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世界基準の楽曲がいざなう、彫刻をめぐる物語
コンセプトミニアルバム1作目『AZUL』におけるクリエイティブ
MYTH&ROIDインタビュー

2015年のメジャーデビュー以来、数多のアニメの主題歌を手がけ、日本国内のみならず世界各国で絶大な支持を獲得してきたMYTH & ROIDが、初のコンセプトミニアルバムを2作連続でリリースする。2作を通してのテーマは“彫刻をめぐる物語”。10月25日(水)にリリースとなる1作目『Concept mini album 〈Episode 1〉「AZUL」』では、“海と街”を舞台に、あるひとつの島が沈みゆくという物語の前編が描かれる。KIHOWの朗読から始まる本作は、人間の感情と営みがアーティスティックかつ幽玄に表現され、聴く者に情景を思い起こさせる全6曲を収録。明確なコンセプトに沿ったサウンドメイクによる楽曲はもちろん、日本語と英語を流暢に操るKIHOWのボーカルが、唯一無二の世界観を作り出す。なお、収録曲の『ACHE in PULSE(M-5)』はアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】のOPテーマに起用されている。これまで海外でのライブ活動を中心に行ってきた彼らが、昨年秋から国内でのライブ活動にも力を入れ始め、さらなる進化をし続けているタイミングでの待望のミニアルバム。彼らは今作をどのように制作したのか。今回はKIHOWとTom-H@ckに、『AZUL』と現在開催中のツアーについて話を聞いた。

象徴であり求められる、独自の"異世界サウンド"


――初のコンセプトアルバムを連作で出すに至った経緯からお聞かせください。

Tom-H@ck「『eYe's(2017年リリース)』という僕たちの1stアルバムがあるんですけど、6年前でかなり昔の作品ながら、未だに海外からも国内からも反響をいただいていて。少しファンタジックな物語調のアルバムが、僕たちの印象を形作るアイテムとして今でも色んな役割を担っている部分があって。それと別に新しいアルバムを聴きたいという反響もあったので、そろそろ作り出そうかって話で。その際、普通にアルバムを出すのだと時代的にも面白くないので、ちょっと面白い工夫をしたいなと。僕もう40歳なんですけど、育つ過程でB'zさんがベスト盤の『Treasure』と『Pleasure』の金・銀みたいな作品を出していたのを見てきたのでやりたくて。フルアルバム2枚だと総量が大きくなるのでミニアルバムで。先ほど言ったように、僕たちの世界観的にファンタジックな物語を音楽に付け加えるのがマッチしているので、アーティスト的な表現をしたいという意味と、皆さんに楽しんでいただくという意味で2作連続リリースを選択したのが、アルバム制作の1番最初のキッカケになります」

――ここでB'zの名前が出てくるとは。

Tom-H@ck「『Treasure』と『Pleasure』は本当にたくさん売れたアルバムなので、かなり記憶に残ってますね」

――あとは当然ですが、海外での活躍も視野に入れておられるんですね。

Tom-H@ck「入れてますね。例えばMVを公開すると、コメント欄の7~8割に英語や他の色々な言語が入り乱れるんです。海外の皆さんもずっとアルバムを待ち望んでくださっていたので、それもかなり強いキッカケですね」

――物語性があるものは海外でも好まれるんですか?

Tom-H@ck「これに関してはどうなんだろうね」

KIHOW「日本の方もですけど、聴いてくださる海外の方に"異世界サウンド"と言われることがあって、強く"私たちの楽曲"を求めてくださる方が多いなと。タイアップ楽曲も皆さんすごく楽しんでいただいてるんですけど、自由で、自分たちを濃く表現できるような音楽を出すと、特に喜んでくださる印象があります」

――"MYTH & ROID"というひとつのジャンルが確立して求められているんですね。

Tom-H@ck「そうなのかもしれません。異世界みたいな印象はあるのかもしれないですね」



僕たちのファンタジックな世界観が、次に歩き出すエネルギーになれば


――アーティスト的な表現というところで、今までと違う観点でトライしたことはありましたか?

