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満たされるために進み続け、
満たされたらまた次を模索した10年。
「追いかけ続けること」が豊かだと言う
シンガーソングライターKeishi Tanakaインタビュー

ソロデビュー10周年、そして節目とも言える40歳を迎えたシンガーソングライターKeishi Tanakaから、5枚目となるニューアルバム『Chase After』が2021年末に届けられた。なかなか終わりの見えないコロナ禍で見えてきたことや感じたことを綴ったデジタルシングル「I’m With You」のリリースから約1年、世の中は変わったような変わらないような状況でも、Keishi Tanakaは相変わらず日本各地でのライブを軸にやりたいこととやれることを真摯に続けながら進んできた。そんな彼がリリースツアーで来阪するタイミングとあり、久々の対面取材を敢行することになった。新作『Chase After』について、取材翌日に行われる大阪・梅田Shangri-Laでの公演について直接話を聞ける…はずだったのだが、取材当日にバンドメンバーのコロナ陽性により大阪公演、翌日の名古屋公演の開催見合わせが発表となり(その後本人もコロナ陽性となり東京公演も見合わせとなった)、このインタビューも急遽リモートへと切り替わることに。公演開催が見合わせとなった今の心境を聞くと共に、新作『Chase After』について東京と大阪をつないで語ってもらった。

やるべきことは見えているし「世の中そんなに悪くない」


――始めの質問として、『2021年の「I'm With You」リリース時にインタビューさせていただいてから1年ほどですが、お元気でしたか?』と聞こうかなと思っていたのですが...まずは今日、お元気ですか?

元気は元気ですけどバンドメンバーに元気じゃない人もいて、リリースツアーの大阪公演の延期を発表した日ですね、今日は。もうしょうがないですよね。

――本当にそうですね。

自分も含めて誰がかかってもおかしくないと思って生活していたけど、「ついに来たか」と。感染者数が増えているというのも、自分ごとになって実感しています。

――ただ去年のインタビュー時から比べると、音楽業界も公演は通常に近い形になっていて受け止め方は変わったように感じます。

そうですね。かかったらどうするか、わかっていることが増えた分やりやすくはなったけど、ライブは見送るしかないですね。

――公演は延期になったけれど、この後やるべきことは見えていると。

うん、ちゃんと見えてますね(現在、振替公演も発表済み)。

――ちなみに、この大阪公演が延期になるまでの1年ほどはお元気でしたか?

元気でしたよ。元気だったし、今年はリリースの年だったので忙しく過ごしていました。充実した年でしたね。

――前回のインタビュー時はコロナにまつわる話をガッツリとしていて、元気なこともそうじゃないこともあるとおっしゃっていました。

曲がそういうことをテーマにした「I'm With You」のインタビューだったし...実はその前にリリースした『AVENUE』という作品で、コロナの気分は終わらせるはずだったんです。でもやっぱり長引いているなというところで、その後の「I'm With You」もコロナきっかけでできた曲でした。5枚目のアルバムにはとにかくそこから抜け出したものを作って収録したいと思っていて、次作に向けてそういう気分に線を引くためにも、ミニアルバムという形を取って『AVENUE』を出したという経緯があったんです。2020年でそういうモードを終わりますという宣言をしたくて。ちょっとイレギュラーにはみ出た「I'm With You」以降の曲では、直接的にコロナのことを歌ってはいません。

――コロナのことを考えないようにするきっかけはありました?

考えないことはやっぱりできなかったけど、自分の中で作品に反映させるのをやめようと、そう決めただけですね。

――切り替えてみてどうでしたか?

作品にコロナが終わらないかなぁというニュアンスを込めないことはうまくいっていると思います。もし曲を聞いて「これってコロナのこと歌ってる?」と感じるとしたらそれはコロナのことだけじゃなくて、世の中に対する納得いかない部分や不穏な空気に対して「世の中そんなに悪くない」ということを伝えたい音楽でもあるので、コロナだけにこだわって作っているわけではないんです。切り替えてよかったと思います。

――「世の中そんなに悪くない」というのは...。

ずっとそう思ってるし、そう思っていたいし、そう思ってほしいし。なんでそう思うかというといろいろ大変だからなんだけど、大変なこと辛いこと苦しいことは絶対にあるわけで、でもそうじゃないところを信じたいというか信じてほしいというか...。そのひとつが『Chase After』だったらいいなと。これを聞いている時間だけでも気分が軽くなるようなものを作りたいなと思っていて、それがひとつのテーマにもなりました。

――なるほど。心が軽くなる音楽に自分も惹かれていたからこそ、目指した感じですか?

