ホーム > インタビュー&レポート > 初の全国ツアーファイナル目前 アルバム『Ghost Pop』が見せてくれる景色 須田景凪にとっての“ライブ”とは
ライブは曲を作る上でも必要なルーティンのひとつ
――須田さんは元々ドラマーでスタジオミュージシャンを目指しておられて、須田景凪名義になってから本格的にライブ活動を始められたと思います。裏方から人前に出るようになられたわけですが、ライブへの考えはどのようなものだったんでしょうか?
「自分はドラムをやっていて、ボカロPをやっていて、その時はいずれ自分が歌ったり、表でライブをするみたいなことは一切考えていなくて。作曲がひたすら楽しいから、とりあえずボカロPってものになってみたんです。ボカロPの活動は今も継続しているんですけど、自分は歌いながら曲を作る人で、作曲をするにつれてどんどん歌うことも好きになって。で、自分が歌ったものを世に出したら思ったより聴いてもらえたというか、思ったより認めてもらえた気がして。自分の声だからこそ言える言葉や、表現できる幅がすごく広がるんじゃないかなと思った瞬間があったんです」
――なるほど。
「それが名義を分けるキッカケになって、須田景凪という名義を設けて初めてライブをしたんですけど、最初は楽しむ余裕は全然なくて。緊張しいなので、目の前にいる来てくれた人の顔すら見れなくて。それでもやっぱりライブで面と向かって演奏することの説得力は自分もわかっていたので、何本かライブをやらせてもらって、少しずつライブというものも好きになって。3年前に初めて全国ツアーをできる機会があったんですけど、コロナで飛んでしまって」
――『TOUR 2020 はるどなり』ですね。
「その後、声出しができない中でも一応ライブはさせてもらって、自分の中でどんどんライブを好きになっていったんですよね。ただその時は来てくれる人は声を出せないという、ちょっともどかしい状態で終わったんですけど。コロナが落ち着いて、今ツアーが始まって、もちろん緊張しますけど、来てくれた人とコミュニケーションを交わせるし、『Ghost Pop』の曲や自分の曲が、全然知らなかった響きに変わっていく瞬間を既に何回も味わっていて。ライブは自分が曲を作る上でもだいぶ必要なルーティンのひとつになっている気は最近すごくしていますね」
――ありがとうございます。今のお話をもう少し掘り下げさせてください。ドラマーだった時はバンドで人前で演奏はされていたんですか?
「たくさんしてました。でもやっぱりドラマーで支える側なので。昔たくさんドラマーとしてライブをしていたから人前に立つことに慣れているとかは、一切なかったですね。あと、日によってのコンディションはもちろんドラマーもあるんですけど、自分の場合だけかもしれないけど、喉の方がほんとに日によって調子が違うし、ステージに立つとしてもドラムとボーカルでは役割は全然違うなという気がしていました」
――ドラマーからボーカリストになって、慣れるまでに時間がかかりましたか。
「かかりましたし、今も慣れているのかは分からないです(笑)」
初ライブの思い出から『NEOTOPOS』まで
――須田景凪としての初ワンマンは2018年3月の東京・WWW『1st LIVE "Quote"』ですが、その時のことは覚えてらっしゃいますか?
「正味この前まで全然覚えてなかったんですけど、『Ghost Pop』を出すタイミングに、とあるTV番組で初ライブの場所にロケで行かせてもらう機会があって、ステージや控え室を見た瞬間に一気に思い出して」
――なるほど。
「目の前の人の顔を誰1人見れなかったことも覚えてるし、伝えたいことはあったんだけれども、そこにいる全員に、1人1人に向けて言うにはどういう言葉がいいんだろうと考えすぎて、結局言いたいことが言えなかったり。自分にとってはすごく大事な日ではあったんだけれども、敢えて記憶に蓋をしていた部分もあったので、その機会に思い出せましたね」
――ああしておけばよかったなと思うこともあったり?
「後悔はないですね。あの時のベストは出しましたし、できることは全部したとは思います」
――大阪での初ワンマンはそこから約半年後、『LIVE 2018 "Dolly"』の9月2日の梅田Shangri-laですが、覚えておられますか。
「覚えてますね。それも緊張したな(笑)。自分にとっては2回目か3回目のライブでした。ライブをするとなってそれに向けて移動してホテルに泊まって。そういうことすら初めてで」
――今と昔で違うかもしれないですが、ライブに向けての準備はどのくらいされるものなんですか?