Tom-H@ck「それは多分、メンバーそれぞれにあると思うんです。あともう1つこのアルバムで表現したかったのは、作詞を担当しているhotaruという僕の幼馴染が基本的に物語も考えているんですが、アルバム制作にあたりどんな物語にしようかという時、1番最初にhotaruと話したのが、ここ10~15年のこと。日本国内でも世界的にも、歴史に残るような出来事がたくさん集中したと思うんですよ。これはライブのMCでも言ってるんですけど、人間が生きてる何世紀の中でも、こういうことってあまり経験しないと思うんですよね。人の営みや、人間が生きる術、夢。今まで当たり前だったことがガラリと変わった。それによって、幸せもあるけど不幸もたくさん生まれたと思うので、そこら辺を僕たちのファンタジックな世界観で覆って、皆さんと共有して、次に歩き出すエネルギーにできたらいいなというのが最初の大枠です。アバウトにそういうことは表現したいよねと話したんですよね。なので物語には今まで世の中に起きた出来事を連想させるような場面が出てきたりします」

――最初にそのお話が出たのはいつ頃だったんですか。

Tom-H@ck「今年入ったくらいかな。そんなに経ってはいないです」

――制作は今年に入ってからなんですね。

Tom-H@ck「アルバムを作ろうという想いは多分ずっとあったんですよ。けど、はっきりとしたキッカケがなかった。あと僕たちが国内でのライブを本格的にやり出してまだ1年ぐらいなんですよ。それまではもうずっと海外で、1ヶ月に5~6か国廻っていて、国内は全くやっていなかった。スタッフや周りの人たちも加わって、国内でもライブをやっていこうという話がちょうど約1年前に上がってきて。そのタイミングで新しいアルバムを作ろうという話が、これまで関わってきたKADOKAWAさんないし、僕たちメンバー間からも自然と出てきました」

――その時、タイアップのお話は決まっていたんですか。

Tom-H@ck「僕たちの場合、大きく分けるとタイアップには2つあって、メーカーさんからいただくものもあれば、海外から直接僕たちに話が来るものもあるんですよ。自社(Tom-H@ckが代表取締役をつとめる、CAT entertainment株式会社)で、レコード会社機能みたいなものも小さくありますので、それで受け止めてやることもあれば、メーカーさんと組んでやることもある。当時は既に来ていた海外からのタイアップをこのミニアルバムにひっつけて、どういうふうにプロモーションできるか話したような覚えはありますね」

――海外からのタイアップというのは......。

Tom-H@ck「『ACHE in PULSE』です。今回携わったアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】を作っている会社からうちに直接話が来まして」

――なるほど、そういうことなんですね。"彫刻をめぐる物語"というストーリーはhotaruさんからの提案ですか?

Tom-H@ck「スペインのカナリア諸島に、海の中に沈んでいる美術館(「海底ミュージアム」)があるんですよ。海底にすごい数の彫刻作品が沈めてあって、見たい人は潜って見る。検索すると出てるんですけど、すごく壮大でカッコ良いんです。それをhotaruが見つけて、"これはめっちゃ良い"と。水や海もちょうどアルバムのコンセプトに入っていて。アイデアの1つとして、そこからインスピレーションが湧き上がったと言ってました」

――"AZUL"の意味も"海"や"青"ですね。

KIHOW「タイトルも海のことを表現した感じですね」

――制作はどのように進んでいったんですか。

Tom-H@ck「1番最初にhotaruが物語を作って、そのストーリーに対して何曲当てはめようか決めて。あとはタイアップ楽曲もありますので、バランスを考えて。その楽曲も物語に組み込めるような内容になってるんですよ。それでどんどん曲を作って、最終的にKIHOWちゃんに聞かせて、KIHOWちゃんが歌って出来上がっていった流れですね」



物語の朗読から、『AZUL』の世界へ


――冒頭の『<Episode of AZUL>(M-1)』で物語のあらすじが語られますが、朗読から作品が始まるという試みは初めてですか?

