ホーム > インタビュー&レポート > NEE、初の声出し東名阪ツアー 熱狂と歓喜の1時間45分でBIGCATが揺れた 『5th TOUR 「JOKE」』初日大阪公演ライブレポート
開演10分前、チケットソールドアウトのBIGCATはびっしりと人で埋まっていた。ステージには「NEE JOKE」のバックドロップが下げられ、楽器がスタンバイ。フロアから立ち上がる熱気がすさまじく、何かが蠢いて今にも爆発しそうな空気だ。抑えきれない高揚感と期待感。まさに臨戦態勢バッチリ、という感じ。この雰囲気はメンバーに届いているだろうか。パンデミック以来、数年間見ることのできなかった光景が眼前に広がっていて、言い知れぬ感情が込み上げる。
会場のBGMが大きくなると、待ってました! とばかりに歓声が湧き上がる。暗転後バックドロップが浮かび上がり、ドーン、ドーンと低音から始まるSEが流れ、メンバーが登場。ステージに設置されたLEDライトが点滅し、大樹(ds)のドラムソロが響き渡る。4人のシルエットが浮かび上がり、赤と白の照明が激しく点灯した後、再び暗転。くぅ(g&vo)がすうっと息継ぎをしてライブは「生命謳歌」から幕を開けた。パッとステージが明るくなり、フロアに見えたのは人の手、手、手。一斉に手を挙げるオーディエンスの熱気に鳥肌が立つ。アルバムリード曲で、FM802の5月度ヘビーローテーション曲でもあるこの曲は生命力に満ち溢れ、NEEの現在地を鮮やかに示すものだと思う。
続く「バケモノの話」もイントロから大歓声が起こる。というよりもずっとだ。曲が始まるごとに、メンバーが叫ぶごとに、想いを吐露するごとに、アクションするごとに、フロアからのものすごい歓声が発せられる。いかにこのライブを楽しみにしていたかが伝わると同時に、これだけ人々を熱狂させられるバンドに進化したNEEの成長ぶりが伺える。「九鬼」では「好きにやれよ。声出せんのか?」とくぅが煽り、ステージ前方、上手と下手に2つ置かれたお立ち台にかほ(b)と夕日(g)が乗り、これまた煽るように楽器を全力でかき鳴らす。
MCではくぅが「よう。元気?」と呼びかけると、「元気ー!」とすごいボリュームの返事とガヤが飛び、嬉しそうな笑顔を浮かべて「君たちね、初日ですけど絶対に東京に負けるんじゃねえぞ」とハッパをかける。「ツアーで声出しが初めてだから、ここから色んなルールが決まると思うけど、今日はルールが決まる前の初日のツアーだから、もう何してもいい。やるぞ! 初日! 大阪BIGCAT!!」と一致団結して「緊急生放送」へ。続けて「本日の正体」をキャッチーかつ質感たっぷりに響かせる。
「嫌喘」では、ピンクの照明に染まったステージで、イントロからくぅと夕日が向き合ってフレーズを奏でる。さらにメインとサブを交互にスイッチするくぅと夕日のギターさばきに目を奪われつつも、ボトムを支えるかほと大樹のグルーヴや全員でのキメなど、見せ場の多さに好奇心が刺激される。超絶テクニックのオンパレードがもうめちゃくちゃ面白い。一筋縄ではいかない複雑な楽曲構成と、くぅの情緒豊かな歌声、ハイレベルな演奏力。全てが化学反応を引き起こし、独自の世界観を作り上げる。やはりNEEは他とは一線を画している。そんな雰囲気を感じた「病の魔法」や「aLaLe」を経て、2度目のMCへ。