「当時はもうギターのアンプからの音の出し方が分かんないくらいのレベルだったので、何回もリハをやっていましたね。最近は曲や演奏は置いといて、曲と曲の繋ぎだったり、どこでどのくらい間を置けばこの曲の力が何倍にも発揮してもっとカッコ良く聴こえるかなとか、ライブとしての空間作りに時間を割くようになっていって。今はその準備が大半ですね」
――ライブはご自分でも昔から見に行かれてたんですか。
「いや、全然行ったことがなくて。それこそ動画とかで見れば結構満足するタイプで。でも自分がライブをするようになって、色んな人のライブに行くようになりました。もちろん刺激になる部分もありますし、ライブをその場所で体感することが好きになりました」
――初ワンマンは余裕がなかったとおっしゃっていましたが、ライブを重ねるごとに自分の方に向いていた矢印がお客さんの方に向いていった感覚はありました?
「ありますね。あるんですけど、ほんとに今回のツアーが始まって一気にそれが広がった感覚があって。きっと自分も含めて、数年間ライブ本来の楽しみ方が出来なかった、抑圧された状況からの解放もあると思うんですけど。それにしたって、今ツアー5ヶ所廻ったんですけど、今まで自分がしていたライブとは全然違う景色が5ヶ所ともに広がっていて。それはすごく嬉しい驚きではありました」
――私、4月にZepp Osaka Baysideで行われた『NEOTOPOS』(須田景凪、キタニタツヤ、syudou、yamaが出演)のライブレポートを担当させていただいて、その時初めて須田さんのライブを拝見させてもらったのですが、あの日はすごく良いイベントだったなと思っていて。キタニさんが「インターネットの底の底から出てきた」とおっしゃっていましたが、今はライブありきでボカロの活動をしていく若い世代も増えているのかなと。須田さんの世代はライブに対する位置づけってどんなものだったんですか。
「それで言うと、キタニとかは当時からちゃんとバンドがあって、そこを公開した上でボカロとの活動を両立しているバンドマンスタイルという印象があって。そのスタイルの方もいっぱいいたんですけど、どちらかと言うと自分は、音源を作って発表するルーティンがひたすら楽しい人で。でも、さっきの話になりますが、そこから自分が表に立ってライブをする発想は全然なかった。ボカロでライブとなると結構DJスタイルが多くて、当時自分もボカロのイベントは何度か出させてもらったりしたんですけど、いわゆるバンドスタイルでボーカルで、みたいなことは本当に想像してもなかった。だから『NEOTOPOS』が実現したことは、色々なことを振り返った時に、本当に素敵なことだなと思いました」
初めてのフェスで得られた刺激
――2021年はホールツアーをされて、2022年は初めて野外フェスに出られ、様々な環境でライブをされるようになりました。
「ホールツアーは声出しが出来ないライブを前提にチームで演出など考えていきました。無理して手を上げなくても楽しめるような作りにはしたかったので、それはそれで成立はしていたなと。フェスはある種アウェイの中でやる感覚。ワンマン以外の場所が自分は初めてだったので。とはいえやっぱりフェスに遊びに来る方は、大前提で音楽が大好きなので、ピュアに音楽を楽しむ空間だなと。他のアーティストさんのライブも見せてもらって勉強になりました。そのアーティストを知ってる知らない関係なく、単純に音楽としての説得力がすごくあるなと。そこはもちろん自分の音楽でも感じたし、"自分もああいう音楽を作ってみたいな"という刺激にもなったし。フェスに関してはこれからも、ほんとに吸収するものがまだまだあるんだろうなという気がしています」
――ちなみにどなたのステージを見に行かれたんですか?
「昔からファンというのもあるんですけど、ポルノグラフィティのライブを舞台袖で見させてもらいました」
――いかがでしたか。
「本当にもう"良かったです"なんておこがましいくらい、本当に良くて。"これになりたい"なんて思えないくらい、何だろうな。自分の青春が目の前で広がっていて(笑)」
――須田さんが1番最初に影響を受けたアーティストですもんね。
「音楽を聴いた瞬間、当時の記憶が蘇ったりするじゃないですか。音楽にはやっぱりそういう力があるなと思ったし、曲だけではなくてその時のパフォーマンス、色んなものが繋がってひとつのステージになる。それを間近で見れたのはすごく嬉しかったです」
――岡野(昭仁)さんや新藤(晴一)さんとお話はされたんですか?
