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ロックンロールコンサートの熱気を
“生きてる実感”をライブで噛み締めて!
HOUND DOG、大友康平インタビュー

デビューから40年を超えて、止まることなく走り続ける大友康平=HOUND DOG。1980年代は超人的なライブ数で日本全国を巡り、日本人アーティストとしては初の東京ドーム単独公演を開催するなど、数々の伝説を残している。昨年は現代のチャリティソング『時代遅れのRock'n Roll Band』ミュージックビデオでドラマーとして友情出演し、桑田佳祐らと共に大晦日のNHK紅白歌合戦でも話題を呼んだ。コロナ禍となってからの数年はライブの延期が余儀なくされて、イレギュラー的に秋や夏に開催されることとなったが、今年は恒例となっていた春公演として、HOUND DOG LIVE 2023 『ALL TIME BEST』が3月に開催される。このライブを前に大友康平にインタビュー。“ストロングスタイル”のパワフルなステージングで勇気を届ける自身の熱い信条を真摯に楽しく語ってくれた。

高校時代からやっていて、人一倍愛着があるドラムで
『時代遅れのRock'n Roll Band』MVに参加
もう最高でしたね!


――昨年は、反骨精神を感じさせる痛快なメッセージソング『時代遅れのRock'n Roll Band』のミュージックビデオに特別友情出演されて、紅白にも出演されました。

「そうですね、あれはもう本当に桑田くんが音楽をやってる者の使命として、自分たちの主張をちゃんとしなきゃいけないってことで。1人1人のメンバー(世良公則、Char、佐野元春、野口五郎)に会ってちゃんと口説いたらしいんですよね。で、僕はメールだけでしたけどね。ま、これは一応笑い話にしてるんですけど(笑)。最初の電話で、今こんな時代だからこんなことやろうと思ってるって話してくれて。俺、ギターも弾けねえしさって言ったら、"大友ドラムやってくれないか?"って。あ、いいよ!最高最高って(快諾して)。元々僕は高校時代ぐらいからバンドやってて、ずっとドラムだったんです。ドラムは人一倍愛着があるし、一番好きな楽器だし。ましてや、それでミュージックビデオに参加できるなんて、もう最高でしたね! 楽しくて楽しくて(笑)。音楽っていうのはドラムがカウントをしない限り、始まんないわけですから。自分(のドラム)から始まるっていうのは極上の喜びですよね」

――ちなみに大友さんは今でも普段からドラムを叩かれているんですか?

「リハーサルの時とかにね。ドラムが30分ぐらいやったら、ちょっと休憩時間があるから、俺がこそこそ入ってってそこでドラムを叩くっていう(笑)。今一緒にやってるドラマーはすごくいい音がするんですよ。ドラムって、本当にチューニングが全てですから、チューニングが下手だったら、本当に音も響かないし。ある程度皮を張ってすごく馴染んできて、 破れるちょっと前ぐらいが1番良い音がするんですよね」

――長年ドラムをやってきて熟知されてるからこそですね。

「はい。ドラムはもううるさいっすね!」

――やっぱりバンドの一番の軸になりますよね。

「そうです! ライブっていうのは、ボーカルとドラムがしっかりしていれば聴けるんですよね。いくらギターが上手くて、いくらキーボードがシンセでバーン!とやったところで、やっぱりリズムが決まんなくて、さらに歌がダメだったら、話にならないんで。昔からもロックンロールファンは、ボーカルとドラムがちゃんとしてりゃいいんだっていう。そういうとほかのパートに怒られちゃうんですけどね。だって素人が聴いて、本当に心地よいリズムがあって歌が入ってきたらある程度ライブは成立するわけじゃないですか」

――なるほどそうですよね。大友さん自身が肝心要の両方のパートを経験されてるからこそ、あれだけ圧巻のライブになるんですね。実際にライブで体感させてもらうと音源で聞く以上に、ハードなバンドサウンドですよね。

「そうですね。やっぱりレコーディングテイクっていうのはバランスよく聞きやすく作ってるわけですから。ライブはあんなにバランスよく音を増幅することは不可能ですから。ライブでは、その時その時で、ボーカルとほかの楽器との押し引きがあり、そこがある意味、ロックのライブの醍醐味だと思うんですけどね。だから、ハードな曲はよりハードに、バラードだったら、繊細な曲がより繊細になったりしますよね」

――大友さんがブログで、"以前は自分が引っ張っていたけれども、いつの間にかメンバーに背中を押されている"っていうようなことが書かれていました。それはどのようなことを実感されて?

