ホーム > インタビュー&レポート > SSW四者四様のカラフルなステージは 中島ヒロトが届けたかった2023年のハッピーとファン! 『第5回! Happy and Fun Music Festival supported by Orange』ライブレポート
FM802 DJの中島ヒロトが2018年に50歳を迎えたことを機に、自分の好きなモノ・コト・ヒトをオーガナイズして立ち上げたイベント『Happy and Fun Music Festival(以下、HFMF)』。2018年に台風接近によって中止となった幻の初回を経て2019年から昨年まで計4回、毎年ハッピーとファンに溢れたステージを繰り広げてきた。そして今年迎えた第5回は、昨年に引き続き大阪・心斎橋のMusic Club JANUSを舞台に竹内アンナ、UEBO、Rei、松室政哉というみずみずしい活躍を続けるシンガーソングライターが出演者に名を連ね、彼らの歌声と演奏に心を震わせる一夜となった。
日中の気温は30度を超え、夏が終わる気配を見せない9月の最終日。第5回目を迎えた『Happy and Fun Music Festival supported by Orange』、今年は圧倒的に男性のお客さんが多い。JANUSに足を踏み入れると、主催者・中島ヒロトが物販ブースで自らTシャツを販売している姿が飛び込んできた。「イベントTシャツ販売しておりますー!」。相変わらず、"自分でなんでもやりたい"という気概を持った人だ。そうこうしているうちに会場が暗転し、いよいよ2023年の『Happy and Fun Music Festival』が幕をあける。ステージに光が灯ると、中央には白地に『HFMF』の赤い文字がデカデカとデザインされたイベントフラッグがドーン!さぁ、今日出演する4人のアーティストはどんなステージを見せてくれるだろうか。
舞台袖から「いいですね、みなさんお酒入ってますか? 今回で5回目になりました!」と中島ヒロトがやってきた。台風の影響を受けて開催中止となった"幻の1回目"から、味園ユニバース、BananaHall、BIGCAT、昨年のJANUSに至るまで、中島ヒロトが好きなモノ・コト・ヒト、そして音楽を集め、ひとつひとつ丁寧に積み上げてきたこのイベント。今回は企画の立ち上げを後押しし、昨年まで全ての回に出演してきたシンガーソングライターのKeishi Tanakaの不在が告げられたのだが...「これまで皆勤賞だったKeishiなんですけども、今日彼は福山でライブをしていて参加できないということで、どうしてもBGMだけは選ばせてほしいと彼がセレクトしてくれた曲をSEとして使用されてもらっています」というなんとも粋な参加の仕方! 「彼からのメッセージを物販に貼り出していますので、よかったら見てみてください」と中島。せっかくなので、ここではKeishi Tanakaからのメッセージ全文をご紹介しておこう。
5回目のHappy and Fun Music Festival、開催おめでとうございます! 今年はライブ出演できませんでしたが、会場BGMのプレイリストを送ります。 今年の出演は、全員がシンガーソングライターと聞いています。 というわけで、バンドではなくソロ名義で活動しているアーティストで プレイリストを作ってみました。 会場にいる皆さんの、新しい音楽の出会いとなれば幸いです。 KEISHI TANAKA |
「出演のみなさんにも楽しんでいただいて、最後には4人で何かやってもらえないかなぁと思っています。ね? ね? さぁ、スタートしまーす!!!!!」の発声と共にステージに現れたのは、トップバッターの竹内アンナだ。まだまだ蒸し暑かったこの日にぴったりのノースリーブも涼しげなオールブラックコーデで、両手を振りながら軽やかに登場した。「デビューの頃から仲良くさせてもらっている竹内アンナちゃんを、満を持してイベントに呼ぶことができました!」と中島が紹介。そしてスゥッと息を吸うとギターをゆったりとつまびきながら、ライブは「ICE CREAM.」でスタート。
吐息を含んだスイートな声でかわいらしい恋心を歌ったかと思えば、一転力強くギターをかき鳴らし曲は「Free! Free! Free!」へ。ギターでベースラインを奏でながらラップをしたり、まるで声も楽器のようにギターの音に乗せる様は見ていてワクワクさせられるステージだ。「ヒロトさんはいつでも帰っておいでって言ってくれる関西のお父さんみたいな存在なんです。JANUSもホームだしダブルホームという感じで、とにかく帰ってこれてうれしいです」と語ると、会場からもラララの大合唱が起こった「YOU+ME=」、夏の終わりが描かれノスタルジックな空気も心地よかった「たぶん、きっと、ぜったい」、そしてアップテンボなギターの音色に手拍子が起こった「ALRIGHT」と、力強いギターの音が心地よく響いてくる曲を連発。
