ホーム > インタビュー&レポート > GREENS主催の新イベントがスタート! ストレイテナー、cinema staff、MONO NO AWARE、 Cody・Lee(李)の4組が生んだこの日だけのシナジー 『GORILLA HALL OSAKA KOKERAOTOSHI series “GREENS presents CRETODY 2023 !!”』ライブレポート
GORILLA HALL OSAKAは、今年1月21日にオープンしたばかりの新しいライブハウス。欧米のライブハウスに着想を得た、オールスタンディングOKのコの字型の2階席が最大の特徴だ。今回2階は関係者席として使われており、筆者はここからライブを見たのだが、ステージとの近さと見やすさに驚いた。また、最新鋭の照明・音響システムが導入されているため、音が本当に良くてこれまた驚いた。まだ新築の匂いのする1階フロアで開演を待つオーディエンスからは、そわそわとした高揚感が感じられた。
【MONO NO AWARE】トップバッターはMONO NO AWARE。重厚なSEが流れ、暗転したステージにメンバーがスタンバイ。柳澤豊(ds)のビートが勢いよく叩き込まれ、「井戸育ち」から軽快にライブスタート。加藤成順(g)のリズミカルなギターリフが耳に心地良く、玉置周啓(vo&g)の伸びやかな歌声と韻を踏む歌詞が会場を満たしてゆく。竹田綾子(b)の骨太ベースラインが響く「かむかもしかもにどもかも!」では、玉置が早口言葉を歌いまくる。その見事な滑舌に客席からは拍手喝采。続けて親しみやすいメロディの「ゾッコン」、うなるような歪みギターとボトムで支えるベースラインが独特の空気を醸し出す「幽靈船」を披露。轟音のギターソロが全身に立体的にまとわりついた時は、とても痺れた。ここまで4曲、全く表情の異なる楽曲を次々に投下する幅の広さはさすが。どの曲も一筋縄ではいかない展開だが耳馴染みが良く、キャッチーで自然に踊らせる。
MCでは玉置が「今日はちょっと緊張の面持ちというかですね、何せストレイテナーとcinema staffという大先輩がいる中で、久々の楽屋にご挨拶させていただくやつもやったり。アジカン以来ですね。(ホリエに)"後藤さんにはお世話になった節があります"と伝えようと思ったけど、オーラがすごすぎて世間話するムードじゃないなと思って走って帰りました」とテナーとのエピソードを語った。シネマの辻とは、辻が運営する飲み屋「えるえふる」を通じて7年前から面識があるそう。「Cody.Lee(李)は後輩なんで容赦はしない(笑)」と仲の良さを感じさせて、話題は楽屋のトイレの話に。「男子トイレにも音姫がついてるってことで、Cody・Lee(李)の高橋くんとニシマくんが、"すんごい(音が)デカいんですよ"と言ってて。さっき入ってみたんですけど、確かに相当良いスピーカー付けてんだろうなって。皆さん側のトイレにもついてるなら音姫の音響もぜひチェックしていただきたいです」と場を和ませて「LOVE LOVE」へ。濃厚な愛情をメロウで柔らかいサウンドに乗せて響かせた。
(ちなみに客席エリアのトイレには音姫はついていないとのことで、残念だ)
エキゾチックでパワフルな「異邦人」、キレとしなやかさのある「言葉がなかったら」を経て、ラストチューンは「東京」。玉置の「せーのっ!」という掛け声から、最高に気持ちの良いアンサンブルを響かせる。コーラスワークも印象的で、彼ららしい日本的な不思議な美しさと中毒性のあるサウンドには思わず聞き入ってしまう。最初こそやや表情に固さが見られたものの、しっかりと爪痕を残したMONO NO AWAREだった。
【Cody・Lee(李)】
中村一義の「キャノンボール」をSEに登場したCody・Lee(李)。大阪でのライブは『RADIO CRAZY 2022』ぶりで、今年初の大阪公演となる。高橋響(vo&g)がメンバー1人ずつと握手を交わして気概を高める。ニシマケイ(b&cho)のグルーヴィなベースラインが空間を震わせて1曲目の「悶々」を披露。高橋と尾崎リノ(vo&ag)のハーモニー、力毅(g&cho)の繰り出す独創的なギター、フロント4人を支える原汰輝(ds&cho)のパワフルなビートのバランスが良く、先ほどのMONO NO AWAREとはまた違う色のアンサンブルが奏でられる。そして間髪入れず、疾走感たっぷりの「W.A.N.」で会場の熱をまたひとつ高めていった。
