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reGretGirlからのラブコールで実現した
対バンツアー『LOVE × CALL TOUR 2023』、
10/27ファイナル@なんばHatchライブレポート

恋や失恋、生きるうえでの悲喜交々をエモーショナルなメロディーに乗せて叫び続ける3人組ロックバンド・reGretGirl。彼らがホストを務めた『LOVE × CALL TOUR 2023』は、2022年の秋に続いて開催となった対バンツアーだ。そのタイトル通り、reGretGirlが対バンしたい相手にラブコールを送って行う、 “好きな人にデートを申し込んでOKもらってデートをするような両思いツアー”だ。そのラインアップはBase Ball Bear、キュウソネコカミ、wacci、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、KEYTALK、the shes gone、kobore、KANA-BOONを招聘し、最終日のSHE’Sを迎える大阪公演まで熱のこもったステージを繰り広げてきた。以前ぴあ関西版WEBでインタビューを行った際、平部雅洋 (Vo/Gt)は「僕らは大阪のバンドなので、大阪の大きいステージに憧れはずっとあるんです。今回は大阪の先輩・SHE'Sの力を借りて、一緒にいい1日を作れたらなと思います。SHE'Sは演奏力も含めて完成されているというか、荒々しさとは対極の伸びやかさがカッコいいと思っているので、そのよさを感じてもらえたらと思っています。2バンドとも関西弁全開でMCをするところにも注目してもらいたいですね」と語っていたのだ。さぁ、そのツアーファイナル@なんばHatchの模様をお届けしよう。reGretGirlとSHE’S、同じ大阪出身ながら素晴らしいコントラストを見せてくれたライブを追体験してみてほしい。

秋をグッと深めることになりそうな冷たい雨が大阪に降った2023年10月27日。reGretGirlの『LOVE × CALL TOUR 2023』ファイナルは、共に地元・大阪出身のreGretGirlとSHE'Sの対バンとあって、観客たちはみな一様に熱を帯びている。会場に入り、2階席から1階のスタンディングエリアを見下ろすと、人で満ち満ちだ。多くの人が鮮やかな青地に白字で大きく「reGretGirl」とプリントされたタオルを肩にかけている。もうすぐライブスタートだ。

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金曜の夜7時、会場の照明が落ちる。この日のライブはラブコールを送られた側であるSHE'Sのステージが先攻だ。ステージに光が灯ると、現れたSHE'Sの4人。全員がジャケットやシャツをカジュアルに着こなし、爽やかさのある装いであることもreGretGirlの面々といいコントラストを見せるのだろう。この日口開けの1曲となったのは、エモーショナルなメロディーに加え、リバーブを抑えた井上竜馬(Vo/Kye)の声がズシっと響く瞬間にもドキッとさせられた「喜びの陽」だ。スタートからSHE'Sらしさの詰まった、聞かせるグッドミュージックがなんばHatchに響き渡る。井上の「SHE'Sです、よろしくお願いします」という一言を軽く挟み、曲はテンポを上げて「Un-Science」へ。テンポの上昇に合わせるかのように、客席から手拍子が起こり、少しずつ会場が一体化していく空気を見せる中、妖艶な赤い照明でステージが染まりラテンのリズムがバチバチにマッチしていた「Masquerade」へと続いていく。

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服部栞汰(Gt)の「改めましてSHE'Sです。大阪のみなさん元気ですか?」の声が弾ける。実は2020年に実施予定だった対バンツアーに誘われていたもののコロナの影響で中止になってしまい、今日はリベンジだと告白。「しっかりLOVE CALLをもらったので、応えられるようにしたいです!」という言葉に拍手が飛ぶ。そして井上がおどけた様子で語り出したのは「平部が楽屋のウェルカムボードにメッセージをくれててな。僕らの「Long Goodbye」っていう曲を聞いて僕はピアノ始めたんです、って書いてあって。いや、もっと前に言うてくれへんかな〜。やったのに! って(笑)」。その言葉にメンバーも全員が「そやなぁ、今日やる予定なかったしな(笑)」。今日はその曲はやらないですけど、メッセージをもらってうれしかったと笑顔で語る。そしてダンサブルなリズムに乗せて井上が歌い、身振り手振りで踊り、そして鍵盤を弾き鳴らす姿が印象的だった「Raided」、時計のチクタク音でスタートし、途中メンバー全員がふっと音を止めて無音になった瞬間も効果的に響いた「Clock」、SHE'Sの真骨頂とも言えるたおやかな井上のキーボードの調べと歌声に、美しいコーラスが加わって広がりを感じさせてくれた人気曲の「Letter」まで、緩急ある構成が目と耳を釘付けにする。