「ヒロトさんがつないでくれたご縁があったから私はここにいます。みなさんも音楽を通してつながれたことがうれしいなと思いながら、聞いてもらえたらと思います」と感謝を述べ、何気ない日常の愛おしさを歌った「生活」とボサノヴァのリズムも気持ちよさを誘った「RIDE ON WEEKEND」まで全6曲。緩急あるセットリストでじっくりと聞かせてくれた今年の『HFMF』、幕開けのステージだった。
「楽しんで行こうぜ!」とステージに現れたのはこの日の2番手を務めるUEBOだ。リラックス感溢れるリズムで「Sign」を歌い始めると、自然と手拍子が起こり始める。「JANUS楽しんでそうですね、いい顔してんな〜いい波に乗っていこうか!」と勢いそのままに2曲目の「Wave」へ。こちらも軽やかなサーフミュージックを感じさせるメロディーが、暑かったこの夜にぴったりだ。そしてこの曲の間奏では山下達郎の名曲「SPARKLE」のワンフレーズを挟み込むパフォーマンスを披露すると、一層大きな歓声を浴びていた。観客の心をガッチリ掴んだまま、レゲエのリズムに合わせてコール&レスポンスを楽しんだ「Pocket」まで一気に3曲、何よりUEBO本人がステージを心から楽しんでいる様子が見て取れて、ライブっていいなぁと思わせてくれる。
今日は泊まりだから飲めるんだよ〜とおどけつつ、「大好きな憧れのラジオDJのイベントに呼んでもらえるなんて、心の到達点です。ヒロトさんありがとう!」とビッグスマイルを見せる。続いた「Milk & Coffee」「Title」では素朴で温かく、柔らかなラブソングを届けてくれた。そしてギターをチューニングしながら「ヒロトさん、まさに関西の伝説的DJですけど、僕も実はひろとっていうんですよ」と告白。実はUEBOが苗字なんですと話すと、珍しい苗字になのか、ひろとが本名ということに対してか会場がザワァ。えへへと笑いながらさ、僕も秋の新曲やりますねと次に演奏された「Ending Summer」では、切ないワードが歌詞に散りばめられたラブソングがグッと沁みて、すぐそこまでやってきている秋の気配を感じることができた。「んーっと、ラスイチはどうしようかな。いつも直前まで決めないんです。今日はひと踊りしようぜ!」という投げかけに、会場の全員が席から立ち上がり手拍子を始める。
ラストソングとなったのは「Circle」。UEBOの巧みなギター&ライブテクニックに巻き込まれるように全員が手拍子をしながら踊っている光景はこの日のハイライトのひとつだ。「うれしーい! めちゃたのしーい!!」と言うUEBOに、"本当に音楽を楽しんでいる人、そして楽しませ上手な人"という印象が深く残るとてもいいパフォーマンスだった。
「さぁ、後半を始めていきたいと思います!」という中島の呼び込みでステージに登場したのは、その卓越した歌とギタープレイで話題のRei。たっぷりとしたブルーのチュールのスカートがよく似合っている。彼女のライブは「my mama」から。キュートな衣装に対しそのギタープレイはどこまでも男前で、ネックを動き回る指の動きを見ているだけでワクワクゾワゾワしてくる。そのままの空気感を引き連れて「JUMP」「COCOA」と、アコースティックギターってこんな太い音します? と不思議に思えてくるポップチューンを演奏。曲を重ねるごとに、観客もじっと座って見ているのが耐えられなそうな雰囲気が濃くなってきている。
現に最後列で見ていた竹内アンナ・UEBO共に興奮気味で、UEBOに至ってはビール片手に「ギターうめぇなぁ...」と漏らしていたほどだ。3曲終えると「コロナを乗り越えて開催されていることもこのイベントのファンとしてうれしいなと思います。私は関西出身でたくさんヒロトさんの声を聞いて育ったので、私にとっては特別な存在で初めて番組に行った時はとても感動しました」と、ギタープレイとのギャップにほわ〜っとされられるほど可愛らしい発言も。そしてしっかり歌を聞かせるシーンもありつつ曲の中でギターの力強さとしなやかさの両面が感じられた「Long Way to Go」とロカビリーの雰囲気をたっぷりと含みロックンロールの楽しさが爆発した「Route246」、SOIL&"PIMP"SESSIONSとのコラボ曲として話題を呼び人気曲へと成長した「Lonely Dance Club」、ギターのボディーを叩きリズムを加えつつ掻き鳴らした音が観客の手拍子を煽った「BLACK BANANA」へ。彼女の卓越した演奏力のすごさや音楽センスの高さがストレートに伝わってくる、ただただかっこいいライブが繰り広げられる。
