ホーム > インタビュー&レポート > オーケストラをバックに歌う 15周年記念にふさわしい豪華なコンサート 『Premium Symphonic Concert 2023』開催 LE VELVETS インタビュー
当初は路上ライブからスタート
いろいろな発見があり、精神力も鍛えられた
――今年、15周年を迎えられてどんなことを実感されていますか。
佐賀「本当にいろんなことがあったんですけど...、今はあっという間という感じがしています。 当初は路上ライブからスタートしたんですよ」
佐藤「最初の路上ライブの時に投げ銭でいただいたのが2400円なんです。それは額に入れて今も事務所に飾っています。」
――え、そうなんですか? 2400円というのが信じられないです!
佐藤「いやいや、お金をいただけること自体が驚きで。すごい!2400円ももらえるんだって...(笑)」
佐賀「それで僕らはスピーカーを買い、マイクを買い、アンプを買ってきたので。そのアンプを今も大切に使っています。その路上ライブをやったのが15年前と思えないほど、あっという間でしたね...」
佐藤「昨日のことのように思い出しますよね」
――路上ライブではどんな体験をされたんですか。
佐賀「路上ライブでクラシックをやる人はあんまりいないから、いろいろ心配していたんですが、まずはやってみようと。実際、歌ってみたら、歩いている人が止まって聞いてくれる曲もあれば、止まらずにそのまま行ってしまう曲もあって...、自分達の中でもいろいろ発見があった良い体験でしたね」
佐藤「路上でこれだけ大きい声で歌う人もなかなかいないですし、人も集まってくれるんですけど、警備員さんも集まるっていう...。だから、どこまで行けるかなと思いながらやってましたね。精神力もすごく鍛えられました」
――LE VELVETSという名前の通り、4人の声が合わさるハーモニーは高級なヴェルヴェットに包まれるようです。この15年でさらに磨きをかけてこられたのでは?
佐藤「メンバー全員が音大の声楽科出身なのでプライドがあって、個性のぶつかり合いだったんですよね。だから、最初の頃はお互いにアドバイスも聞き合えなくて、まとまるものもまとまらなかったし、もう本当に下手だったと思いますね。(クラシックの)基礎はあっても、声を合わせるとまた別ですし、なかなか難しかったですよね...」
――そこからどのようにまとまっていったんですか。
佐藤「やっぱりそのままでは上手くならないんで。ちょっと1回みんなで話し合って、お互いに聞き合おうと。何か言われたら、自分のプライドを捨てて直そう!そして、お互いを尊重し合おう!っていうことを話し合ってから、やっとちょっとずつまとまるようになってきました」
――当初からリーダーはいらっしゃらないそうですけども。
佐藤「そうですね。リーダーはいないとはいえ、1番年上の宮原さんがとにかく優しくみんなを見守ってきてくれました。メンバーそれぞれが得意なことを担当したりもしていて、例えば、当時は佐賀さんがMCを考えましたね」
――LE VELVETSのコンセプトはクラシカルクロスオーバーということで、クラシックをベースにしつつも、他のジャンルも含めたクロスオーバー感覚っていうのは、元々持ってらっしゃったんですか。
佐藤「いや、不安でしたね。ひとつのコンサートでポップからクラシック、ロック、民謡まで歌って大丈夫なのかなと。でも、それを路上で歌ってみた時に、"面白い"と思って、立ち止まって聴いてくれる人を見て。あ、行けるんだ!って。そこで教えてもらった感じがありました」
――LE VELVETSで歌う前は、クラシック以外はあまり興味がなかったのですか?
佐藤「いや、そんなこともないんですけれども。クラシック以外の曲も歌たいたいと思って、このグループに入ったので。いろんなジャンルの歌が歌えるというのは万万歳だったんですけどね」
佐賀「僕も同じ感じで、色々歌えると思って始めたんです。予想していたのはクラシカルクロスオーバーだったんですが、いざ始まってみると、もっと幅広くて...。最初は自分も戸惑ったし、これを歌っても、お客さんもどうしていいかわかんないだろうと思っていたんですけど、路上ライブでやってみると、喜んでくれるお客さんがいまして。あ、いいのかっていう...。そこから自分の意識も変わりましたね」
――歌うこと以外で、エンターテインメントとして意識していることは?
佐藤「トークですね。面白おかしく軽妙なトークをさせていただきたいなと(笑)。MCは結構ファンの方も楽しんでくださっているので」
――MCでメンバーの素顔が垣間見れるように、オープンにしていこうっていうのは当初から?
