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Chilli Beans.、Kroi、ラッキリ、yama、Klang Rulerが競演
『SOUND CONNECTION -Harvest Begins-』ライブレポート

MBSテレビと関西のイベンターやエンタテインメント業界がタッグを組み、関西から音楽シーンを盛り上げる音楽イベント『SOUND CONNECTION』の第3弾が、2月11日(土)にオリックス劇場で行われた。2022年5月と7月の公演を経て、今回は初の2デイズ開催。初日の11日は「-Harvest Begins-」をテーマに、Chilli Beans.、Kroi、Lucky Kilimanjaro、yama、Klang Ruler(オープニングアクト)といった新進気鋭の若手アーティスト5組が登場。12日は「NO LIMIT」をテーマにSKY-HI、Awich、Novel Coreが出演した。今回は初日の模様をレポートする。それぞれに色は違えど、現在の音楽シーンを最前線で牽引するアーティストたちの極上な音楽にただ魅了された、素晴らしい夜となった。

Klang Ruler(オープニングアクト)

sc230314-1.jpgオーディエンスが続々と入場する中で客席の照明が少し落とされると、登場したのはオープニングアクトのKlang Ruler。超高性能記憶型AIシステム「HAL(ハル)」が「オリックス劇場にお越しの皆様こんにちは」とアナウンスするとSEが流れ、レーザーのようなライトが雰囲気を高める。真っ白な衣装に身を包んだメンバーがステージに登場し、yonkey(vo)が「楽しんでいきましょう!」と挨拶、「ちょっとまって」からライブをスタートした。

sc230314-2.jpg一度聞いたらすぐに覚えてしまうメロディと小気味良いビートが早くも客席の体を揺らす。yonkeyとやすだちひろ(vo)の張りのあるハーモニーがその勢いを高め、Gyoshi(g)の鋭いギターソロが会場の高天井に吸い込まれる。続けざまに、かとたくみ(b)のグルーヴが炸裂した「Set Me Free」、やすだがメインボーカルを取る「飛行少女」を披露して、会場の空気をほぐしていった。ジャジーなかつセッションの要素が強めの「レイドバックヒーロー」では、SimiSho(Dr.)が安定感がありつつもエッジーなビートを繰り出す。ラストチューンは「I think about you now」。思わずステップを踏みたくなるような開放的な明るいサウンドに、客席はクラップ&手を左右に振って応える。20分という短い時間ながら、しっかりと会場を一体感に導いてステージを去ったKlang Rulerだった。


Lucky Kilimanjaro

sc230314-3.jpg本編の1組目はLucky Kilimanjaro。Klang Rulerが熱を引き上げたステージに「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに活動する6人組の彼らが登場するということはもう、確実にダンサブルな時間がやってくるということだ。暗転した状態で<おーどれや、さあおーどれや>と「踊りの合図」が聞こえてくると、客席はクラップを響かせて会場を高めていく。大瀧真央(syn)、松崎浩二(g)、ラミ(per)、山浦聖司(b)、柴田昌輝(ds)が先にステージに登場、そして最後にステージに現れた熊木幸丸(vo)が「2023年、Lucky Kilimanjaro初ライブでございます! 今日声出せるらしいですよ! SOUND CONNECTIONいけますか!」と笑顔で煽る。ハンドマイクで軽快なステップを踏みながら大きな身振りでステージを行き来し、客席の距離を縮める熊木。持ち前の祝祭感とダイナミズムなサウンドでオーディエンスをぐいぐい引き込んでゆく。早速踊らされる会場に「果てることないダンス」が投下され、誰も置き去りにしないウェルカム感で包括する。上に下にと流れる照明も熱狂の一役を買い、ドラマティックに楽曲を彩った。この後も、曲と曲をシームレスに繋ぎながらダンスナンバーを連投。特に「エモめの夏」から「週休8日」への繋ぎ方は見事だった。

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既に中盤で会場を大熱狂の渦に巻き込んだラッキリ。メンバーも嬉しそうに笑顔を見せ、熊木は「愛してんぜ、大阪!」と愛を叫ぶ。楽しい時間はあっという間。「HOUSE」「一筋差す」のラスト2曲は勢いそのままに一気に駆け抜けた。「HOUSE」ではベースを弾いていた山浦がシンセを兼任したことでシンセが2台になり、音の厚みが増す。電子サウンドと人間の本能的な熱量を絡み合わせ、MCなしノンストップ一切手加減なしの極上ダンスタイムは、最高潮の盛り上がりで終わりを迎えた。ラッキリの手にかかればどんな会場もダンスフロアに大変身。トップバッターから素晴らしい熱狂を見せてくれた。


