ホーム > インタビュー&レポート > アルバム『Kimochy Season』で提示する「変化の乗りこなし方」 Lucky Kilimanjaroインタビュー
"いかに自分が動き続けていられるか"に注目して曲を書いた
――2月にオリックス劇場で開催された『SOUND CONNECTION Harvest Begins』のレポートをぴあ関西版WEBでさせていただいたのですが、ラッキリは今年初めてのライブでしたよね。
「ライブ始めですね」
――その時最後に『一筋差す』を演奏されていたと思うんですけど、インパクトがすごく強くて。めっちゃ踊らせてはりましたね。
「後でメンバーにも"ライブ始めだからか、めっちゃ気合入ってたね"と言われました。僕も"楽しんだろー!"という想いが強くて、自然にああなりましたね」
――私は2階から見ていたんですけど、1階のお客さんがどんどん巻き込まれていく感じが壮観でした。今回のアルバム『Kimochy Season』の1曲目が『一筋差す』から始まったので、自分の中でも少し繋がってる感覚があって。アルバムのテーマ的には"変化を乗りこなす"というので、『ファジーサマー』から続いているんですね。
「『ファジーサマー』の時は、アルバム自体まだどんな形になるか全然できていなかったんですけど、『ファジーサマー』を歌ってからも、自分の中で書き留めてる言葉やメモの感覚が、自分の変化や、いかに自分を流動的な状態に保つかに注目している感じがありました。アルバム全体もそうしようというよりかは、いろいろな言葉やフレーズを集めていって、徐々に"やっぱり変化だったんだな"みたいな感じでまとまっていった印象です」
――アルバム曲を作り始めたのはいつ頃ですか?
「『一筋差す』(M-1)と『Heat』(M-3)が大体同じ時期に制作しているのですが、それが終わった辺りからアルバムの他の曲も用意し始めました」
――タイトルに"Season"とついていて、冬の曲から始まり秋の曲で終わる流れがありますが、冬の曲が並ぶと熊木さんは冬が苦手なんだな、と。
「冬、苦手なんだなと思いますよね(笑)。苦手なんです」
――そうなんですね。
「はい。寒いのも嫌いだし。冬って、年末年始もそうなんですけど強制的に休まされるというか。"いや、俺はもっとやってたいんだけど"みたいな。音楽業界的にも1~2月ってイベントもそんなになくて、自分も準備期間みたいになっちゃう。エネルギーが発散できてない状態、止まっちゃう感覚があって、昔からその感じが苦手で。僕は11月30日の冬生まれなので冬の良いところも知ってはいるけど、トータルの印象が苦手です(笑)」
――結構ずっと動いていたい性分なんですか。
「まあ、せっかちですしね。"自分が思いついたことは早くやりたい!"みたいなタイプかもですね」
――今ラッキリは3月にアルバムを出すサイクルができていますね。
「4作連続春リリースという感じになってますよね」
――曲を書きやすい季節とかあるんですか。
「僕の場合は割といつでも書けるタイプで。ただそれが曲になるかは結構微妙というか。いつも何か引っかかりを求めて書いては消し、書いては消しを繰り返しているので、書きやすい季節は特にないんですけど、リアルなことを言うとスケジュールですね(笑)。スケジュールが詰まっていると書けないです」
――ゆとりが必要なんですか。
「例えば仕事で大阪に行きました、1日空いています、翌日別の場所で仕事があります、みたいな時に、その中日で書くのができなくて。2~3日あると自分の中でアイデアを揉みやすいのですが、今みたいにプロモーションで忙しい時期はなかなか曲を書けずにいます」
――例えば『Heat』の<心がバグりそう>みたいな歌詞は、その時感じたものをそのまま出してらっしゃるんですか。
「それもありますし、僕の冬嫌いを爆発させている部分もあるかもしれないです。多分今までの曲は、そんなに冬に対してどうこう言っている曲はなかったと思うんです。でも元々『一筋差す』を書こうと思ったのが、冬が嫌いというのもありますし、僕自身が冬動けなくなる感覚もあるので、"もっと冬を動きたい、冬を踊るための曲を書かなくちゃいけない"というので書いて。そしたらすごく冬が嫌いなんだなと思いました(笑)」
お客さんと、心の部分で一緒に踊る必要がある
――『一筋差す』『Heat』『越冬』(M-4)と3曲連続で冬の曲を並べるのではなく、2曲目で春の予感を感じさせる『Kimochy』がくるのが素敵だなと思いました。
「実は全部の曲の季節を完全に決めていたわけではなく、『Kimochy』なんかはどこでもいいなと思っていて。でも今回のアルバムが変化であったり、少しネガティブな面を取り扱う部分も多かったので、いかにこの変化をダンスミュージックとして皆の中に取り入れてもらえるかを考えた時に、やはり気持ち良さをアルバム前半に出さないと、皆が失速してダンスが踊れなくなっちゃいやだなと思って。前半に『Kimochy』があることで、このアルバムがちゃんと気持ち良いものになっているんじゃないかなと思っていますし、そういう意図で2曲目にしています」
――2曲目という位置は大事だったりします?