佐藤「いやいや(笑)、最初の頃はプロデューサーに一字一句作られたMCを読めと言われてました。当初は本当に何もわからない状態だったので、急に喋って、面白いトークができるのかって言われたら、 確かにできなかったかなと。今はもう大体の筋だけ決めて、あとはフリートークにしています」
佐賀龍彦(テノール) が脳梗塞を発症後、
急速に回復してステージに復帰
――佐賀さんは、一昨年に脳梗塞を発症されてリハビリをされてきたそうですが、現在の体調はいかがですか。
佐賀「昨年の10月からステージに復帰しまして、秋のツアーやディナーショーとやっていくうちに、本番ごとに良くなっていると実感しています。(リハビリ当初は)やっぱり身体が、若干思うようにならないっていう部分もあったんですけど。ひとつひとつ乗り越えてきて、今はまた楽しくできるようになってきました」
佐藤「本人の頑張りが本当にすごかったですね。昔から佐賀さんって、こうだと決めると曲げない性格だったんで。(手術後に)"2ヶ月後にはもう戻るから"みたいなLINEが届いて。"ゆっくり休んで、来年には復帰できるように頑張ろうね"って返したら、"もっと早く戻れるように頑張る!"って返信がきて。そのくらい強い意志でリハビリを頑張ったから(ステージに)戻れたんだろうなと思いますね」
――そうなんですね。
佐藤「一昨年の12月くらいに(手術後)初めて事務所で会った時は片足を引きずりながら歩いて、会話も一言を返すのに2秒3秒待たないと言葉が出てこないような状態だったんです。歌も全然歌えなくなっていて...。基礎の基礎、声を響かせるっていうこともできてなくて。佐賀さんに、声ちょっと響いてないですけど、こういうの(響かせ方を)忘れてませんかって言ったら、佐賀さんも"あ、確かにそんなことやってたね!"って、思いだすような感じで。それだけ脳もダメージを受けてたんだなっていうのを肌で感じて。そこから去年の10月に復帰するまで、(リハビリに励んで) あそこまで戻ったっていうのは、本当にたくさん努力してきたからだなっていうのは、身近で見ていてすごく実感しましたね」
――佐賀さんの意志の強さと大変な努力によって、急速に回復されたんですね。
佐賀「僕の中ではもっと早くに回復してるはずだったんですけど(苦笑)。本当にメンバーやファンの人たちの力がすごく大きくて。自分ではもう辞めたい...と思ってても、ファンの人たちが待ってくれてるんだって思うと頑張れるんですよ。(現在の状態は)まだ70パーセントぐらいだと思ってるんですけど、 もっともっと良くならないといけないなとは思っています」
――脳梗塞から回復していくために歌うことは体に良かったんでしょうか。
佐賀「歌は夜2時間ぐらいやっていました。やっぱり体を動かすことも大切で、はじめのうちは全然進歩せず不安に思うんだけど、実は少しずつ進歩していってて。とにかく続けることですね」
――そんな大変な試練を乗り越えて今回の15周年を迎えられたんですね。
佐賀「3人のステージっていうのは、それはそれで、本当に素晴らしいものがあって。袖から見ていて、本当にキラキラしているというかね...。ホント、いいステージをしてるなぁ...と」
佐藤「(佐賀さんが)袖で聴いて、感動して泣いちゃってるんですよね(笑)」
オーケストラをバックに1人1人がソロで歌う
グループの公演では今までにないステージが実現!
――また4人揃ってステージに立つようになって、次に臨む『Premium Symphonic Concert 2023』の演目はクラシックとミュージカルの曲ということで。
佐藤「一部はクラシックで、2部はミュージカルが主体になる感じです。第一部はソロでオーケストラを背負って歌うシーンもあるんですよ。佐賀さんはソロで『グラナダ』を歌います。ソロではマイクを外して、生の声でやれたらいいなと思ってるんですけれど。会場の感じと音響の感じで調整しています。」
佐賀「もし、それができた時にはまさに自分たちが今まで積み上げてきた15周年にふさわしいステージができるんじゃないかなって思いますね」
――ソロで歌われる楽曲は、それぞれがお好きな曲や得意な曲を選曲されているんですか。
佐藤「そうですね。僕が歌う『衣装をつけろ』はもう本当に憧れの曲で。大学時代から大好きなテノール歌手が歌ってた曲なんです。 僕、オペラ初心者の人に"何がいいですか?"って聞かれた時に、この(曲を歌う)『道化師』というオペラをおすすめしてるんですよ。これは1時間くらいで短いんです。ヴェリズモ・オペラで悲劇なんですけれど。ちょっと重い内容もあるオペラの良さを知ってもらいつつ、 音も曲もすごく濃厚なんです。その中で、今回は『衣装をつけろ』というテノールが歌う曲を歌いたいなと思って選ばせてもらいました」
――この曲を佐藤さんがソロで歌われるのは何回目になるのですか?
