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ホリエアツシ、ビルボードライブ大阪でアジカン・伊地知潔&
フジファブリック・金澤ダイスケの手料理に舌鼓
『FM802 ROCK & DISH vol.2 Supported by ELECOM』
レポート

6月6日(火)、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)・伊地知潔(ds)が部長、フジファブリック・金澤ダイスケ(key)が副部長をつとめる「FM802 料理部 ROCK&DISH」が、ビルボードライブ大阪で『FM802 ROCK & DISH vol.2 Supported by ELECOM』を開催した。昨年12月、ゲストにKANA-BOONの谷口鮪(vo)を迎えて心斎橋Music Club JANUSで行われた初回は大成功&大好評で終了し、伊地知や金澤からも「続けていきたい」との声が上がっていた同イベント。第2回目は何と会場をビルボードライブ大阪に移しての開催! ゲストはストレイテナーのホリエアツシ(vo&g)。司会進行役は、お馴染みFM802 DJの加藤真樹子がつとめた(さらに食レポにはあのDJも!)。前回に続き、最高に贅沢で極上の時間を過ごすことができた「ROCK & DISH vol.2」の模様をお届けしよう。

ホリエアツシのオーダーは「夏バテ予防! 元気が出るレシピ」


「ROCK&DISH」は、ミュージシャンきっての料理好きである伊地知と金澤が中心になり、昨年FM802で新発足した部活動。今年1~2月にはOSAKA FOOD LABで行われた『音食キッチン in OSAKA』でレシピを提供、伊地知は実際に会場で来場者とコミュニケーションを取るなど、活動を行ってきた。そんな「ROCK&DISH」が立ち上げた本イベントは、ゲストのオーダーをもとにステージ上で料理と音楽を振る舞い、観客には同じレシピで作られたワンプレートフードが提供されるというスペシャルな内容。「ROCK&DISH vol.1」は、伊地知と金澤の後輩にあたる谷口の人柄も相まって、わちゃわちゃ感もありながら温かい空気で満たされた、ホームパーティーのような回だった。

今回は会場がビルボードライブ大阪、ゲストはホリエということで、グッと大人の雰囲気に。もちろんチケットは即完売。例年よりも早い梅雨入りであいにくの雨模様だったが、会場には少しオシャレした観客が着席し、ドリンクを楽しみながら高揚を抑えきれない様子で開演の時を待っていた。

ロビーではイラストレーター・Urata Spancallによる新作のバンダナと料理部オリジナルの「スパイシーホットソース」、伊地知やホリエのグッズが販売されていた。「スパイシーホットソース」は、今年の4月末、京都・烏丸御池にあるスパニッシュ&メキシカンバル「コミーダ ラティーナ コスタ」に伊地知が自ら訪れて調合したもの。前回のカレー粉が好評だったことを受けて作ったそう。辛いものが苦手な金澤の「辛くないホットソースを作ってほしい」という要望に応えた形。料理にはどのように使われるのだろうか。早速購入するファンの姿も多く見られた。

ブルーに染まった重厚なステージにはグランドピアノとドラムセットが、そして長机の上にはIH調理なべ「HOT DISH cocotte(ココット)」が2台と「ポット型コンベクションオーブン」1台が鎮座する。

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定刻になり、FM802 DJの加藤真樹子がビストロ風衣装でステージに登場。「音楽と美味しいものが好きな皆さんこんばんは!」と笑顔で挨拶し、改めてイベントの主旨を説明、そしてお待ちかね、部長の伊地知と副部長の金澤を呼び込んだ。大歓声と拍手で迎えられた2人はROCK&DISH特製エプロンを着用し、首には新色のグリーンのバンダナを巻いた出で立ちで登場。伊地知は「2回目にしてビルボードライブ大阪って、802すげえなと思いました」と驚いた様子。ラグジュアリーな空間にはピリリと締まった空気がある。金澤が「前回とだいぶ雰囲気変わりましたよね。お客さんがすごく近い」と言う通り、最前列との距離は1mもないほど。かぶりつきで2人の料理の様子を見ることができる。こんな機会はなかなかないだろう。

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ここで本日の調理に使用する「HOT DISH cocotte」と「ポット型コンベクションオーブン」の紹介タイム。「HOT DISH cocotte」は、前回の調理で使用したIHホットプレート「HOT DISH」が深鍋になったタイプの調理なべで、「ポット型コンベクションオーブン」は油を使わずに揚げ物ができる調理器。どちらも今月発売されたばかりの、エレコムの新商品だ。金澤と伊地知はそれぞれ手に取り、ネット通販番組さながらの笑顔で客席にアピールしていた。

