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新章に突入して15周年へ
魅力を凝縮した豪華メモリアル公演で3人と一緒に楽しく祝おう
TSUKEMENインタビュー

TAIRIK(Vln&Vla)、SUGURU(Pf)、KENTA(Vln)から成るアンサンブルユニット・TSUKEMEN。クラシックをルーツにしながら、斬新なアレンジやオリジナル曲でも人気を集める彼らは、今年12月に結成15周年を迎える。ゆえに現在は記念のツアー「TSUKEMEN 15th Anniversary CONCERT ~BEYOND CLASSIC~」で全国を行脚中。さらにTSUKEMEN誕生月となる12月には、大阪・長野・東京にて特別公演「TSUKEMEN 15th Anniversary SPECIAL!!!」も。そんな今アクセル全開の3人が、約5年ぶりにぴあ関西版WEBに登場!

――前回、ぴあ関西版WEBに出ていただいたのが結成10周年の2018年。そして今年は結成15周年。この5年はどのようにお過ごしでしたか?

TAIRIK「10周年のあと、初めて合唱曲の『時を超える絆』を3人のリレー形式で作って、佐世保の高校生と一緒にいろいろな場所で演奏していたんですけど、終盤にコロナ禍が始まり中断し、コンサートが4か月半できなくなって。忙しく過ぎていた日常が止まり、本当に自分たちがやりたいこと、大事にしてることは何だろう?って考えることになったんです。それで、もう一度自分たちでゼロからやってみよう!と、独立させていただきました。その変化が一番大きいと思います」

――大転換ですね。特にコロナ禍初期は大変だったと思いますが、いかがでしたか?

SUGURU「外に出られなくなったら、なるほど、こういうことになるよなっていう。この先どうやって生きていこうかな?って」

KENTA「その時は復活できるかすら、わからないし」

SUGURU「実家、帰ろうかな......みたいなことまで考えました」

KENTA「(コロナ禍が)続いちゃったら、いつかおしまいが来るからね」

SUGURU「世の中での自分の存在、あり方から考えさせられましたね」

――そこを経ることで音楽に対しての考え方や感じ方は変わりましたか?

TAIRIK「1本1本(の公演)に向かい合う姿勢はみんな変わったんじゃないかなと思います。わかってはいたけど、改めて自分たちの生活の基盤は本当にライブだったんだなって気がついたし、逆にそれ以外は何もしてこられなかったなっていう思いもあったりして、今では新しいことを考える時に、別の可能性とか、そういうものを探るようになりましたね」

――絶望的な状況でも音楽家としては、その代わりたくさん練習ができる。やった!というような明るい気持ちが生まれるものですか? それとも落ち込む一方?

TAIRIK「人によって違うと思います。常に外に出てるような人は表現の場がなくなってもうだめだ......みたいな話も聞いたんですけど、僕は結構楽しめちゃいましたね。何かできることはあるし、止まってないと考えられないこともたくさんあったんで。何年も(コロナ禍が)続くことになったら、それはもうしょうがないから、その時に考えて今はとりあえずできることをやろうって思っていたら、そこまで悲観的な時間ではなかったですね」

KENTA「僕は、幸せって何だろう?って、すごく落ち着いて考えました。何を感じていたら自分は幸せだろう? 仲間は、家族はどう思うんだろう⁇とか。仕事とやりたいことが微妙にずれた時期でもあったので、それを一致させたくなっていきましたね。具体的にはもっと何かほかのことをしたいと思って、ピラティスに通ったり、二胡っていう楽器をやってみたり。当時はそれがプラスになるのかはわからなかったですけど、でも結果、二胡を使う楽曲ができて、ライブ中にお客さんとピラティスでほぐれたりもして、TSUKEMENのステージでできることの幅が少し増えたと思います」

TAIRIK「それができるんだ。じゃ、やろう!って感じ(笑)。全部プラスに持っていくという」

SUGURU「メンバーの能力を全部ね(笑)」

――無駄がありません(笑)。SUGURUさんはいかがでしたか?