「チラッとさせてもらいました」
――嬉しかったですか。
「嬉しかったですね。本当に目の前にいると思いました(笑)」
ツアーを通して『Ghost Pop』というアルバムが完成に向かっている
――現在廻られている『TOUR 2023 "Ghost Pops"』での印象的な景色やエピソードがあれば、お聞きしたいです。
「TVアニメ『スキップとローファー』のOPで書かせてもらった『メロウ』という曲の2サビが終わった後に、コーラスパートがあるんですけど、来てくれた人が一緒に歌ってくれたら嬉しいなと思って、ライブだからこその長いアレンジにしたんですね。そしたら思っていた何倍もの大声で皆が歌ってくれて、良い意味で声を失ってしまった瞬間があったというか。自分の曲だけど、来てくれる人にすごく勇気をもらう瞬間が何回もある。どの地方に行っても本当にそれが共通しているんですよね。他の曲でも、自分が思っていなかったリアクションをしてもらえて。ある意味このツアーを通して『Ghost Pop』というアルバムがどんどん完成に向かっている、そういう感覚が細かく沢山あるんですね。ツアーが終わった時にこのアルバムを振り返ったら、多分リリースタイミングのアルバムの形とは違う響きに聴こえている気がしていて。それがすごく楽しみなんですよ」
――曲は育っていくと言いますが、そういう感覚に近かったりします?
「『メロウ』は多分、作った人間以外からもすごく分かりやすく全然違うものに化けている感覚がありますね」
――今回は須田さん史上1番のロングツアーで、2020年に中止になった『はるどなり』ツアーと同じ都市を廻られていますが、ツアー中止は悔しかったそうですね。
「悔しかったですね」
――単純にライブの機会が失われたことが悔しかったんでしょうか?
「正直それはもう仕方がないのでいいんですけど。というよりも、そのツアーに何千人という人が時間を割いて約束をしてたわけじゃないですか。だから何千人との約束をドタキャンしてしまったような感覚で。別に誰も悪くないんですけど、ずっとうっすら罪悪感みたいなものがあったので。それをすぐ晴らせないのがすごくもどかしかったんですよ。そういうのも込みで、今回は大事なツアーになってますね」
――初めて行く都市もあるとか。
「仙台、北海道、広島かな」
――初めての場所はいかがでしたか?
「北海道はフェスで出させてもらったり、仙台は自分がドラマーとして活動していたバンドの時に行ったことがあったんですけど、自分が思ってた何倍も熱量がすごかったのは広島。ライブが始まった瞬間から全員の熱量が高くて。『メロウ』のパートはもちろん歌ってくれるんですけど、各々が自分の好きなノリ方をしている印象があって。どちらかと言うと日本のライブって、"こういうふうにしてください"と言ったらそれに従ってくれる印象があるんですけど、その日はそこにいる人が自分の好きなノリ方で自由に楽しんでくれて、すごく印象的で覚えてますね」
――日本人は周りに迷惑をかけないように、踊り方も合わせてしまったりしますよね。
「それも全然素敵だし、好きなんですけど、何かその日はすごい解放感がありました」
――お客さんの熱によって、ご自分も高まったりしますか?
「高まりましたね。翌日が福岡だったんですけど、その力をもらったまま行けた気がしていて。それはツアーじゃないと絶対味わえない感覚だし、もらった熱をそのまま引き継いで違うところに行ける経験は初めてだったので、勉強になりました」
――手応えはありますか。
「全国ツアーは初めてなんですけど、間違いなく今までで1番熱量があるライブができていると思います。あとはファイナルの大阪ですけど、まだまだ熱量は上がると思うので、それが終わった後、自分が音楽にしろ音楽じゃないにしろ、次はどんな表現ができるんだろうなというのも今から楽しみです」
――ツアーファイナルが大阪というのが嬉しいですが、特に理由はないですよね?