「前後関係がすごく大事だなと常に思っています。それこそライブでも、ぼくらは途中でMCを挟まず一気に曲をやるんですけど、やっぱり前後関係をどう配置するかで、気持ち良さや流れのイメージが全然違うので。2曲目に限らず、今回のアルバムもどういう流れを作っていくかは、とても考えた部分ですね」
――個人的には『闇明かし』(M-11)から『山粧う』(M-13)までの流れが大好きなんです。
「ありがとうございます。僕の非常にパーソナルな部分が出ている楽曲かなと思っています」
――『地獄の踊り場』(M-10)から続いてる感じもすごくあって。より内に向かっているというか。でもトータルで見るとより踊らせている。歌詞もサウンドもレベルアップしていると感じましたが、ご自身ではいかがですか?
「サウンドや自分の声も含めた表現力に関しては、僕の中では前作『TOUGH PLAY』よりもさらにパワーアップした感覚はあります。そうじゃないとできなかった曲もあって。今回でそれを1番感じるのは『咲まう』(M-7)。『またね』(M-6)と『山粧う』もそうですね。去年は書けなかった曲だなと思います」
――3月5日のツイートで「エモいにも本音と建前がある」と呟いておられて。「自分から溢れたものをサウンドさせようとしていた」と。つまり今作は本音を出力しようとされていたんですか。
「今までの作品は自分の気持ちを1回テクニカルに整理してから発信するやり方を取っていた気がしていて。当時はそんなこと思っていなかったんですけど。去年のライブや自分の経験を経て、もっとお客さんとテクニカルな部分じゃなくて心の部分で一緒に踊る必要があるなと感じる部分があり、もっと自分の心から出た言葉や感情をそのままサウンドにしたり、歌にしたり、歌詞にしないといけないなと。だからより本音というか、自分の感情に対してダイレクトなものが表現されている感覚が、今回のアルバムにはあります」
――それは『ファジーサマー』以降?
「『ファジーサマー』で明確に切り替わった感じがありますね。『ファジーサマー』と『地獄の踊り場』で自分の不確実性や不安も含めてパッと歌詞にできたので、今回は内省的な部分もありますが、いかにダンスするところまでまとめ上げるかを、テクニカルになりすぎず、自分の心から出たゼロイチの段階が残るように、全体を作った感じです」
――特にサウンド面で溢れさせたというか、爆発させてますという楽曲は?
「『咲まう』はやはりそういう書き方をしないと出てこないフレーズだったりグルーヴでしたね。特にずっと鳴っているギターは、最初にデモで弾いたギターなんですよ。本番で録り直さないで。録り直したんですけど、丁寧に弾いてる感じが出ちゃって。面白い話って2回しないじゃないですか、2回目って面白くなくなっちゃうあの感じ。やっぱり出たとこの面白さがあるから、『咲まう』に関してはそういう感じで組み立てていきました」
――セルフライナーノーツの"あまりうまくないギターテイク"はデモのことなんですね。
「"これはまだガイドだから、こんなもんでいいかな"と弾いたギターよりも上が出なくて。上手くはなるんですけど、全然ニュアンスが伝わってこない。自然体で弾いたものってすごく大事なんだなと思いましたね」
変化は美しいもの。皆当たり前に乗りこなしているし、乗りこなせる。
――『咲まう』は歌詞の内容的にも、ご結婚されたところが影響しているのかなと。『辻』(M-12)や『越冬』もそうですかね。
「そうですね、ラブソングです」
――結婚生活から生まれるクリエイティブは、変わりましたか?
