nulbarich The Roller Skating Tour ’24』への意気込みも語ってもらった。

気付けばLAがホームに。制作における環境の重要性


――3年ぶりのアルバム『The Roller Skating Tour』がリリースになりましたが、今のお気持ちはどんな感じですか?

「"やっとできたか"みたいな。やっぱりコロナ禍とそこからの復活期が2022年ぐらいまであったので。制限とか、声出せませんとか、ライブできるぞとなっても何だかんだ中止とか、"なんかいつも通りじゃない"という違和感からなかなか抜け出せなかったのと、やる気スイッチがどこかに行ってる状態で。2023年の春先にシングル『Reach Out』と『A Roller Skating Tour』をボンボンと出した辺りから、ライブも本格的に声出しOKになってきて、"そうそう、これこれ"という感覚が戻ってきて、4月頃から8ヶ月かけてアルバムの構想を練っていきました。2023年はアルバム作りに集中した年でしたね」

――やる気スイッチが失われたというのは、やはり世相の影響が大きいですか?

「まあそうですね。あとはリハーサルのスケジュールを組んだり、メンバーで集まることもしづらくなっちゃって...。マインドが変わっていった人もいたし。僕自身もふらっと"飯行こう"と言えなくなったぐらい、人と会わないのがノーマルになったタイミングがあって。人と会わずに自分の時間ばかり増やすと、大したことは考えないじゃないですか。心配や不安でネガティブになりやすい。僕自身、音楽をやってたからこそ助けられた部分はあるんですけど、コロナになるまでは本当に目まぐるしく働きまくっていたので、2020~2022年はそこの落差を埋めていくことで必死だったなと思いますね」

――なるほど、本当にそうですよね。

「一応2021年はある程度振り絞って、アルバム『NEW GRAVITY』を出せて。そこからポジティブな兆しになったものの、まだ不完全なモードでした。で、3年弱しゃがんだ分のモチベが2023年にドガッと上がってきて、想定していたものがビジョンで見えるようになってきて、まっすぐアルバムに向かった感じです」

――前作の時は、まだビジョンが見えにくい感じだったんですか?

「そうですね。前作はむしろそれをそのまま詰めようというか。アルバムを作ると、その時の世界情勢や、自分たちの周りも含めて、どういう時だったかが思い出せるぐらい、その時の空気が入るので。2年半前に出した作品からはだいぶ空気が変わってるかな」

――前作は"第2章の始まり"とも銘打っておられたと思いますが、そこからまたポジティブになった感じですか?

「何かを生み出してる感じはもうあるかな。前回も第2章なんですけど、世の中から強制的に第2章を始めなさいと言われたというか。コロナで、"今までの当たり前はもう当たり前じゃないので、皆さんここからどうぞ"と言われたような状況だった。その中で必死に僕たちが今できる表現として出したのが『NEW GRAVITY』なんですけど、今回はやっと、いつも通りライブや曲が作れるように戻ってきた感覚があります」

――健全に曲を作るためには、周りの環境や空気感も関係するんですね。

「そうですね。僕はむしろ、そこをどうするかで、アウトプットを調整してる感覚がある。いわゆるインプットをどの環境に置くかはすごく重要な気がしてます。それで2020年にLAに移住してみたり。やっぱり環境を変えることは常に考えてます」

――もう行かれて4年目になるんですね。LAでの制作は慣れてきましたか?

「最初は割と新しい場所で曲を作る、みたいな感覚でできてたんですけど、2023年はLAに全然帰れてなくて、この間弾丸でちょっと帰ったんですけど、僕の知らないうちにもう地元みたくなってることに気付きました。1年目、2年目よりもLAに行った回数は少なかったけど、帰ると懐かしさやホーム感が自然とあって。そういう中で作ってるものはまた違うなと。今回の制作での新しい発見でした」