MCでは高橋が「呼んでいただきありがとうございます。ええと、ガチで音姫がデカい」と口火を切ると男性陣が「デカかったね」「まじで思いました、それは」「入るたびに鳴り出すから"入ってますよー"と言っちゃってる」と続々と同意。やはり音姫のインパクトは大きいようだ。そして、力毅が着ていたフロントに大きなゴリラがプリントされたトップスに注目が集まり、「こけら落としにして正解を出してしまった服です。この日のために買ったんじゃなくて、持ってたんですよ。今日ゴリラホールだし着て行こうと思って」と嬉しそうにファッショニスタぶりを発揮していた。
本編に戻り、多幸感溢れるダンスチューン「DANCE風呂a!」、高橋と尾崎の掛け合いが気持ち良いアーバンな「異星人と熱帯夜」で会場をさらに踊らせてゆく。2度目のMCでは高橋が「今日は錚々たるメンツに混ぜていただきました。多分最年少的なので頑張ります!」と気合を見せる。ストレイテナーとはフェスで一度面識があり、今日のリハを見学させてもらったと話し「ちょっとグッときすぎたものがあり危なかったですね。僕たちがだいぶキテる曲がだいぶキテるらしいんで、準備しといた方がいいかもしれませんね」との言葉には客席がざわつく。というのも「高校に入って初めてやったコピー曲が「Melodic Storm」でした」とのこと。「だからすごく嬉しい」とテナーへの憧れを語り、「シネマも以前弾き語りイベントで飯田さんと一緒になって、対バンは初めてで嬉しいです。MONO NO AWAREは本当に良いバンドだなと思いましたね。うざいくらい良いです。(袖に向かって)好きでーす(笑)」とそれぞれの出演者に愛を告白した。
後半、「世田谷代田」でまたひとつ気持ち良いアンサンブルを響かせた後は「愛してますっ!」「我愛你」を続けざまに投下。ラストは短めのロックチューン「When I was cityboy」を豪速球でプレイ。フロントマン4人でのシンガロングはとてもエモーショナルだった。
【ストレイテナー】
極上のサウンドと抜群の表現力で圧倒的な存在感を示したのは、今年結成25周年を迎えたストレイテナー。SEが流れると同時に客席からはクラップが大発生。待ってましたの気持ちが溢れ出す。ナカヤマシンペイ(ds)はいつものようにドラムセットの上に立ち、フロアを見渡してニヤリと笑う。1曲目は、先ほどCody・Lee(李)の高橋が学生時代にカバーしたと話していた「Melodic Storm」。煌めくバンドサウンドを一身に浴びて、会場の幸福度がぐんとアップしたことがわかった。大山純(g)のギターリフ、日向秀和(b)とナカヤマの繰り出すビート、ホリエアツシ(Vo.&G.&Piano)の柔らかい歌声が、期待通りに会場を染め上げていく。日向がベースを持ち替えた「原色」では、グルーヴィなベースラインとわななく大山のギターリフが絡み合い、ナカヤマのドラムにも力強さが増す。いきなりの名曲連発に会場の熱はぐんぐん上昇。
MCではホリエが「俺たちストレイテナーっていいます。大阪、あけましておめでとうございます」と挨拶。テナーもこの日が今年初大阪ライブ。「今日はGREENSの新しいイベントに呼んでもらって。cinema staffは置いといて(笑)、新鮮な対バンで、しかもさっき若干ハードルを上げられたという。何の曲にグッときたんだろう。聞けばいいのか。この後聞きたいと思います(笑)」と高橋のMCにも触れて「SIX DAY WONDER」へ。ホリエの指先から奏でられるピアノで、この上ないほど美しい時間が流れていく。音と光に包まれて、まるでもっと広い場所にいるかのように錯覚した。かと思えば次は雰囲気が一転。ジャジーでダーク、彼らの高い技量をがっつり詰め込んだ「Parody」と、ホリエの力強くも切なさの宿った歌声が心に迫る「群像劇」を情緒たっぷりに披露。大人の色気を見せつけて客席の心を撃ち抜いた。
「今シティポップ風の曲をMONO NO AWAREとCody・Lee(李)に捧げたんですけども、これから後はエモい曲をcinema staffに捧げたいと思います」とホリエ。その言葉通り、「The Place Has No Name」「REMINDER」と続けて最強に豊かでエモーショナルなアンサンブルを響かせた。"エモーショナル"と一言に言っても、その種類が曲によって全然違う。彼らの表現力の奥深さにはただ脱帽した。そして「最後の曲です。大阪ありがとうございました!」と放ち、アンセム「シーグラス」でライブを締め括った。40分という時間ながら、ものすごい余韻と満足度。ステージに立つとたちまち熱狂を生み出す貫禄と実力は、まさにヒーローだった。
【cinema staff】