Kroi

sc230314-5.jpgサウンドチェックからそのまま板付でライブをスタートしたのはKroi。ラッキリの熱を引き継いだ会場はアツアツの雰囲気で、客席からは待ってましたと言わんばかりに歓声が湧き上がる。今やスターダムにのし上がりつつある彼らの最新の音を浴びられる喜び。益田英知(ds)の鋭いビートが空間を貫き、内田怜央(vo&g)が「Kroiです! ブチ上げていきましょう!」と「Drippin' Desert」をドロップ。高速ラップとアーバンなサウンドが心地良く、客席も思い思いに体を揺らす。高まったように被っていた帽子を脱ぎ捨てた内田。彼らの才能を存分に味わわせてくれた「Pixie」では、益田と千葉大樹(key)のアンサンブルを中心にじわじわとダークな雰囲気を高めていく。クライマックスでは長谷部悠生(g)のギターをはじめ全員の楽器が火を吹き、空気をゆるがせて内田が咆哮! 「Funky GUNSLINGER」では内田が遺憾なくボーカル力を発揮。腹の底から響くほどのフェイクが最高にカッコ良かった。
「楽しいな。」と頬を緩ませてポツリ呟く内田に、客席からは大きな拍手が贈られる。間髪入れずアンセム「Juden」を叩き込まれ、それぞれの見せ場をキメながらドッカンドッカン躍らせる。ブルージーかつファンキーに雄叫びを上げる内田の姿には本当に痺れた。曲が終わると、3階構造である会場の一番上から歓声の雨が注がれた。

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MCでは内田が「今日もこの広い舞台で最高の1日を作り上げてしまう気がします。これも皆さんのおかげです。ブチブチに踊りまくって帰ってください」と言って「Balmy Life」を披露。彼らの音楽は何て滑らかで自在なんだろう。2度目のMCでは関将典(b)が年末ぶりの大阪だと話す。インディアンカレーをどうしても食べたかったそうで、全員でライブ前に行って「くらって」きたそうだ。ラストは「HORN」と「Fire Brain」を投下し、最後の最後まで激しく熱く、極上のグルーヴで魅了したKroi。見るたびに最高を更新するバンドだ。本当に濃厚な時間だった。まだまだ多くの人々を引き連れていくことだろう。


yama

sc230314-7.jpgyamaバンドのメンバー4人をバックに、ステージ中央に立ったyamaがすうっと息を吸って透明感のある歌声を放つと、途端に目に映る空間に色がついたように感じられた。TVアニメ『SPY×FAMILY 』第2クールED主題歌の「色彩」でライブはスタート。いきなりの代表曲の披露にオーディエンスは歓喜のクラップで応える。「yamaです。今日は楽しんでいきましょう。よろしくお願いします」と挨拶し、「色彩」のカップリング曲で、yama自身の作詞作曲である「愛を解く」を披露し、歌唱力の高さを見せつける。さらに「麻痺」では、歌い出しから疾走感に乗せて全身で歌声を解き放つ。高音と低音を行き来する難しいメロディながら見事に歌い上げ、会場は大歓声に包まれた。

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MCでは、自分は無邪気さや幼い心を大切にしたくて音楽をやっているのに、年を重ねるとそことかけ離れることがあると語り、「皆さんもたまに信念を曲げなきゃいけない時ってあると思うんですよね。その方が円滑に進むし、耳障りの良い言葉を選ぶ方がうまくいくこともたくさんあるので。信念を曲げても曲げなくても、あなたの選んだ選択は正しいし、正解はないと思ってます。でも矛盾に葛藤したり悩んでる人もいると思うんですよ。自分は音楽を聴いた時に少しでもそういう人が安堵してくれたらいいなと思いながら音楽をやっているので、少しでも今日楽しかったな、安心したなと思ってくれたら嬉しいです。人間らしいあなたたちを肯定したい。そんな曲です」と述べて「Oz.」へ。ホーンのシーケンスも入った美しく壮大なサウンドに乗せて、<ひとりぼっちにはさせないよ>という優しい歌声が会場全体に満ちていく。続き、「a.m.3:21」で少し温度を引き上げた後は、Vaundyをプロデューサーに迎えた「くびったけ」をパワフルなバンドサウンドで煌めかせる。一斉に手を掲げるオーディエンスの姿が、ステージからこぼれる照明に照らされてとても美しかった。ラストはyamaをこの世に知らしめた「春を告げる」でライブを終えた。存在感のある歌声と堂々たるパフォーマンスですっかり会場を魅了したyamaだった。


Chilli Beans.