他者評価の"Nulbarichらしさ"が逆転


――今作はシングル『A Roller Skating Tour』があってのアルバムなんですね。

「そうです。シングル『Reach Out』(2023年5月リリース)と『A Roller Skating Tour』(2023年4月リリース)は、ほぼ同時期に制作していて。『A Roller Skating Tour』自体が、僕的には新たな提示なんです。ボーカルのラインも割とピッチが低いまま続くし、今までそんなになかった特徴の曲で、スタッフや世の中に対して、"僕最近こんなのが好きなんです"みたいな提示として出したんですけど、思っていた以上の評価をもらって。実際にライブでやった時もすごくバイブスが高く返ってきたので、それを軸にしたアルバムを作りたい気持ちになったというか。今までは、評価されてきた曲も無意識に"Nulbarichとは?"と分析をしていて、スタッフも知らないうちにそれを求めちゃっていたり。そういうしがらみみたいなものが、見えないけど何となくあったんですよね。多分、自分の中でそれを破りたくてこの曲ができたと思うんですけど、それが良かったもんだから、"じゃあ一旦ここを軸にやってみたい"という欲でアルバムができていったという」

――欲で。

「今までだと、『Reach Out』を軸にアルバムを作って『A Roller Skating Tour』がアルバムに入るという、"コインの表と裏"の表情になると思うんですけど、今回は想定と真逆の曲が表になって、軸になった。つまり、今までNulbarichらしいと思っていた曲が、裏の説得力側に回った。そうすると表側をどうするのか、と考えるのも、アルバムの構想を練るのすらも、全部楽しかったですね」

――JQさん的には、意外な反応が返ってきたと感じたんですか?

「僕自身は"これがリードで、これはリードじゃない"みたいに曲を作ったことがなくて。僕は作ることに専念しているので、どれをシングルにするか、どれをリード曲にするかというのは、スタッフに委ねているんですけど、スタッフ側から"これでいこう"という評価をもらったことがまず驚きでした」

――自分の提示がそのまま通ったんですね。

「まあ、通るつもりで作ってはいるんですけど、"ああ、ほんとに通った"みたいな」

――その感覚は初めてだったと。

「そうですね」

――アルバムタイトルも『A Roller Skating Tour』の"A"が"The"になって引き継がれていますね。

「そもそもこのアルバムは、シングルの『A Roller Skating Tour』がキッカケだったので、それにちなんだタイトルにしたいなと思っていて。『A Roller Skating Tour』は、ローラースケートで廻るという行為を人生にかけた曲なんです。"とあるローラースケーティングツアーのお話"みたいなタイトルなんですけど、アルバムとなると、自分たちのことになってくるので、"とある=A"じゃなくて、僕たちの人生という部分で、"特定の=The"なら、シンプルでわかりやすいかなと思ってそうしました」

――アルバムを通して、人生を生きていくことが大きなテーマになっていると思いますが、その中でタイアップやコラボレーション楽曲はどのように作っていかれたんですか?

「基本的に曲を作る時は、全部自分の人生とかけて、僕の言葉として吐き出していくんです。それこそアニメ『ミギとダリ』の世界線(『Skyline』(M-12)がED主題歌)でも、基本的に自分の人生とかけて言葉を吐き出している感覚なので、全然違和感がなくて。コラボレーションもそうですね。"人対人"の感覚なので、"2人で何を言おう"というよりは、"僕はこのお題に対してこう思う"というリリックの書き方がほとんど。違和感なく自分というものを出しつつ、ゲストを招いた時はその人の表情も入るという感覚で、うまくバランスは取れたかなと思っています」



今回初めてビビらずに曲が書けた


――イントロの『3:33』(M-1)は何とお呼びしたらいいですか? 3時33分?

「3時33分です」

――曲の尺は1分11秒で面白いなと思いました。

「333は、僕が生きてる中で、死ぬほど見る時間の数字です」

――夜中ですか?

「夜中も昼も。パッと時計を見ると3時33分なんです」

――少々スピリチュアルですが、エンジェルナンバーですかね。

「"サインじゃない?"とよく言われるんですけど、そうだとしたら、とてつもない量が来てますね。3という数字に取り憑かれ気味で、特に333はめっちゃ見るんですよ」

――『NEW GRAVITY』にも『Skit #333』という曲がありますね。

「そうです。よく見るのでもう開き直って。今回のジャケットの男の子の背番号も333です」

――本当ですね!

