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梅田サイファーが作った“歩道橋の伝説”、
ワンマンライブで振り帰った原点
「俺たちはどこへ行ってもスタートの場所に戻ってくる」

ヒップホップグループの梅田サイファーが4月2日、ワンマンライブ『「RAPNAVIO」RELEASE ONE MAN LIVE』を大阪・服部緑地公園野外音楽堂で開催した。

同イベントは、3月にメジャーデビューアルバム『RAPNAVIO』をリリースしたことを記念したもの。2007年5月より毎週土曜日、大阪・梅田駅につながる歩道橋でサイファー(輪になって即興でラップをするセッション)を繰り広げていた、梅田サイファーの面々。路上から始まった彼らの物語はメジャーという舞台へと移った。

そんな梅田サイファーはこの日、R-指定、KOPERU、KennyDoes a.k.a.ドイケン、KZ、peko、KBD a.k.a.古武道、DJ SPi-K、ILL SWAG GAGA、コーラ、Cosaqu、テークエム、teppei、HATCHの13人が登場した。

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2021年は無観客ライブ「ここに立ったときは誰もいなかった」



クールな印象があるpekoが吠えるように大きな声を出しながらステージにあらわれる。その気合十分な姿は、梅田サイファー全員の思いそのもののようだった。

1曲目は、『RAPNAVIO』のオープニングナンバー「BIG BANG」。「きっと何か起きる 膨らんだ期待」という歌い出しはまさに、これから始まるパーティへのワクワクをいだかせるバース。「俺は俺のために生き 俺は俺のために死ぬ」と首元をかっきるようなポーズをする、KZの仕草にも力がはいっている。全員とにかく、気持ちの昂りが抑えきれない。

「KING(RANPNAVIOver)」ではILL SWAG GAGAの熱気あふれるバースでグループ全体のギアが加速。メジャーデビューの狼煙をあげたシングル曲「かまへん」では、コーラの「ダッシュ&ダッシュ&ダッシュ」のバースでテークエムがステージを駆け回って笑わせ、GAGAを押しのけるように「だまれ!」と言ってDJブースからステージへ"降臨"するCosaquには黄色い声援が注がれる。KOPERUの"決意表明的"なバース「完全無敵絶対王者 目指してまんねん それでかまへん」で観客の手が一気に上がる。

最初のMCではR-指定が「俺らのライブって歓声があって初めて正解の形なんやなって思いました。こんなに俺らのライブって楽しいんやなって」、KZは「最初にここに立ったときは誰もいなかったんスよ。コロナに襲われて、無観客で『それでもやろう』ってことで。なんとか潜り抜けましたね、お互い」と、2021年にライブ配信した無観客ライブを振り返って感無量の表情を浮かべた。

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R-指定「夜中の2時に目が覚めて、気づいたら梅田の歩道橋にいた」


「PARTY」では吉本新喜劇ばりにメンバーがステージを転げる"大阪ノリ"があり、「GOD'S SON」はメンバー、観客が一緒に飛び跳ねる。R-指定の「まだまだ止まらんぞ、俺らの進化を見たいやつはカスタムしてついてこいや」の言葉から火蓋が切って落とされた「トラボルタカスタム」でもすさまじい一体感が会場を覆う。それでもKOPERUは「もっとやれるだろう」という手振りで煽る。

KZの「俺のラップが一番イケてると思ってる人」と目を閉じて挙手をうながし、KOPERU以外の全員が手を上げてからスタートした「アマタノオロチ」は、どこへ行ってもアタマを張れるような最強かつ個性的なラッパーが集まった梅田サイファーのあり方をあらためて象徴。テークエムが「俺たちは今、止まらない状態......どころか、止めらんない状態になってます」と言うように梅田サイファーの快進撃が感じられる「トメラレランナイ」、熱気あふれるパフォーマンスで魅了する「さめないうちに」を立て続けに披露。

そのあとのMCではR-指定が、前日に主催したイベント『The Cypher 2023 Revenge』を思い返して「(イベントが)終わってから疲れて、9時くらいにはホテルで寝て。夜中の2時くらいに目が覚めて、アルバムを予習しようと思って梅田を歩きながら聞いていたら、マジで歩道橋の上にいて。4時くらいにひとりで歩道橋の上でアルバムを聴いて感慨に浸ってしまった。めっちゃエモいなって」としみじみと口にすると、メンバーから「でもそれ、エモいっていうよりコワい」とツッコミを入れられた。そうやって"ディス"が入るのも、さすがサイファー集団。

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「NO.1 PLAYER」で観客感涙、KZも「目汗がすごかった」