SUGURU「やっぱりピアノは自分の人生ですごく大きな時間を占めているものなんで、まずは弾くことで憂いを絶とうと思って、めっちゃ練習したんですよ。コロナ禍の最初の4か月ぐらいは毎日12時間。誰にも文句を言わせねえ!っていうくらい、小学生の時からやり直す勢いでガーッ!って。で、結果、意味なかったです(笑)」

――えっ⁉

SUGURU「練習時間も、やってる風の練習も意味がなくて、むしろTSUKEMENに戻った時、ヘタになったんですよ。イマジネーション力というか、その場での思いつきというか、それが減って。練習すればするほど同じことを何回も反復するんで、脳みそが凝り固まってこう(一点に)向かっちゃう。あ、僕の場合は......ですけどね。だからもう今は練習しないです(笑)。譜読みするだけ。たぶんプロで一番、練習してない。譜読みして弾けるようになったら、あとは本番に思いついた音色で、周りから聴こえてきた音に合わせて弾く。家でこういうものを作ろう!っていう風には1分も弾かないです」

――興味深いですね。

SUGURU「それで、プロだからたくさん練習されているんですよね?ってなった時、ほかの人と比べて俺やってねえなっていう罪悪感がなくなりました。それはやっても無駄っていうところまで練習したから。自分としては大きな足かせがはずれて、ほかに時間が使えるようになったから人生も豊かになりましたね」

――そしてコロナ禍でも、2020年にはアルバム「JITAN CLASSIC」を発表。JITAN(時短)のアイデアもネーミングもお見事ですし、収録曲「DANCE!ベートーヴェン・シンフォニー」のMVもユーモアたっぷり。あの手この手で軽々とコロナ禍を乗り越えているように感じました。

KENTA「やっぱり僕らはコンサートをやらないとダメで、そこで何をしたいかっていうと、僕らに触れてくれる人の人生を豊かにしたいんですよ。楽しくなってほしいし、笑顔になってほしいし、やさしくなってほしい。でもコンサートができないってなると、まずは触れてもらうにはどうしたらいいだろう?って。だから初めてのオンラインライブもやったし、こういう楽曲(誰もが楽しめるように長いクラシックの曲を短くアレンジした『JITAN CLASSIC』収録の曲)なら笑顔になるかなと。そういうマインドを僕らが持ち続けるためにも(アイデアや挑戦が)必要だったのかなと思いますね」

――オンラインに関してはディナーショーもされたとか。でも、どのように?

SUGURU「配達されるんです......」

TAIRIK「......ホテルのディナーが。湯せんでできるキットみたいなものです」

KENTA「ホテルもお客さんが来ないし、僕らも何かしたいから、そこでコラボしたら新しくておもしろいんじゃないかって」

TAIRIK「Win-Win。お客様もおいしいものを食べて、たまには外食っぽいこともしたいし」

SUGURU「ライブの前は、僕らがそれ(配達されるキット)を調理する動画が流れて、まず一緒に調理するんです。はい、これ切って炒めましょうって。で、できたら(ショーが)始まりますよってなって、食べながら見るという」

KENTA僕らも同じ体験をして、結びついてるよっていう」

――なるほど。

TAIRIK「通常のコンサートホールだと、自分の好きなタイミングで食べながら聴けないじゃないですか。でも家ならワインとか飲みながら、ウェーイ!とか言って聴けるし(笑)」

――とてもいい企画。平常時からあってもいいですね。

KENTA「ただね。オンラインに本当に慣れちゃうと、外に出てコンサートに行こうっていう気持ちが弱くなっちゃうんで、それもすごく歯がゆいんです。オンラインがなければコンサート会場に頑張って行ってみようと思う人が何人かいただろうと考えると、僕らはやっぱり生で届けたい気持ちが強いので」