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続いてゲストのホリエアツシが呼び込まれる。「ご馳走になります!」と笑顔で登場したホリエ。アジカンは昨年結成25周年、ストレイテナーは今年で結成25周年、フジファブリックは来年デビュー20周年を迎える。当然ながら付き合いも長く、ホリエは「アジカンとストレイテナーは幼馴染みたいなもんなんです。フジファブリックはハトコみたいなもん」と表現。金澤が「(ストレイテナーが)ちょっと先輩」と言うとホリエが「(先輩風)吹かしていくわ~!(笑)」と笑い、仲の良さが目に見えて伝わるトークを展開。会場の空気もほぐれてゆく。ちなみにホリエは2人の調理姿を生で見るのも、手料理を食べるのも初めてだそう。

やがてホリエがチリンチリンと鈴を鳴らし「オーダー! 夏バテ予防! 元気が出るレシピ、お願いします!」と高らかに叫び、前半のDISHパートへ。本格的な夏が来る前にスタミナをつけたいというオーダーだが、実はホリエは油っぽいものと味が濃いものが苦手。「さっぱりしながらもがっつり」という難しいオーダーについて金澤は「ホリエくんの好みにどう対応するかで難しいところでした」とコメントしつつも、伊地知は「任しとけ!」と気合たっぷり。いよいよ調理タイムがスタートした。

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伊地知は「ローストポーク パイナップルソース」、
金澤は「ライムとミントの豆スープ」



材料が運び込まれ、ホリエと加藤はステージ上手の実況席に移動して2人の様子を見守る。金澤のメニューは「ライムとミントの豆スープ」。まずはニンニクと玉ねぎをざっくり粗みじん切りにカット。「この辺一帯の方は涙が出るかも」と注意するほどの距離の近さ。和気藹々とした雰囲気の中、サクサクと手際良く調理を進めていく。

一方、カメラを持って金澤の手元を映し出すなど、余裕綽々の伊地知。メニューは「ローストポーク パイナップルソース」。豚肩ロースブロック、パイナップル、バター、ケチャップ、ウスターソースというシンプルな材料で、最初の工程は塩と砂糖を振って一晩寝かせた豚肩ロースブロックを「ポット型コンベクションオーブン」に入れて25分待つのみ。「やることがなくなりました」との言葉に、金澤は「マジで?ほんと?」と驚く。

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しかも25分が経過する前に、事前に調理済の豚肉が運び込まれる。ビジョンに映された豚肉はこんがりキツネ色、皮がパリパリで美味しそう! スタミナポイントとしては「やはり豚肉。ビタミンEも豊富で腹持ちが良い」とコメント。ホリエは「豚肉大好き」と喜ぶ。豚肉を裏返して反対側を10分オーブンしている間に、ソース作りを進行。さっぱりさせるため、生のパイナップルをカットして炒めていく。一見フライパンかと思われた家電、実は「HOT DISH cocotte」の下の部分。取り外せばIHヒーターになると説明して、ソースの材料を次々投入していく様子に、ホリエも加藤も興味津々だった。

金澤はニンニクと玉ねぎをオリーブオイルで炒めた後、サイの目状のトマトとジャガイモも一緒に炒めて鮮やかな彩りに。「夏は食欲がなくなるので、食欲を出す時にライムや酸味を入れる。ミントを入れるとメキシコとか暑い国の人が飲むスープに近くなるかな。(体内から)熱を出す」と料理の知識を語る姿はさすが。ホリエも「ためになりますね~!」と感心する。水、レンズ豆、そら豆を投入したら、後はとろみがつくまで煮込むだけ。金澤はウンチクを披露しつつも「家の棚の奥に乾燥のレンズ豆が眠ってると思うので、それを使ってください」と独特のボケで笑いを起こしていた。

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そうこうしているうちに伊地知のパイナップルソースが完成。豚肉の仕上がりを待つ。「ポット型コンベクションオーブン」は音も静かで使い勝手が良さそうだ。伊地知は「下に油が溜まるようになってて、ラーメンの仕上げとか炒め物にすっげえ使えるんですよ」と使い方を紹介。さらに「中で対流を発生させるんですね。上にオーブンの熱源があってファンで回してるから焦げないんですよ。自動でオーブンを調整してくれて、外がパリッ、中がじゅわ~なんです。皮なしの鶏むね肉を柔らかくするのはめちゃくちゃ難しいけど、これを使えば15分ぐらいでできちゃう」と、メーカー担当者顔負けの滑らかな説明で会場の人々に興味を抱かせる。金澤も「買います!」と元気よく即答していた。