佐藤「今回が初めてです」
――それは貴重ですね! 今まで歌わなかったのは、なにか理由があるんですか。
佐藤「いや、歌う機会がなかったんです。ずっと歌いたいなと思ってたんですけどね。佐賀さんの『グラナダ』は、佐賀さんがずっと歌ってきた定番中の定番。佐賀さんといえばこの曲!みたいな曲なんです」
佐賀「この曲は復帰してからも歌ったことはあるんですけど、オーケストラで歌うのは初めてですし、しかもマイクを外して自分の歌声を届けるとなると...これはなかなか面白いものになると思います。頭ではイメージできているんですが、なかなか言葉では表現できない...、オーケストラによる波打つような音のうねりが生まれて、そこに自分の声が乗っていくという...」
佐藤「生のグルーヴ感みたいなものが生まれますからね」
――コロナ禍では、生で体験できなくなった時期もありますが。生で聴くからこそ味わえる感動を体験できるんですね。
佐藤「第2部では、私が出演させてもらっている『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンとして歌ってる『彼を帰して』をソロで、『民衆の歌は』はみんなで歌います。前回『レ・ミゼラブル』に出演させてもらった時は、コロナで大阪公演が中止になってしまったこともあったので。そこで聴き逃した方は、 ぜひこのコンサートで聞いていただきたいなと思います」
――オーケストラと共演するというのは、 LE VELVETSとしてもレアなことですか。
佐藤「そんなに多くはないので、本当に貴重だなと思いながら毎回出演させてもらってますし、グループのコンサートで(オーケストラをバックに)1人1人がソロで歌うというのは、今までなかったと思います」
――どのようなお気持ちで歌われますか。
佐藤「気持ちよさと緊張感がありますね。オーケストラは指揮者の人との息の合わせ方が緊張する部分ではありつつ、だからこそゴージャス感が出せる、 貴重なコンサートだと思いますね」
佐賀「指揮者もそうですが、オーケストラの演奏に自分たちもハーモニーを合わせないといけないので。そこは緊張感はありますが、その分お客様にはすごく楽しんでもらえると思います」
――では最後に『Premium Symphonic Concert 2023』開催を前に、ファンの皆様にメッセージをお願いします。
佐藤「今回はオーケストラをバックにお届けする15周年を記念するにふさわしい豪華なコンサートです。僕たちのクラシカルをベースとした本当に幅広いエンターテインメントの音楽を堪能していただけると思いますので、皆様ぜひお越しください!」
佐賀「この15年歩んできた今の僕らを見てください!という感じのプログラムになっていると思います。京都は桜も満開な時なので、コンサートと一緒に京都の北山のおしゃれな雰囲気も一緒に味わっていただきたいなと思います」
――佐賀さんは京都府文化観光大使ということで、その京都コンサートホール大ホール公演は4月1日ですね。
佐賀「昨年はこの頃、桜が咲乱れてすごく綺麗だったと聞いてるので。会場に来る道中も、きっと楽しんでいただけるかなと思います」
Text by エイミー野中
東京公演のレポートが到着!
■billboard JAPAN
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/123137
■アイデアニュース
https://ideanews.jp/archives/137017
■東京公演音源YouTube
(2023年3月28日更新)
ル ヴェルヴェッツ…2008年結成のヴォーカル・グループ。宮原浩暢(バリトン)、佐賀龍彦(テノール)、 日野真一郎(テノール)、佐藤隆紀(テノール)で構成。グループ名は、“柔かく上品で滑らかな生地=Velvet”に由来し、音楽評論家の湯川れい子先生が名付け親。メンバー全員が音楽大学声楽科卒業し、身長180㎝以上を条件に選抜された。クラシックはもちろん、ロックやポップス、ジャズ、日本の⺠謡に至るまで、様々な ジャンルの歌を4人のハーモニーで自在に表現し、独自の世界を創り上げている。2023年に結成15周年アニバーサリーイヤーを迎えた。
LE VELVETS オフィシャルサイト
https://www.le-velvets.com/
【京都公演】
チケット発売中 Pコード:232-015
▼4月1日(土) 17:00
京都コンサートホール 大ホール
S席-12800円(特製プログラム付) A席-9800円(特製プログラム付)
[出演]LE VELVETS
[指揮]柴田真郁
[演奏]京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
※未就学児童は入場不可。車椅子をご利用のお客様は、問合わせ先までお電話にて問合せください。公演の実施や収容率については政府の方針、感染状況等により判断いたします。チケット購入時にご登録の氏名、緊急連絡先等は必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただく場合がございます。チケット購入の際は、必ず公式サイトに掲載している注意事項をご確認の上、チケットをお求めください。<ご来場のお客様へのお願い:https://billboard-cc.com/classics/notice/>
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は3/11(土)15:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888
【東京公演】
▼5月27日(土) めぐろパーシモンホール
【愛知公演】
▼5月28日(日) 一宮市民会館
【静岡公演】
▼6月3日(土) 三島市民文化会館 大ホール
【埼玉公演】
▼6月9日(金) サンシティ越谷市民ホール
【神奈川公演】
▼6月11日(日) 鎌倉芸術館
【大阪公演】
▼6月24日(土) 南海浪切ホール 大ホール
【兵庫公演】
▼6月25日(日) たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール大ホール