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ホーム > インタビュー&レポート > 『ベリーグッドマン結成10周年×阪神甲子園球場100周年記念事業 ベリーグッドマン〜甲子園LIVE 2023〜』 2023.11.18 Sat. at 阪神甲子園球場


『ベリーグッドマン結成10周年×阪神甲子園球場100周年記念事業
ベリーグッドマン〜甲子園LIVE 2023〜』
2023.11.18 Sat. at 阪神甲子園球場

今年、結成10周年を迎えたベリーグッドマンがかねてから目標に掲げていた夢の舞台=阪神甲子園球場で初の単独ライブを開催した。同月の11月前半には、阪神タイガースが38年振りに悲願の日本一を達成した直後であり、なんと幸運な巡り合わせ。チケットはソールドアウトとなり、直前には機材席解放により指定席が追加販売されて3万人の観客が集まった。若い家族連れも多く、子供から大人まで幅広い客層が詰めかけて大成功となったライブの模様をレポートする。

ついにこの日がやってきた!ベリーグッドマン(以下、ベリグ)史上最大キャパであり、目標にしてきた甲子園球場ワンマンライブ。甲子園駅前にはメンバー三人の写真を掲げた巨大なフォトスポットも設置されて賑わっている。前日から強い寒波が押し寄せ、まるで12月末のような気温の低さだったが、そんなことも忘れさせるほどライブ前から熱気が立ち上り始めていた。

17時の開演時間を少し過ぎて、徐々に暗くなってきた球場内で揺れる無数のカラフルなLEDライト。バックスクリーン下に設置されたステージを観客が見つめるなか、ベリグ結成時からの映像が流されている。気分もさらに高まってきたところで、いよいよカウントダウンが始まり、満を持してメンバーが登場すると大歓声が沸き起こる。バックスクリーンには"PLAY BALL"の文字が浮き上がり、サイレンの音が鳴り響いてライブが幕を開けた。

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一曲目は『ハイライト』からスタート。「ずっと描いてた夢の場所~」との歌い出しから3人(Rover、MOCA、HiDEX)のハーモニーが感動的に甲子園に響き渡る。スクリーンには"夢の場所"に立つ、今という瞬間を噛み締めながら歌うメンバーの表情が映し出される。そんなメンバーを見つめる3万人に向けて、「日本一のスタジアム、阪神甲子園球場へようこそー」とMOCAが威勢よく声をあげる。同月、阪神タイガースが"アレのアレ"=38年ぶりの日本一に輝いた直後だけに、その言葉が歓喜をより一層増幅させた。2曲目は一転して、アゲアゲの『チョベリグ』で急加速。観客が握るライトが激しく振られ、盛大なクラップも合わさって一気にヒートアップ。~チョチョベリグ~チョチョチョベリグ~とみんなの声が合わさりタオル回しも激しくなって会場全体が大揺れに。MOCAは「ベリーグッドです!」「まだまだ一緒にぶち上がりますか~」と煽って突き進む。『Future』からステージには大人数のベリグダンサーも加わり賑やかなお祭りムードがさらに高まっていった。一呼吸置いて、客席からメンバーを呼ぶ声が飛び交う中、MOCAが「一緒に歌いましょう!『ライトスタンド』」とタイトルコールすると大きな歓声が。さらに、「甲子園、調子はどうですか~歌ってくれ~」と促すと、ネバーギブアップ精神のアンセムに3万人の大合唱が広がっていった。

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序盤5曲を終えて、「みなさん甲子園球場にようこそおいでくださいました!」とRoverがお礼を述べ、常連のファンだけでなく、この日初めてベリグのライブを観にきた人に向けてメンバーが挨拶する。MOCAは入場者数3万人で「6万個の目ん玉」と嬉しさを表現。また、同日に誕生日を迎えたHiDEXを祝福し、ベリグが結成10周年を迎えたことをみんなに伝える。また、ライブの冒頭から熱気が上昇しているが、夜になって気温もさらに下がってきたため、「みなさん寒くないですか? 非常に冷え込んでおります。ご無理のないように」とオーディエンスを気遣っていた。続いて、"もっともっと強くなって周りの人を守っていけるように"との思いを込めて『ライオン』で寒さを吹き飛ばす。スクリーンに映し出された高校球児たちをバックに歌った『ダイヤモンド』。自らも高校球児だったが当時はスタンドから応援していたMOCAが今はこの甲子園のステージに立っている。「いくぞー」と声を張り上げ、みんなが揺らすライトを浴びて、「きれいな光をありがとう」と嬉しそう。さらに、150曲ぐらいあるというベリグの曲の中から、この日は25曲ぐらい歌うこと。その中でも「特に大事な曲」という『Hello』では、「願いは叶う!そう信じている人は恥ずかしがらずに歌ってくれー!ここに集まったみんなが主役、一緒に歌ってくれるか? 一緒にがんばろうぜ」とエールを送り、みんなの歌声の輪を広げてゆく。