「今回アルバムの曲で明確に変わったのは『越冬』ぐらいですね。元々一緒に暮らしていたので生活が急激に変化した感じもなく。自分としてはあまり意識しないで書いていたんです。でも、ちょっとした言葉やフレーズの選び方だったり、それこそ心から直接出てくるサウンドには、潜在的に変化を与えているのかなと思っています。『越冬』に関しては、今まで嫌いだった冬の違う一面があるなと思えた楽曲なので、ちょっと影響を受けていますね」
――結構な変化じゃないですか。
「そうですね。今回のアルバムでも思いますし言っているんですけど、変化って意外と認識できないというか。もうずっと乗っているものなので、自分も"変化してるのかな?"と。でも『TOUGH PLAY』時のメモとか見ると、全然違うことを考えてるので、多分結婚も含めた自分の去年の経験が、変化に大きく寄与しているのかなとは思います」
――変化は後から気づくものですよね。
「多分、日常的に色んなチャレンジをしようとしていますし、いろいろな経験を踏もうとしているから、自分が思っているよりも違う世界に行ってるんだろうなという感覚は、こうやってお話させていただく中で何となく自覚するようになりました」
――変化に気づいた時ってどんな感じですか。
「変化しているんだなと思いますし、ちょっと気持ち悪いですね」
――気持ち悪い。
「嬉しい面もありますけど、自分が拾えていない変化なので。"いつの間にか変わってるんだな"と思って、多少の居心地悪さはあります。でも今作もそういう変化が当たり前で、皆実は当たり前に乗りこなしているし、乗りこなせることを伝えている。僕自身はマイナスな部分を感じますけど、トータルはポジティブというか、変化していて良かった、前より面白くなってそうで良かったなとは思います」
――その変化のポジティブさを、『闇明かし』から『山粧う』までの流れに感じます。変化はポジティブなものなんだよということをじわじわと伝えているというか。
「特に『山粧う』は変化の美しさ、変化ってもっと自分の中で美しいものとして捉えられることを歌っていて、今回のアルバムで言いたいことが凝縮されているのかなと思っていますね」
――綺麗な曲ですね。
「"山粧う"という言葉もそうですけど、美しさや楽しさ、ワクワクできる面を人生に感じてもらうことが、ある種僕らの活動の目的なので、こういう楽曲で踊っていただいてこそなのかなと思ってます」
――『人生踊れば丸儲け(『TOUGH PLAY』収録)』もそうですし、ラッキリはこれまでも人生と踊りを重ね合わせてきたと思いますが、そこがより明確になった感じがします。
「本当に"LIFE IS DANCE"の気持ちでずっとやっているので」
――<煌煌と>や<明明と>といった、日本語ならではの美しさも際立っていますね。
「前回のアルバムから、"久々"みたいな、言葉を繰り返すことで1つの意味ができるのが、音楽的にもリズムと非常に合うので、好んで使っていますね」
――日本語ってこんなに綺麗だったんだと気付かされる曲です。
「日本語ってすごく美しい言葉ですし、語数も多いし、それこそ言葉に入っている情報量がとても多い。"山粧う"も本当に情報量が多くて、それがすごくカッコ良いなと。日本のポップミュージックやダンスミュージックは、まだ表現できる伸び代が全然あると思いますし、それを僕の好きな海外のグルーヴとも合わせながらいかに表現していくかというチャレンジをより広げることができてるのかなと思っています」
――"山粧う"という季語は以前からご存知だったんですか。
「日常的に本を読むのが好きで、気になった単語をメモしているんです。あとは歌詞を書く時も、関連語や類語をたくさん検索するようにしていて。より曲の空気感に合う言葉を選びたいので。"これじゃないな、これじゃないな"と探していく中で見つける単語が多いかもですね」
――作詞力、上がっていませんか。
「わからないです(笑)。今作から直接的な言葉をどんどん使いたいという方向に変わっているので、初期とはそもそもスタイルが違うんですけど、コンセプトに対してどういう文章を書いていくか、どういう単語を選んでいくか、組み合わせていくか、自分の中で手札が増えたというか、アイデアの量が増えているのかなと実感する時はありますね」
――とにかく聞いてて気持ち良いんですよね。<愛しているのは奔放に輝く私>とかフレーズも輝いていますし、アウトロの長さも気持ち良い。早くライブで聞きたいですね。
「僕も早くライブさせてくれと思っています(笑)」
弱い部分をさらけ出すことが、最終的には自分のダンスに繋がる
――踊る気持ち良さ以外にも、人との関係性で生まれる変化にフォーカスが当たった曲も多いですね。先ほどパーソナルな部分が出てるとおっしゃった『闇明かし』。
「『闇明かし』なんかはそうですね」
――すごい曲だと思いましたが、これはご自身の体験がキッカケですか?