曲間にフロアから浴びせられるガヤは一時も止まることがない。それに応えてくぅが「やっと皆と喋れる気がして。俺も皆のこと愛してます!」と叫ぶと、会場は大歓喜。「良いねえ。何だろう、別に不安とかはなかったけど。マスクしてたら目しか見えんけん、笑っとんか真顔なのかわからんくて、そこは不安だったけど、こんな笑顔だったんだと思って、安心しました(くぅ)」と、感じられる喜びを噛みしめる。
改めて「初日よろしくね!」と叫び、ベースのイントロから「おもちゃ帝国」へ......と思いきや、くぅが手を挙げて演奏を止める。「俺めっちゃ大事なこと忘れてた! 最悪やー! ミスしたー!」と頭を抱えるくぅに、会場は理由がわからずとも大盛り上がり。そして「次の曲撮影OKって言おうと」とくぅが言うと、歓喜の声が大爆発。「キター! みたいな感じでやろうと思ったのに!」と悔やむくぅに夕日が「やると思ったわ(笑)」と突っ込みつつ、いざ仕切り直し! オーディエンスは漏れなくスマホを取り出し、踊りながらも撮影を行う。2Fの関係者席から見ると、その光景はまるで星が瞬いているようだった。くぅは高まったようにオーディエンスとの距離を近づけ、さらに熱が上昇! 間髪入れず代表曲「不革命前夜」を叩き込む。この熱い展開にフロアは大熱狂! 明らかにジャンプの高さが引き上がった。なんせ、2Fが揺れたのだ。BIGCATが物理的に揺れているのを筆者は初めて感じた。全てが解き放たれたように、これまでで1番の盛り上がりを見せたフロア。「コロナが終わった時のライブの爆発力はすごいんだろうな」と数々のアーティストが話していたり、筆者も頭で想像したりしたが、その爆発力を目の当たりにして、あまりのエネルギーに圧倒された。これがライブだ。これだけ火がついたらもう止まることはない。
くぅはハンドマイクでお立ち台に立ち、「楽しいね。愛してるよほんとに。だからさ、歌で届けさせてくれよ、君たちに愛を。俺からの愛を。NEEからの愛を受け取ってくれ。楽しいだけじゃない、俺ら気持ちもあるんだって伝えたいから」と愛を伝え、「DINDON」をプレイ。しっかり愛情を伝え合う。この時点でセトリのちょうど半分を過ぎた。もう既に濃厚な時間で満たされているが、ここからは後半戦。熱量はまだまだ上がる。
夕日がラップトップとエフェクターを使って最高にノイジーなギターを響かせる。そこに大樹のどっしりとしたまとまったリズムが加わり、長尺のセッションが繰り出される。ただ没入空間に巻き込まれ、圧倒的な迫力の轟音歪みギターサウンドから「TAX!!!」を披露。
ドープなエッジの効いた最新曲「年頃です。」では、重量感のある大樹のビートはもちろん、奇妙なコーラスとボーカルがダークな雰囲気を醸し出す。不器用に叫んだくぅは世間に対するヘイトを吐き出し、かほと夕日はステージで大暴れ。間髪入れずにかほがベースリフを鳴らして「第一次世界」へ。サビは大きく手を揺らしてひとつになる。高まりすぎた熱を冷ますように、くぅの弾き語りから始まる「なんで」で少しクールダウン。