ここまで全てが"ハイライト"といってもいいほどの盛り上がりだが、~これ以上の人生なんてありえないや~と歌う『それ以外の人生なんてありえないや』には一際大きな拍手が送られた。各々がスマホやペンライトを頭上に掲げて左右に揺らし、さながら満天の星々のように輝く美しい光景が広がっていたのが印象的だ。

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序盤の7曲を終えたところで、MOCAは「めっちゃカメラ目線で歌ってたけど、鼻水垂れていた」と恥ずかしそうに口にし、Roverは自分とMOCAの衣装が真っ白で「雪見だいふくのよう」と笑う。また、1人だけサングラスを掛けているHiDEXは、サングラスを取ってカメラ目線でと指示されるがさらりとかわす場面も。そんな和やかなシーンを挟んで、観客の声援を浴びつつメンバーは花道を通ってグランドの中に設置されたサブステージに移動。ちなみに、このときMOCAは「やばい、ファッションショーの気分」と喜んでいた。

三人がサブステージに揃うと、「阪神タイガース、日本一おめでとうございます!」と38年ぶりの悲願達成を祝福し、あの『六甲おろし』を歌いだす。観客にもシンガロングを促してしばし大合唱!そして、数曲のメドレーと共に観客とのコールアンドレスポンスを楽しむ場面も。その後、お誕生日男のHiDEXが「みんなにお願いがあります。今日、ここで感謝したいひとがいる。まず、(メンバー)三人のおかんにみんな拍手したってくれへんかな。おかんがおらんかったら絶対この場所に立てなかった、みんなもここに集まれなかった」と語りだす。「今日、この一曲だけはおかんに歌いたいと思うけど、いいかな? いつもおかんありがとう!」と心を込めて感謝の言葉を送り、ハートウォームな『おかん~yet~』をじっくりと聞かせてくれた。

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『夢物語』は明るいライトが場内を照らし出すなか、この場所(=甲子園)に到達する夢を叶えるまでの軌跡と思いが綴られたリリックがグッと胸に沁みてきた。MOCAは「夢を追いかけるなか、こんなたくさんの仲間に出会えた」とシンガロングを呼びかけ、みんなの大合唱に「甲子園最高!」と声を上げていた。次に『これからもよろしくな』を歌いながら再びメインステージへ移動。『夢物語』のリリックに、~ひとりだけじゃこの場所に来れなかった~と刻まれているように、この中盤のブロックではベリグを支え見守ってきてくれた大切な存在に向けて三人の感謝の念がより濃厚に感じられた。

ベリグの成り立ちと原点が感じとれる『Mic』。その後、スクリーンにはこれまでのライブや活動を振り返る"ヒストリー映像"が映し出される。そんな三人が乗り越えてきた10年間の道のりを追体験させた後、MOCAが「三万人のパワー~~全員ぶち上がれ~」と叫び、『オドリバジャポニカ』からの後半戦は最大級の熱量で飛ばしていく。再びベリグダンサーがステージに登場して躍動感もアップ!『GroovyでDancingなParty』でメンバーも元気に跳ねて声をあげると、観客も一体となって熱狂し大揺れに。時折り寒風が吹き込み、さらに冷え込んできた球場内を沸騰させていった。「1枚目(『SING SING SING』)に入っている大切な曲を歌わせてください」と言って歌った『ファンファーレ』ではサビをみんなでシンガロング。MOCAは「これからもみんなの応援歌を歌うよー」と頼もしく宣言して、やさしく力強くみんなを包み込んでいった。

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その後、少し間を置いて、「歌ってるぼくらも寒い(苦笑)」と震えながら、「改めまして今日は本当にありがとうございます!」とRover。あちこちから歓声が飛び交う中、「個性も音楽性も違う三人がここまでやってこれたのはみなさんが応援してくれるから」と、ファンはもちろんステージ設営などライブ製作に携わってくれたスタッフにも改めて謝辞を述べる。さらに、「11年目も始まっています。なにひとつ変わらず真剣勝負で歌に向き合ってこれからも歌っていきます」と誓い、「来年、この阪神甲子園球場は100周年を迎えます。本当におめでとうございます!アンバサダーにも任命していただいて、僕たちなりに自分にしかできない音楽で、この甲子園に感謝と恩返しの気持ちでアンバサダーやっていきたい。ずーっと目指していきた場所、三人で甲子園行こうと決めてから、一回も甲子園ライブのことを忘れたことはない。こんな僕らをひとつにしてくれた甲子園に感謝の気持ちを込めて最後の曲を歌わせてもらいます!」――そう締めくくって、喝采が沸き起こるなか本編ラストを飾った曲は『CLASSIC』。「エビバディ、ハンズアップ!」とMOCAがテンション高く声をあげるとみんなのライトが一斉に揺れだす。ステージ前から銀テープも吹き出し、MOCAの「最高でした、また10年後...」という言葉で本編は美しくフィニッシュをた。