SUGURU「アーティストサイドの本音がだだ漏れです(笑)」

KENTA「オンラインでやってたものをやらなくなると、さみしいって言われるんですよ」

TAIRIK「どうしてですか?とかも」

KENTA「でも、僕らの気持ちもそんな簡単じゃないんだよ......と」

SUGURU「(オンラインばかりだと)会場の人や、そのほかの外部の方の仕事もなくなっちゃうしね」

KENTA「あとオンラインライブは、内容を毎回ガラッと変えないと何度も見てもらえないんです。たとえば、オンラインのライブツアーだとしたら1週間ずっと同じプログラムってできないじゃないですか。毎回、全部プログラムを変えて、毎回その準備をしなきゃいけないから、それも簡単じゃないです」

――悩ましい。特にTSUKEMENさんはサービス精神が抜群なので難しそうですね。そう言えば、SUGURUさんはゲスト出演されたラジオ番組で、笑われているのか? 笑わせているのか⁇というテーマでトークをしていて、楽しませることへの思いがすごいと思いました。

SUGURU「大事ですよね!」

KENTA「笑われているっていうことに気づいた瞬間から、もう笑わせてるんですかね。自分で認識してるってことは、それを意図的に体現できてるってことだから」

――哲学的!

SUGURU「せっかく俺が持ち上げてもらったのに上をいくやん。しかもより低い(声の)トーンで説得力増した感じで言うし(笑)」

――今のようにトークでも演奏でもアイデアでも、いつも楽しく盛り上げてくださいますが、どう調整をしているんですか? 話をしたくない時もあるのでは?

TAIRIK「みんな自分の方法で整えてくるような印象ですね。前日に軽くお酒を飲んでリラックスしたり、よく寝たり。僕は夜型なので昼公演の時は本番前になるべくコーヒーを飲んで20分昼寝するっていうコーヒーナップをして、本番にジャキっと集中ゾーンを持っていってますね」

――ほかにやっていることはありますか?

KENTA「さっき(SUGURUは)練習しないって言ってたけど、僕は結構するんです。調子は日々上下しながら少しずつ上がっていくっていう感覚で、家でやったことを本番で試すのが楽しみなんですよ。本番、お客さんの前で、どれくらいのことができるかな?とか、こっち(メンバー)は何か気づくかな?とか」

――SUGURUさんはいかがですか?

SUGURU「これ言ったら怒られるかもしんないですけど、僕は完全に趣味と仕事が一緒なんですよ。だから演奏を聴いてもらえるっていうのが生き甲斐というか、リラックスの場所になるんです。大きな公演が終わるとファンの方に、今日はご褒美にいいものでも食べてくださいって言われることがあるんですけど、いやいや、俺は好きなことをやらしてもらって、もうご褒美をもらってるから......みたいな(笑)。逆に言うと、思っている以上にこれは仕事だ!と思わないとって。じゃないと楽し過ぎて遊んじゃうというか、気を引き締めないとって感じです」

――理想の人生ですね。そして根っからのエンターテイナー。ますますライブが見たくなりますが、まさに今、30か所以上をめぐる全国ツアー中。中盤戦だと思いますが、ここまでの手ごたえは?

KENTA「めちゃめちゃいいですね。今までで一番反応がいい。喜びや楽しさが、お客さんの表情や反応からダイレクトに伝わってくる。ステージとしても演奏としても自分たちをちゃんと塗り替えていけてるなっていうのが実感できてるツアーですね」

TAIRIK「楽曲もここ15年で培ったものからより楽しめるものを!って用意しています」

――ちなみに東京と奈良の公演では、オリジナル曲の「真田組曲」でKENTAさんによるほら貝の演奏があったとか。

SUGURU「ホラを吹いているというね(笑)」

KENTA「いつも人をだましてるとか、そういうことじゃないですよ(笑)」

TAIRIKSUGURU「(笑)」

KENTA「いやいや、吹けって言われたから!」

SUGURU「ほら貝は、僕とTAIRIKがもともと(『真田組曲』中の)自分の手掛けた曲に入れたんです。それで(2人は)頑張って練習して、なんとか吹けたんですけど、でも、(KENTAは)ちょっと貸してみ!って言って、練習もせずに音を出したんですよ。だから、これは才能があるから、次からこの人に頼もうってなって。で、(KENTAはほら貝のために)次までに口の周りの筋肉、仕上げとくわ!って(笑)」