R-指定が「エモいを通り越してコワいって言われるけど、でも気づいたら戻ってる。昨日、歩道橋に行ったり、(クラブの)NOONにたどり着いたり。大きくなった自分らの曲を聴くのって感慨深い。サイファーって円になってやるけど、俺たちはどこへ行っても円を描くように、スタートの場所に戻ってくるんです」と素直な気持ちを話して歌い上げた「環状線」、「生きてりゃなんとかなんだよ っていうか必死になんとかすんだよ」と梅田サイファーの生き様を歌ったような「Show Must Go On」のあと、メンバー全員がナンバーワンのプレイヤーであることを表現した「NO.1 PLAYER」では「初めて橋の上 出会って12年」というバースで涙を流す観客の姿も。KZも「目汗がすごかった」と目を指でサッとこすった。

感傷的な雰囲気から、終盤は梅田サイファーらしくフィーバーするライブ展開に。ヒップホップシーンのアンセム曲「マジでハイ」ではKOPERUの「非合法的な飛び方も心得よ」のバースに、R-指定がボーカルを重ねる(R-指定が所属するCreepy Nutsの持ち曲「合法的トビ方ノススメ」に掛かっている)。野外の会場をクラブ化させる「梅田ナイトフィーバー'19」ではメンバー、観客が思いおもいのスタイルで踊り尽くし、「KILLING TIME」のリリックパート「天使と悪魔がぶつかりげいこ」ではGAGAとCosaquが相撲のぶつかり稽古を再現。遊び心をふんだんに盛り込んで本編を終えたほか、前日の『The Cypher 2023 Revenge』から2日間ぶっ通しで会場後方でライブペイントをひらいていたHATCHもステージに招かれ、描き上げた作品を紹介した。

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KICK THE CAN CREWのLITTLEが登場、梅田サイファーも「帰りたくない」


アンコールでは、KZが「今日の夜、ぐっすり寝たいっスよね。この週末、遊びきったって言って寝たいっスよね」と尋ねてタオルを振り回す曲「アチィ」、服部緑地公演野外音楽堂にベストマッチな「服部半蔵」を投下。さらにラストには、なんとKICK THE CAN CREWのLITTLEが呼び出されて会場にどよめきが起こった。

LITTLEは前日の『The Cypher 2023 Revenge』でKICK THE CAN CREWとして出演。そのとき梅田サイファーのライブに客演し、あまりの楽しさから「次の梅田サイファーのライブにも必ず行くから」と"予告"していた。ただ、それがまさかこの日だったとは。「梅田サイファーのリリースパーティだから『悪いよ』って言ってたんだけど、気づいたら来てた。少しの時間、お邪魔させてもらって良いですか」とリリース前のコラボ曲「コジマサイファー」で湧かせた。

「夢みたい」と満面の笑顔を浮かべた梅田サイファー。KZは「帰りたくない空気がやばい」と言えば、R-指定も「でもサイファーの終わりってこんな感じじゃなかった? 終わりそうなとき誰かが(タバコを)ラスト1本だけとか言ったりして」と名残惜しさを語った。

6月には愛知、福岡、大阪、東京でライブツアー『"RAPNABIO"RELEASE ONE MAN TOUR』を実施する梅田サイファー。KZは「各自、それぞれの持ち場で最善を尽くしてまた戻ってきます。さよならとか、バイバイとか寂しい言葉じゃなくて、この言葉で別れたいと思います」と「いつかまた」で締め括った。

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Text by 田辺ユウキ
Photo by umihayato
Retouched by Hiroya Brian Nakano




(2023年5月25日更新)


Check

Set List

2023.4.2 Sun at 服部緑地野外音楽堂
「NEW ALBUM “RAPNAVIO” RELEASE ONE MAN LIVE」

01. BIG BANG
02. KING(RAPNAVIOver)
03. かまへん
04. PARTY
05. GOD’S SON
06. トラボルタカスタム
07. アマタノオロチ
08. トメラレランナイ
09. さめないうちに
10. 環状線
11. Show Must Go On
12. NO.1 PLAYER
13. マジでハイ
14. 梅田ナイトフィーバー’19
15. KILLING TIME
EN01. 服部半蔵(REMIX)
EN02.いつかまた

Live

「NEW ALBUM “RAPNAVIO” RELEASE ONE MAN LIVE」

【愛知公演】
▼6月2日(金) ボトムライン
【福岡公演】
▼6月8日(木) DRUM Be-1

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:240-223
▼6月10日(土) 18:00
なんばHatch
1階スタンディング-5500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
2階指定席-6000円(ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
※開催時の状況に応じた新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインに則って公演の実施をいたします。
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)でのみ販売。1人2枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

【東京公演】
▼6月11日(日) Zepp Shinjuku(TOKYO)