MCでは「大阪は良いね。最高だ! たこ焼きも美味いし、お好み焼きも美味いし、ラーメンも美味い! あと何だ......トムヤムクンも美味い!」とのくぅの言葉に呼応して「肉まん! 焼肉! お寿司!」とフロアからも声が飛び、和やかにコミュニケーションを取る。そして、BIGCATは1年ぶりだと回顧するメンバー。「去年見た景色とやっぱ違うじゃん。当たり前だけど、全然人の量が違うし(夕日)」「ありがたいね(かほ)」と感慨深げ。くぅは「ようやく皆と一対一でライブできてるなって感じがあって。制限がなくなってやっとここに来れたなって気持ちがあるから。皆と会ってるはずなんだけど、声を出して話せるのがね、初めましてって感じになるから」と話す。大樹は「(今日の様子を見ると、NEEを受け入れてくれたのが)一目瞭然やろって。だからありがとうねほんとに。素晴らしい」と感謝を述べて、そのままカントリー要素のある「ぱくちー」を披露した。
そしてラストに向け、再びギアを上げていく。「万事思通」では大きな見せ場であるストップモーションもバチッとキメる。後半はどっしりとした中に泥臭さもあるパワフルな演奏で、激しさを増大させた。続けざまに投下された「月曜日の歌」では、曲名を言った途端、フロアが波のようにうねりを見せ、サビの大合唱でくぅは「サイコー!!!」と叫ぶ。地鳴りのような歓声、ハコをひっくり返したようにジャンプして跳ねるフロア、くぅの咆哮、熱量を帯びた夕日、かほ、大樹から繰り出されるサウンドがひとつになって巨大なエネルギーを生み出した。
最強の熱を孕んで奏でられた「アウトバーン」の後半では、暗めの照明で没頭してギターを弾いていた夕日が勢い余ってステージ端から転倒。くぅが「大丈夫か!?」と心配しつつ、ステージに無事帰還して演奏を継続。後で聞くとおでこに少し怪我をしたようだが、軽傷で安心した。何よりも、そうなるほどに熱狂していたということだ。気合いがものすごい。本編ラストチューンはこちらもアンセムの「ボキは最強」。変拍子のオンパレードが気持ち良く、自然に体が踊り出す。くぅがドラムスティックを手にしてシンバルを叩く場面もありつつ、全員充実した表情で、やり残すことのないように、全てを出し切って最高潮の輝きと迫力で全力でステージを終えた。
割れんばかりの大歓声からアンコールを求めるクラップが起こった......とその時、ファンの1人が「帰りの会」を歌おうと呼びかけ「せーの!」と冒頭の歌詞を歌い始める。3周ほど歌ったところでメンバーが登場。くぅはスマホを掲げてフロアを撮影しながら登場し、「帰りの会」を歌い出す。もちろん会場は大合唱。これはファンにとっても特大プレゼントだったのではないだろうか。くぅは「最高! アンコール担当よくやりました」と嬉しそうに褒めていた。きっと双方の記憶に刻まれたことだろう。
くぅは改めて「本当に今日は来てくれてありがとね」と感謝を述べる。アンコールは、アルバムも締め括る1曲「ごめんなさい」。<大丈夫 大丈夫 大丈夫だよ 君は好きに生きててよ 誰も気にしないでさ>と優しく力強く歌い上げて、「今日を忘れません。共にこの世界を生きていきましょう! そして次はもっと大きいところで、大阪という街でまた会いましょう! NEEでした」とメッセージを贈ってライブを終了した。
全21曲、豪速球の1時間45分。とにかく熱く濃厚なツアー初日だった。現時点での集大成を携えて、大きく進化したNEEの勢いは止まることないだろう。7月8日(土)には大阪城音楽堂で「大阪城、夏のサイレン」が行われる。わずか1ヶ月後ではあるが、今よりもさらにパワーアップしているのではないか、そう思わせる素晴らしいライブを見せてくれたNEEだった。
Text by ERI KUBOTA
Photo by 桃子
(2023年5月29日更新)