「特にないです(笑)。特にはないんですけど、それこそさっき話にあった『NEOTOPOS』が、自分は2~3年の声出し解禁後初めてのライブだったんですよ。久しぶりに来てくれた人の声が聞けてとても感動した記憶があって。偶然ではあるんですけど、それと同じ土地でファイナルができるというのは、ある種の運命的なものを感じているので、全部出し切れたらと思います」
――あの日のお客さん、最初から最後まで熱気がすごくて私もビックリしました。
「本当にそうですね。忘れられないライブになっています」
ライブでしか聴けない、初めてのアプローチ
――冒頭でお話しされた、演出面のこだわりをお聞きしたいです。お話しできる範囲で、今回のツアーで特にこだわっている演出があれば教えてください。
「たくさんあるんですけど、今回初めて色んな曲を1つのパッケージにするというチャレンジをしています。昔から知ってくれてる人も最近知ってくれた人も、同じくらい楽しめるんじゃないかなというセクションを作っていて、そこが今回1番力を入れたところ。音源では絶対聴けないアプローチをしていて、色んな人に喜んでもらえていて、そこの空間作りや繋ぎはすごくこだわってます。途中から急遽増やしたりもしました」
――お客さんの反応を見ながら?
「何公演かやってみて、もっと増やした方がもっとアガるんじゃないかって。いざ増やして1回やったらすごく良い結果になったし、もっと良い形になると思う。本当にライブでしか聴けないことを今回初めてやってるので、特に楽しんでもらえたら嬉しいなと思います」
――演出には映像も使われていますが、いつも須田さんが考えてらっしゃるんですか?
「"ここで何か映像欲しいですよね"となって、スタッフの皆さんと喋ってます。そこもとてもこだわってる。単純にスクリーンに映すものもありますし、セットの一部のブラウン管に映すものもあります。常に映しておけばいいものでもないし、そこのメリハリはすごくチームで考えながら大事に作ってますね」
――オンラインライブでも周りにライトを吊るされたり美術を使われたりと、世界観を大事にされているのかなと。
「大事にしてますね。それこそ美術チームの方と、"自分の『Ghost Pop』はこういう世界観なんですよ"ということを伝えさせてもらって、色んなアイデアをもらいながら皆であの空間を作っています。より視覚的にキャッチーなものにしようと、チームで動いてもらってますね」
――例えばどなたかアーティストさんを参考にしたり、インプットされたりは?
「 "あのアーティストのこれをしたい"とかは特に入れてなくて。ライブというものにおいて、『Ghost Pop』のアルバムの世界観にどれだけ近づけられるか。そこを1番こだわらせてもらいました」
ひとつの音楽に向かって、同じ方向を見て、同じ空間を作れるバンドメンバー
――須田景凪バンドの皆さんについてもお聞きしたいのですが、それこそ『NEOTOPOS』でも強いグルーヴを感じまして。メンバーさんとの関係性は、ライブを重ねるごとに変わってきたりしますか?
「関係性は別にそんな変わんないですけど」
――音に表れたり?
「うん、そうですね。リハでは全くやっていないアプローチを本番で急に皆がし始めたり。それによってどんどん曲のテンション感も変わっていくし、見てる人にも伝わるし。回数を重ねるごとに、メンバー各々の曲を理解する解像度が上がっていると思います。だけどわざわざリハや本番前に言葉で喋ることではない気がしているので、ステージ上で初めて変化として表れて、その度にいわゆるバンドとしての強度が少しずつ上がっているんだなって気はしますね」
――メンバーさんの好きなところはどこですか?
「一言で言うと、バランス感がめちゃくちゃ好きで。何て言えばいいんだろうな(笑)。皆、表ではめっちゃクールな感じでやってるんですけど、裏だと全員めちゃめちゃ面白い人たちなんですよ。だから移動中も楽しく向かってるんですけど、それが結果音楽として、ちゃんと良い形で表に出ているなと。ワンマンでもフェスでも、回数を重ねる度にどんどん良くなっていく。人間関係の良い部分がステージに表れるメンバーたちなんですよね。それも含めて自分はやりやすいなと思います」
――メンバーさんは各パート何名かおられると思いますが、横の繋がりで出会われるんですか?