「まあ変な話、(今のバンドは)大友康平がいて、(ほかのメンバーは)全部サポートメンバーなんですけども。サポートの人たちって、やっぱすごく厳しい状況を生き抜いてきてるから、音楽に対する姿勢が真摯なんですよ。逆に言うと、パーマネントバンドになると、どこかでメンバーに甘えが出てきたりする時がありますよね。リハーサルスタジオでも、"どうせいつもやってる曲やるんだろ?"みたいな...。でも、それは違うんだと。今年が2023年なら、2023年版の音があるだろうし。(サポートミュージシャンは)音楽に対してみんな飢えてるし、真摯だし。そういう取り組む姿勢を見て背中を押されるところがありますね。こっちの注文に対して、たとえ応じることが難しくても、"やります!"ってやる姿勢ですよね。大事なことは甘えないサボらないってことです。練習したってもう上達しねえだろみたいな...、そういうこと言った時点にその人はダメなんだけどね」

――そういうストイックさみたいなものがもう普通にあると。

「うん。あと、その手前味噌になっちゃいますけど、僕は自分たちの楽曲に対して、絶対の自信があるから。サポートのメンバーの人が、もちろんお世辞かもしれないけど、"毎回大友さんがセットリスト作ってきて、バラードなんかも毎回違ってて、とっても新鮮だし、いい曲だから"って言われると僕はとっても嬉しいですね。(有名な曲以外にも)実は色んなタイプの曲があって、結構奥深いなって(思ってくれるようで)、それはとっても嬉しいですよね。その分、演奏するのは難しいってことなんですよね。(曲によって)本当にいろんなパターンがあるんでね」

――それによって、あれだけ迫力満点のステージが完成されるんですね。

「そうですね、この7、8年一緒にやってきて、本当にいい感じで(バンドメンバーと)キャッチボールができるような間柄になってると感じますよね」



自分が歌いたい曲、忘れていた曲を掘り返して
毎回自分でセットリストを考える


――大友さんのステージでは歌ってる時、演奏してる時に感じる物凄いパワーがあり、またMCとのギャップもすごく面白いですね。そこで大友さんの人間味を感じさせてくれます。

「ハハハ、大変なんですよ、本当にもうね~。別に笑かす必要はないですけどもね。普通に喋ってればいいんだけど、どうもダメなんですね。自分の中でもっと面白いこと言えって言ってる自分がいて(笑)」

――ファンの方はそれも含めて楽しみにされてますよね。前にMCでも、お話されてたと思うんですけども、大阪のライブ前はいつも走ってるそうですね。

「ああ、ずっと決まってるルーティーンだから。それを崩すと、 自分の中で気持ちが悪いというかね。走りながらその日歌う曲の歌詞をダーっと早口でチェックするんですよ。そこで引っかかった曲はヤバイんですよね(笑)。だからずっと頭の中で3回しして走ってきて、歌詞は大丈夫だって(確認をする)」

――そうなんですね。大阪公演の時は開演までにいつもそうやって走っているんですね。

「そうですね。森ノ宮ピロティホールの近くの、大阪城公園を最初は下っていって、平坦になって、NHK大阪に向かって上り坂になるんですよね。これは結構きついけど、楽しいですね。だからピロティに行く時は大阪城公園の中を走れるなっていうのがすぐ頭に浮かびます」

――今回の公演のタイトルは『ALL TIME BEST』っていうことで、もう直球ですね。

「毎回"ベスト・オブ・ベスト"でやってるんだけど、それでもまだいっぱい(良い曲が)あるんだよみたいなところですよね。そこで今回はより選りすぐったベスト・オブ・ベストっていうかね。ま、自分が歌いたい曲。自分が忘れていた曲っていうのを掘り返してきてやろうと。自分が楽しくなかったらお客さんも絶対楽しくないし、自分が興奮してなかったら、お客さんも興奮しないんで。まず、自分自身がエンジョイして、スパークリングするというかね。だから毎回自分でセットリストを考えるわけですよね」

――そうなんですね。昨年歌ってない曲も入れて?

