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大雨の野音で魅せた音楽の底力
歴史あるイベントは次の世代へ
『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』レポート

5月7日(日)、大阪城音楽堂で毎年恒例の『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』が開催された。出演者はOmoinotake、Cody・Lee(李)、Tele、羊文学、フレデリック、Lucky Kilimanjaro、WurtS。そしてオープニングアクトにはRe:nameが登場。GW最終日、天気はあいにくの雨(どころか大雨)。冷たい春の雨に降られはしたが、全アーティストの血の通ったライブ、集まったオーディエンスの音楽への想いが最高の空間を作り出した。そんな記憶に残る1日の様子をたっぷりレポートする。

前日の夕方から降り続いた雨は、朝になっても止まなかった。天気予報は終日降水確率100%。オーディエンスも出演者もスタッフも、関わる全ての人が朝起きた瞬間に覚悟を決めたに違いない。チケットソールドアウトとはいえ、雨だと多少は客足も減るのかな......?と一瞬頭をかすめた心配は全くの杞憂に終わった。ミュージックラバーたちは準備万端で大阪城音楽堂に大集合。外のテントではグッズ購入のための長蛇の列ができ、場内では後方の芝生席も人で埋め尽くされ、色とりどりのレイングッズやポリ袋を用意してしっかり身を守り、開演の時を待っていた。雨に打たれるのは本当に過酷だが、会場内にはフードの出店もあり、冷えた体を温めることができた。

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開場中にオープニングアクトとして登場したのは、高木一成(Vo.)、Soma(Gt.)、ヤマケン(Dr.)からなる、大阪北摂発のRe:name。サポートベースを迎えた新体制で、気合いいっぱいにステージに現れた。高木が「Rockin' Radio! 楽しもうぜー! Re:name始めます!」と一声叫び、勢いよく「SEE THRU」からスタート! 洋楽に影響を受けたキャッチーなメロディ、疾走感のある歌声とサウンドに牽引されて、早速オーディエンスの手が挙がり、雨などものともしない様子で盛り上げてゆく。続々と入場する人たちも楽しそうに体を揺らす。

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あっという間に席も埋まり、会場全体を良い空気感で満たしていった。「Let Me」では高木が「声出しが解禁されたようなので、一緒に歌ってもらってもいいですか」と誘い、サビで<オッオッオオッオ>とシンガロング。「せっかく来たんやから最高の景色にしようぜ」と雨に溶けそうな「Vertigo」を経て、ラストは今年3月度の邦楽ヘビーローテーションになった「prettyfine :)」を堂々と披露した。逞しく、はつらつとしたステージで会場をあたためたRe:name。近所に住む同級生の3人で結成されたバンドが、今大きく飛躍しようとしている。これからの活躍を見守りたい。


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FM802 DJの田中麻希による影アナののち、ジングルが流れ、同じくFM802 DJの板東さえかと樋口大喜がテンション高く登場。Re:nameについては「最高でしたね! 新体制のライブまだ3回目なんですって(樋口)」「仕上がってもうてたで(板東)」「進化の途中を目の当たりにしたと思います(樋口)」と感想を述べ、「『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』スタートです!!」と2人の元気な開会宣言から、いよいよ本編がスタートした。



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トップバッターを担ったのは谷口喜多朗のソロプロジェクト・Tele。サポートメンバーの力毅(Gt./CodyㆍLee(李))、森夏彦(Ba./THE 2、Weekend Brothers)、奥野大樹(Key.)、諸石和馬(Dr./Weekend Brothers)が登場して軽くセッションを始めると谷口が勢いよく走り込み、雨に濡れたステージをスーッと滑る。

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「ロックスター」から軽やかなサウンドを響かせて楽しい雰囲気で満たしていったのだが、「もうここには開き直った人しかいないって聞いてるんですけど本当ですか?」との谷口の一言が空気を変えた。客席は一気に雄叫びを上げてテンションアップ! その様子にステージも高まり、「私小説」では「雨だからやめた方がいいんじゃないかと深く深く考えた結果、あなたたちが濡れようが、もう知ったこっちゃないということに決まりました! ごめんな大阪! 1.2.3.4!」との潔い掛け声で客席は思い切りジャンプ! 満員の野音を踊らせてグッドバイブスを作り上げる。それぞれのソロパートで魅了した「バースデイ」、昨年6月度のヘビーローテーション曲「comedy」を続けて披露して高揚感を高め、「花瓶」では「一緒に濡れていきましょう大阪!」とステージの端まで行って共に雨を浴び「雨を味方に付けます、Teleです!」と放つ。あまりの雨の強さに思わず笑みを浮かべて空を煽る場面も。雨の音が浮遊感を高めた「鯨の子」に続き最後を飾ったのは、4月にリリースされた新曲「ことほぎ」。全員巻き込み型の素晴らしいライブで会場の結束を高めたTeleだった。