「制作ってメンバーもいますけど、やはり僕がまとめてプロデュースする以上、自分自身の孤独な戦いでもあって。"本当にこの曲はこの表現なんだろうか、このやり方なんだろうか、このサウンドなんだろうか"と、ある種答えの出ない部分に対して悩んで苦しんで自分を閉じ込めちゃう時間があります。実際に自分も今作の制作時は結構きつい時期があり、妻にそういう話をしたんです。それで、辛い自分を自分のハードディスクから1回外に置いて、自分を殻にして、出したものを見ることができた経験があって。解決できる云々じゃなく、自分の気持ちを1回外に置くのは非常に大事なことなんだなと思いますし、それがコミュニケーションというか、人と生きていくことなのかなと。今回のアルバムはコミュニケーションという部分に関してはそんなに深く入り込めてないんですけど、今後はもっと考えていきたいです」
――『闇明かし』や『辻』は人との関係性の歌ですね。
「変化って、環境も含めた相対的な変化かなと思っていて。そうするとやっぱり周りと自分の関係性が外せない。その部分がよく出ているのが『闇明かし』や『辻』なのかなと」
――『闇明かし』の<言ってみるのはどうだい 聴いてみるのはどうだい>とお互いの闇を明かし合う提案が印象的で。それをやってみてお互いが居場所になるポジティブさ、優しさも感じました。
「実際自分もそういう経験があったからこそですね。辛い時はどうしても内に入りがちですし、コロナ禍でより内に入る動作が自然になってしまった気がするんですよね。マスクもですけど、何となく人との間に1枚ある感覚が深まりました。いかに自分が内に入る現象から抜け出すかを、音楽でもっと伝えられたり、僕のダンスミュージックで提案できる部分はあるのかなと思っていますし、『闇明かし』が皆の居場所を作ったり、曲自体が居場所になってくれたらいいなと考えています」
――ネガティブや闇を吐き出すと言っても、SNSだと攻撃される可能性もあるし、明かせるって、信頼関係がないと難しいのかなと思います。
「人でも曲でも、何かしら自分が依存できるものが1個あればいいと思いますし、それが多ければ多いほどいいと思っています。まずは自分の居場所を外に置いてみること、その素晴らしさを曲にしているのが『闇明かし』ですね」
――明かし合うことで心が軽くなったり、安心感が得られたり?
「そうですね。もう全然ちゃんとできない時や、辛い時は"辛い"と言う必要が間違いなくあるなと。弱い部分を恥ずかしがらずにさらけ出すことが、最終的には自分のダンスに繋がるのかなと思いますね」
――良い曲ですね。
「良い曲だと思っています。実体験に伴う直接的な言葉もそうですけど、より普通の言葉というか、耳に入って意味がわかる言葉を使ったので、リアルさや曲の切実さはあるのかなと」
――救われる人も多いと思います。『地獄の踊り場』の<取り持つよ 闇との関係>という一節があってからの『闇明かし』、最高ですね。
「自分もこんな音楽をやっているので結構ポジティブに思われますし、ポジティブな面はあると思うんですけど、実際はネガティブな面もたくさん持っていて。でもそういう部分をダンスに変えていけるのがダンスミュージックで、僕が今作っている音楽の良さだと思っているので、そこと向き合って表現したいなと。辛いですけどね(笑)」
――制作は辛い。
「根底としてちゃんと楽しいし、ワクワクする部分があるからやってますけど、必ずしもずっと楽しいだけで終われるわけじゃないですね。どの曲も"わからん、わからん"と言いながら作っています」
――初期の頃から比べると、しんどい瞬間はどうですか。
「しんどさは増えている気がします。その種類が違っている。昔は曲が書けないことへの悩み。今は書けるけど、"本当に今これなのかな"というセレクトの問題で悩むことが多いですね」
――スキルもついてきて悩みの種類が変わってきた。
「もっとクリティカルな言葉を選びたい、サウンドを選びたい、表現したいところで時間も心も使います。キャンペーン時期が1番救われますね」
――そうですか。
「色んな方に聞いていただいて、色んな感想をいただいて、ようやく"作って良かったんだな"みたいな。出す前は本当に"発売中止しようかな?"と毎回思っています(笑)」
――やっぱりドキドキしますか。
「ドキドキします。自分が作った作品は何だったのか、人に聞いてもらうまではわかってない状態なんで」
――メンバーさんの中で"すごく良い"となっていても、違うものですか。
「ちょっと違いますね。やっぱりメンバーは自分の文脈や思考もわかっていて、そこも考えた上で意見が来ているなというのがあるので。スタッフも同じようにちょっと違うので、もう1歩外にいる方々や皆に聞いていただいた時に、"なるほど、そういうアルバムだったんだな"とか"こういう面白さがあったんだな"と気づけるというか。今回のアルバムでできたことがわかってくるなとは思いますね」
――今作、名盤と言われません?