いや、どちらかというとコロナに引っ張られて音楽を作ることに少し飽きたというか、一旦やめたかったんです。象徴的なのは「Let Me Feel It」で、ダンスというテーマで曲を書こうと思って仮タイトルに「5th Dance」ってつけたぐらいで。「Call Me Up」もそうだけど、ただ踊れる曲っていうテーマだけでスタートできた曲はコロナ以降なかったんです。ここ2、3年はもっとひねくれたところから曲作りをスタートさせていたけど、そうじゃなくなくて、もっと純粋な気持ちで音楽に向き合いたかったんです。

――そもそも曲作りの出発点が違うところが、前作の『AVENUE』とは異なると。

そうですね。『AVENUE』の制作時は「人生って楽しい」とは歌えなかったというか、能天気な気分で音楽はできなかったです。今は「わかるよ。わかるけど、こういう音楽を聴いたら少し気持ちが軽くなりませんか?」っていうことが言えるようになってきましたね。



満ちていたいと笑っていたいから、追いかけ続ける


――私は今回の『Chase After』を聞かせていただいて、作品を通して"素晴らしきかな人生!"的な空気を感じたのですが、今回の作品を通したテーマとしては、先ほどおっしゃっていた「気軽に聞ける音楽」や「ダンスしようぜ」という感じですか?

うん、あとは気持ちが軽くなってほしいという意味での「気軽」ですね。

――気持ちが軽くなる音楽を作るためには、制作する本人の気持ちも軽い状態じゃないと...。

うん、確かにそうですね。そう考えると、自分の気持ちを一度軽くするための『AVENUE』のリリースだったのかも。そういう何かがないと、コロナの気持ちを引っ張りそうだなと思っていました。その気持ちを終わらせたくて、区切りを作った感じですね。結果的に1曲(「I'm With You」)はみ出ちゃいましたけど、次のフェーズに突入できたと思ったのは『AVENUE』出した後かな。

――『AVENUE』と「I'm With You」をリリースして、一旦自分の中では線引きができたんですね。

そうですね。あと『BREATH』と『AVENUE』は繋がっていて、音楽的にもブラックミュージックとかゴスペルが自分の中のモードとしてあって、それが自然に反映されているんです。そういうふうに作品作りには今やりたい音楽が明確に反映されていくのが自分の中でもわかっているので、マインド的にもサウンド的にも、またそこから次の作品が作れたかなと思います。

――今回5枚目のアルバムを作るにあたって、どういうものを作ろうと思われていたんでしょうか。マインド的にもサウンド的にも。

マインドは「コロナに引っ張られない」というのがテーマでした。そしてサウンドに関して5曲目までは少し打ち込みに聞こえるような音楽になっているんです。というのも今回もLP盤を出すんですけど、A面からB面に裏返した時にサウンドが変わる形にしたくて。アルバムを作る意味みたいなものを改めて考えて、アルバムを作れるのであれば流れやどういう曲順でとかを意識したいと思ったのでA面B面で分けたというか。後半の方がより近づいてくるような、目の前に現れるような音楽という感覚で、前半は例えばドラムは生で叩いているんだけど音作りを話し合って、加工していくようなことをしたり。過去の作品ではバンドみんなで顔を合わせて録るのが主流だったんです。もちろん今回も何曲かはそのスタイルですが、何曲かは今日はドラムの日、今日はベースの日みたいに順番に録っていくやり方をしてみました。ちゃんとメンバーと向き合って音作りからさらに時間をかけて意見を聞いて進めたので、今回の作品を通してやりたかったことにすごく合っていたと思います。

――「I'm With You」のインタビュー時に、レコーディング自体はひとりで行うものではないけれど、今回は誰かと一緒に制作をしたくて今回はアレンジから人と一緒に制作したとおっしゃっていました。今回もゲストミュージシャンがいたり、バンドメンバーひとりひとりと向き合う制作方法を選んでいるのは、引き続き誰かと一緒に制作をしたい気持ちが強かったからですか?

「I'm With You」の時はかなり制作の早い段階で人を入れるというか、あの時は引きこもって音楽を作りたくないというのが感情としてありました。「I'm With You」の作り方が特別で、今回はもうちょっと通常に近いというかやりたい音楽にもっと振っていっているのでちょっとニュアンスは違うかな。

――今回はバンドメンバーひとりずつと作り込んでいくというやり方をしてみてどうでしたか?