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続いてはOmoinotake。藤井怜央(Vo.Key.)、福島智朗(Ba.)、冨田洋之進(Dr.)に加え、柳橋玲奈(Sax.)、ぬましょう(Per.)を迎えた5人編成で登場した。総立ちになった客席からは期待値の高さを感じる。SEに使ったのはメジャーデビュー曲の「EVERBLUE」。インストでじわじわと雰囲気を高めてゆき、そこから一気に「EVERBLUE」をバンドサウンドで爆発させる。「踊るぞ大阪ー!」という藤井の一声を合図にノリノリになる客席。ダイナミックなグルーヴで一体感を作り上げる。思わず頬が緩むほどのグッドミュージック。藤井の突き抜けるボーカルには心を開くかせる力がある。

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「トロイメライ」では、藤井がハンドマイクでステージ前方に出て歌う。「お客さんびしょびしょなんで、フェアじゃないんで僕も濡れましたよ。ここからダンスナンバー用意してますんで、踊ってあったまって最高のGWにしましょう!」と叫び、ブルージーな「心音」、雨ソング「空蝉」を披露。哀愁を誘うサックスや安定感のあるリズム隊、メロディと歌声が全身を満たす。「マジで来てくれてありがとう!」と何度も感謝を述べ「皆さん1人ひとりの心の奥底に刺さるようにあと3曲」と言って後半戦へ。

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ライブの組み立て方が素晴らしく、前半からの流れで琴線が触れた筆者は「オーダーメイド」で放たれる癒しの力で涙腺が緩んでしまった。残り2曲はダンスナンバーを投下。「雨の下音楽を響かせようぜEverybody!」と藤井が叫び、「By My Side」で加速! サビではクラップ&大合唱。素晴らしい上昇感と多幸感に包まれる。さらに「雨に負けるなー!」と客席を元気づけ、最後は「トニカ」を披露。鮮やかな一体感に巻き込まれる。何て綺麗な空間を作り出すバンドなんだろう。この世に生を受けたことに感謝したくなるほど心が動かされた35分だった。



codelee230511-1.jpgSEが流れ、尾崎リノ(Vo.Ag.)、先ほどTeleのライブにも出演していた力毅(Gt.Cho.)、ニシマケイ(Ba.Cho.)、原汰輝(Dr.Cho.)がステージに登場。最後に高橋響(Vo.Gt.)が現れ、メンバー1人ひとりと握手して、「drizzle」からしっとりとライブスタート。雨に合わせた選曲で、恋人との日常を歌ったリリックを高橋と尾崎のツインボーカルで刻んでゆく。曲の後半では、力毅の空気を揺るがす歪みギターで没入空間を作り出し、すさまじい余韻を耳に残す。と思えば一転、軽やかに「おどる ひかり」を披露。雨上がりの風景も描かれる切ない楽曲で魅了する。

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MCでは高橋が「前回、大阪城野音で夏のイベントに出た時に熱中症になりまして、大阪城野音がすごく苦手なんですけど、今日は天気にも恵まれて大変喜ばしい限りです。雨の日のCodyㆍLee(李)は強いのでよろしくお願いします」と野音の洗礼を受けていたことを明かす。エフェクターをきかせた3本のギターのアンサンブルとツインボーカルのハーモニーの妙をまざまざと見せつけた「悶々」「我愛你」。高橋、力毅、ニシマは雨を浴びてテクニカルに楽器をかき鳴らす。2度目のMCでは高橋が「CodyㆍLee(李)の在り方として、皆さんの人生そのものを変える力は僕は持っていないと思う。嫌なことがあって、向かう先と反対方向の電車に乗った時に寄り添える音楽を目指しております。今後とも健康第一で、没入しすぎず覚えていただけると」と語り、「いつが最後のライブになるか正直わからないのは本当にあることだと思うので、ツアーは決まってますけど、今日が最後のライブだと思って臨もうと考えてました」と想いを述べ、「LOVE SONG」、「初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!」を連投。一途な愛情をぶつけてラストの「When I was cityboy」へとつなぎ、これまでにない激しさでエネルギーを爆発させた。その迫力は儚さを孕みつつも強烈な印象を残し、CodyㆍLee(李)という存在をそれぞれの心に刻みつけた。