KIHOW「1stアルバム『eYe's』では、別の方が英語でストーリーを入れて、バックサウンドと相まって空気感を作っていたんですけど、英語なので、もしかするとその情報だけでは内容をキャッチしにくかったかもしれないなと。今回は日本語にして、かつ自分が朗読を初めてやりました。"こういうストーリーがあってこの曲があるんだよ"ということが、聞く方にしっかり伝わるような形を取ったという意味で、頭(1曲目)に収録しています」

――物語とともに1人の人間の感情の揺れ動きが語られていて、KIHOWさんの口調が物語を際立てて、世界観に入っていけるナビゲートの役割も果たしていますよね。歌う時とはまた違うと思いますが、朗読する時に気を付けたことはありましたか。

KIHOW「歌以外でレコーディングをすること自体が今回初めてで。やっぱり歌とは違って文章を読むわけなので、聞き取れないと意味がないというところが第一にあって。ただ綺麗に物語を皆さんに聞いていただくというだけなら、他のプロの人がされた方がきっと聞き取りやすいと思うんですけど、自分の感性や感覚が言葉の音に入ることが、今回の朗読ですごく大事だと思ったポイントでした。朗読で感情を入れるというよりは、後ろで鳴っている音楽が物語の移り変わりを表現しているので、自分はあくまで語っているだけというところは意識したかもしれないです」

――なるほど、物語の展開は音楽に任せて。

KIHOW「音楽が展開を誘導しているので、自分がそこに乗っかっていくというよりは、並走する感じ。言ってしまえば余計なことはしないというか(笑)。でも結構難しかったですね」

――何回も録音されたんですか。

KIHOW「全体でまとめて録ったり、部分的に標準的じゃないイントネーションを後で録り直したりはありましたね」

――本当にストーリー通りに楽曲が進んでいきますが、個人的には3曲目の『MOBIUS∞CRISIS』の間の使い方が好きで。イントロのカウントや、サビ手前の<Just say what is on your mind>で一瞬の間があったり、細かな雰囲気が素敵だなと思いました。この曲はどういうふうに作られたんですか?

Tom-H@ck「これに関しては色んなものが複合的になっています。それこそ、かなり遅くて隙間があるようなテンポはMYTH & ROIDであまりやったことがなくて。あと、どちらかというとトレンドに沿っている。海外で今流行っていたり、世界を圧巻した方向性をMYTH & ROIDの世界観に落とし込んだらどうなるかなというので、自分の中ではそのコンセプトで作り始めた曲です。有名なところで言うと、ベラ・ポーチさんやビリー・アイリッシュ。最近たくさんいるんですけど、僕もサウンドクリエイター的にそこへのアプローチをちょっとやってみたくて。クリエイティブ精神がすごく強く反映されている楽曲。多分、MYTH & ROID史上1番音数が少ないんじゃないですか」

――サビまでほとんどベースとドラムとボーカルのみですね。

Tom-H@ck「そう。ライブでもやったんですけど、意外とこの曲は人気ですね。僕は人気出るだろうなと思ってたんですけど(笑)。ただ宣伝しにくい曲だなと思ったんですね。流してもすぐに良さが伝わらない。最初から途中まで聴いて、やっと良いなと思う感じなので」

――歌詞の最後の<Our human nature will never change>は人間の集団心理を表していて、何とも印象的でした。

Tom-H@ck「確かこの曲は、まさにそれを話してるんだよね。最近のSNSの手のひら返しを表現した曲ですね」



悲しいけれど、歌っていて鼓舞される曲


――4曲目の『Tempest-tost』は悲しみが加速するというか、感情が悲しい方向に動く楽曲ですが、物語の起承転結に合わせて曲を作っているという意識もありましたか。

Tom-H@ck「今回のミニアルバムは楽曲数が少ないので、物語の展開を作る時にハンドリングが難しいんですよ。急に変わる感じ。曲間で徐々に雰囲気が変えることができないので、必然的にこうなったというか。1曲1曲が全くバラバラの個性を持っている状態で、物語を1つにまとめている。曲数が少ないとそうなっちゃう。『Tempest-tost』はまさにそうで、アルバムを1曲目から通して聴いた時に、切なさとノスタルジー感が足りないなと思って、最後らへんに作った曲なんですよ。人間はノスタルジーがすごく好きだし、グッとくるじゃないですか。音色でそこを表現したのがこの楽曲ですね」

――ボーカルを入れる時に、切なさやノスタルジーを歌いたいといったお話もされるんですか?

