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「世に広まっていく自信はあるので頑張っていくのみです」
1stフルアルバム『I am hungry』をリリースし
来年1月からはリリースツアー「満腹になれツアー」を東名阪で開催
からあげ弁当の焼きそば(vo&g)インタビュー

からあげ弁当。一見、このふざけてる様にも映るバンド名を目にしたのは2022年12月のSNSだった。とにかく、このバンド名が気になり、全く根拠は無いのだが、何かがあると思い、すぐに音楽を聴いた。そして、あまりにも良いメロディー、あまりにも良い歌と、そのバンド名との尋常じゃないギャップに驚いた。とてつもなく胸に突き刺さるメッセージソングたち…。この良いメロディーと良い歌を届けるために敢えて、このバンド名にしたのではないかと勝手に感激すらした。そして、これまたすぐにコンタクトを取り、まずは今年頭に会って話を聞くことができた。

予想通り、このバンド名には意味があったし、このバンド名同様のふざけた感じやアホな感じは明るい性格からも感じられたが、しっかりと物事を考えて本気で音楽をやっていることが伝わった。だからって、策士的な賢すぎる考え方ではなく、全く邪念がない真っ直ぐ純粋でストレートでシンプルな青年だった。その時は、このボーカルが焼きそばなんていうふざけた名前に改名するとは思っていなかったが。でも、からあげ弁当の焼きそばなんて最高じゃないか。真剣にふざけているし、真剣にアホをしている。

今年は一気に音楽ファンと音楽業界の間で知られて、1stフルアルバム『I am hungry』は素晴らしきロックンロールを届け続ける東京・下北沢のインディーズレーベルUK.PROJECTからリリースされる。腹ペコな彼らの快進撃が、ここから間違いなく始まる。これはあなたの歌であり、時代の歌だと本気で思う。今回は焼きそばとガチンコで話してみた。からあげ弁当の焼きそばとガチンコで話したと言っても、何を言っているのかと思われるかも知れない。が、とにかく彼らの時代が来る気がしてならないので、是非とも読んでいただきたい。

――まずは音楽をやろうと思ったきっかけから聞いていきたいのですが、高校時代は本格的に野球をやっていたんですよね

「そうですね。でも、高2の冬くらいから野球でプロの道は無理やなとなって、でも夢を追いかけん人生は無理なんで、じゃあ次は音楽やなとなって。普通に就職は考えられんかったし、何かスッキリせんかったですね。服飾の専門学校も考えたんですが、小っちゃい頃から音楽が好きやったんですよ。高3の春夏で音楽の専門学校に行くことも決まり、夏に野球部から引退して、野球部の寮から家に戻り、おとんがアコギを持っていたんで、そのアコギからやり始めましたね。そしたら有り得んくらいにはまって、ずっとギター弾いて、いろいろな曲をカバーしました」

――野球の次に音楽という夢を見つける早さと、ギターの上達の早さに驚くんですよね。

「無理やり音楽という夢を見つけたわけではなくて、昔から音楽に救われた気持ちがあったので。ギターは上手くなるというか、楽しさでやっていて、でも周りからは成長早いと言われましたね。技術面を気にし出したのは、専門学校に入ってからです」

――2020年の春に入学ですよね。

「はい、でもコロナ禍だったので、入学式も無くて、6月くらいからですかね、本格的にいろいろと始まったのは。ギターボーカル学科だったんですけど友達おらんくて、その年の冬に初めてバンドを組みました。メンバーは今のベースの春貴とドラムのこーたろーと、もうひとりギターがいて2回だけ学内ライブに出たけど解散しましたね。ゴールデンレトリバーというバンドでしたけど、2回目のライブで『ゴールデンボンバーです!』と言っちゃったりしてました(笑)。今はやってない曲ですけど、オリジナル2曲くらいあって、でも奥深くまでは考えてなくて。一応、続ける気でやったんですけど、ギターの子の熱量が無かったり、こーたろーも今よりもっとメタルな感じやったし、からあげ弁当よりもっとポップスな曲だったので楽しくないかなと思ったりしてました。翌年の冬に春貴をもう一度誘って、また違うドラムを誘って、からあげ弁当を始めましたね」

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――改めてだけど、からあげ弁当って本当に良いバンド名ですよね。余計なものが何も無いし、これだけで全てがわかるというか。