今の自分に合っていたというか、今回のこういう音楽を作るには合っていたかな。僕の作品の中でわかりやすく例をあげると「Just A Side Of Love」を作る時には、みんなでジャーンってやった方がいいんです。顔を見合わせてその時のグルーヴで作った方がいいバンドサウンドと、今回の「Let Me Feel It」みたいにバンドの音だけどループさせて、微熱のまま楽しめる音楽だったりもするので。サビでグッと前に行く感じ...グッと前に音が出た方が気持ちのいい音楽と、前に行かず保った方が気持ちいい音楽があって、その辺の違いなのかなと思いますね。

――ちなみにどんな心持ちで作詞には取り組まれたのでしょうか。

ちょっと背中を押せるようにということに尽きるし、先ほど話した「世界はそんなに悪いものでもないんじゃない?」っていうことを言いたかったというか。具体的なテーマはちょっと違うけど、大きなテーマはアルバムとしてもうひとつあって、生きること、生きるために何が必要かでもありました。アルバムタイトルの『Chase After』っていうのは満たされることに対して追いかけていくという意味があって、なんでもそうですけど欲を満たされたいわけじゃないですか。欲を満たされるために日々生きていて、でも満たされたら満たされたでその状態にいるより追いかけていた時の方が良かったと自分が思ったので、それをタイトルにしました。1stアルバムが『Fill』=満ちるというタイトルだったんですが、満たされるために頑張って、満たされたらまた次へ向かう。満たされた状態に留まっていられない。それを10年ずっと繰り返している。結局追い求めているということはもっと良くなりたいと思っているわけで、その状態ってそんなに悪いことや辛いことですか? って。僕はその状態が豊かな気がして、そういうところをネガティブに見ずに...「Let Me Feel It」でも「満ちていたいと笑えそうかい?」って歌っていて、そこから『Chase After』という全体のタイトルに繋がったりしています。満ちていたいと泣くのではなく、笑っていたい。それが全体的に歌詞で言いたかったことかな。

――コロナと線を引いた後の作品としても、ソロ活動10周年の記念アルバムとしてもすごくピッタリですね。

そうですね。まだ10周年で20年30年もと思っているので、でもどこかで区切りの年っていうのは無意識で感じていたし。実際10年やってきたことを褒めるのも必要だと思うし、そういう気持ちは反映させて然るべきだと思います。

――その気持ちがブックレットの文章にすごく表れていますね。これはWEB掲載NGとなっているのですが、すごく素敵な文章でした。

ありがとうございます。ぜひブックレットでチェックしてください。

――それを読むと、ずっと「生きるとは?」ということをずっと問うて来たのだろうなと強く感じました。

重たく考えてはいないんですけど当然死んではダメで、日々の喜びや小さなことを積み上げることも大事だなってコロナ禍でも思ったし、それができればいろんな問題も大した問題じゃなく見えてきたりいつかは解決もするだろうし。良い時もあれば悪い時もあるという自覚を持つこととか。そういう、当たり前だけどちょっと忘れてしまいそうなことを歌詞では歌っています。

――そんな歌詞だからこそ"素晴らしきかな人生"的な空気感を感じたのかもしれません。そして今回リード曲が「Let Me Feel It」になっているのですが、私はそれがすごく意外で...。

あれ? そうですか?

――いわゆるケイシ節を強く感じたのは「A Base Of Life」でした。

アルバムの全体的なそろそろダンスしませんか? 的なテーマには「Let Me Feel It」がすごく合っていたというのと、「A Base Of Life」は歌詞で核心をついた10周年らしい曲ではあるんですけど、実はあの曲は遊びの部分が大きくて。

――遊びというと?

1stアルバムの『Fill』に収録しているある曲と同じコード進行で作っているんです。普通手癖とかでやっていて似た曲になってしまったら「あ、これこの間作ったからやめよう」って変えていくんですけど、この曲に関しては10周年だしあのコード進行で全部弾いてみようって。そのコードに新しいメロディーをつけて新しい歌詞を書いてみたらどうなるかを自分で遊んでみました。それをこういう取材を通してこのこと知った人が『Fill』を聞いてその中からどの曲とコードが同じなのか探してもらうっていう遊びを仕掛けていて。そういう曲なのでリードという感じは自分の中ではないけど、僕は「A Base Of Life」を初心忘るべからずって勝手に訳していて、そういう意味では記念の年に出るアルバムにふさわしいリードっぽい曲かもしれないですね。

――「Let Me Feel It」をリード曲に据えたのは、ライブも見据えて「そろそろダンスしようぜ」というイメージですか?

