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Laura day romanceとHomecomings、ハク。が作り出した
極上の時間
『ローラとホムカミ』ライブレポート

11月4日(土)、心斎橋Music Club JANUSにて『ローラとホムカミ』が行われた。本イベントはJANUSの企画「◯◯と◯◯」シリーズの1本で、イベント名通りLaura day romanceとHomecomings(以下、ホムカミ)が対バンした。O.A.には「ハク。」が、DJには大阪堀江のレコードショップ・FLAKE RECORDSのDAWAが出演。以前より交流のあった2バンドに、新進気鋭の大阪発バンド、そして音楽への情熱と信頼のセンスで大阪の音楽シーンを牽引し続けるDAWAが共演した、ファンには堪らない一夜となった。会場には、即完のチケットを手に入れた幸運なオーディエンスが大集合(学割が用意されていたのも嬉しいところ)。親和性抜群の4組が作り出した幸せな時間をレポートしよう。

O.A. ハク。

オープンDJでDAWAがゆったりと、しかしシャイニーなナンバーで会場を心地良く導いていく。オープニングアクトを務めたのは、2019年に大阪で結成された4ピースバンド「ハク。」。

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今年8月に1stフルアルバム『僕らじゃなきゃダメになって』をリリースした彼女たちは、注目度急上昇のニューカマー。『自由のショート』から始まった15分間・全3曲のライブは、短くとも観客にバンドの存在を知らしめるには十分だったと思う。あい(gt&vo)の柔らかく伸びやかで芯のあるボーカルが、なずな(gt)の煌めくギターに重なって美しいハーモニーを奏でる。朴訥とした雰囲気を纏いながらも、若干20歳とは思えない落ち着いた佇まいには驚かされた。

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あいが「『ローラとホムカミ』に呼んでいただいたハク。です。よろしくお願いします」と一言挨拶した後、まゆ(dr)の軽快なビートで『直感way』へ。フロアから自然発生したクラップが空気をグッと押し上げる。じわじわと熱量を上げつつ、ラストは『回転してから考える』を披露。カノ(ba&cho)のパワフルなリフとまゆのビート、あい&なずなの細かなバッキングでサビは迫力を増す。サウンド面においても、ボーカルの幅広さにおいても、表情の違う3曲で見る者の心をがっちり掴んだ「ハク。」。ライブの評判は各所から伝わってきていたが、噂に違わぬステージ力だった。

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初見の人が多いのか、比較的静かにステージを見ていたオーディエンスだが、耐えきれなくなったようにサビで手を挙げる人も。ライブが終わると「これは良いバンドだ」という納得の空気がフロアに漂うのが肌で感じられた。事実、この10日後に行われたワンマンライブもソールドさせた彼女たち。今後の躍進が楽しみでならない。


Laura day romance

そして本編、先攻はLaura day romance。サポートにキーボード、ギター、ベースを迎えた6人編成でステージに現れると、まずは挨拶代わりのようにしっとりと『花束を編む | making a bouquet』を奏で始める。続いて柔らかなバンドサウンドが美しい『well well |ええと、うん』へ。前半のフォークな雰囲気から一転、後半はまばゆい光とともにノイジーな音の波に包まれる。そのアンサンブルには生命力が溢れていて、思わず「もう既に最高!」とメモを取っていた。『rendez_vous』では、胸がキュッとなるような、切なく瑞々しいサビのメロディが気持ち良く、井上花月(vo)のウィスパーな歌声が全身に喜びを与えてくれる。ツインギターだからこそのアンサンブルは鮮やかで、鈴木迅(gt)の手元から繰り出される奏法も見ていておもしろい。井上のかすれたハイトーンボイスが豊穣の時を作り出した『wake up call | 待つ夜、巡る朝』は、ポップでどこかノスタルジック。洋楽インディロック/ポップを軸にしたサウンドながら、日常感溢れる日本語詞であることから、人間臭さも感じられる楽曲だ。琴線に触れるグッドメロディと情景が浮かぶ文学的な歌詞、それらを輝かせるバンドサウンド。そして何といっても井上のボーカル力。どれもが上質で美しく、フロアは完全にローラの世界に引き込まれていった。

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MCで井上は「今日ソールドアウトしたということで、とても嬉しいです」と喜び、「ホムカミとは個人的にも仲が良くて。去年東京でクリスマス企画『US/アス』に呼んでくれて初めてツーマンしたんですけど、大阪でもできるとは。誘ってくださりありがとうございます」と微笑んで感謝を口にする。