「そうですね。それこそドラムの(箱木)駿は、メインで叩いてくれてる堀(正輝/Dr.)さんと"こういう人がいて、良さそうだよね"と長い時間電話で話して入ってもらったり、ベースの(奥田)一馬も、ギターのタケ(竹内亮太郎)さんが"この前仕事して良い感じだったからちょっと1回会ってみて"みたいな感じで、会ってみたら同い年でとか。そういう、細かいけれど自分にとっては大事な繋がりを紡いで集まったメンバーです」
――須田さんとの相性も感じて紹介されるんでしょうね。
「皆さんはプロなので、もちろん何でも弾けるんですけど、単に弾ければいいということではないじゃないですか。一緒にひとつの音楽に向かって、同じ方向を見て、同じ空間を作ることを1番大事にしていて。だから呼び方はサポートメンバーではあるけど、一緒にライブをするとなったら確実にバンドメンバーだし、1番自分の近くにいる人たち。自分はコミュニケーションが大事だと思っているので、皆すごくやりやすいので有り難いです」
――ライブが終わった後、例えばさっきの広島のお話だと、"今日のお客さん熱かったね"みたいなお話はされるんですか。
「結構直後にしますね。アンコールが終わって、裏に戻った時にすぐ話します」
――反省会というよりは、その場での共有ですか?
「両方ですね。"今日はああだったから明日はこうしてみよう"とか。感覚的なことってあまり覚えていられないじゃないですか。だから感覚値で話せるところはすぐ話すようにしています」
あの日、生き物として自分はすごく生きていた
――12月6日にBlu-rayでリリースされる、5月27日の昭和女子大学 人見記念講堂で開催された『LIVE 2023 "Ghost Pop"』のライブレポを拝見しまして、MCで"生きている実感がありました"とおっしゃっていたと。
「ああ。あの日めっちゃありましたね」
――もう少し詳しくお聞きしたいです。
「そもそも『Ghost Pop』という作品が自分の中で今までと明確に違うのが、自分の人生観というか人間としての価値観を、自分なりに生々しく描いているアルバムなんです。そういうものを今まであまり作ってこなかったし、そういう作品を書くことに対しても、自分の中ではある種の覚悟みたいなものがあった。それをあの空間で、来てくれる人と共有できて、"生き物として今すごく自分は生きている"という実感が、あの日はとにかくあって。それが自然と言葉になってしまったなという記憶です」
――お客さんも生きている実感がしたと。
「うん、しましたね。"自分とお客さん"じゃなくて、1人がたくさんいるイメージ。とてつもないパワーをもらった感覚。あの日はそれをすごく、1人1人鮮明に感じましたね」
――お客さんを1人1人感じることって、あまりないんですか。
「本当に日によるんです。ないことはないんですけど、あの日はとにかくそれがすごかった。つまり自分としても価値観をライブでさらけ出した日だったので、そういうのも含めてかなと思いますね」
――では、特別なライブになったと。
「なりましたね。だし、あの日があったからこそ今すごくツアーが良いものになってるんじゃないかなという実感があるので、それも含めてあの日を作品にできたことは自分も嬉しいですね」
――ライブはどうしてもその場にいないと感じられない空気があると思いますが、映像に残しておきたいと思うほどに特別だったということですか?
「それもありますし、自分もライブの熱量はやっぱり映像だと難しいなとは思ってるんですけど、今回映像を撮ってくれたのが『ダーリン』のMVなどを撮ってもらった森本一平監督なんです。だから映像作品として残しておきたかったし、森本監督に頼めたことで素晴らしいものになったので。ライブ映像として、そして須田景凪の映像作品として楽しんでもらえたら嬉しいかなと」
――なるほど。ちなみにライブでゾーンに入るみたいな感覚を味わったことはありますか?
「その5月の人見記念講堂の日は、初めてそうなりました」
――どんな感じなんですか?
「全然最後の方の記憶がない感じなんですけど(笑)。ゾーンに入ると言ったら大げさだけど、でもライブ後半はすごく感情的になっていて。それが自分は初めての感覚だったし、あれは大事にしたいなと思いました」
――自分をさらけ出せたという。
「そうですね。あとそれは結構意図的にやった部分もあったので、自分にとって今までやったことのないステップをひとつ踏めたんじゃないかと思います」
――今回のツアーでは、開けた感覚は?
「ありますね。だし、さっきの話になっちゃいますけど、短いスパンでたくさんライブをすることで初めて覚える感覚もあれば、"こういう曲を書けばもっと広がるんじゃないか"というのも感覚的に今すごく感じているので、そこの両立を上手くしたいなと思います」
――こういうところでやりたいとか、ライブにおける目標はありますか?