sc230314-9.jpg大トリはこちらも新進気鋭の3ピースバンド・Chilli Beans.。SEが流れると、サポートドラムを迎えた4人編成で元気に登場し、1曲目の「See C Love」をドロップ。Moto(vo)はハンドマイクでステージを動き回りながら繊細かつクールな歌声を響かせ、Lily(g&vo)とMaika(b&vo)は腰を落として力強く弦を弾く。オーディエンスはのっけから興奮した様子で懸命に手を挙げる。間髪入れず「neck」を投下して、さらに会場の温度を引き上げる。どこか不協和音を感じるLilyのギターリフが印象的だ。歌いながら印を結ぶように手でポーズを作るMotoのパフォーマンスも鮮やかに記憶に刻まれる。続けてイントロのベースと短いギターリフが小気味良い「blue berry」で勢いを加速。魂を震わせるように服をギュッと掴んで歌うMotoから目が離せない。ゆらめきながら重なり合うMotoとMaikaの歌声も、独自の雰囲気を作り上げていた。

MCではMaikaが「改めまして皆さんこんにちは、Chilli Beans.でーす!」と元気に挨拶。この日が今年初のライブだという彼女たち。そして大阪には縁があると話し始める。「実は今まで、年明けと年末全部大阪なんですよ。気づいてました?21年の終わりも大阪で、22年の始まりも大阪で、22年の終わりも大阪で、23年の始まりも今日で大阪。大阪大好きなんです(笑)」とMaikaが話すと、客席は歓喜の拍手を送った。

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楽曲に戻り、童謡を連想させるメロディとゆらぎのある高音の歌声が独特の世界を生み出した「アンドロン」に続いては、クリスマスソング「daylight」を披露。さらにVaundyとは3作目となるコラボ曲で、1月30日に配信リリースされたばかりの「rose feat. Vaundy」をプレイ。オーディエンスはジャンプで応え、文字通り会場はひとつになった。ここからはラストに向けて一気に加速。明るくポップな「シェキララ」では、Motoがステージを駆け回ったり、不思議なポーズをとったり、ステージに寝転んで歌ったりと自由な姿で魅了する。4人のアンサンブルが心地良くて楽しくて、純粋にウキウキしてしまう。さらにキャッチーな「HAPPY END」で、会場の大きさに負けないパワフルさでビシッと締め括った。体感時間がとても短く感じるほどあっという間だった。

惜しみない拍手はすぐさまアンコールを求めるクラップに変化。元気に走り込んだメンバーは3人とも笑顔で、嬉しそうにゆるっとトークで和ませつつ、アンコールの「lemonade」を演奏。サビではMotoが「皆さん一緒に体動かそう! 左からですよ!」と客席と一緒に手を振りながらステップを踏む。これ以上ない最高の一体感で会場を包んでステージを終えたChilli Beans.。いつまでも鳴り止まない拍手と歓声が、彼女たちのライブの素晴らしさを物語っていた。

こうして3回目の『SOUND CONNECTION -Harvest Begins-』は大成功で幕を閉じた。次回は一体どんなテーマで、どんなアーティストの競演が見られるのだろう。続報を楽しみにしておこう。

Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生




(2023年3月15日更新)


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Set List

『SOUND CONNECTION -Harvest Begins-』
2023.2.11 Sat オリックス劇場

(O.A)Klang Ruler
01. ちょっとまって
02. Set Me Free
03. 飛行少女
04. レイドバックヒーロー
05. I think about you now

Lucky Kilimanjaro
01. 踊りの合図
02. 果てることないダンス
03. ひとりの夜を抜け
04. エモめの夏
05. 週休8日
06. 太陽
07. ファジーサマー
08. HOUSE
09. 一筋差す

Kroi
01. Drippin’ Desert
02. Pixie
03. Funky GUNSLINGER
04. Juden
05. Balmy Life
06. HORN
07. Fire Brain

yama
01. 色彩
02. 愛を解く
03. 麻痺
04. Oz.
05. a.m.3:21
06. くびったけ
07. 春を告げる

Chilli Beans.
01. See C Love
02. neck
03. blue berry
04. アンドロン
05. daylight
06. rose feat. Vaundy
07. シェキララ
08. HAPPY END
EN. lemonade

Info

SOUND CONNECTION -Harvest Begins-の模様をスペシャオンデマンドで3/30より配信。

スペシャオンデマンドにて3/30より先行配信!
https://vod.spaceshower.jp/

スペースシャワーTV:4/13(木)22:00~23:00
https://www.spaceshowertv.com/
「SOUND CONNECTION -Harvest Begins-」の模様を、ライブ後のインタビューも一部交えてお届けします!