「もうね......言われるんですけど、ちょっと僕、名盤と言われるのは信じてない。わかんない」
――どうして?
「曲の感想を言ってくれるのが1番嬉しいです。そういう刺さり方をしたんだとか。取材いただく方や、ラジオパーソナリティの方、引っかかりポイントが全然違うので。ちゃんと余白がこの曲にあって、面白さがあったんだと気づけるのが救いになっています」
――色んな捉え方をされる方が嬉しいですか。
「それぞれ歩んできた人生と音楽が交わって、ようやく感想になると思っていて。別に同じでもいいんですけど、違って当たり前だと思っているんですよね。曲の感想はその人に触れた感想じゃないですか。こういう風に交わってくれたんだなと聞けるから嬉しいですね」
――私『またね』も好きですよ。
「ありがとうございます」
――良い楽曲ですね。
「うちのメンバー、本当厳しいんですよ」
――曲の出来ですか?
「はい。出来上がってから"あと1歩だよね"とか言われるんです。"うるせえ"と思って(笑)。ほぼ終盤で"ここもっとやれたよね"みたいな。でも『またね』に関しては皆すごく気に入ってくれています。」
――バース2の歌詞が良いというのは、<使い込んだウール>のところですか。
「そうです。そこがメンバーもかなり刺さったらしくて。僕も良い歌詞だなと思っています」
楽しいだけじゃなく、色んな気持ちで踊れるものを作っていきたい
――本当に良い曲ばかりですが、熊木さんのイチ押し曲はどれですか。
「1番気に入ってるのは『千鳥足でゆけ』(M-8)ですね」
――お酒を飲みながら作ったという曲。
「どの曲も思い入れはありますけど、『千鳥足でゆけ』は、まだ自分の中で面白い表現があるなとすごく感じた部分。作っていく過程を変えることで、化学反応も変わるというか。お酒を飲みながら作ることで、"こういう音が出てくるんだ"と思った部分もあって好きですし、言い方が変ですけど、微妙な表現を使っていて。酔っぱらっている時しか書かないような歌詞があるのが好きですね」
――ちなみにどこですか。
「基本的なバース部分は全部そうです。自分の中では、韻の踏み方や音の入れ方が、"あ、酔ってるな"みたいな感じなんですよね。"これでいいのかな"と思う部分を1個外して選んでる。その痛快さが好きですね。自分の思うままにパパパーっと書きました」
――お酒を飲みながら制作したのは初めてなんですか。
「今までもありますが、"しっかり"飲んだというか(笑)。日本酒をちゃんと飲みながら制作しました。今まで多少ビールを飲みながらというのはありましたが、ご飯と一緒にお酒を飲んで、そのまま追加でお酒を飲みながら制作することはあまりなく。それがサウンドにも出てますね」
――一気に書き上げたんですか。
「ほぼ一気に書き上げてます」
――酔いが醒めると、見直した時に"何か違う"とはならないですか?