「僕のLAの部屋の番号も333なんです」

――え! たまたまですか。

「はい。"カッコ良いね"と気に入った部屋番号が333」

――すごい。3という数字にご縁があるんでしょうね。

「何かあるんでしょうね。"お願いします"とは思ってるんですけど、何のサインだか気付けてないから、より強くなってきてるのかな(笑)」

――気になりますね(笑)。そこから『Lonly Road』(M-2)が寂しげに始まりますが、私結構好きかもしれないです。

「ほんとですか。ありがとうございます」

――何だか考えさせられる楽曲のような気がしていて、"Nomal Life"って何だろうと自問しました。

「例えばちょっと落ち込んだ時、いわゆる視点を高いところに置いて、その感情や出来事をマイナスと取るか、プラスと取るか。その人にとってのニュートラルがどこなのかは、結局その人次第じゃないですか。多分、ここで言う<think that I>は、"基本的に寂しいことがデフォルトだ"、という感覚なんです。自分が思ったこともできないけど、希望だけは絶えないんだと歌ってるんですけど、アルバム全体を通して超ダサく言うと、"結局は愛だよね"というところに繋がる1枚になってて。孤独を感じられるのも、いろんな人に助けられているから。いわゆる"俺は孤独だ"と叫び散らかしてる曲をYaffleくんと一緒に作ってる時点で、かなり皮肉ですよね。孤独な曲を人と作ってるって。それはわざとなんですけど、これをちゃんと言ってこなかったのが、今までの僕のスタンス。『NEW ERA』(2016年リリース)のリリックで、<がんじがらめだよ>と言いながらも、"結局守ってもらってたんだ"みたいに、1つのバースで解決することはあったんですけど、"がんじがらめだー!"って3分間言い続ける曲はあまりなくて。いろんな感情を並べて、最終的には愛だよねって、アルバムで結論付けた。そうやってビビらず曲が書けたのは、今回1個成長できたことかなと思ってます」

――何か気持ちに変化があったんですか?

「アメリカに行って3年経って、行ったり来たりの生活をして、コロナで1回落とされて。いつ消えてもおかしくない状況の中で、何だかんだ目に見えて助けてくれてる人たちがたくさんいることを、肌でちゃんと感じられるようになったからこそ、その安心感が表現力の幅をどんどん広げていってくれてる気はしてて」

――Yaffleさんとはどう話し合いながら作られたんですか?

「曲のコンセプト自体は全部こっちに丸投げしてくれて。曲とメロディーに関してはどうしてもYaffleくんの世界観を感じてみたかったので彼に丸投げして、それに対して歌詞を乗っけていった感じです」

――孤独というコンセプトについては、何かおっしゃってました?

「カッコ良いって。ま、やっぱりサウンドメイクの人なので。でも、できあがった時はすごく喜んでくれました」

――じわっと入ってきて、ふと聴きたくなる曲ですよね。

「なるべく孤独感と冷たさを出してます。ほっこりする部分はなくていいなと思ってて」



"俺らはこんくらいしかできないけど、今日もまた曲を作るよ"


――次にKroiの内田怜央(vo&g)さんとの『DISCO PRANK feat. Leo Uchida (kroi)』がくるから、安心できる感じもしました。

「振幅がね。かなりメンヘラですけど。でもここで言ってることも、今の状態に満足してなかったり、"こんな世の中だし"みたいな皮肉は入ってて。もし一声で世界を変えられるような人であれば、やれることはたくさんあるけど、ミュージシャンは曲を作ることしかできないので。音楽で人を確実に幸せにすることもできなければ、傷つけることもできない。音楽自体の効能はそんなに大したことないというか、受け取った側がどう解釈していくかというだけなので。僕たちがやってるのは、世の中に音のいたずら(=PRANK)をして、それがたまに人を笑顔にしたり、何も起きなかったり、時に戦争を止めてみたりもする。それが音楽の素晴らしくて美しい部分だよねって、怜央くんと話してて、じゃあそのまま曲にしようというので、"ディスコのいたずら=DISCO PRANK"という曲を書いて。世の中がどうなろうが知らねえってわけじゃなくて、"俺らはこんくらいしかできないけど、今日もまた曲を作るよ"という曲になりました」

――ラップのバースは内田さんが書かれたんですか?