『POP YOURS 2023』
Sold out!!
▼5月27日(土) 11:00
幕張メッセ 国際展示場 9~11ホール
日券 一般-12000円
[出演]BAD HOP/DJ RYOW&FRIENDS/Elle Teresa/guca owl/IO/LEX/MFS/MonyHorse/OMSB/OZworld/PUNPEE & BIM/Red Eye/SEEDA/Skaai/梅田サイファー/Watson/Yo-Sea/Ashley/Choppa Capone/STARKIDS/Yvng Patra
※未就学児童は入場不可。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインについて:詳しくはこちらをご参照下さい。
→https://www.acpc.or.jp/activity/newcoronavirus/guidelines.php
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。発券は5/20(土)10:00となります。
[問]スマッシュ■03-3444-6751

『SAGANTOSU presents “SAGAN Fes.2023”』
チケット発売中 Pコード:241-313
▼6月18日(日) 11:30
吉野ヶ里歴史公園 弥生の大野 特設ステージ
1DAYチケット 大人-6000円
1DAYチケット 中高生-4000円
1DAYチケット 小学生-2000円
[出演]DOZAN11/MINMI/RIP SLYME/梅田サイファー/Zeebra/GADORO/ET-KING/SPICY CHOCOLATE/MOOMIN/CHOZEN LEE/RUEED/REILI/CAPTAIN-C 20XX/瑛人/BES/RAY/他
※雨天決行(荒天の場合は中止)。途中終了の場合、払戻しは致しません。
※ご購入、ご来場前にサガン鳥栖HPにて、注意事項を必ずご確認下さい。
※2DAYSチケットはPコード:780-684にて、6/17(土) 11:59まで販売。2DAYSチケットはお一人様のみ有効です。複数の方でのご利用はできません。
※出演アーティストは変更になる場合がございます。また、出演アーティストのキャンセル・変更による払戻は致しません。
[問]サガン・ドリームス■0942-81-5290

『LuckyFes 2023』
6月7日(水)一般発売 Pコード:242-876
▼7月15日(土) 11:00
国営ひたち海浜公園
大人1日券-12000円
中高生1日券-6000円(公演当日要身分証明書)
[出演]ASKA/梅田サイファー/Awich/AFJB/KANA-BOON/岸谷香/キュウソネコカミ/Creepy Nuts/ゲスの極み乙女/C&K/JP THE WAVY/ジャパニーズマゲニーズ/SOIL&“PIMP”SESSIONS/ネクライトーキー/Hakubi/Maki/moon drop/yama/yonawo/礼賛/Lucky Kilimanjaro/ROTTENGRAFFTY/燐舞曲/他
※中学生以上はチケット必要。小学生以下は保護者同伴に限り保護者1名につき2名まで無料での入場可能。出演者は予定のため変更の可能性あり。雨天決行。他に2日通し券(Pコード:780-716)、3日通し券(Pコード:780-717)あり。公演内容に関する詳細はevent@lucky-ibaraki.comまで。
※発売初日は、昼12:00より販売。チケットは、インターネットでのみ販売。 店頭での販売はなし。1人7枚まで。
※チケットは、インターネットでのみ販売。 店頭での販売はなし。1人7枚まで。

『SUMMER SONIC 2023』
▼8月20日(日) 11:30
舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
[出演]BLUR/FALL OUT BOY/SEKAI NO OWARI/TWO DOOR CINEMA CLUB/ケツメイシ/PALE WAVES/WANIMA/JXDN/YOASOBI/NIALL HORAN/HONNE/GABRIELS/ENHYPEN/Perfume/SKY-HI/BE:FIRST [オープニングアクト]MAZZEL [出演]THUNDERCAT/WET LEG/Cornelius/HOLLY HUMBERSTONE/ずっと真夜中でいいのに。/東京スカパラダイスオーケストラ/張惠妹 aMEI/岡崎体育 [オープニングアクト]chilldspot [出演]落日飛車 SUNSET ROLLERCOASTER/Kroi/UMI/キタニタツヤ/礼賛/Tele/梅田サイファー/他
※大阪府青少年健全育成条例により、16歳未満の方は午後7時(保護者が同伴する場合その他規則で定める場合にあっては、午後10時)から翌日の午前5時まで、16歳以上18歳未満の方は午後10時から翌日の午前5時まで立ち入り禁止となります。サマソニ大阪会場にご来場の方は速やかにご自宅及び宿泊施設へお戻りください。
※未就学児は保護者1名につき1名まで無料(入場エリアの制限あり)、プラチナチケットは未就学児入場不可。小学生以上チケット必要。出演者は予定のため変更の可能性あり。出演者変更に伴う払戻し不可。大阪公演と出演者が異なる可能性あり。雨天決行。各会場入場制限実施の可能性あり。この公演は会場内にカメラが設置されます。会場内の映像・写真が公開されることがあります。オフィシャルHP(http://www.summersonic.com)内の「注意事項」を必ず確認、了承の上、チケットをご購入下さい。新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインはhttps://www.creativeman.co.jp/covid-19-guidelines/よりご確認ください。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

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