スッとギターをエレキに変え、「みなさん、一緒に踊れますか?」と投げかけると、待ってましたとばかりに全員が立ち上がり拍手を送る。するとラストソング「What Do You Want?」が始まった。ステージに立っているのは彼女ひとりなのにも関わらず、ギターの音に加えてバスドラムの力強い音も聞こえてくる。観客総立ちで見えないが、どうやら彼女が足で踏み鳴らしているらしい。曲が進んでいくごとにうねっていくギターとドコドコと音を立てるバスドラム、そして熱を帯びていく客席からの手拍子。全てが一体化して駆け抜けていった、Reiのステージ。その場にいた誰もが曲の終了と共に息を吐き、それまで呼吸を忘れていたかのような濃密な空気に飲み込まれたような時間だった。
ステージ中央にセッティングされたキーボードの前にスッと座りアコースティックギターを抱えたのは松室政哉だ。ググッと上昇した熱がこもったままだった会場内の空気が、大切にしたいと願う最後の恋を歌った「毎秒、君に恋してる」の始まりと共に柔らかいものへと変わっていく。「すごいっすね、みんなギターうま過ぎ! 今日は僕なりにグッドミュージックを届けられたらいいと思っています」と挨拶。
そして今ではホームのように思っているJANUSだが、初めて来た時は場所がわからずスマホで調べてたどり着いたのは雑居ビルの同じ名前のスナックだったという20歳の頃のエピソードを挟み、過ちを犯した"僕"の目線で恋人を見つめた「陽だまり」、そして懐かしさや郷愁、切なさを呼び起こすようなメロディーをキーボードで奏でた「オレンジ」、再びギターを持ちマイナーコードのメロディが夜のライブハウスにマッチしていた「Jungle Pop」を披露。松室の奏でる曲を聞いていると、私たちに情景を思い描かせる歌を歌える人だと強く思う。
「みんな巧みなプレイを見せてくれましたけど、僕は家でビートを作ってきました。今日はまだ聞いたことがない音が出てきますけど、自由に楽しんでください」と演奏されたのは「今夜もHi-Fi」と「愛だけは間違いないからね」。この日イチ、ポップなメロディーが流れだし中島もごきげんに体をユラユラと揺らしていたのもいいシーン。そしてラストソングとなったのは「ハジマリノ鐘」。キーボードの弾き語りで、生きていくことへの希望が溢れた祈りの歌が奏でられた。人生の悲喜交々を優しい言葉と柔らかなメロディー、そして歌声で届けた松室政哉の温かなステージだった。
本編が終わり、中島が「みなさん楽しんでいただけましたでしょうか。せっかくなので4人になんかやってもらおうかなと思いまして〜」と言いながらステージの中央へと踊り出る。『HFMF』も今年5回目を迎え、毎年開催できている喜びと感謝を述べ、さらに「今日は客さんが本当によかった! 盛り上げてくれてありがとうございます」と話すと、会場からの大きな大きな拍手を浴びていた。さぁ、今日の出演者順に呼んでみましょうと竹内アンナ、UEBO、Rei、そして松室政哉がお揃いのHFMF Tシャツを身に纏って再びステージへ。先ほどは"4人に何かをやってもらおうと思う"と言っていた中島だったが「何か1曲、"5人で"やろうという話になりまして」と笑うと、会場からも「オイ!」とツッコミが入るのはこのイベントならではではだろう。この日のシメとなるコラボ曲はUEBO・松室両人から提案されたという「今夜はブギーバック」(中島曰く、俺小沢健二と同い年だからね!)。竹内・UEBOはアコースティックギターで、Reiはエレキギター、そして松室はキーボードとPCを操り、ダンスフロアーに華やかな光が灯る。出演アーティストの後ろで踊りながら歌詞をなぞり、Reiのギターソロでは体を寄せて揺らし、豪華ミュージシャンの演奏で名曲を歌う中島。懐かしい文化祭的なノリも、これぞ毎年恒例ハッピーアンドファンの名シーンだ。客席の誰もが立ち上がり、手を振り歌いながらこの日にしかないセッションを心から楽しんでいた。
「「今夜はブギーバック」でした。ありがとう! 楽しんでいただけましたでしょうか? 第6回の『HFMF』でお会いできるのを楽しみにしております」と2023年のハッピーとファンが詰まった中島のフェスティバルが幕を下ろした。終演後、一言感想を...と中島を追ってみたが、即物販ブースに立ち販売&お客さんと写真撮影&トークを長時間に渡り楽しんでいたことをお伝えしたい。さぁ、来年はどんなステージを見せてくれるだろうか。ヒロトさん、今から楽しみにしています!