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透明感とキラキラ感をたっぷり纏った「Letter」が披露された後のMCでは、木村雅人(Dr)や広瀬臣吾(Ba)がreGretGirlの十九川宗裕 (Ba)と飲んだりするというわちゃわちゃエピソードに対し、井上が「SHE'SもreGretGirlも大阪同士仲よくやっていきたいなと。よろしくお願いします!」とピシリとシメる一幕も。そして「お客さんに向けて一緒に年をとっていこうという気持ちを込めて書いた曲をやらせてください」と演奏されたのは、「Grow Old With Me」。ピアノの柔らかな音にフワーッと井上の美しい高音が乗っていく最初の1フレーズだけで、会場から拍手が湧き起こったことを記しておきたい。ゴスペル調のアレンジに観客も手拍子でたっぷりと参加した後は、そのままの勢いで「踊ろうぜー!」と会場の温度をさらに上げた「Dance With Me」への流れは完璧で、おそらくreGretGirlを目当てに来たというお客さんも前のめりでライブに参加せずにはいられなかったはずだ。そしてラストを飾ったのは「Curtain Call」。自分たちが歌を歌う場所を守っていくことが歌われたこの曲。柔らかなメロディーにも関わらず井上がギターを持ち、ギターが2本になったことで演奏がグッと無骨になった印象を受ける。郷愁を誘うメロディーライン、泣きのギター、井上の透き通った高音とコーラス。ラストソングにふさわしい1曲でこの日のLOVE CALLに応えていた。

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あの日言った言葉覚えてる? 平部のインパクトある1フレーズがとんでもない爆発力を持ってスタンディングフロアの観客の拳を上げさせた「ページワン」、忘れられない恋と今の恋を重ねてしまう心を歌ったアップナンバー「ルックバック」、気合いの現れかずっと張り詰めていた平部にようやく笑顔が見られた「(L)ONLY」まで、怒涛の3曲で『LOVE × CALL TOUR 2023』ホストであるreGretGirlのステージが幕を開けた。今回は平部、十九川、前田将司(Dr)のバンドメンバーに加え、サポートミュージシャンとして三浦太郎(G)、重永亮介(Key)が加わり、5人編成でのステージだ。この日もスタート直後からガッツリと5人のバンドサウンドを響かせる。

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「『LOVE × CALL TOUR 2023』へ、ようこそ! フロム大阪、reGretGirlです!」とかなりの早口で投げかける平部。3曲を演奏して会場の空気を掴めたのか、すでに興奮を隠せない様子だ。まずはLOVE CALLに応えてくれた大阪の先輩でもあるSHE'Sへの感謝を述べ、「今日はSHE'SにいっぱいLOVEをもらったので、それをみんなに返していくから。みんなも盛大な愛を送ってください!」と放ち、食い気味に「soak」の演奏をスタート。平部の興奮を感じ取った客席が拍手で応酬すると、「一緒に歌おう!」と平部が投げかけ、今度は客席から歌声が聞こえてくる。相乗効果でどんどん熱が上がっていくのが目にも見えるようだ。「そして自己肯定感爆上げする曲やります!」の言葉にうぉぉぉぉ!との反応が返ってくると「お前ら全員カワイイ!」と披露されたのは、その言葉通り「KAWAII」。愛されている実感を疑似体験できる曲に、会場の(特に女子たちの)テンションが爆上がり、これまでにない強く大きな手拍子が送られる。そしてポップなメロディーの合間にゴリッと骨太な平部のギターソロが男臭く響いた「ハングオーバー」、勢いを少しゆるめミドルテンポでグッと聞かせてくれた「ワールド」まで、メンバー3人のみならず、バンドメンバー全員が演奏を楽しんでいるのがよくわかる。