当日、熊木幸丸(Vo.)の体調不良で出演キャンセルになったLucky Kilimanjaro(以下、ラッキリ)。雨の中踊れることを楽しみにしていたオーディエンスも多いだけに残念ではあったが、この日演奏するはずだったセットリストのミックストラックを流すというハッピーな知らせが、板東と樋口によって告げられた。『エモめの夏』~『Burning Friday Night』~『350ml Galaxy』~『HOUSE』~『Heat』~『またね』までの全6曲。短い時間ではあったが、ラッキリのライブと同様、DJスタイルでつながれるトラックにオーディエンスは歓喜し、本人不在でも存分にダンスタイムを楽しんだ。そんな様子をスタッフが撮影してラッキリメンバーに送ったとのことで、SNSではメンバーの喜びの声も投稿されていた。CodyㆍLee(李)の力毅がサウンドチェックでラッキリの『スーパースター』のフレーズを演奏したり、この後登場したフレデリックの三原健司(Vo.Gt.)がラッキリのコール&レスポンスをしたり、出演できない悔しさが理解できるからこそのバンド仲間の粋な計らいも感じることができた。アーティストやスタッフの心遣いと、ファンの愛情に満ちた幸せな時間だった。



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「踊ってない野音は知らへんなあ(板東)」「踊ってない野音は気に入りませんねえ(樋口)」とのフリからバトンを渡されたのはフレデリック。サウンドチェックでは三原健司が客席に「Lucky Kilimanjaroの発音って何が正解?大阪城→野音と一緒やろ?」と投げかける。すると「違う違う、健司くんは普段、Lucky↓Kilimanjaro↑って言ってる」と高橋武(Dr.)に暴露される。「Lucky Kilimanjaroのためにもめちゃめちゃ踊らして帰りますんで、今日はよろしくお願いします!」と、ラッキリの想いも背負ってライブをすることを誓う。

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この日の出演者の中では1番先輩バンドの彼ら。SEが流れて赤頭隆児(Gt.)、高橋、三原康司(Ba.Cho.)、健司の順で登場。その佇まいからはさすがの大物感が漂ってくる。既に興奮で高まった会場に投下されたのは「オドループ」。いきなりのダンスナンバーに客席は歓喜。健司が「あいにくの雨やなあ。でもさ、そんな雨を味方にするライブしていいですか!」と叫び、歌いながら「ぶち上げていきたいんですけども、あなたはどうしますか?どういう日にしますか!?」とハッパをかける。その言葉に牽引されて、一糸乱れず揃うクラップ。フロントマンの3人はステージ前方で雨と戯れるようにプレイ。さらに「YONA YONA DANCE」でグルーヴ感を一層アップした。

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MCでは健司がRockin' Radio!の思い出を振り返る。「初めて出たのが2015年で、あの時は新人としてやらせてもらいました。先輩の背中を追っかけてるうちに自分たちが先輩となって若手アーティストの前でやれてるのが嬉しいです」と声を弾ませる。「今まで飯室大吾さんや土井コマキさんがやってたMCも、樋口大喜くんと板東さえかちゃんに替わって、俺たちと同世代の人たちが引っ張っていくイベントに、FM802に、音楽業界になりつつあるのかなと思って、今日のイベントはすーげえ大事やなと思ってます。先輩の格の違いを見せつけに来ました」と話し「峠の幽霊」をしっとり披露。「虜」では「あなたのでっかい声で、ラッキリが最高のライブを今日したと思えるような日にしませんか!」と「Rockin' Radio!」「板東さえか、樋口大喜」「Lucky Kilimanjaro」をコール&レスポンス。さらにラッキリの『Burning Friday Night』の<フライデーナイトは燃える>もシンガロング。「最高や大阪!」と声にならない叫び声を上げ、ラストは2023年の代表曲と銘打たれた「スパークルダンサー」を投下。説明不要の盛り上がりを見せて圧倒し、先輩バンドの貫禄をバッチリ示したフレデリックだった。