「明確に"このハコで"みたいなのはないんですけど、視覚的にもっと面白いことをしてみたいなと思っていて。ライブハウスでもホールでもいいし、このツアーを終えてみないと何とも言えないんですけど。ライブって、雑に言ってしまうと何をしてもいいと思っていて(笑)。だからこれまでよりも突飛な演出をして、それが1番美しく映える場所でライブをしてみたいですね。頭の中に構想はあるんですけど、そもそも現実的にできるのかしらと色々考えているので」
――ものすごく覗いてみたいです。
「いつか実現したいなと思います」
――ひとまず『TOUR 2023 "Ghost Pops"』のファイナルが迫っていますね。ライブに来られる方、行くのを迷っている方へのメッセージをお願いします。
「間違いなく自分もメンバーもスタッフも、来てくれる人たちにとっても、本当に大事な日になると思っています。そしてその日が人生の一部になって続いていって、いつかその日を振り返った時、その日があることでもっと人生の色が増えるんじゃないかなと思っています。多分いくら言葉で言ったとしても、映像を見たとしても伝わりきらないので、会場で一緒に体感してもらえたら1番嬉しいなと思います」
Text by ERI KUBOTA
(2023年10月24日更新)
【LIVE Blu-ray】
『須田景凪 LIVE 2023 "Ghost Pop"
発売日:2023年12月6日(水)
※受注生産限定
受注受付期間:8月31日(木)~11月5日(日)23:59
6930円(税込) / WQXL-10016
受付URL:https://keina-suda.lnk.to/LIVE2023_GhostPop
《収録内容》
01. ラブシック
02. パメラ
03. 落花流水
04. いびつな心
05. Howdy
06. バグアウト
07. 幼藍
08. veil
09. 雲を恋う
10. ノマド
11. 終夜
12. シャルル
13. メロウ
14. パレイドリア
15. 綺麗事
16. ダーリン
【Encore】
17. 花に風
18. 美談
須田景凪 LIVE 2023 “Ghost Pop” Documentary
Album『Ghost Pop』
発売中
【初回生産限定盤】(CD+Blu-ray)
5940円(税込)
WPZL-32055~6
【通常盤】(CD only)
3300円(税込)
WPCL-13478
《収録曲》
01. ラブシック
02. メロウ
03. ダーリン
04. バグアウト
05. ノマド (self cover)
06. 落花流水
07. 幼藍
08. Howdy
09. パメラ (self cover)
10. 終夜
11. 雲を恋う
12. いびつな心
13. 綺麗事
14. 美談
2013年より“バルーン”名義でニコニコ動画にてボカロPとしての活動を開始。代表曲「シャルル」は自身によるセルフカバーバージョンと合わせ、YouTube での再生数は現在までに約1億回を記録しており、JOYSOUNDの2017年発売曲年間カラオケ総合ランキングは1位、2017&2018&2019年の年代別カラオケランキング・10代部門では3年連続1位を獲得し、現代の若者にとっての時代を象徴するヒットソングとなっている。2017年10月、自身の声で描いた楽曲を歌う“須田景凪”として活動を開始。2019年1月、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEより1st EP「teeter」をリリース。8月には2nd EP「porte」をリリースし、オリコンウイークリーアルバムランキングでTOP5にランクインした。楽曲は作詞、作曲、編曲全てを須田自身が手掛けており、中毒性のある予想外かつ大胆でありながら、隅々までこだわりの詰まったサウンドと、聴く人に絶妙な距離感で寄り添う歌詞とメロディーが、10代から20代を中心に若者から多くの支持を集めている。2023年5月24日、メジャー2ndアルバム「Ghost Pop」をリリースし、初の全国ツアー「TOUR 2023 "Ghost Pops”」の真っ最中。10月28日(土)に大阪Zepp Nambaでツアーファイナルを迎える。
須田景凪 オフィシャルサイト
https://www.tabloid0120.com/
チケット発売中 Pコード:243-929
▼10月28日(土) 18:00
Zepp Namba(OSAKA)
1Fスタンディング-5500円(ドリンク代別途要)
2F指定席-5500円(ドリンク代別途要)
※2歳以下は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は10/25(水)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888