Tom-H@ck「レコーディングの時に話すこともあれば、敢えて話さないこともあります。KIHOWちゃんの声が乗ることでまた作り出すこともあるんで」

KIHOW「この曲もレコーディングが終わってからアレンジを変えて、録った時と結構雰囲気が変わった状態で完成しましたね」

――どんなふうに変わったんですか。

Tom-H@ck「もう全然違う」

KIHOW「知らない曲になった(笑)。でもすごく歌の良い部分を活かしたアレンジにしていただいて、"あ、良いな"って」

Tom-H@ck「1番変わったかもね。メロディーだけ一緒で、コードも何も全部違うんです」

――確かにこの曲があることで切なさが増しますね。日本語詞と英詞の混合で、<正しくあって欲しい>という願いや、<人々は他人の影響を受けやすい、本質的なものを見失う(But people are easily influenced by others They also lose sight of the essential)>という歌詞も印象的です。

Tom-H@ck「多分、hotaruが表現したいこともかなり強く出てるんだと思いますね」

KIHOW「アルバム全体を通して英語の割合が結構多いんですけど、この曲はサビのすごく良いポイントで日本語が入ってきて。その部分が特に日本人の方に響くと思いますし、自分自身もその一節をライブで歌ってる時に、人に対して歌ってるんですけれど自分が鼓舞されるというか、すごく勇気をもらえるような歌詞だなって。悲しい曲なんですけど、単に"頑張れ"とかポジティブなメッセージだけじゃないところが元気をもらえる。そういうパワーをこの曲から感じてます。むしろ結構前向きな曲だなって、自分は感じます」

――<誰かの言葉に惑わずに>、<その目を信じて欲しい>という歌詞はそうですね。

KIHOW「希望に向かっている物語だと思うので」

――英語と日本語のバランスもhotaruさんが考えておられるんですか。

Tom-H@ck「基本的にはhotaruなんですけど、もちろん時々舵取りはしていて。僕もそうなんですけど、作家って、自分が作ってる時はどうしても客観性がなくなってくるんですよね。なので作詞に関しては1つこだわりがあって。J-POPはK-POPに完全に先を越されたと思うんですけど、英詞と日本語詞の割合がK-POPの歌詞と一緒なんですね。やっぱり世界標準でいくというのは僕の中での夢なので、世界でウケてる音楽の黄金比率にしています。もしくは全英語詞のどちらかですね」



クリエイター的な脳で自分を高める要素を入れたミニアルバム


――歌詞の割合も計算されているとは驚きです。タイアップ曲の『ACHE in PULSE』はAメロが日本語ですね。

Tom-H@ck「音数が少ないので、日本語があると意識的に入ってきちゃうんですよ。総量はそんなに多くないです」

――本当だ、(歌詞を見ながら)言われてみたら確かにそうですね。

KIHOW「『ACHE in PULSE』は中国でリリースしたアプリがアニメ化したOPテーマなので、中国では中国語版で流れていて。日本語部分を中国語でレコーディングしたんですけど、それも朗読以外に今回初めてやったことのひとつです」

――初めての中国語での歌唱、難しかったですか。

KIHOW「すごく難しかったです。レコーディングで追い詰められることってあまりないんですけど、泣きそうなぐらい、ほんとに難しすぎて(笑)。1度も中国語を習ったことがないけど、やっぱり可能な限りしっかりした形で歌いたい。ちゃんと中国の方が聴いて大丈夫なところまでは持っていきたいという想いがあったので、すごく難しかったです。結果無事に原作者の方にもOKをいただいて。今回レコーディングで1番難しかったのはそれでしたね」

――KIHOWさんは日本語以外に英語も堪能でいらっしゃいますが、母国語以外の言語で歌うのは大変ですよね。

KIHOW「今回中国語での発音や言葉をレッスンで教えていただいて、"知らない言語ってこんなに何もわからないんだ"ということを初めて知りました。自分にとって英語は結構普通というか、日本語ほどではないけどある程度わかるので、英語があまりわからない感覚をわかっていないところもあって」
Tom-H@ck「僕は全く英語がわからないので、やっと僕の気持ちをわかっていただいた」