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そしてMCではSHE'Sについて話す場面も。「SHE'Sも俺らも大阪だけど、SHE'Sは大阪の上(北)の方なんですよ。僕らは南大阪出身なんです。南大阪にあの手のイケメンはおらん!ホンマ竜馬くん、顔男前、背高い、ピアノ弾いて歌上手いやん。貴公子過ぎるやん! 4人ともシュッとしすぎやんな? 僕がな、ピアノ弾いてあんなふうに歌ったら、お腹すいた恐竜みたいになるで。あれちょっとずるいな、と思って(笑)」と平部がまくし立てると、会場に笑いが起こる。そしてコホンとひとつ咳払いして「改めてSHE'Sは、僕がこのバンドを始める前から活躍していて、そのバンドと共演できたなんてこうやって応援してもらっているみんなのおかげです」と述べると、会場があたたかい拍手に包まれる。「ずっと隣にいるつもりで歌うので、最後の最後までずっとそばにおってな」と平部が語りかけると、ピアノの音が流れ始め、そこにギターが少しずつ加わって...ミドルバラード「おわりではじまり」そして「デイドリーム」が演奏される。それまでreGretGirlらしさを全面に押し出した勢いあるステージングだったのとは真逆の、しっかり歌とストーリーを伝えることに徹した2曲。ついさっきまで腕を振り上げていた観客も、微動だにせず歌の世界に入り込んでいる。雰囲気がガラリと変わったなんばHatchに平部の「ツアーファイナルやから、グッとくるものがあるわ」という言葉が浮遊する。そしてよっしゃ大事な歌歌うわ、と曲が始まる。辛いことがあったりする日々、それは自分だってそう。そういうことを乗り越えられなかった友人がいたという平部。涙を滲ませた声が響く。「あいつにもこの景色を見せたかったし、歌っている姿は見せられないけど、届くように歌うわ」と「tear」を歌唱。そこにいたひとりひとりに向けて歌うような仕草を見せ、メンバー5人が叫ぶように歌いメッセージを紡ぐ姿にグッとさせられる。そして最後には「絶対死ぬなよ!」と強いメッセージを送っていた。そして次曲、友人への苦しい恋心を吐き出すかのように紡いだ「ダレヨリ」では、ツアーを重ねてきたからこそ今生まれているバンドのいいグルーヴも見せていた。

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「うわ〜終わりたくね〜!」と思わず平部の本音がポロリ。ライブが終演へと近づいているらしい。「このツアー、9カ所回ってきていろんなドラマがありました。僕らこの9本ですごくたくましくなったし、地元大阪で最後見てもらえてすごくうれしいんですよ。南大阪のなんもない街から、まさかなんばHatchで歌う人間になれるとは! 信じてやってきてよかったです。ここからもうちょいギア上げていくけど、一緒にいてくれますか?」。その声に誰もが拍手で答える。演奏が始まった5人のサウンドは、明らかに先ほどまでと比べるとグッとギアが上がったとわかる。そんな熱量のこもった曲は「ピアス」だ。手を振ったり、手拍子したり、サビを歌ったり、フロアの熱も、湿度も急上昇していく。そして曲が代表曲の「ホワイトアウト」に切り替わると、そこにいた人ひとりひとりがものすごい声量で歌い始めた。その振動が肌にビリビリと来る。誰もがこの曲を待っていたのだ。そしてその熱を抱えたまま、ラストソング「ルート26」へ向かっていく。バンド5人の演奏もどんどん走って、観客も全速力でそれにしがみついていく。上がりきったはずの熱をさらに上げるパフォーマンスに、ここで全てをやりきりたいというreGretGirl全員の思いが見える素晴らしいステージだった。