「もちろんそうです。(お客さまの)7、8割ぐらいはずっと毎回足を運ぶ方ですから。その人たちは厳しい目を持ってますからね。たいてい大阪が最初ですから、みんな大阪の初日に絞り込んでくるわけですね。何の曲で開けたのかとか、今回はバラードは何をやったのかとか。もうすぐに拡散しちゃいますから。ネットでね(笑)。ダメなんですけどね...(苦笑)。それを見て、じゃあ行こうかなっていう人もいるかもしんないし...」

――ファンのみなさんは、HOUND DOGと40年以上人生を共にしてますからね。その歌を生で聴ける喜びというのは、本当にかけがえのないものだと思います。

「この4、5年は東京2日、大阪2日で、たった4本かもしれないけど、その4本に命をかけるというか、"この4本のために生きている!"っていうね。自分で勝手にキャッチフレーズを作りました。かっこいいな、これみたいな、ハハハ」

――地方の方もいらっしゃるんですよね。

「そうですね、前回は博多でもやったんで、九州地区の人たちは大喜びしてくれました。とはいえ、地方でやるというのは大人の事情でなかなか難しいですよね。だから申し訳ないけど、東京か大阪、近い方に地方の方は足を運んでいただきたいっていうとこになりますよね」

――しばらく大友さんを生で観てない方があのステージを見ると、本当に勇気をもらえますよね。

「ま、青春時代が蘇りますよね(笑)、きっとね...」

――では最後にファンの皆様に皆さまにメッセージをお願いします!

「コロナになってこの数年は大変でしたが、みんな当たり前の日常っていうのが、いかにありがたいものかっていうことを実感したと思います。徐々に規制も緩和されてきて、当たり前に、ロックンロールコンサートの熱気を1つの会場で共有できるってことが改めて嬉しいなってみんなで感じられれば最高ですよね。世界的な状況ではウクライナとロシアのように戦争をやってる場所もあるわけだし、トルコやシリアで大地震が起きた所もあるわけで...。ほんとに僕らは恵まれてると思うんですよね。でもだからと言って、自分たちだけが、恵まれててそれでいいのかっていうことを、あの桑田くんが作った曲で、時代遅れのおっさんたちが叫んでるんだよっていう...」

――時代遅れじゃないと思います。

「いや、"時代遅れ"って、アレ本当は"一番新しい!"と思ってやってますからね。一番シンプルなことをね」

――そうですね。そういうロックンロールのエネルギーを今回もガツンとぶちまけていただけるんですよね。

「"生きてる実感"ですね。昔は(ファンに)学生さんが多かった時は、学校で嫌なことがあっても、ライブを観たら、次の日はまた気持ちよく学校に行けるだろと。そこからずっと年月が流れて、その人たちが社会人になったり、家庭に入ったりしてて、それぞれの立場でいろいろ抱えていることもあるだろうしね。頑張るって言葉が適切かどうかわかんないけど、やっぱ生きることは頑張ることだからね。ぼやっと生きてると、ぼやっと人生も終わっちゃうんでね。やっぱりチャレンジすることが大事だし。だから、僕たちは恵まれた環境にいたとしてもチャレンジできることもあるし、そういう実感を(ライブで)噛みしめていただきたいなってのはありますよね」

――本当に皆さん楽しみにされてると思います。今観ないとみれないかもしれないっていう、自分たちもいつどうなるかわかんないですしね。

「そうそう、ほんと人生なんていつどうなるかわかんないですから。ほんとに、今日やれることは、明日に延ばすなっていう。今日できるんであれば、今日絶対やっておかないとっていうのはありますよね。いつも人生のテーマは"ネクストワン"でやってきたんで。常に前回の大阪のステージを上回る内容でないとダメなんです。前回のコンサートのお返しとして、ネクストワンであるということですね」

――今回も最高だけど、次はまたさらに最高だと、そういう気持ちで臨まれるということですね。今回も力強いお言葉ありがとうございました!