KIHOW「(笑)」

――ボーカリストとしての幅が広がったという感覚はありましたか。

KIHOW「それはあります。中国語には日本語でも英語でも出したことがない音が存在していたので。音楽に英語や日本語以外の言語を乗せて歌ったことがほとんどないので、中国語だとこんなふうに響くんだと。もしよければリスナーの方に両方聴いていただきたいです。音の響きってかなり差があるから、聴こえる印象が結構違うんですよね。あと今まで普通に日本語と英語が混ざった曲を歌ってきたけど、"ここが英語であることで、ここが輝いてたんだ"とか、"日本語だからこそ響く部分があったんだ"ということも感じて。hotaruさんの歌詞の割り振りや言葉選びは、自分が想像している以上に深いところからやっていただいてるんだろうなと、気付いた部分もあります」

――Tom-H@ckさんは今回の制作での発見やこだわりはありますか。

Tom-H@ck「わかりやすく言うと、今までよりも明らかに全曲音数を少なくしてますね。例えば先ほどおっしゃっていた『MOBIUS∞CRISIS』とかは、ドラムとベースとボーカルしか鳴ってないんですけど、ベースはきっちり縦振動に聴こえるんだけど、実はアナログシンセで鳴らしてるんですよ」

――そうなんですね。

Tom-H@ck「皆あまりこだわらないようなことや、昨今皆やらなくなったことをクリエイターの楽しみとして入れたり。もう業界には20年くらいいますから、全部に飽きてきちゃうんですよね。これはネガティブに言ってるんじゃなくて仕方ないもので、どうしても訪れるので。クリエイター的な脳で自分を高める要素を入れたミニアルバムになってるのかなと思いますね。引き算のクリエイティブを突き詰めてもいいかなというので、今回そこはある程度大きくやった部分かなと思います」

――足すよりも引く方が難しいですか。

Tom-H@ck「逆に今足す方が難しくなっちゃいましたね。若い頃、楽曲提供でTVアニメ『けいおん!』(OPテーマ『Cagayake!GIRLS』2009年リリース)とかをやってる時はバキバキに音数多く作ってましたけど、今聴くと"若かったな"みたいな感じになっちゃうから(笑)。あとは時代感だと思います。音楽は大体7年すると古くなる。音数が多いものは今はちょっと、、、というのがあるんですよね」



ライブで日々の鬱憤を浄化してほしい


――2作目の制作はもう進んでいますか?

Tom-H@ck「まさに"なう"という感じですね。今アルバムツアー『MYTH & ROID One Man Live 2023 Autumn Tour "AZUL"』をやっていて、お客さんからの反応や色んな反響もあって、"物語にこういうのを付け加えようか"みたいなことを話してます。朗読をライブでも流してるんですよ。皆世界に没入して聴いてるので、"あの少年どうなるんだろう"みたいなことを結構Twitter(現X)でも呟いているので、それを拾って参考にして。"確かにあの少年こうなったらいいかもな"とか」

――すごい。お客さんのリアルタイムの感想を交えてストーリーが変わっていくと。

Tom-H@ck「ちょっと変えたりね。今その作業中です。2作目は来年の春に発売予定です」

――そこで完結になるんですよね。

Tom-H@ck「一応今のところは完結と言ってるんですけど。もしかすると変わるかも......まあでも、多分終わると思います」

――面白いですね。お客さんもライブで完成を見守っている感覚になりそうですね。

KIHOW「私たち、バンドの形でのワンマンライブをほとんど初めての状態でやってきてるんですけど、このアルバムを制作する前の去年のライブ(『MYTH & ROID One Man Live 2022 "deeper and closer"』)や今年の春のツアー(『MYTH & ROID One Man Live 2023 "deeper and closer" 追加公演TOUR』)では、それがキッカケで曲作りを変えたりしたんですよね。その楽曲が今回のアルバムに入ってるところも、ライブに来ていただいた時に楽しめる点かなと思います」

――お客さんの反応は日本と海外で違いますか。

Tom-H@ck「国によって全然違うよね。例えばアメリカはサビに入る瞬間にウワーッとなるんですよ。日本人はイントロでワーッとなってサビは聴くじゃないですか。アメリカはサビに入るよ入るよとなったら、皆一緒にサビで盛り上がるみたいな。ドイツはサビ終わりの間奏でイエーイとなる」