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そしてやってきたアンコール。なんとこの『LOVE × CALL TOUR 2023』ではアンコールのステージは撮影・SNSへのアップがOKと告げられた途端、たくさんのスマホの灯りがそこらじゅうに浮かび上がる。そして「Shunari」、ツアーファイナル公演の本当の締めくくりだからと急遽追加されたこの日2回目となる「soak」(この曲では平部が客席にダイブし、お客さんにしっかりと支えられつつ歌うという一幕も!)まで、全15曲。これを持って全国9カ所を回った『LOVE × CALL TOUR 2023』を完走したreGretGirlの平部雅洋、十九川宗裕、前田将司に終演直後、直接会うことができたのでツアー完遂の感想を尋ねてみた。「今回のツアーは先輩が多かったので、今までとはひと味違う刺激を受けて、自分たちのたくましくなりようがエグかったです。本当に9本、実のあるツアーでした。大阪で締めくくれて、最高です」(平部)、「もうほんと、楽しかったです」(前田)、「あまりにも好きなBase Ball Bearからスタートしたので、夢が叶ったところから始まって、そういう会いたい人に会えると思えばいつもやっている友達的バンドもいたり、本当に対バンってよすぎるなっていう9本やって。毎回色が違って、本当に毎回よかったです」(十九川)。


11月1日には2nd EP『告白e.p.』をリリースした後も年内は対バンや学祭、イベント、フェスなどへの出演が続き、来年1月には全国17カ所を巡る『reGretGirl presents 忘れたくないワンマンツアー "World with you"』をスタートさせる彼ら。この『LOVE × CALL TOUR 2023』が、どのように彼らの血肉となったのか。ぜひそちらも見届けたい。

取材・文:桃井麻依子
撮影:宇都宮(reGretGirl)/イシムラリョウヘイ(SHE'S)




(2023年10月31日更新)


Check

Set List

SHE’S
01. 歓びの陽
02. Un-Science
03. Masquerade
04. Raided
05. Clock
06. Letter
07. Grow Old With Me
08. Dance With Me
09. Curtain Call

reGretGirl
01. ページワン
02. ルックバック
03. (L)ONLY
04. soak
05. KAWAII
06. ハングオーバー
07. ワールド
08. おわりではじまり
09. デイドリーム
10. Tear
11. ダレヨリ
12. ピアス
13. ホワイトアウト
14. ルート26
En1. Shunari
EN2. soak

Live

SHE’S Tour 2023 “Shepherd”

【香川公演】
▼11月4日(土) 高松festhalle
【広島公演】
▼11月5日(日) 広島クラブクアトロ
【東京公演】
▼11月8日(水) Zepp Haneda(TOKYO)
【宮城公演】
▼11月23日(木・祝) 仙台PIT

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:244-968
▼12月10日(日) 17:30
Zepp Osaka Bayside
1Fスタンディング-4950円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児入場不可/小学生以上有料。
※再入場不可/撮影・危険・迷惑行為禁止。
※客席を含む会場の映像・写真が公開されることがあります。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は12/3(日)朝10:00以降となります。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400

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reGretGirl presents 忘れたくないワンマンツアー "World with you"

【千葉公演】
▼2024年1月11日(木) 千葉LOOK
【福島公演】
▼2024年1月13日(土) club SONIC iwaki
【岩手公演】
▼2024年1月14日(日) club change WAVE
【新潟公演】
▼2024年1月20日(土) NEXS
【長野公演】
▼2024年1月21日(日) 長野CLUB JUNK BOX
【静岡公演】
▼2024年2月4日(日) SOUND SHOWER ark
【熊本公演】
▼2024年2月10日(土) 熊本B.9 V1
【福岡公演】
▼2024年2月12日(月) DRUM LOGOS
【香川公演】
▼2024年2月17日(土) 高松オリーブホール
【広島公演】
▼2024年3月1日(金) LIVE VANQUISH
【大阪公演】
▼2024年3月3日(日) Zepp Osaka Bayside
【愛知公演】
▼2024年3月5日(火) Zepp Nagoya
【岡山公演】
▼2024年3月9日(土) YEBISU YA PRO
【石川公演】
▼2024年3月10日(日) 金沢EIGHT HALL
【宮城公演】
▼2024年3月15日(金) 仙台Rensa
【北海道公演】
▼2024年3月17日(日) ペニーレーン24
【東京公演】
▼2024年3月26日(火) Zepp DiverCity(TOKYO)

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