KENTA「意外と鳴らないんですよ。結構しっかり訓練してる人だけが鳴らせるものなんで、いきなり渡されても吹けないから、東京公演の時は3週間前に送ってもらって毎日吹き続けました」

TAIRIK「ほら貝にまじめっていう(笑)」

――すばらしい(笑)。さて、ツアーに加えて12月には15周年記念の特別公演「TSUKEMEN 15th Anniversary SPECIAL!!!」が大阪・長野・東京であります。どんな内容になりそうですか?

SUGURU「いつもは僕ら3人のクラシックアンサンブルだけで、どれだけできるかっていうところをメインにお届けしているんですけど、今度はPAを使用していろんなことができるなかで、今のツアーにプラスしたTSUKEMENの進化の集大成をお祭りチックに楽しんでもらおうって感じですね」

TAIRIK「普段はピアノとバイオリンのシンプルな感じなんですけど、今回は照明やサウンドも増やしてできたらと思います」

KENTA「生の音、PAやマイクを通した音、どっちの良し悪しではなく、いつものアコースティックな表現を大事にしつつ、いつもはできない増幅版みたいなことを目指したいですね。それは僕らにとってチャレンジなので、お客さんに目の当たりにしていただきたいなって思います」

SUGURU「演奏する楽曲はバランスよくカバーも入れて、オリジナル曲もTSUKEMENと言えばこの曲でしょ!みたいなものを中心に、みなさんが楽しめるようにって感じですね」

TAIRIK「開催中の15周年ツアーも、ひきだしからいろいろ引っ張り出してやってるんですけど、そこからさらに、まだこれがあった!みたいな、最後のひと絞りをギュッとしてやりたいなと」

KENTA「なじみのある楽曲でも、こんな感じになるんだ!って、聴こえ方が全然変わるようなものもあります」

――12月の公演はツアーとは異なる楽しみがありそうですね。では最後に関西のファンにひと言お願いします。

SUGURU「4月から始まった15周年のツアーも大阪からで、12月のスペシャル公演もまた大阪からです。4月とは別のツアーで成長した姿も見られると思いますので、大阪のみなさん、また12月に一緒に楽しみましょう」

TAIRIK「12月にはいつも見に来てくださるファンの方でも満足できる、ひと味違ったゴージャスなTSUKEMENを見せられると思いますし、同時にTSUKEMENはどういうグループなのかもお届けできる公演になります。ぜひ気軽に来ていただきたいですね」

KENTA「お客さんと一つになって、すてきな空間を作り上げたいと思っているので、家族や大切な人と一緒に時間を共有しに来てください。年末のいい思い出を作れればと思います」

Text by 服田昌子




(2023年11月 2日更新)


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Profile

Wバイオリン&ピアノによる3人組アンサンブルユニット。日本国内のみならず欧米やアジアなど世界で700を超える舞台に立ち、50万人以上の観客を魅了。リリースしたCDはクラシックチャート1位を次々と獲得。ルーツであるクラシックをはじめ、映画音楽、ジャズ、ポップスなど幅広いジャンルの音楽が、“時短” や “ミックス” など変幻自在のアレンジで唯一無二に生まれ変わる。組曲や合唱曲などさまざまなスタイルのオリジナル曲とともに、予測不能なステージを展開。

TSUKEMEN オフィシャルサイト
https://tsukemen-music.com/


Live

TSUKEMEN 15th Anniversary SPECIAL!!!

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:253-700
▼12月3日(日) 16:00
NHK大阪ホール
全席指定-7000円
U-18チケット-2000円(指定)
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【長野公演】
▼12月10日(日) 駒ヶ根市文化会館 大ホール
【東京公演】
▼12月16日(土) LINE CUBE SHIBUYA


TSUKEMEN 15th Anniversary CONCERT ~BEYOND CLASSIC~

公演詳細はこちら
https://tsukemen-music.com/15thanniversarytour/

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