「かっこよさゼロにして、愛着が湧くようにしようと名付けたんですが、メンバーも気に入ってくれましたね。まぁ、他の子らのバンド名は何て読むんやみたいな名前ばっかりでしたし。初ライブ(2022年3月)は集客が無かったですけど、僕が弾き語りでTikTokをやっていて、そこから300人くらい流れてきたのもあって、『街を走る』と『ミサンガ』を収録した『祝開店』をサブスクで(2022年6月に)出したら反響が良かったんですよ。で、ドラムがライブに来れない時に、こーたろーに来てもらって久しぶりにやったらエグイ音を出すなと『うわぁ...』となって...。7月には、こーたろーに出戻ってもらいました」

――からあげ弁当の一番の魅力は楽曲の良さなんだけど、何よりもリズム隊の演奏が凄いから、より際立つんですよね。

「ふたりともドラム学科、ベース学科の学内コンテストで優勝していますからね。僕は提出期限が切れていて出てないっすけど! こーたろーは当時組んでいたバンドを辞めて来てくれましたし、春貴も掛け持ちのバンドがあったんですけど、いけるだけいこかとなって」

――2022年7月に現体制になってから、音楽ファンや音楽業界で知られるまでが早かったですよね。

「よう考えたら、2022年末の4、5組が出るイベントには、からあげ弁当を観に来てくれた人が50人くらいいましたからね。何でやろとは思いましたけど、偶然が重なり合った感じというか」

――僕も今年2月に初めてライブを観ましたけど、もう既に多くのお客さんがついていることにむちゃくちゃ驚きました。あと、その時と比べたらライブの表現力、特に歌の表現がすごく変わったなって。

「最初は喉をすぐ潰していたし、ギターのチューニングもむちゃくちゃでしたけど、それこそ2月に今のレーベルの人が名古屋まで観に来てくれて、『メロディーと歌はめっちゃ良いのに』と言ってくれたんです。そっからライブは気にし出しましたね」

――それと何より強いなと思うのは、どんどん曲ができるんですよ、それも全部良い曲なんです。まだ始まったばかりとはいえ、よう詰まることが無く、こんなにどんどんと良い曲、つまりは良い歌で良いメロディーのものができるなと感心するんですよ。とにかくメロディーが良い。

「確かに詰まることは無いですね。ずっと高校まではONE OK ROCKを聴いていて、専門に行ってライブハウスに行くようになってからGOING STEADYを聴いたんですけど、メロディーを重視しているバンドばかりに惹かれるんですよ」

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――とんでもないなと思ったのは、今年の1月までに8曲、それも全て良いメロディーの良い曲を発表しているのに、今回の1stフルアルバムには1曲も入ってないんですよ。なのに新曲10曲全てがまた良いメロディーで良い歌という...、素晴らしいとしか言いようが無くて。

「初期曲を入れるなんて考えてもいなかったですし、全部新曲で勝負だと思っていました。ただ、いきなり全部新曲で出したら、聴く方もびっくりするので4月から10月までで5曲ほど先行配信はしましたけど。新曲で勝負していきたいというのは変わらないですね、今後も。まぁ、アルバムは名盤ですよね」

――曲単位の話をしますけど、特に自分の中で思い入れが深い曲はありますか?

「『ちくしょう』ですね。一番時間がかかりましたし。構成を悩んだので、思い出深いですね。『俺たちはこのまま空になって名も知れずにそっと消えていく』という歌詞に、からあげ弁当の全てがのっていて。悔しさが出ているし、消えていくんではないかという気持ちもあったし。何で俺らにスポットライトが当たらんねんと思っていたんですよ。今考えりゃ、バンド始めて半年くらいで何を言ってんねんという感じではあるんですけど、その時はそう思ってました。でも、それはバンドだけでの悔しさではなくて、野球をやっていた頃からのを含めた人生的な悔しさかもです。『goodbye day もう来ないあの日々は』という歌詞は、高校の時の自分について書いていますし。あと、『ちくしょう』を4曲目に入れられる強さもありますね。最後にも持ってこれるのに、敢えて4曲目と最初の方に持ってくるのは僕らの良さかなと」

――最近の若い子は最初から最後までアルバムを通して聴く子が減っているので、アルバムの曲順で物語性を出すことや物語性を感じることに希薄になっているなと思っていたんですが、このアルバムの曲順はしっかりと物語性を感じるんですよ。

「あぁ~、そうなんですね。何を意識したんやろ? 同じようなテンポの曲が続くとわからんくなるから、ええ具合に緩急をつけたくらいですかね。そこは一番大事にしていました」