「もちろん。それぞれ歌ってるところはそれぞれが書きました。ゼロイチから怜央くんと一緒に作ってます」

――仲良くなられたキッカケは?

「フェスとかでは結構一緒になってたんですけど、1番のキッカケは2023年の秋にツーマンライブに誘ってくれたこと。そこで色々打ち合わせをして、"だったらサプライズで1曲作りたい"と提案して」

――制作は楽しかったですか?

「楽しかったですね。やっぱりクレバーだし、ほんと天才肌なんで。でも人間的な部分でかなりフィットする部分があったので、楽しくできました」

――Kroiの制作スタイルを垣間見れたり、刺激を受けたりはありました?

「Kroiも怜央くんがほとんどゼロイチを作った上で、メンバーでアレンジしていくスタイルなので、うちとかなり似てるというか。"普段どっちから作ってます?"みたいな話をしつつ、"じゃあ今回はこういこうか"と。話は早かったです」

――<ひらめき欠乏ならイタズラで掻き鳴らす>というバースからは、ミュージシャンの本音が見える気がしますね。

「怜央くんは自分がどういうふうにふざけるか、どう面白くしていくかを考えてる人間。世の中に提示する時も曲を作る時も、いたずら心が1番大事だってことは、彼も言ってることですね」



プロデューサー同士の居酒屋飲みのような楽曲制作


――PUNPEEさんとの『DAY feat. PUNPEE』は、シングルでリリースされていますが、これもアルバムに入れる前提で作られているんですよね。

「そうですね。『DAY』は前回のツアー(『Take This Empty Capsule TOUR 2022』)の時にサプライズで作った曲で。リリースの予定もなく、ツアーだけでやった曲なんですけど、もったいねえなと思って。どうせなら作品にしたいと思ってコンポートしていく中で、この曲にまだ足りないピースがあるなと。"そうだ、多分ラッパー入れた方がいい"となって、この曲に合うラッパーは誰だ、絶対PUNPEEくんだろうなと思って、声を掛けたら快く受け入れてくれて。彼もかなりのプロデューサー気質で、せっかくなら曲全体の最終的なコンポーズまで一緒にやりたいと言ってくれて。バース部分のトラックを変えてみたり、全体の構成を変えたりしつつ。プロデューサー同士の制作っぽくて、すごく楽しかったです」

――そこにSUNNY BOYさんも入られて。

「SUNNY BOYはめちゃめちゃ古い付き合いなので、久々に一緒にできました」

――プロデューサー同士の作品作りとなると、いつもとはまた違うんですか?

「僕はね、割と気が楽になっていくタイプ。僕は"絶対これじゃなきゃやだ"というこだわりはあまりなくて、自分の脳みそを超えてきてくれたものに関しては受け入れるスタンスなので。SUNNYと曲を作る時も、PUNPEEくんと曲を作る時もそうですけど、プロデューサー同士で居酒屋で飲んでる感じと変わらない。"あれ良いよね、あれも良かったよね"みたいな話の延長が、そのままビートになってる感じですね。楽しかったです」

――ラップもシニカルで、PUNPEEさんらしさが出ているのかなと。

「僕がこの曲に求めてた部分が、全てちゃんと入ってる。特にラッパーじゃないと言えない言い回し。これをメロディーとかでやると、結構変な曲になっちゃったりするので。ラップでこういうふうに落としてくれて最高です」



支えて愛をくれるリスナーへの、ありがとうソング


――そして『Backyard Party』(M-9)ですが、私1番好きです。カッコ良い。

「やった!(ガッツポーズ)。ありがとうございます」

――メロディーがたまらなく好きです。この曲はどのように作られたんですか?