NEE 5th TOUR 「JOKE」
2023.5.12 Fri at BIGCAT
01. 生命謳歌
02. バケモノの話
03. 九鬼
04. 緊急生放送
05. 本日の正体
06. 嫌喘
07. 病の魔法
08. aLaLe
09. おもちゃ帝国
10. 不革命前夜
11. DINDON
12. TAX!!!
13. 年頃です。
14. 第一次世界
15. なんで
16. ぱくちー
17. 万事思通
18. 月曜日の歌
19. アウトバーン
20. ボキは最強
EN. ごめんなさい
『LOVE MUSIC FESTIVAL 2023』
チケット発売中 Pコード:240-004
▼6月11日(日) 15:00
ぴあアリーナMM
アリーナ立見1日券-8800円
アリーナ立見1日券 学割-5800円(公演当日要学生証)
スタンド指定席1日券-8800円
スタンド指定席1日券 学割-5500円(公演当日要学生証)
[出演]go!go!vanillas/Chilli Beans./NEE/フレデリック/yama/ヤングスキニー/新しい学校のリーダーズ
※出演者は予定のため変更の可能性あり。学割チケットは小学生から大学生及び専門学生の方が購入できるチケットです。高校生、大学生、専門学生の方は、ご入場の際にチケットと学生証を確認させていただきます。学生証が確認できなかった場合、指定席との差額をいただく場合がございます。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。他に通し券(Pコード:780-644)もあり。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人2枚まで。発券は6/7(水)10:00以降となります。
[問]クリエイティブマン プロダクション■03-3499-6669
『GOOOOOON!』
5月27日(土)一般発売 Pコード:240-919
▼7月2日(日) 14:00
大阪城音楽堂
通常-4900円(整理番号付)
ペアチケット(2名)-4400円(1名4400円。2枚単位(合計8800円)での販売、整理番号付)
ゴーオンチケット(4名)-3900円(1名3900円。4枚単位(合計15600円)での販売、整理番号付)
キッズチケット-1650円(小・中学生対象、整理番号付)
[出演]NEE/ストレイテナー/SCANDAL/ヤングスキニー/サバシスター/Conton Candy
[司会]浅井博章/田中乃絵
※未就学児童は入場不可。小学生の方のご来場は保護者同伴にてお願いします(お子様の体調管理お気をつけ下さい)。キッズチケットの方は年齢のわかるものを何かご持参下さい。
※雨天決行。荒天の場合は主催者判断のもと中止となります。
※出演者の変更・キャンセルによる払戻しはいたしません。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。
※パラソル/テント類の持ち込みも禁止です。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合があります。予めご了承ください。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224
6月24日(土)一般発売
Pコード:242-056
▼7月8日(土) 18:00
大阪城音楽堂
指定席-5250円(ドリンク代別途要)
後方芝生フリーエリア-5250円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
※ご購入いただいたチケットの払い戻しは出来ません。(公演延期・中止の場合除く)
※雨天決行・荒天中止。
※今後、政府及び開催地自治体が発表するガイドラインの変更や感染状況に応じて、本公演のガイドラインを変更させていただく場合がございますので予めご了承ください。
※チケットをご購入の際には「開催にあたってのご案内と注意事項」をご確認ご理解の上、お申し込みください。
※販売期間中は、インターネットのみで販売。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224
『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO』
チケット発売中 Pコード:780-683
▼8月12日(土)
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
12日券-19000円
[出演]ASOUND/ADAM at/OAU/THE ORAL CIGARETTES/尾崎世界観/カネコアヤノ/神はサイコロを振らない/キタニタツヤ/Kroi/ケツメイシ/go!go!vanillas/SUPER BEAVER/CHAI/DYGL/帝国喫茶/This is LAST/TETORA/Tele/ドレスコーズ/NEE/ネクライトーキー/Novelbright/Vaundy/PEDRO/My Hair is Bad/マカロニえんぴつ/MONGOL800/UNISON SQUARE GARDEN/Lucky Kilimanjaro/LOVE PSYCHEDELICO/Rei/他
※8/11(金)開場10:00・開演14:00、8/12(土)開場10:00・開演12:30。雨天決行。小学生以下は保護者同伴に限り無料。出演者は都合により変更の可能性あり。出演者変更に伴う払戻し不可。チケット購入前に必ずオフィシャルHP(https://rsr.wess.co.jp/2023/)をご確認下さい。公演内容に関する詳細はhttps://rsr.wess.co.jp/2023/contact/まで。