「成立してない部分だけ変えますけど、できるだけ原型から変えないように心がけました」
――ツアーやフェスを経て曲が変わったり、熊木さん自身の捉え方も変化するのかなと思いますが、どうですか。
「去年『ファジーサマー』を出してから夏フェスに出させていただいたり、秋に『YAMAODORI』というツアーをやって。皆が開放的に踊ることを楽しんだり、気持ちのまま踊ることを広げていきたい、伝えていきたいというコンセプトで全体のセットリストを組んだんですけど、その中で今のLucky Kilimanjaroのラインナップだとまだ表現できない範囲があるなと感じたところがあって。そういうのが今作に結構入っていたりするのかなとは思っています。楽しいだけじゃなくて、いろいろな気持ちで踊れるものをLucky Kilimanjaroとしては作っていきたいので、そういうニュアンスが『Kimochy Season』の曲たちにはあるのかなと思ってます」
――ではこれまでのライブとは違う表現があったり?
「最終的には。でもやはり、自分の気持ちのまま踊ってほしい部分は変わらないので、よりそこが強化されるというか。平たく言えば、より気持ち良く踊れるところに注力していこうと今は思っています」
――"Season"だから、1枚で年中踊れるわけじゃないですか。ひとつ到達したみたいな感じはありますか。
「今まで夏にアッパーチューンを出していたのもあり、夏のバンドみたいに言われることもあるので、ダンスというか人生は年中無休なので、そこをちょっと修正したかった。365日踊っていきましょうというのを提示できたのかな。そこは今までの作品よりも踏み込めたのかなと思っています」
――それを引っ提げたツアーが始まります。大阪は6月10日(土)Zepp Namba。
「『YAMAODORI』を経て、今回の『Kimochy Season』の曲たちも含めて、よりダンスにいろいろな姿や感情を乗せられるように、気持ち良く踊れるセットを今組んでいます。今までダンスしてこなかった人も、もっともっと参加してほしいですし、もっともっと自分の気持ちで踊れる場所があることを知ってもらえるツアーにしようと思っています」
Text by ERI KUBOTA
(2023年4月20日更新)
Album『Kimochy Season』
発売中 2970円(税込)
MUCD-1513
《収録曲》
01. 一筋差す
02. Kimochy
03. Heat
04. 越冬
05. 掃除の機運
06. またね
07. 咲まう
08. 千鳥足でゆけ
09. ファジーサマー
10. 地獄の踊り場
11. 闇明かし
12. 辻
13. 山粧う
14. Kimochy(outro)
ラッキー・キリマンジャロ…同じ大学の軽音サークルで出会った6人で結成。彼らが自ら考案した「世界中の毎日をおどらせる」というバンドのテーマを掲げ、昨日から今日へ、そして明日へ。連続する日々を、そこにある私たちの生活と心をも、おどらせる。2018年にEP『HUG』でメジャーデビュー。その後、2020年にはメジャー初のフルアルバム『!magination』を、2021年にはメジャー2ndフルアルバム『DAILY BOP』をリリース。作詞作曲を手掛けるボーカル・熊木幸丸の多作ぶりとバンドとしてのリリーススピードの速さで周囲を驚かせながら、作品を経る毎にクリエイティビティとキャパシティを広げている。時代や自己の内部に深く向き合いながらも、まるで友達のように親密な語り口で聴き手に寄り添いながら、明日をよりよく生きるための新たな視点と提案をもたらす歌詞。そして、先鋭的なポップミュージックのビート感やサウンド感を貪欲に取り入れながらも、きっと多くの人が懐かしさを感じるであろう、日本語の歌としての喜びを突き詰めていく熊木のソングライティングは、蔦谷好位置やヒャダインといった音楽家たちからも高く評価され、また、Hey!Say!JUMPやDISH//といったアーティストへの楽曲提供にも繋がっている。2021年4月には日比谷野外大音楽堂での初のワンマンライブを開催。その後、5月から Zepp Haneda をファイナルとした7都市を回る初の全国ツアーを敢行し、さらに10月からは新たな全国ツアーを開催。このツアーではファイナル公演のZepp DiverCityがソールドアウドしたことに伴い、新木場STUDIO COASTでの追加公演も開催された。会場のキャパシティはツアーを追うごとに大きくなっているが、そこで生み出される興奮の濃度は、薄まるどころか、むしろライブを追うごとに色濃くなっている。2022年3月30日フルアルバム『TOUGH PLAY』を発売。アルバムを引っ提げたバンド史上最大動員の全国ツアー『Lucky Kilimanjaro presents.TOUR “TOUGH PLAY”』のファイナルをパシフィコ横浜で開催。7月13日「ファジーサマー」発売と、『Lucky Kilimanjaropresents. TOUR ”YAMAODORI 2022”』の開催を発表。2023年4月5日には4thフルアルバム『Kimochy Season』をリリース。5月からは全国8箇所9公演の『Lucky Kilimanjaro presents.TOUR “Kimochy Season”』を開催。Lucky Kilimanjaroは、ますます世界中の毎日をおどらせ続けている。