そうですね、元々頭の中にあったテンポと曲の雰囲気しか決まっていなかった状態でも、この曲をアルバムの2曲目・リードにしたいなと思っていたので、そのためにどういう感じがいいかなと曲を詰めていきました。僕、シングル曲はバラバラに作れるんですけど、アルバムの曲は「◯曲目を作ろう」っていうやり方をするんです。だから「Let Me Feel It」は2曲目を狙って作っています。

――この曲にはOvallの関口シンゴさんが参加されていますが、一緒に音楽を作ってみてどうでしたか?

元々面識がなくて一方的にチェックしていたんです。ギターでグルーヴを作る音楽をやりたいと思っていて誰にギターを弾いてもらおうかなと考えた時に、あのOvallのギターの人いいなぁって。それで連絡してみたら「やります」って言ってもらえて。セッキーくんにデモを聞いてもらったら、この感じなら自分がプラスの要素を与えられるって言ってくれたんですね。そういうやりとりがすごく早くて。あと、面白かったのはこの曲にはアンプで鳴らすギターの音と、パソコン上で処理していく音が両方入っているんですけど、ここはアンプで鳴らさない方がいいという判断が僕らとても似ていて。同じような嗅覚でやれたかな。すごく楽しかったです。

――初めて声をかけたミュージシャンが参加している一方で、旧知の中である村松拓さん(Nothing's Carved In Stone)が作詞作曲を手掛けた「青のサーカス」も収録されています。自らソングライティングを手がけるKeishiさんにとってはとても珍しいことですよね。

拓ちゃんこそとても自然な流れでここまで来ました。一緒にやった弾き語りライブ中のMCで曲作ろうよって。曲がとても拓ちゃんぽい分、ストリングスを使ったりアレンジは僕っぽい感じにしてアルバムの中で馴染むように心がけました。今回、拓ちゃんには曲だけじゃなくて詞も頼んでいるのは大きいかな。

――言葉の選び方や語尾に、Keishiさんの詞にはないものが見られますよね。

そうですね。本当初めてですよ、人に書いてもらった歌詞をアルバムに入れるのは。そういう意味では相当なことをやった気もするけど、拓ちゃんとなら大丈夫でしょうと。



制作で意識した"近づいてくるような音"


――先ほど、今回のアルバムはLP盤を作ることを前提にA面の前半5曲とB面の後半5曲というのを意識して作っていると伺ってそれがすごく面白いなと思いました。このアイデアはどこから生まれたんでしょう。

仮に10曲入りだとして、シングルの曲が3曲あるのであとは7曲。「I'm With You」で終わろうとか、既にある曲をまずはめていった感じです。「I'm With You」は打ち込みだし「Sunny」や「A Base Of Life」は今までよりもたくさんシンセの音を使っていて、そういうところで自分の今のモードはこっちだなと確認していたんです。ただ、あまりにも挑戦しすぎているようなガラッと変わったことをやりたいわけでもなくて、「Call Me Up」や「Christmas Is All Yours」のようなKeishi Tanakaっぽいみたいなことも必要だなと思った時に、アルバムを前半後半にしようと。近づいてくるような音のものは後半にしようかなぁとか。

――その"近づいてくるような音"について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?

人の気配がする感じかな。それが後半です。前半は無機質でかっこいいみたいなところから、人の内側を見せる感じへ...それは弾き語りをやってきたからやろうと思ったことですね。

――特にコロナ禍のここ数年は弾き語りのライブも精力的に開催されていましたもんね。

はい。弾き語りってすごく人間を見せるもの、見せる時間だと思っていて、人間臭い感じが好きで弾き語りをしてるなって思っていたんです。その感じをアルバムにも入れたいなと。後半曲はバンドサウンドでもそういうことを意識しました。今好きで聞いている音楽ややりたいことをはじめとした今のモードが前半に固まっている感じで、後半は10年間でやってきたことに近いかな。

――そういうお話を聞くと、LPで聞く楽しみが生まれますね。

うんうん。LPは今のところ全アルバムで出してきているから、今回も出そうというのはかなり早いタイミングで決まっていて。出すなら裏返すという作業に何かひとつ意味を乗せると、より楽しめるかなと思って。どうせフィジカルで持つならLPのデカいサイズで部屋に置いてもらいたいと。本当に欲しい作品は大きいのって嬉しくないですか? サイズも4倍だから嬉しさ4倍っていうか(笑)。

――それこそジャケットがデカいのはLPの魅力ですよね。それこそ今回のジャケットはとても不思議なデザインですよね。

これ、実は足なんですよ。

――へー! 足!