「これは『H.O.T』(2018年リリース)というアルバムに入っている『Heart Like a Pool』のアンサーソングです。『Heart Like a Pool』が、自分の心は自分の家の裏庭のプールの大きさだと思うとわかりやすいということを歌った曲で。プールのサイズによって、裏庭でパーティーする時の人数が大体決まるじゃないですか。2~3人用のプールだと、ほんと気の知れたメンバーだけでパーティーする。欲張って20人入れるプールを用意すれば、楽しいパーティーは開けるけど、準備も片付けも大変だね、好きなサイズにデザインして楽しい人生を歩もうぜ。いつか君のBackyard Poolにも招待してね、みたいな曲なんです。その『Heart Like a Pool』を経て、『Backyard Party』は、Nulbarichのワンマンライブを1個のプールとして、2016年からここまで歩み続けた僕たちのプールにリスナーがいる状態を書いた曲なんですよ。『Heart Like a Pool』のNulbarichバージョンが『Backyard Party』で、いわゆる今まで支えてくれた方々に対しての1個のアンサー。アルバム想定初期から、割とずっと頭の中で構想としてはあって。どんなふうに作っていくかだけが、最後の最後まで悩んだんですけど」

――難産だったんですか?

「まあでもそうか、そういうことですね。難産というか、お腹の中にいた時は自信満々だったんですけど、いざ出すとなった時に、全然外に出たがらないみたいな感じ(笑)。それで、本当に納品1日前とか、1番最後に作りました。僕もアルバムでかなり重要なポジションにいる曲だと思ってます」

――なるほど、リスナーがいるんですね。

「僕たちのプールの中であなたが泳いでて、随分楽しそうだね、とサビで歌ってます」

――もっと大きいプールに行けそうな雰囲気も感じますね。

「この曲の世界線は、僕が普段からもらってる愛を伝えるありがとうソングというか。僕、"支えてもらってありがとう"みたいなことを言いづらい人間なので、こういう形で曲として落とし込めたのが良いなと思いつつ、"これからもよろしくね"という感じです。僕もすごく好きな曲ですね」



『Floatin'』をリードとして出すまでが、このアルバムにおける、僕の使命


――『Floatin'』 (M-10)は、LAで見た景色を歌っていますね。まだ離れられないと。

「モロこれに関しては、最初に言った、皆様の愛があるからこそ、LAで浮かれることができて、ただただそのことしか歌ってない曲。そんな曲ができたことが、僕の1番の喜び。今までだと"日本も好きだよ"みたいなのを入れがちなんですけど、"いってらっしゃい"と送り出してくれて、日本で頑張ってくれてるスタッフも含め、Nulbarichを待ってくれてる人も、守ってくれてる人もいるので、フルスイングでこういう曲が書けたのが、もうすごく嬉しくて。一応僕の中では、この曲がアルバムのリードです。『A Roller Skating Tour』という曲ができて、『Floatin'』をリードとして出すまでが、このアルバムにおける、僕の中での使命というか」

――それほどまでに。喜びに溢れているんですね。

「はい。"これをリードとして出したい"と言ったのは、今回が初めてかな」

――今までは委ねているとおっしゃってましたもんね。

「委ねてるし、大人に任せてたんですけど、ただただ"LA大好きです"と言ってるだけの曲が、アルバムのリードで出せたら最高だなと思って。この曲はもうできた時からずっとアガりっぱなし。大好きです」

――キーになる曲なんですね。そして最後の曲が『Home』(M-13)。ローラースケートで廻って帰ってくるようなイメージもありますね。

「結局それがどこかの場所でも良いし、心というか、皆からもらってる愛が拠り所でも全然良くて。自分の色んな感情を全部散らかしたアルバムの最後に、振り返ってエンドロールを見てるような曲かなと思っています」

――改めて今作、どんな1枚になったと思われますか。

「迷わずに色んな角度で、"この曲はこう、この曲にはこっち"って、それぞれに振り切ることができました。元々僕は自分に自信がない人間なので、無意識に色んなことを考えてしまうところを、"一旦好きにやってみなよ。やっちゃうか!"と思えた状況に本当に感謝しつつ、本当に僕の感情の隅から隅まで表現できた作品だと思ってます。筋が通ってないところが人間臭いですね」

――1月からはアルバムを提げたツアーが始まります。2月のファイナルは台湾公演ですね。大阪は1月26日(金)のZepp Nambaです。意気込みをお願いします!