取材・文/桃井麻依子
撮影/原田昴
(2023年10月25日更新)
1. ICE CREAM.
2. Free! Free! Free!
3. YOU+ME=
4. たぶん、きっと、ぜったい
5. ALRIGHT
6. 生活
7. RIDE ON WEEKEND
1. Sign
2. Wave
3. Pocket
4. Milk & Coffee
5. Title
6. Ending Summer
7. Circle
1. my mama
2. JUMP
3. COCOA
4. Long Way to Go
5. Route 246
6. Lonely Dance Club
7. BLACK BANANA
8. What Do You Want?
1. 毎秒、君に恋してる
2. 陽だまり
3. オレンジ
4. Jungle Pop
5. 今夜もHi-Fi
6. 愛だけは間違いないからね
7. ハジマリノ鐘
チケット発売中 Pコード:251-119
▼12月17日(日) 13:30開場 / 14:00開演
大阪市中央公会堂 中集会室
指定席-5000円
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
▼11月29日(水) 18:00/21:00
ビルボードライブ大阪
サービスエリア-6600円
カジュアルエリア-6100円(1ドリンク付き)
※飲食代は別途精算
[問]ビルボードライブ大阪■06-6342-7722
RHYMESTERツアー『King of Stage Vol. 15 Open The Window Release Tour 2023-2024 Presented by NISHIHARA SHOKAI』
※ゲスト出演
チケット発売中 Pコード:245-799
▼12月2日(土) 17:00
GORILLA HALL OSAKA
スタンディング-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]Rei
※6歳以上は有料。6歳未満は入場不可。出演者の変更・キャンセル、開場・開演時間の変更による払い戻し不可。ゲストアーティストは予告なく変更、キャンセルになる場合がございます。ゲストアーティストの変更などが生じた際には、すみやかにライムスターHP、SNSなどからご案内いたします。ゲストアーティストの変更やキャンセルが発生した場合でも、チケットの変更、返金などの依頼には対応いたしかねますのでご了承ください。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]夢番地■06-6341-3525
『802 RADIO MASTERS
15th Anniversary LIVE
~GO! HAPPY GO!~』
10月28日(土)一般発売
Pコード:253-697
▼11月26日(日) 16:30
大阪城ホール
ヒロトのお土産付きチケット-6955円(手ぬぐい付)
ヒロトのお土産付きチケットJr.-3955円(18歳以下、当日要身分証、手ぬぐい付)
[出演]阿部真央/梅田サイファー/岡崎体育/木村カエラ/キュウソネコカミ/KREVA/スガ シカオ/秦 基博/flumpool(山村隆太・阪井一生)/アバンギャルディ(オープニング)/ハマ・オカモト(リーダー)
[DJ]中島ヒロト
※3歳以上は有料。3歳未満のお子様は膝上観覧であれば入場可能です。お席が必要な場合は、チケットが必要となります。
※販売期間中は、インターネットのみで販売。1人4枚まで。チケットは、11/19(日)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
FM802「THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS」
放送日:毎週月曜~木曜の14:00~18:00