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松元宏康「この演奏会はクラシック入門にぴったり!」

3月26日(日)に東大阪市文化創造館 Dream Houseで『関西フィルハーモニー管弦楽団 春の特別演奏会』が開催される。演奏予定曲目はローゼンマン「エデンの東」やバーンスタイン「荒野の7人」、K&R.ロペス「アナと雪の女王」メドレーなど、おなじみの映画音楽と、ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲より“スイス軍の行進”やラヴェル ボレロなどのクラシック音楽で、指揮を執るのは松元宏康。松元は、ブリッツフィル音楽監督、琉球フィル正指揮者、グランドフィル首席客演指揮者などで活躍する一方で、さんしろう吹奏楽部との漫才コンビ・ジャジャジャジャーンとしても活動。コンビ結成直後の『M-1グランプリ2019』では、3回戦まで駒を進めた実績の持ち主でもある。指揮者と芸人、音楽界の“究極の二刀流”に『春の特別演奏会』の魅力を語ってもらった。

――まもなく『関西フィルハーモニー管弦楽団 春の特別演奏会』が行われます。映画音楽とクラシックの二本立てですが、このプログラムのおもしろみはどういったところにあるでしょうか。

これは割と最近、人によく話すことなんですが、「クラシック音楽」と「オーケストラ音楽」って、ごっちゃになりがちなんですよね。オーケストラがやっているものがクラシックだと。でもそうではなくて、クラシックとは「古典だ」から、ベートーヴェン、モーツァルトはクラシックです。だけどこの『春の定期演奏会』では近代の映画音楽もオーケストラで演奏します。オーケストラって、クラシックのみならず、ロックもジャズも演奏するわけですね。だから今回は「オーケストラ音楽の演奏会」としてバリエーション豊富な演奏を楽しんでもらえたらと思います。

――オーケストラ=クラシックと思いこんでいました。

オーケストラ業界の末端にいる者としてひとつ責任を感じるのは、そういう、思い込み、刷り込みのようなことで、今までオーケストラの演奏会を売ってきた側面があるわけです。たとえば、「おめかしして、特別な日に聴きに行きましょう」とか。初めてオーケストラ音楽の演奏会を聴きに行くという方にいつも最初に聞かれるのは、「何を着ていけばいいの?」です。それに対して「なんでもいいんだよ」ということをもっと発信していかないとと思って。だから、お笑いをやっているんです。元々お笑いが好き、人を笑わしたいという思いもありますが、指揮者がオーケストラの対極にあるお笑いをやっていたら、お笑いが好きな人は身近だと思うかもしれないし、演奏会に行くことへのハードルを下げられるかもしれない。

――なるほど。そこでお笑いにつながるわけですね。

まあ一手段に過ぎないですけれども、もっとぶっちゃけて言うと、それこそオーケストラ、もっと言えばクラシックをやっている人間も普通の人と全然変わらないんですよということを世の中に言いたくてやっています。それこそ美容院で職業を聞かれて「指揮者です」と言うと、いきなり七三(分け)にされますから(笑)。

――格式が高いものという印象があります。

もちろん、芸術だから足蹴にしてはだめですよ。いいものだから、絵画とかと同じように大切に扱わなくちゃいけないから。だから僕も指揮をする時にはもう絶対、妥協しないよう、真剣にやっていますが、だからといって変に付加価値をつけて高尚なものというのも、僕は違うと思っているので。だから分かりやすく伝えたいと考えています。

――最近は指揮者もMCをされるそうですね。

MCもお笑いを始めたきっかけのひとつです。「指揮者ってしゃべるのがお上手ですよね」と言われるのがプレッシャーだったので、トークもうまくなりたいなと思って。

――今回の演奏会もトークはありますか。

あります。全編しゃべります。司会者はいません。曲間で5分とか3分くらいしゃべるのですが、3分って結構な時間で。大阪はお笑いの偏差値が高いので、ちょっとプレッシャーですよね(笑)。

――松元さんから御覧になって、関西フィルオーケストラはどんな印象ですか?

「やるで!」という気概がすごくあって、「音楽をやるんだったら、楽しくやろうよ」というアンテナが最初から出ているオーケストラです。これまで何回か演奏会でご一緒させていただきましたが、最初から変な緊張がなくご一緒できるオーケストラです。

――演奏者の皆さんはどんな個性をお持ちでしょうか。

楽器によって性格がちょっと出るんですよね。打楽器の人って、いろんな楽器に携わるので、楽しそうに演奏されています。大きい楽器を演奏している方たちは、「やりますよ」と背中で語っていて。バイオリンの方とかは、それこそ3歳とか4歳ぐらいから音楽をずっとやっているので、しゃべるように奏でるというか、饒舌に語っているように見えて。楽器によって表情が違って、同じ顔ではないんですよね。

――ちなみに、お笑いとクラシックに共通点は見出されていますか?

それは、お客さんに喜んでもらうことが第一だということです。どちらも自分が楽しいと思って、自分のためにやっていると、全然、喜んでもらえません。オーケストラもお笑いも、お客さんのためにやらないと、という思いはすごくあります。お客さんに楽しんでもらうのが一番です。「楽しむ」ってイージな言葉に聞こえがちですが、実は難しいと思うんですよ。楽しんだふりはできるけど、心の底から「来てよかったな」とか、「時間、損していないな」と思うのって、本当に難しい。「あっという間の時間」という表現がありますが、そういうような時間を提供できるかどうかは、お笑いの持ち時間の3分も、シンフォニーの1時間も変わりません。

――最後に改めて、『関西フィルハーモニー管弦楽団 春の特別演奏会』の意気込みをお願いします。

関西フィルはオーケストラ入門にもすごく力を入れていて、この『春の特別演奏会』は、すごく聞きやすい曲目ばかりなので、まさに入門にぴったりです。僕も分かりやすいトークをします。それは自信ありますので、演奏もトークも楽しみにしていてください。

取材・文:岩本




(2023年3月24日更新)


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関西フィルハーモニー管弦楽団
<春の特別演奏会>

チケット発売中 Pコード:240-661
▼3月26日(日) 15:00
東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
全席指定-3500円
[指揮]松元宏康
※未就学児童は入場不可。
※都合により、演奏曲目、演奏曲順が変更になる場合があります。予めご了承ください。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

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