「久々のアルバムを提げてのツアーです。今回はかなりストーリーテラーに作ったアルバムで、音源では表現しきれなかった、ライブでできることが大体倍くらいあります。だからさらに濃く、1曲1曲の間のグラデーションの部分がより鮮明に、解像度も高く、生で体感してもらえると思うので、初めての人も、いつも来てくれてる人も、絶対に見ていただいた方がいいライブになってると思います。ぜひ現場に遊びに来てください!」

Text by ERI KUBOTA




(2024年1月23日更新)


Check

Movie

Release

3年ぶりのフルアルバム発売中!

『The Roller Skating Tour』
発売中

【初回限定盤】(2CD)
品番:VIZL-2248
4400円(税込)

【通常盤】(CD)
品番:VICL-65898
3400円(税込)

《CD収録曲》
CD(全形態共通)
01. 3:33 (Intro)
02. Lonely Road
03. DISCO PRANK feat. Leo Uchida (kroi)
04. Reach Out(コーヒーブランド「ダイドーブレンド」 CMソング)
05. DAY feat. PUNPEE
06. smoke break (skit)
07. Cigarette Butt
08. Just A Game feat. Benny Sings
09. Backyard Party
10. Floatin’
11. A Roller Skating Tour(「GLOBAL WORK」CMソング)
12. Skyline(TVアニメ「ミギとダリ」エンディング主題歌)
13. Home

《初回限定盤のみ》
LIVE CD「SUMMER SONIC 2023(August 2023, at Makuhari Messe)」
01. NEW ERA
02. It’s Who We Are
03. Reach Out
04. A Roller Skating Tour
05. DAY feat. PUNPEE
06. STEP IT


Profile

シンガー・ソングライターのJQ(vo)がトータルプロデュースするNulbarich。2016年10月、1st ALBUM「Guess Who?」リリース。その後わずか2年で武道館ライブを達成。即ソールドアウト。日本はもとよりSeoul、Taipei、Shanghaiなどのアジアでも多数のライブを行う。生演奏、またそれらをサンプリングし組み上げるという、ビートメーカー出身のJQらしいスタイルから生まれるグルーヴィーな音は、バイリンガルなボーカルと溶け合い、エモーショナルでポップなオリジナルサウンドへと昇華する。「Null(何もない)」けど「Rich(満たされている)」。バンド名にも、そんなアンビバレントなスタイルへのJQの想いが込められている。2023年12月20日、『NEW GRAVITY』以来約3年ぶりとなる5th フルアルバム『The Roller Skating Tour』をリリース。1月からは、ファイナルの台湾を含む国内外7都市を廻るツアー『Nulbarich The Roller Skating Tour ’24』を開催。

Nulbarich オフィシャルサイト
https://nulbarich.com/


Live

「Nulbarich The Roller Skating Tour ‘24」

【愛知公演】
▼1月25日(木) Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:259-571
▼1月26日(金) 19:00
Zepp Namba(OSAKA)
全自由席-8800円
全自由席(U-20)-5500円(20歳以下の方向けのチケット。要IDチェックあり)
※未就学児童入場可能。但しファミリーエリアのみ観覧可能。ファミリーエリアは会場によって、設置場所が変わります。ご購入いただいたチケットの払い戻しは出来ません(公演延期・中止の場合除く)。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は1/23(火)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【宮城公演】
▼2月3日(土) 仙台PIT
【東京公演】
▼2月7日(水)・8日(木) Zepp Haneda(TOKYO)
【台湾公演】
▼2月24日(土) Legacy Taipei

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