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トリ前は現役大学生のWurtS。2021年に活動を開始してまだ2年ながら、その人気ぶりは右肩上がり。サポートに新井弘毅(Gt./THE KEBABS)前田恭介(Ba./androp)、矢尾拓也(Dr./ex.パスピエ)という布陣で、初めての雨の野音に挑んだ。いつものようにイントロからウサギさん(DJ)が会場をポップに盛り上げる。バンドメンバーと本人が登場すると、オーディエンスは高揚!

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「Talking Box (Dirty Pop Remix)」から思い切り踊らせて、「ふたり計画」「僕の個人主義」とロックナンバーを連続で投下。早くも客席の一体感は最高潮に。「こんにちはWurtSです! 雨吹っ飛ばす勢いで、最後まで楽しんで!」と力強く挨拶した後は「BOY MEETS GIRL」「MOONRAKER」で大人っぽさも漂わせる。前半パートを勢いよく飛ばした後はMCへ。昨年の『MEET THE WORLD BEAT 2022(以下、ミザワビ)』が初の野外ライブで、Rockin' Radio! が2度目の野外だと話す。ミザワビではまだ煽り方に照れが見られ、初々しさと緊張が感じられたが、この1年でライブ経験を重ね、立ち振る舞いと歌声が段違いに頼もしくなった。そしてバンドのグルーヴも一層まとまり、チーム感が増していた。

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後半戦は「雨に打ち勝てるようにどんどん盛り上がっていきましょう!」と放ち、「ブルーベリーハニー」を最強にエッジーなバンドアレンジで披露。会場全体で拳を突き上げた「コズミック」を経て、「リトルダンサー」ではウサギさんが前に出て煽りメンバーに絡みに行って盛り上げる。WurtSは熱のこもった力強い歌唱で勢いを加速し、ラストチューンを代表曲の「分かってないよ」で締め括る。フロントマン3人がステージ前方でギュッとくっついてプレイする様子は微笑ましく、バンドのレベルの高さはもちろんながら、わちゃわちゃ感もWurtSの魅力のひとつだと感じた。最高のライブ感と一体感で駆け抜けたWurtSは、「風邪ひかないようにね」と客席を気遣ってステージを後にした。



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トリは羊文学。塩塚モエカ(Vo.Gt.)はFM802で『MUSIC FREAKS(毎週日曜22:00~24:00)』を担当している。雨足が強まる中、SEなしでステージに現れた塩塚、河西ゆりか(Ba.)、フクダヒロア(Dr.)の3人。塩塚と河西の衣装のリンクコーデが素敵だ。大きな拍手で迎えられると、塩塚が「皆雨の中ありがとね」と言い、「光るとき」からしっとりとライブをスタートした。凛とした佇まいから放たれる透明感のある歌声とシューゲイザーサウンドが雨によく似合う。塩塚のギターソロから始まった「FOOL」はコーラスワークも美しく、存在感の強いアンサンブルからは奥深さを感じる。

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羊文学がステージに立つと、野音を別世界のように感じてしまうから不思議だ。「永遠のブルー」を経て、「次は踊れるやつです」と「OOPARTS」を披露。一度終わったかと思わせて、再び轟音のセッションで高まる展開のカッコ良さが、湿気を含んだ空気でより一層際立った。MCで塩塚が改めて「最後まで残ってくれてありがとう。寒くないよね?」と問うと客席から「寒い」と返答があり、慌てたように「あっためるから! でもそんなあったまる曲ないわ(笑)」と和ませる。「皆の明日が良くなるように」と演奏された「マヨイガ」では、塩塚の子守唄のように優しい歌声とボトムに響くビートに全身が染み渡る。そして、楽曲に入り込んだように塩塚が歌声を震わせた「夜を越えて」で本編を終えた。ここまで立ち位置をほぼ変えず、落ち着いて演奏していた塩塚と河西がステージ端に移動し、助走をつけて中央に走り込み、最後は黄金色に照らされるステージで大きくジャンプ! その瞬間はあまりに印象的で心のシャッターに焼きついたのだが、オフィシャルカメラマンの渡邉一生氏がバッチリ切り取っている。羊文学やFM802の公式SNSでも見ることができるので、ぜひご覧いただきたい。