大トリはcinema staff。SEが流れてメンバーが登場すると客席は大きな拍手で迎える。飯田瑞規(vo&g)が「cinema staff始めます!」と一言放ち、「シャドウ」を披露。1曲目から激しくエモーショナルで、どこか上品さも漂うロックサウンドを解放する。三島想平(b)は頭を振り乱し、辻友貴(g)は体を折ってのっけから全力プレイ。飯田の高く柔らかな歌声が突き抜けて、存分にシネマ節を聞かせてゆく。続く「great escape」では鼓膜を揺るがす轟音が繰り出される。久野洋平(ds)の繰り出すヘヴィな音が立体的な塊となってこちらへ向かってくる。ものすごい疾走感で駆け抜けた後は、辻のギターが低く鳴り響いた「海底」へ。飯田のボーカルをしっかりと支えた三島のコーラスワークも見事だった。
MCでは飯田が「GORILLA HALL、こけら落としおめでとうございます。いつもお世話になってるイベンターGREENSの皆さんに誘っていただき、MONO NO AWAREとCody・Lee(李)、新鮮な対バンで楽しんでおります。皆さんも来てくれてありがとう」と挨拶。「テナーがラストじゃないんかと思ってる方々、ほんとにその通り。ほんとにその通りです。"させられたトリ"ってやつです。でもエモい曲を捧げていただいたんで、僕ららしく全力でいきます。新曲を聞いてください」と昨年12月にリリースされた「陸の孤島」を浮遊感たっぷりに演奏。さらに久野のダイナミックなビートから幕を開けた「salvage me」では、飯田の透き通る歌声と美しいコーラス、骨太なリズム、繊細なギターが絡み合い、剛と柔どちらも併せ持ったシネマの懐の深さを感じさせるパフォーマンスで魅了した。
2度目のMCでは「初めて見てくれてる方もたくさんいると思うんですけど、我々地元が岐阜でして、『OOPARTS』というフェスを毎年やってます」と、昨年テナーが出演した『OOPARTS』をアナウンス。今年は4月に開催予定だ。そして「3バンドともほんとに素晴らしいバンドで、素敵なメンツとこうやって出会えて、一緒にやれて嬉しいです。今日最高の状態で締め括りたいと思ってますのでついてきて!」とラストスパートに向けて一気に加速! メロディアスでステージ全体が輝きに包まれた「奇跡」、ものすごい爆発力をもってソリッドに叩き込んだ「西南西の虹」を経て、ラストは「3.28」。割れんばかりの爆音とノイジーなサウンドで圧倒した。轟音の中に咲く一輪の花のような飯田の歌声と、三島と辻による生命力溢れるコーラスも素晴らしかった。
なお、cinema staffの照明演出がとにかく素晴らしかったことも記しておく。ビートごとの点滅、曲の展開に合わせて目まぐるしく形を変えるライト、メンバーの合間を縫って走るライトなど、ドラマティックな演出の数々はその日の記憶を鮮やかに焼き付けた。メモを取る手を止めて、思わず見入ってしまうほどのクオリティだった。
アンコールでは久野が「音姫のサウンド、めちゃくちゃ良かった」と微笑む。「ほんとにデカいんですよ。ちょっと急かされてる気持ちになるよ、あそこまでデカいと」と、まさかの音姫トークがここまで引き継がれる(笑)。飯田は「ここのハコ、めちゃくちゃ良くないですか?演奏者これヤバいのよ。わかんないよね、そんなこと言われても(笑)。でもきっとフロアも見やすくないですか?今後ともここでやろうと思います」と、GORILLA HALLをお気に召した様子の飯田。同ホールのホスピタリティの高さはあちこちのバンドマンの間で囁かれているが、やはり間違いないようだ。
そして「GREENSのスタッフに最後何の曲やればいいですかねと聞いたらこの曲だったんで、やって帰ります。ありがとう!」と「白い砂漠のマーチ」を爆音で投下。最大級の熱量で盛り上げて、大役をバッチリ果たしたcinema staff。15年のキャリアに裏打ちされた堂々たるステージングはシンプルにカッコ良かった。
こうして初回の『CRETODY』は大団円で終了した。トップバッターのMONO NO AWAREからcinema staffまで、4バンドの想いとリスペクトがそれぞれに引き継がれ、結果的に相乗効果が生まれたのは明白。あたたかくも刺激的な、素晴らしい1日となった。ぜひ次回の『CRETODY』を楽しみにしていよう。
Text by ERI KUBOTA
photo by ピー山/Takafumi Yamashita
(2023年3月 8日更新)
『GORILLA HALL OSAKA KOKERAOTOSHI series “GREENS presents CRETODY 2023 !!”』
2023.2.12 Sun at GORILLA HALL OSAKA
出演:ストレイテナー/cinema staff/Cody・Lee(李)/MONO NO AWARE
MONO NO AWARE
M1. 井戸育ち
M2. かむかもしかもにどもかも!