調理スタートから約35分。2人は仕上げの段階へ。ライムをカットして塩コショウで味を整えた金澤は「"食べるスープ"のようにパスタ皿に入れてもりもり食べてもOK」と述べ、「ホットソースを最後に入れると一気に味変する。お子様も全然いけちゃう感じ」とホットソースをアピール。伊地知もできたての豚肉をカットして盛り付けを行った。

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こうして「ローストポーク パイナップルソース」と「ライムとミントの豆スープ」が完成! 2人のレシピはエレコムのHPで公開中。ぜひ自宅でも作ってみてほしい。



料理完成! いざ実食。


ここではシークレットゲストとして「FM802 DJきっての食レポの達人」こと、中島ヒロトが登場。「アツシ(普段はホリエくんと呼んでいるそう)と一緒に食レポできるの楽しみですね」と笑顔。中島はビール、ホリエは白ワインを手に、ビルボードの雰囲気に合わせて"ちょっとええ声"で中島が乾杯の音頭を取ると、客席にも続々と料理がサーブされ始めた。

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ホリエと中島の元に運ばれた出来立ての料理。まずはホリエがローストポークにナイフを入れる。「すごい柔らかい! ナイフがスッと入ります」と感動し、一口ぱくり。「ん! やわらか! そして一か八かのパイナップル、バッチリです!」と絶賛。調理時、パイナップルの甘みによってソースの味が左右されると話していたのだが、ちょうど良い甘さだったようだ。ホリエの食レポを「良かった」と褒め、続いて中島が食レポ。「めちゃめちゃ美味しい。お肉柔らかいんだけどすごい味がしっかりしてて。濃厚かつさっぱり。絶妙なバランスは繊細な伊地知くんの技じゃない?」と笑いも交えながら長年のキャリアに裏打ちされたコメントで評価した。

続いて金澤のスープを実食。ホリエは「(味が)想像つかない」と言いつつ、口に入れた瞬間目を見開いて「面白い! 食べたことない感じ。最後にミントの香りが残る。口から鼻に抜ける感じが面白いです」とコメント。中島も「すごい爽やかですよ。ホリエくんがオーダーした元気が出る部分は、素材のビタミン云々があるんだろうけど、味がさっぱりスッと入ってくる感じ。今日4時間ラジオやってここに来たんですけど、あっという間に疲れが取れた。食欲ない時も食べやすいし良いんじゃないか」とこちらも絶賛。ホリエはソースを足して味変をし「んー! 面白い! エスニックな感じ」と興奮。中島も「酸味がすごく良い。何でも合いそう」と気に入った様子。ホリエは「どっちも美味しいし、塩加減もバッチリです。100点超えです!」と大満足。2人ともぺろりと完食していた。

客席にも料理が行き渡り、「出来立てを食べてください!」との伊地知の言葉で実食スタート。ほっぺたを落としそうになりながら幸せそうに食べる様子を見守る伊地知と金澤も、顔がほころんでいた。

料理は本当に美味しく(ごちそうさまでした!)、ローストポークはパインの甘さが最初にガツンときた後、柔らかな豚肉の味わいが口内に広がった。スープはライムをたっぷり絞るのが最高にフルーティ。爽やかな多幸感に包まれた。中にはホットソースを使って味変する人も。ワンプレートながらボリュームたっぷりで、お腹いっぱいになった。

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食べ終えたホリエは初参加の感想を聞かれ「ずっと僕でよくないですか。幸せしかない」と満面の笑みを浮かべる。しかし「歌えるお友達紹介してください」とズバリ伊地知に言われていた。

ここでDISHパートは終了し、メンバーは一旦ステージを去る。ROCKパートが始まるまではしばし食事を楽しむ。エレコムのアイテムが当たる超豪華な抽選会も行われ、客席の興奮はさらに高まりを見せていた。



それぞれのバンドの楽曲をスペシャルセッションで演奏


後半はROCKパート。場内の照明は暗めに落とされムード満点。再びステージに登場した伊地知、金澤、ホリエの3人は「うわっ、すげえ良い雰囲気」「急にムーディーになった」と笑顔。「ご飯食べてワイン飲んで歌えるんすか?」と金澤に聞かれたホリエは「ご飯を食べてすぐ歌ったことないので、今日一か八か」と回答。良い感じにふんわりとリラックスした雰囲気で、ライブをスタートした。