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『winona rider |ウィノナライダー』に続いてシームレスに礒本雄太(dr)がワルツのビートを刻み始めると、ベース、ピアノ、ギターと順にジョインして『waltz | ワルツ』へ。オルタナ感満載の濃厚な展開がたまらない。軽快なシャッフルビートが心地良い『olive drive | 橄欖思巡』で会場の熱を高めると、井上は「あとちょっとだね。めちゃくちゃ早い」と名残惜しそう。青いライトを受けたミラーボールが会場を宇宙に変えた『灯火管制の夜』では、美しく進行するボーカルとメロディーに、突如耳を刺激するノイジーなギターソロが鳴り響き、それらを包み込む豊かな音が多幸感をもたらした。そこから『書きたい』でビートを加速し、ラストチューンは『happyend | 幸せな結末』。思わず脳内でダイブしたくなるような、ドリーミーなメロディラインとループするギターリフが気持ち良すぎる。いつまでも夢を見ていたくなるような、素敵な余韻を残したLaura day romance。エバーグリーンな歌声と良曲のオンパレードで体感時間が短く感じるほどだった。なお、ローラは来年2月12日(月・祝)にワンマンツアーで梅田Shangri-laに戻ってくる。ワンマンだとよりどっぷり世界観に浸ることができるだろう。

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転換中はDAWAのDJタイム。レコードを中心にBen KwellerやClairoなどオルタナやインディーロックといった選曲でフロアを高めてゆく。流しているレコードのジャケットをDJブースの前に見えるようにしていたことから、興味深そうに近寄って曲名をチェックするオーディエンスの姿も見られた。


Homecomings

後攻はHomecomings。青く染まったステージにThe Radio Dept.の『Keen on Boys』が流れ、大きな拍手に迎えられてメンバーが登場。アンプの上に置かれたぬいぐるみたちが4人を見守る。石田成美(dr&cho)のスティックカウントを合図に『PAPER TOWN』でライブをスタートすると、透明感のある畳野彩加(vo.&gt)のボーカルが響き渡り、福富優樹(gt)は楽しそうに笑顔を浮かべてギターを奏でる。リズム隊の福田穂那美(ba&cho)と石田のコーラスも楽曲に奥行きを与え、早くも極上の空間を作り出した。今年バンド活動10周年を迎えたホムカミ。『FUJI ROCK FESTIVAL'23』では、かねてより目標としていたWHITE STAGEへの出演も果たし、バンドとしてのキャリアと実力を着々と積み上げている。すっかり成熟したバンドに進化した彼らだが、京都の大学生だった頃からずっと一緒に音を鳴らし続けてきた土台が伝わる息の合ったプレイに、この空気感と煌めきは、10年間で様々な出来事を乗り越えた4人だから出せるのだということを認識させられ、彼らの歴史を感じて胸が熱くなった。

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優しく儚いゆらぎで満たされた『Here』では、後半パワフルになったサウンドに呼応するように、ステージがまばゆい光とスモークに包まれる。耳を震わせるノイジーな残響の中で『Shadow Boxer』に移行すると、急にモノクロのような世界観に。筆者はホムカミのライブを見るのが数年ぶりだったが、どっしりとした安定感と高度なサウンドアプローチには圧倒されるばかりだった。

MCで畳野は「『ローラとハク。とホムカミ』にお越しいただきありがとうございます。今日すごく良い日だろうなって思ってたんですけど、楽しめてますか?」と挨拶。福富は「ローラは東京で初めて仲良くなったくらいのバンドで、年に何回か一緒になるのも嬉しいし、ソールドアウトも嬉しいです。またハク。も含めて同じメンツ、同じ場所でライブができると良いなと思ってるので、最後まで楽しんでいってください!」とこの日の対バンを喜んだ。

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『光の庭の魚の夢』に続いて披露された『euphoria / ユーフォリア』では、ミューズのように神々しい畳野のボーカルに、耳も目も釘付けになる。ドラマティックな照明も印象的。ステージの両サイドから白い光が射すもセンターは暗く、メンバーの表情はうかがえない。バックからの青いライトで生まれた幻想的な雰囲気の中で響き渡るアンサンブルは、没入空間を作り出し、あまりの気持ち良さでトリップしそうな感覚に陥った。

福田と畳野が作曲を手がけた『Drowse』では同期も使い、続く『ラプス』では浮遊感とボトムの安定感の両立で静かに圧倒する。久しぶりに見たこともあってか、「まだ違う表情が飛び出すのか」と、驚かされる場面が本当に何度もあった。

極上の時間も残すところあとわずか。ここで初期の名曲『HURTS』を披露。爽やかなギターポップに畳野の流暢な英詞が乗って届いてくる。畳野と福富が向かい合ってギターを弾いているだけでエモーショナル。そして最後は『US/アス』で、とびきり美しいアンサンブルを壮大に響かせ、ライブを終えた。

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アンコールを求めるクラップに応えて再登場したメンバー。福富は「良かったー!!」と安堵したような表情を浮かべており、何かと思えば、この日行われていた日本シリーズのオリックス VS 阪神戦で、大好きなオリックスが勝利したことを喜んでいた。畳野は改めて感謝を述べ「ハク。もローラも一緒にできて嬉しかったし、また来年どこかで、違う場所でやれたら良いなと思って。その時は皆さん集まってくれたら嬉しいです」と笑顔を見せて、12月10日(日)に横浜・大さん橋ホールで年内最後のライブがあること、来年2月10日(土)に京都KBSホールでホムカミ企画のライブが行われることをアナウンス。福富は「それぞれワンマンがあるので、皆で循環して盛り上がっていきましょう。また来年日本シリーズのタイミングでできたら。ちょっと感無量(笑)」と目を輝かせていた。