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Text by エイミー野中




(2023年3月16日更新)


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Profile

1976年、東北学院大学在学中に学校の仲間とHOUND DOGを結成。1980年にアルバム『Welcome To The Rock’n Roll Show』、シングル『嵐の金曜日』でメジャー・デビューを飾る。軽快なロックンロールと重厚なバラードを武器にライブでは絶大な評価を得る。1982年発売の『浮気な、パレットキャット』は、のカネボウ春のキャンペーンソングに起用された。1985年、シングル『ff(フォルティシモ)』、アルバム『SPIRITS!』が大ヒット。その後『Only Love』、『Ambitious』、『BRIDGE』など数多くのヒットを生み出し、アルバム『GOLD』、『BRIDGE』はオリコン1位を獲得。デビュー以降2000本以上のライブを行い、武道館15日連続公演記録、人口5万人以上の街で行けるところは全て行くと3年をかけ計207本の全国ツアー(Bloods Live Tour '86-'88)を行い、そのツアーの最終公演は日本人アーティスト初の東京ドーム単独公演だった。そういった記録だけでなく、HIROSHIMAピース・コンサート(チャリティ)を10年間行い、被災者施設を建設するなど、日本のロック文化を常に担い続け、今現在も被災者施設で毎年慰問ライブを行っている。2005年デビュー25周年を迎え、2006年9月2日には、大友康平50歳でHOUND DOG 50回目の武道館公演「THE ROLLING 50’s & THE GLORIOUS 50’s」を行った。2008年1月からNHK教育テレビで放送されたアニメ「メジャー4thシーズン」の主題歌である『RISE』を2008年3月26日にリリース。2008年5月28日にソロプロジェクトとして、70年代の名曲に特化したコンセプトカヴァーアルバム「J-STANDARD 70’s」をリリースし、全国ツアーを行った。2009年5月20日には「HOUND DOG ULTIMATE BEST」をリリース。2010年にはデビュー30周年を迎え、3組(Cheryl Lynn , LGYankees、世良公則)の異なるジャンルのアーティストとの初のコラボレーション作品「コラボ×3」をリリース。同年12月、敬愛するHOUND DOGの楽曲をJAZZアレンジしたライブ「HOUND DOG JAZZY NIGHT」を開催。2012年11月7日に2枚目のカバーアルバム「J-STANDARD BALLADS」をリリースし、全国ツアーを行った。衰えを知らないパワーで今なお、毎年デビュー日を記念してHOUND DOGのLIVEを行っている。2020年に40周年を記念して行われる予定だったツアーが新型コロナウイルスの影響で 全て延期…しかし、立ち止まることなく、バンド自身初のオンラインライブを3回行うなど精力的に活動を続け、2021年に3月東京・11月大阪で40th+1という形で40周年の振替公演を有観客で行った。2022年は8月と9月に、HOUND DOG LIVE 2022『Starting again at Route 66』を大阪、東京、福岡で開催。2023年、HOUND DOG LIVE 2023『ALL TIME BEST』が3月18日(土)・19日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホール、3月24日(金)・25日(土)東京・EX THEATER ROPPONGIで開催。


Live

HOUND DOG LIVE 2023『ALL TIME BEST』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:232-855
▼3月18日(土) 18:00/19日(日) 16:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-9900円 ※指定はSold out!!
立見-9900円(整理番号付)
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:232-118
▼3月24日(金) 19:00/25日(土) 17:00
EX THEATER ROPPONGI
一般指定席-9900円(ドリンク代別途必要)
※未就学児童は入場不可。
※チケットは1人4枚まで。
[問]サンライズプロモーション東京
■0570-00-3337

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