KIHOW「頭から最後までずっと一緒に歌ってる国もありますよね」

Tom-H@ck「あるある。アジア圏とかそんな感じ」

KIHOW「それは日本だとなかなかないので面白いですね。でも自分たちの曲を歌えるほど知ってくださって、タイアップの曲だけじゃなく何年も前のアルバムの曲でも歌ってくれるので。こんなにちゃんと聴いてくれてるんだって。しかも歌を覚えて練習したんだって、すごく愛情を感じて。どの国に行っても愛の表現が全然違うので面白いなと思いますね」

――最後に11月4日(土)の心斎橋SUNHALLで行われるワンマンライブへの意気込みをお願いします。

KIHOW「今年大阪でライブをするのは2回目なんですけど、大阪は自分たちが立ってるだけでも盛り上がってくれるぐらい温かいお客さんが多い印象です。去年の秋から国内で自分たちのライブをしっかり始めたとお話ししましたが、1公演1公演、確実に変わっていて。春のライブに来た方も、今回見たら"こんなに変わったんだ"ってはっきりわかるぐらい自分たちの変化を感じています。かつ今回は新たな楽曲がメインとなってるので、ぜひその世界観に自分たちと一緒に入っていただきたいなと思っています」

Tom-H@ck「ミニアルバムのコンセプトもそうなんですけど、MYTH & ROIDは非日常感を歌っていますから、それに付随して、日頃仕事や学校で嫌なことや良いことが色々ある中で、結果的には浄化というか、癒しみたいな存在になれたら良いなというのは、僕の小さい頃からの夢なので。皆さん鬱憤を溜めて来ていただいて、ライブで浄化してもらえればと思います」

Text by ERI KUBOTA




(2023年11月 2日更新)


Check

Movie

Release

初の連作コンセプトミニアルバムの始まりの1枚

『Concept mini album 〈Episode 1〉「AZUL」』
発売中 2750円(税込)
ZMCZ-16971

《収録曲》
1. <Episode of AZUL>
2. RAISON D’ETRE
3. MOBIUS∞CRISIS
4. Tempest-tost
5. ACHE in PULSE (TVアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』OPテーマ)
6. ...And REMNANT

Profile

ボーカルのKIHOW、作曲とプロデュースを行うTom-H@ck、作詞を手がけるhotaruからなるユニット。インターナショナルで本格的なサウンド、鋭角的でキャッチーなメロディ、圧倒的なボーカルパフォーマンスを兼ね備えた日本のアーティスト。ユニット名「MYTH & ROID」は、過去を想起させる「Myth」(神話)と未来を想起させる「Android」を組み合わせた造語である。2015年のメジャーデビュー以降、数々の大ヒットアニメの主題歌を手がけ、MV及び関連動画総再生回数は1億5千万回を超える。「感情の最果て」をテーマに、音楽、映像、ビジュアルなど、あらゆる側面から国籍や時代にとらわれない普遍的な人間の感情を描いて世界的な評価を得ており、これまでに20ヶ国以上でLIVE公演を行なっている。2016年に発表した3rd Single「STYX HELIX」4th Single「Paradisus-Paradoxum」は2作続けてiTunes Store(JP)総合ランキング1位を記録。また、2019年に発表した10th Single「TIT FOR TAT」のMVは公開から約1年で500万回再生を超え、2020年に発表した1st Digital Album「Future is Mine」では遂にサブスクリプションを解禁。同アルバムはノルウェーのiTunes Storeアニメトップアルバム1位を記録。他にもニュージーランド、マカオ、イギリス、イタリアなどの世界各国でTOP10にランクインを果たしている。2023年10月25日には、初の2作連続コンセプトミニアルバムの1作目となる〈Episode 1〉『AZUL』をリリース。現在絶賛全国ツアー中。

公式サイト
http://mythandroid.com/


Live

チケット発売中 Pコード:247-161
▼11月4日(土) 18:00
SUNHALL
スタンディング-6000円(ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。7歳以上有料。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は10/28(土)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

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