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熱気冷めやらぬ場内。アンコール前には2024年春から開催される新たな全国ツアー『ベリーグッドマンBEST TOUR 2024 "GOOD GOOD GOOD"』が発表されて大歓声があがる。メンバーが再登場するとステージには、阪神タイガースのマスコット、トラッキーとラッキーも加わり、ベリグダンサーと共に一層華やかな雰囲気に。「いいんですか?」と笑つつ、MOCAがトラッキーとハグしてチューするシーンも。高揚感あふれる『Good Time』、シンガロングする『Fave』と続き、みんなとの記念写真の撮影を終えると、「日本一おめでとうございます!来年も阪神タイガース、優勝するぞー!」と力強く叫び、トラッキーとラッキーを盛大な拍手を送りだした。

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再びメンバーだけになったステージ上で、HiDEXにバースデーケーキのプレゼントが。みんなで、バースデーソングを歌ってお祝いすると、3万人に誕生日を祝ってもらい感極まる様子のHiDEX。「人生で最高の誕生日です!ふたりにも、自分自身にもムカついて、もうほんまに心が折れそうになった時もあるけど。ずーっと折れずにまっすぐ進んできたから、今日があります。そんな曲を聞いてください」と言って歌ったのは『雑草』。~枯れそうになりながら空をみつめて、置かれたこの場所で強くなれたんだから~と歌うメンバー自身を投影したようなこの曲、みんなも心を込めた温かい手拍子で後押ししていた。

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「ほんとに夢のような時間をありがとうござました!」とMOCA。2020年からのコロナ禍を振り返り、「こんな時に何かできないかと、甲子園のライトスタンドで無観客配信をした。それが縁でこの日を迎えることができた」と語る。さらに、コロナ禍で「辛い思いをした人にも届くように」と歌った壮大なバラード『Dreamer』。MOCAが「一緒に歌ってくれ~」と声を掛けると球場全体がひとつになって歓喜の渦に飲み込まれた。

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夢を実現した甲子園ライブも大詰めとなり、Roverがもう一度感謝の気持ちをみんなに伝える。そして、今一度、コロナ禍で活動が制限された苦難の時期を振り返り、「曲も作れないし、やばいと思ったが、MOCAがめちゃくちゃ良い曲を書いてきた。この曲からもう一回スタートしようという気持ちになった。甲子園で最後に歌いたかった。今日はMOCAとHiDEXとMANA-B(DJ)のために歌わせてください」そう言ってお互いを讃え合うように歌った曲は『アイカタ』。~俺のとなりはお前しか似合わない~と肩を組んでステージの端から端まで歩いて歌ってゆく。オーディエンスが手にするライトが暖かく煌めき、Roverは感極まって泣いているようにも見えた。

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最後に4人がステージ中央に並んで、「ありがとうございました!」とお礼を述べる。そして、球場内で勢いよく花火が打ち上がった。MOCAは「終わっちゃった...、また明日からがんばろう」と口にし、しばしメンバーから客席に向けてボールを投げ込む時間を楽しむ。その後、不意にRoverがアカペラで歌い出すと、それにつれて、観客も一緒に歌い出した。「夢みたいな時間をありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします」「ありがとう」最後の最後まで感謝の言葉を届け、客席からも「ありがとう」の声が返されていた。――終演後、スクリーン上で発表された翌日配信の新曲『となり』が流れ出す。MCでメンバーが「11年目も始まっています」と語っていた通り、ここから、また一歩一歩、地に足着けて、ベリグらしいパワーソングを日本全国に届けて行く。そんな等身大のベリーグッドマンのスピリットがしっかりと伝わってきた3時間近い渾身のライブだった。

Text by. エイミー野中




(2023年12月 6日更新)


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Live

『ベリーグッドマン BEST TOUR 2024 "GOOD GOOD GOOD"』

【大阪公演】
▼4月6日(土) 南海浪切ホール 大ホール
【広島公演】
▼4月13日(土) JMSアステールプラザ 大ホール
【岡山公演】
▼4月14日(日) 倉敷市芸文館
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▼4月20日(土)静岡市民文化会館 中ホール
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▼4月27日(土) 神戸国際会館こくさいホール
【香川公演】
▼4月28日(日) レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
【東京公演】
▼5月4日(土)町田市民ホール
【北海道公演】
▼5月6日(月・祝)Zepp Sapporo
【愛知公演】
▼5月11日(土)名古屋市公会堂
【石川公演】
▼5月12日(日)金沢市文化ホール
【宮城公演】
▼5月25日(土)トークネットホール仙台 (仙台市民会館) 大ホール
【鹿児島公演】
▼6月1日(土)川商ホール(鹿児島市民文化ホール) 第二ホール
【福岡公演】
▼6月2日(日)福岡国際会議場 メインホール
【東京公演】
▼6月8日(土)TOKYO DOME CITY HALL
【茨城公演】
▼6月9日(日)取手市民会館
【宮崎公演】
▼6月22日(土)宮崎県延岡市・野口遵記念館
【京都公演】
▼6月29日(土)ロームシアター京都 メインホール
【大阪公演】
▼6月30日(日)グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場) メインホール
【沖縄公演】
▼7月14日(日)琉球新報ホール


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