Lucky Kilimanjaro オフィシャルサイト
http://luckykilimanjaro.net/
『GO OUT JAMBOREE 2023』
チケット発売中 Pコード:780-566
▼4月21日(金)~23日(日)
ふもとっぱら
1泊2日1枚+オートP券-18000円(1泊2日入場券+オートキャンプ駐車券)
1泊2日1枚+場内P券-16500円(1泊2日入場券+場内駐車場券)
1泊2日1枚+ふもとP券-15000円(1泊2日入場券+ふもと村ファミリーサイト駐車券)
1泊2日入場券-12000円 22日1枚+日帰りP券-10500円(22日(土)日帰り入場券+日帰り駐車場券)
23日1枚+日帰りP券-6500円(23日(日)日帰り入場券+日帰り駐車場券)
22日 日帰り入場券-7500円
23日 日帰り入場券-4500円
[出演]PERSONZ/LAUGHIN’NOSE/GOMA/CHOZEN LEE and THE BANG ATTACK/D.W.ニコルズ/RED SPIDER/Lucky Kilimanjaro/Atomic Skipper/TAKENOKO/HIBI BLISS/DJ POIPOI/ANCHIN/DJ TAKAGI/ICHI-LOW/Satoshi Miya
※出演者はいずれか1日に出演予定。
※4/21(金)は金曜日宿泊入場券と1泊2日入場券をお持ちの方のみ入場可。金曜日宿泊入場券のみ、日帰り入場券・日帰り入場+駐車セット券との併用不可。保護者同伴の小学生以下無料。雨天決行、荒天中止。アーティストの変更、荒天等によるチケットの払い戻しはできません。いかなる場合もチケットの再発行は致しません。ご了承ください。詳細情報、注意事項はオフィシャルHPにてご確認ください。http://www.gooutcamp.jp
※1泊2日1枚+オートP券、1泊2日1枚+場内P券、1泊2日1枚+ふもとP券、22日1枚+日帰りP券、23日1枚+日帰りP券は1人6枚まで。
[問]三栄内 GO OUT CAMP 実行委員会■03-6773-5450
『JAPAN JAM 2023』
チケット発売中 Pコード:240-890
▼4月30日(日) 11:30
千葉市蘇我スポーツ公園(千葉市中央区)
1日券(9:30~10:00入場)-12000円
1日券(10:00~10:30入場)-12000円
1日券(10:30~11:00入場)-12000円
1日券(11:00~11:30入場)-12000円
1日券(11:30以降入場)-12000円
[出演]ano/アンジュルム/indigo la End/打首獄門同好会/osage/オレンジスパイニクラブ/キュウソネコカミ/go!go!vanillas/鈴木愛理/Tani Yuuki/東京スカパラダイスオーケストラ/Bialystocks/04 Limited Sazabys/BLUE ENCOUNT/モーニング娘。’23/ヤバイTシャツ屋さん/ユアネス/Lucky Kilimanjaro/リュックと添い寝ごはん
[DJ]DJ和
※6歳未満は保護者同伴に限り入場無料。出演者・開場・開演時間は予定のため変更の可能性あり。出演者変更に伴う払戻し不可。ご来場前に公式サイトにて、「注意事項」を必ずご確認ください。公演内容に関する詳細はhttp://japanjam.jpまで。雨天決行、荒天中止。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。発券開始は4/25(火)18:00以降となります。
『VIVA LA ROCK 2023』
チケット発売中 Pコード:236-599
▼5月5日(金・祝) 10:00
さいたまスーパーアリーナ
5/5 1日券-11000円
[出演]4s4ki/indigo la End/Ochunism/ODD Foot Works/ORANGE RANGE/Creepy Nuts/Saucy Dog/水曜日のカンパネラ/SUPER BEAVER/sumika/そこに鳴る/DJやついいちろう/帝国喫茶/DISH///XIIX/tonun/にしな/BiSH/FINLANDS/フレデリック/黒子首/マルシィ/Lucky Kilimanjaro/凛として時雨
※中学生以上はチケット必要。小学生以下は保護者1名につき1名まで無料。2人目からの小学生以下はチケット必要。公演当日要身分証明書。出演者は予定のため変更の可能性あり。他に2日券(Pコード:780-567)・5日券(Pコード:780-568)もあり。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1公演につき4枚まで。発券は4/30(日)10:00以降となります。
【動画配信】ビバラ!オンライン 2023
チケット発売中 Pコード:780-706
▼5月5日(金・祝)~11日(木) 10:00
PIA LIVE STREAM
1日券-2500円
[出演]4s4ki/Ochunism/ODD Foot Works/ORANGE RANGE/Creepy Nuts/Saucy Dog/水曜日のカンパネラ/DISH///黒子首/Lucky Kilimanjaro/他