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1曲目はフジファブリックの『ブルー』。金澤の優しいピアノの音と伊地知の包み込むようなビート、ホリエの奏でるアコギ、美しく重なる歌声にただ酔いしれる。金澤のピアノソロを優しく見つめる伊地知とホリエの眼差しが3人のリスペクトと信頼関係を思わせて、とても素敵だった。漂う空気は品がありながらもあたたかく、「いや~......良いね」と言い合う3人。「食べてちょっとお酒飲んで、今の感じが自分的には気持ち良いです」とホリエもニコニコ。「カトラリーの音とか聞こえるのいいですね(金澤)」「日本のライブの空間って結構かしこまってるというか、ぎゅっとステージと向き合う感じがあるけど、他の国に行くと飲みながら食べながらライブ見れたりする(ホリエ)」と、普段から音楽と食事が楽しめるビルボードだからこその空間の魅力を、まったり、しみじみと噛みしめる。

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続いてはASIAN KUNG-FU GENERATIONの『無限グライダー』を演奏。「ホリエくんと言えばこの曲」と伊地知が言ったように、ホリエはアジカン10周年のオールスター感謝祭や『JAPAN JAM』を始めとするステージで、度々この曲を一緒に演奏している。ホリエの伸びやかなボーカルとアジカン節の融合。先ほどまで美味しい料理を作っていたのと同じ手で奏でられる美しい旋律。何と贅沢な時間だろう。観客はゆらゆら体を揺らし、この素晴らしい時間を享受する。伊地知は「ホリエくんの『無限グライダー』は何回一緒にやっても良いよね。きっと曲に声が合ってるんだよね」と微笑む。ホリエは「今日ゴッチから昼間LINEがきて。<無限? 揺らいだ>の輪唱を潔にやらせてって。言うの忘れてた(笑)」と思わぬ告白。伊地知は「あぶな~(笑)。終わってからで良かった~」と安堵の表情を浮かべていた。

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ラストソングはストレイテナーの『彩雲』。しっとりとしたホリエの歌声が存分に響き渡り、3人のアンサンブルに身を委ねる。ただただシンプルに気持ち良い。極上の時間はあっという間。惜しみない拍手が贈られてROCKパートは終わりを迎えた。

本日の感想を求められた伊地知は「本当に良い1日でした。最初お客さんが多いので緊張したんですけど、何とかなりました。やっぱホリエアツシすごいですね!」とホリエを賞賛。金澤は「意外とたっぷりやったと思っても、もう終わっちゃうんですよね。アジカンとテナーとフジファブリックが一緒にやるってなかなかないので、とても貴重で楽しかったです」と喜ぶ。ホリエは「良い曲だからすごく緊張したんですけど、最後の『彩雲』での裏の鍵盤が......心地良かったです」と非常に満足そうな笑顔で微笑んでいた。

アジカンは7月5日(水)に『サーフ ブンガク カマクラ』完全版をリリース、10月にはBIGCATとなんばHatchでライブを行う。また伊地知が所属するPHONO TONESは、6月14日(水)にシングル『GOLD』を、7月19日(水)にアルバム『SHARE』をリリース。フジファブリックは6月14日(水)に新曲『Particle Dreams』をリリース。7月には大阪服部野外音楽堂でライブを行う。ストレイテナーは現在ツアー中で、10月15日(日)には25周年記念の日本武道館公演を控えている。それぞれ多忙な中でホッとするひとときが持てた今回のイベント。

加藤は「お忙しい3人の素の顔が見れた1日でした」、中島は「FM802に30年以上いますけど、1番楽な仕事でした(笑)」とそれぞれ嬉しそうに感想を述べ、最後は客席をバックに記念撮影。初回とはまた異なる良さがあった第2回目の「ROCK&DISH」は最高の余韻を残して終了した。まだ次回は未定らしいが、早く開催してほしい。そう願わずにはいられないほど、関わる全員がハッピーになれるイベントだ。

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Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生




(2023年6月15日更新)


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Set List

『FM802 ROCK & DISH vol.2 Supported by ELECOM』
2023.6.6 Tue at ビルボードライブ大阪

1. ブルー(フジファブリック)
2. 無限グライダー(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
3. 彩雲(ストレイテナー)