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アンコールを求める拍手がこだますると、なぜか雨が強まる。再び登場した塩塚は「雨乞いの拍手しちゃったね! すごい降ってきちゃった! 雨もアンコールしてくれてるってことだよね」と微笑む。アンコールは「最後は楽しめるやつをやろう」と袖で決まったという「あいまいでいいよ」。2020年12月度ヘビーローテーションにもなった楽曲だ。サビではシンガロング&ハンズアップでひとつになり、神々しい景色を描き出した。ライトに照らされて断続的に雨の筋が落ちてゆく様子も美しい。最後は「必ずまた会いましょう。良い日を」と挨拶し、この日1番の拍手に見送られてステージを去った。

クロージングMCで再び登場した板東と樋口。板東曰く「戦い抜いた勇者(=オーディエンス)」と記念撮影をして余韻に浸っていると、袖で見ていた三原健司がケータリングの「カニみそスープ」を片手に登場。「何で俺出てきてんねやろ」とこぼしつつも「楽しかったすか皆! この2人がまた新しい世代を作っていくんでよろしくお願いします!」と次世代へのエールを贈った。

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こうして今年の『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』は幕を閉じた。この日のハイライトとしては2つあるだろう。1つは大雨。機材や音響の面で言えばかなり厄介な条件をしっかりと乗りこなし、ポジティブに楽しもうとするアーティストの姿が眩しかった。さらに自らステージ前方に出て雨に濡れ、オーディエンスと同じ目線に近づこうとするアーティストばかりで胸が熱くなった。スタッフは大変だったと思うが、「同じ場所にいる」という体験が特別な絆を結んでくれたように思う。筆者は終日音響テントの隅をお借りしていたが、カッパも着ずに雨の中を飛び出していってサウンドの確認をしたり、ステージや照明スタッフと連携を取ったり、イベントを素晴らしいものにするために尽力していた姿を目の当たりにし、改めて大勢の人の力が合わさっていることを実感するとともに、感謝と尊敬の念を抱かずにはいられなかった。

そしてもう1つは、フレデリックの三原が言っていたように、FM802のDJ陣と製作陣の世代交代だ。板東や樋口、田中といった若手DJの活躍もそうだが、Rockin' Radio! では制作も若手スタッフが担当することになったそうだ。これまでの歴史を引き継ぎ、若い世代が担う『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』を楽しみにしていよう。そして、来年はどうか晴れますように!

Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生




(2023年5月30日更新)


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Set List

『FM802 Rockin' Radio! -OSAKA JO YAON-』
2023.5.7 Sun at 大阪城音楽堂

Re:name
01. SEE THRU
02. Let Me
03. Vertigo
04. prettyfine:)

Tele
01. ロックスター
02. 私小說
03. バースデイ
04. comedy
05. 花瓶
06. 鯨の子
07. ことほぎ

Omoinotake
01. EVERBLUE
02. 産声
03. トロイメライ
04. 心音
05. 空蝉
06. オーダーメイド
07. By My Side
08. トニカ

CodyㆍLee(李)
01. drizzle
02. おどる ひかり
03. 悶々
04. 我愛你
05. LOVE SONG
06. 初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!
07. When I was cityboy

Lucky Kilimanjaro
01. エモめの夏
02. Burning Friday Night
03. 350ml Galaxy
04. HOUSE
05. Heat
06. またね
07. 踊りの合図
08. 一筋差す

フレデリック
01. オドループ
02. YONA YONA DANCE
03. 峠の幽霊
04. 虜
05. スパークルダンサー

WurtS
01. Talking Box (Dirty Pop Remix)
02. ふたり計画
03. 僕の個人主義
04. BOY MEETS GIRL
05. MOONRAKER
06. ブルーベリーハニー
07. コズミック
08. リトルダンサー
09. 分かってないよ

羊文学
01. 光るとき
02. FOOL
03. 永遠のブルー
04. OOPARTS
05. マヨイガ
06. 夜を越えて
EN. あいまいでいいよ