アンコールで奏でられたのは、映画『愛がなんだ』の主題歌『Cakes』。そして福富が「皆さん最後、DJまで楽しんでください! DJはDAWAさんです!」とDAWAにバトンタッチ。満足そうな表情を浮かべたオーディエンスは、しばしDAWAのDJタイムに身体を揺らせていた。

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この日がいかに素晴らしかったかは、各出演者のSNSに上げられている集合写真を見れば一目瞭然。各バンド、三者三様の色を見せてくれたと同時に、芯の強さとバンドの底力も感じさせてくれた、本当に幸福な時間だった。福富がMCで言っていたように、それぞれのワンマンライブや主催イベントに足を運んでくれると嬉しい。生のライブで得られる喜びや感動はなにものにも代え難く、人生を彩ってくれる。そんなことも改めて思わせてくれた『ローラとホムカミ』だった。

Text by ERI KUBOTA




(2023年11月30日更新)


Check

Set List

ハク。
01. 自由のショート
02. 直感way
03. 回転してから考える

Laura day romance
01. 花束を編む | making a bouquet
02. well well |ええと、うん
03. rendez_vous
04. wake up call | 待つ夜、巡る朝
05. winona rider |ウィノナライダー
06. waltz | ワルツ
07. olive drive | 橄欖思巡
08. 灯火管制の夜
09. 書きたい
10. happyend | 幸せな結末

Homecomings
01. PAPER TOWN
02. Here
03. Shadow Boxer
04. 光の庭の魚の夢
05. euphoria / ユーフォリア
06. Drowse
07. ラプス
08. HURTS
09. US/アス
EN. Cakes

Live

Laura day romance

Laura day romance oneman tour 2024『We are who we are』
【東京公演】

▼2024年2月6日(火)
LIQUIDROOM
【大阪公演】
▼2024年2月12日(月)
Shangri-La
【愛知公演】
▼2024年2月13日(火)
ボトムライン

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2023』
チケット発売中 Pコード:256-638
▼12月27日(水) 12:00
インテックス大阪
[出演]キタニタツヤ/キュウソネコカミ/Creepy Nuts/Kroi/THE ORAL CIGARETTES/SUPER BEAVER/DISH///Tempalay/10-FEET/東京スカパラダイスオーケストラ/Nulbarich/にしな/羊文学/My Hair is Bad/マカロニえんぴつ/マルシィ/MAN WITH A MISSION/milet/yama/ヤングスキニー/ユニコーン/ヨルシカ/緑黄色社会/WurtS/Conton Candy(LIVE HOUSE Antenna)/TETORA(LIVE HOUSE Antenna)/Bialystocks(LIVE HOUSE Antenna)/BREIMEN(LIVE HOUSE Antenna)/Laura day romance(LIVE HOUSE Antenna)
※保護者1名同伴で小学生以下1名まで入場無料(2名以上からの小学生以下は1DAY一般チケットが必要・入場エリアの制限があります)。開場・開演時間が変更の場合がございます。START時間は改めてステージタイムテーブルをご確認下さい。出演アーティストは変更になる場合があります。その際の変更・キャンセルに伴う払戻しはできません。公演に関する詳細は、公式サイト(http://radiocrazy.fm/)にてご確認下さい。≪公演に関するお問い合わせ≫FM802リスナーセンター info@funky802.com
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[問]FM802 RADIO CRAZY公演事務局
■06-7732-8787

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Homecomings

「Homecomings New Neighbors FOUR Won’t You Be My Neighbor?」

【神奈川公演】

チケット発売中 Pコード:247-239
▼12月10日(日) 17:00
大さん橋ホール(横浜港)
全席指定 一般-4800円
全席指定 学割-3300円
[演奏]宮田晴奈(vl)/松山真以子(vl)/角谷奈緒子(va)/来住姫乃(vc)
※小学生以上はチケット必要。小学生未満は保護者膝上に限り無料。但し座席が必要な場合はチケット必要。学割チケットは入場時に学生証提示必須、未所持の場合は差額1,500円を徴収。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。発券は12/3(日)10:00以降となります。
[問]ホットスタッフ・プロモーション■050-5211-6077

【京都公演】
▼2024年2月10日(土) 17:00
KBSホール
スタンディング(一般)-7000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
スタンディング(学割)-4000円(学生証要提示、整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]有
※未就学児入場不可(保護者同伴の場合は可)。学割チケットは入場時に学生証提示必須、未所持の場合は差額3000円を徴収いたします。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569

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