[司会]芦沢ムネト
※こちらのチケットをご購入いただくとオンライン動画配信をご覧いただけます。配信アーティスト及びスケジュールは予定のため変更の可能性あり。ライヴ映像の配信はVIVA LA ROCK 2023全出演アーティストではございません。他に5日通し券あり、Pコード:780-707参照。【視聴についての問合せ】event@linkst.jp(平日10:00~18:00)。公演日は配信終了1時間後まで土日祝も対応可能。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1IDで1回のみ購入可。1人1枚まで。
『FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』
チケット発売中 Pコード:237-410
▼5月7日(日) 12:30
大阪城音楽堂
前方自由席-4580円(整理番号付)
後方立見-4580円(整理番号付)
[出演]Omoinotake/Cody・Lee(李)/Tele/羊文学/フレデリック/Lucky Kilimanjaro/WurtS
[オープニングアクト]Re:name
[司会]板東さえか/樋口大喜
※小学生以上は有料。前方自由席でお席が必要な場合は未就学児童も有料。
※雨天決行。荒天の場合は主催者判断のもと中止となります。
※出演者の変更・キャンセルによる払戻しはいたしません。また公演延期や中止の場合以外の払い戻しもございませんので、予めご了承ください。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。パラソル/テント類も持ち込み禁止です。雨天時はレインウェア等をご利用ください。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。【問合】FM802 http://funky802.com/i/lc/
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)のみで販売。1人4枚まで。チケットは、4/30(日)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
『OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2023』
▼5月13日(土) 11:00
METROCK大阪特設会場
1日券-12000円
[出演]indigo la End/WENDY/打首獄門同好会/THE ORAL CIGARETTES/神はサイコロを振らない/KEYTALK/キュウソネコカミ/クボタカイ/SHISHAMO/JUN SKY WALKER(S)/TOMOO/Novelbright/Billyrrom/Penthouse/黒子首/マカロニえんぴつ/マハラージャン/Mrs. GREEN APPLE/yama/由薫/yutori/Lucky Kilimanjaro/レトロリロン/WurtS/wacci/他
※公演当日要身分証。雨天決行、荒天中止。詳細は問合せ先まで。出演者変更に伴う払戻し不可。入場制限実施の可能性あり。未就学児童は保護者1名につき1名まで入場可、但しエリア制限あり。開場・開演時間は予定のため変更の可能性あり。無料シャトルバスあり。公演内容に関する詳細はhttps://metrock.jpまで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
【石川公演】
▼5月28日(日) 金沢EIGHT HALL
【北海道公演】
▼6月3日(土) サッポロファクトリーホール
チケット発売中 Pコード:231-823
▼6月10日(土) 18:00
Zepp Namba(OSAKA)
全席指定-5000円(ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可、小学生以上は有料。本公演は新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインに基づき開催いたします。
※ご来場時にマスクの着用およびマスクの持参をお願いいたします。お持ちでない場合、入場をお断りする場合もございます。
※ご入場の際にアルコール消毒液で手指の消毒をお願いいたします。
※37.5℃以上の発熱等、風邪に似た症状が見られるお客様のご来場、ご入場の自粛をお願いしております。
※入場待機から会場内及び退場されるまで大声による会話/発声はお控え願います。
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)のみで販売。チケットは、6/3(土)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]清水音泉■06-6357-3666
【愛知公演】
▼6月11日(日) Zepp Nagoya
【宮城公演】
▼6月17日(土) 仙台PIT
【広島公演】
▼6月24日(土) 広島クラブクアトロ
【福岡公演】
▼6月25日(日) Zepp Fukuoka
【東京公演】
▼7月1日(土)・2日(日) 豊洲PIT