M3. ゾッコン
M4. 幽靈船
M5. LOVE LOVE
M6. 異邦人
M7. 言葉がなかったら
M8. 東京
Cody・Lee(李)
M1. 悶々
M2. W.A.N
M3. DANCE 風呂 a!
M4. 異星人と熱帯夜
M5. 世田谷代田
M6. 愛してますっ!
M7. 我愛你
M8. When I was cityboy
ストレイテナー
M1. Melodic Storm
M2. 原色
M3. SIX DAY WONDER
M4. Parody
M5. 群像劇
M6. The Place Has No Name
M7. REMINDER
M8. シーグラス
cinema staff
M1. シャドウ
M2. great escape
M3. 海底
M4. 陸の孤島
M5. salvage me
M6. 奇跡
M7. 西南西の虹
M8. 3.28
チケット発売中 Pコード:237-628
▼6月9日(金) 19:30
Shangri-La
オールスタンディング-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以下は保護者同伴につき入場無料。新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン~ご来場いただく皆様へお願い~https://smash-jpn.com/guideline
※チケットは、インターネットのみで販売。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224
『FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』
3月25日(土)一般発売 Pコード:237-410
▼5月7日(日) 12:30
大阪城音楽堂
前方自由席-4580円(整理番号付)
後方立見-4580円(整理番号付)
[出演]Omoinotake/Cody・Lee(李)/Tele/羊文学/フレデリック/Lucky Kilimanjaro/WurtS
[司会]板東さえか/樋口大喜
※小学生以上は有料。前方自由席でお席が必要な場合は未就学児童も有料。
※雨天決行。荒天の場合は主催者判断のもと中止となります。
※出演者の変更・キャンセルによる払戻しはいたしません。また公演延期や中止の場合以外の払い戻しもございませんので、予めご了承ください。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。パラソル/テント類も持ち込み禁止です。雨天時はレインウェア等をご利用ください。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。【問合】FM802 http://funky802.com/i/lc/
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)のみで販売。1人4枚まで。チケットは、4/30(日)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
チケット発売中 Pコード:236-168
▼6月17日(土) 18:00
神戸 Harbor Studio
スタンディング-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上は有料。
※いかなる場合でもお客様のご都合による払い戻しは対応致しません。ご了承ください。
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)のみで販売。1人4枚まで。チケットは、6/12(月)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
チケット発売中 Pコード:236-168
▼6月18日(日) 18:00
EVANS CASTLE HALL
スタンディング-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上は有料。
※いかなる場合でもお客様のご都合による払い戻しは対応致しません。ご了承ください。
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)のみで販売。1人4枚まで。チケットは、6/13(火)朝10:00以降に引換えが可能となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
『サウンドクリエーター プレゼンツ “ツキアイタイ”2023』
チケット発売中 Pコード:235-257
▼3月26日(日) 12:00
なんばHatch
全自由・男性チケット-3500円(男性のみ有効。入場時に確認させて頂く場合有。ドリンク代別途要)
全自由・女性チケット-1500円(女性のみ有効。入場時に確認させて頂く場合有。ドリンク代別途要)
全自由・カップルチケット-2500円(男女ペア1組分。男女ペアでの同時入場必須。ドリンク代別途要)
[出演]プッシュプルポット/Atomic Skipper/TRACK15/あすなろ白昼夢/Apes/東京少年倶楽部/KOTORI/cinema staff/ENTH/Maki/mother/the dadadadys/THE FOREVER YOUNG/TENDOUJI
※<ウラナイタイ>轟木麟子
※未就学児童は入場不可。
※全券種、全自由・整理番号順となります。
※会場内ではマスクの着用をお願い致します。
※入場時、検温をさせて頂きます。
※こまめな手指消毒をお願いします。
※大きな声での歓声・私語はお控えください。
※終演後は規制退場を行いますのでご協力ください。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は3/23(木)朝10:00以降となります。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400