――このインタビュー自体は12月6日のリリース前にやっているけど、もう完全に次の新曲を作るモードに入っているよね。

「だって、このアルバム聴き飽きたっすもん。だから、次にいこうとなってますね。もういくしかないっすから。停滞が嫌いなのと、ライブしかしていないというのが嫌いなんで」

――楽曲制作はなかなか進まないけど、ライブは大好きで、ライブが楽曲制作にも繋がっていくという話はよく聴いたことがあるけど、全くの逆ですよね。

「ライブはライブやし。だから、次にいっています」

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――次の曲たちは、このアルバムの延長線上なのか、それともまた新しい方向性なのか、どっちですか?

「延長線では無いですね。気持ち的には全然違います」

――そう考えると、このアルバムは本当に"THE 1st"でしかないアルバムですよね。

「確かに! 3rdアルバムではないですよね(笑)」

――なんせタイトルが『I am hungry』だからね。そりゃ腹減ってるよね、1stだから。このタイトルが本当に1stであることの象徴だなと。素晴らしいタイトルですよ。

「次で『満腹』とか出したらおもろいっすね! 早いわ!」

――まだまだ満腹には早いし、絶対に満腹にはならないでしょ(笑)。最近のライブでもまだまだ物足りないという欲を感じるし、もっともっとデカくなると思うんですよ。

「少しづつデカいとこでできていますけど、デカい場所でもやることは変わらないですから。やる場所がデカくなっていっても、THEライブハウスなライブがしたいので。そのための土台なんで今は。まぁ、そんな時間ないですけど」

――こちらからしたら、まだ22歳だし、物すごい順調な速さで進んでいるから、時間が無いことを意識しているというのは良い意味で意外でした。

「時間無いですよ。来年で生きるか死ぬかが決まりますから、からあげ弁当の。ずっと何となくやっているバンドでは無いので、ここが勝負っす。デカい場所でできたから満足じゃなくて、そこでカスみたいなライブしたら次に人は来ないですから。1回観てはまらんかったら、次は行かんですからね、観に来る人は。いかにその状況を作らないかですね」

――今までも話したことはあったので、しっかりと考えていることは知っていたけど、よりしっかりと考えていることを今日は知れてすごく嬉しかったです。最後に何か言い残したことはありますか?

「まぁ、売れるっすね。悩むし、いろいろあるけど、自信あるので。世には広まっていく自信あるので頑張っていくのみです」

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Text by 鈴木淳史
Photo by 山下貴史




(2023年12月 7日更新)


Check

Release

Album『I am hungry』
2023年12月6日(水)発売
※配信 2023年12月6日(水)0時
2530円(税込) / ダウンロード 2000~2037円(税込) ※サービスによります
UK.PROJECT
UKCD-1222

《収録曲》
01. バカ野郎
02. brother
03. ベルロード
04. ちくしょう
05. 金曜日
06. BLUE
07. 衝動に身を任せて
08. 乾杯をしよう
09. again
10. ORANGE
11. 乾杯をしよう (特製焼きそver) ※CDのみ収録


Profile

焼きそば(vo&g)、春貴(b)、こーたろー(ds)が力を合わせて営む移動式お弁当屋。2021年末の開店より関西エリアを中心とした出店とサブスク販売に特化。毎日食べても飽きのこない普遍的な味付けと豊富なトッピングに、お腹だけでなく心まで満たされてしまう中毒者が続出。学校生活に疲れたあなた、人間関係に悩むあなた、どうしても一歩を踏み出せない、、そこのあなた! 老若男女問わず、選り好みせず、まずは一度ご家庭や勤務先でサブスクのご利用を。無心にかきこめば、自然と溢れる汗と涙、芽生え出す明日への希望。見事にハマってカロリーが気になり出したあなたには、移動式店舗にて日替わりのエクササイズも実施中! ご来店お待ちしてます。

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Live

からあげ弁当1stアルバム『I am hungry』をひっさげたバンド初のツアーを開催!

からあげ弁当「満腹になれツアー」

【東京公演】

▼2024年1月13日(土)
下北沢 近松

【愛知公演】
▼2024年1月20日(土)
R.A.D

【大阪公演】
チケット発売中 Pコード:256-619
▼2024年2月17日(土) 18:30
LIVE SQUARE 2nd LINE
全席自由-3000円
[出演]からあげ弁当
[問]からあげ弁当■080-9603-0307

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