『Chase After』=追いかけるというところから来ているのと、あと僕が『NEW KICKS』というイベントをやっていてイベント名だけじゃなくて新しい靴を手に入れたようなワクワクをみたいなことをテーマにしてずっとやっているので、そういったことでも10周年だし、デザイナーと相談して決めました。すごく名盤の匂いがするジャケットでしょう?

――確かに! あと今までのKeishiさんといえば写真を使ったジャケットというイメージだったので意外性がありました。

写真を使っていた時は、名刺代わりっていうところもあって顔を出しておこうという気持ちがありました。今もまだまだ名刺を配る段階ではあるけど、それよりもビビッと来たのがこのジャケットでした。

――10周年の記念の年に出るアルバムですし、ビビッは大事ですよね。

これまでの10年も含めて僕の作品に多幸感みたいなところを言ってくれる方が多くて、それはすごく自分のやりたかったことだし、彩のある生活とか人生の1枚になってくれたらいいなと今も思っているけど、でも今回はそうじゃない自分というか影みたいなところに対する1曲、1枚になってほしいなとも思っていたので、今回はカラフルではないジャケットになっていて。もしかしたらKeishi Tanakaはこういう色のジャケのイメージじゃないって言う人もいるかもしれないけど、このアルバムを聞いてみて「なるほど、こういう曲も入っているからこういう色遣いなんだ」とかそこまで楽しんでもらえたら、作っている側としてはとても嬉しいです。

――なるほど。リリース後、反響はどうですか?

とてもいいです。ミュージシャンからの評判がいいですね。それはとても嬉しいことだし、連絡をくれる人も多くて。

――へー! わざわざ。

ソロで制作していると、すごくいいアルバムができたと思っても「自分だけがいいと思ってる?」っていう時があるんですよ。ひとりで盛り上がっている不安を、連絡いただけることで解消できるんですよね。

――(笑)。

わざわざ連絡が来るならば本音なんだろうなと。連絡をくれるっていう行為が嬉しいですよね。先輩からはもちろん、最近は後輩からの連絡が嬉しくなってきてますね。

――それは活動年数も年齢も重ねてきたからこそな気がしませんか? 若い時はやっぱり先輩に褒められたいというか。

あ、確かにそうかも。後輩から連絡をもらえて、彼らがちゃんと心で音楽を聴いてくれたんだって感じて嬉しかったです。

――このアルバムを持って、来年にリリースツアーが振替になると思うのですが...。

今回見送った公演もひとりの弾き語りで...とも当然一度は考えたんですけど、『Chase After』のリリースツアーとしてはダンスをテーマにしているし、ひとりでは再現できないという判断をしました。その辺も含めて予定通りのメンバーで改めてやれるのがベストだと思っています。

――ライブを楽しみにしつつ、次の1年に対しての展望はありますか? 40歳を迎えられて新しいフェーズに突入していると思いますが。

本当は12月中にリリースツアーを終えて、すぐにでも次にっていうモチベーションが今あって。

――それは次の制作をする? 次のライブを行う?

これが今までと違うところなんですけど、制作意欲の方が強いかもしれないです。曲ができそうなんですよね、今。自分の中のモチベーションも感じています。

――ファンとしてはそれもすごく楽しみな展開です。ちなみに音楽もそうですけど、音楽以外でやりたいことはありますか?

この1年ぐらいで思っているのは、日課を作りたいんです。朝起きるとか当たり前の生活をしてこなかったので(笑)。やることが決まった生活をすると不安がなくなる、やることが決まっているとクリエイティブに時間を使えると少し前に読んだ本に書いてあって。だからそれをやりたくて。日課から外れた時に、それ以外のことの楽しみが倍増してまたいい音楽が作れるかなと思っています。結局音楽のことになっちゃいますね。

取材・文/桃井麻依子




(2023年1月 4日更新)


Check

Release

5th Album『Chase After』
各種ストリーミングサービス/ダウンロードサービスで発売中

視聴・ダウンロードはこちらから
https://KeishiTanaka.lnk.to/ChaseAfter

CD/LPは1月25日(水)発売
※1月20日(金)ツアー会場先行リリース

【限定盤】
(LP+CD+ZINE+ライブ映像視聴URL)
8800円(税込)
KCRC017

【通常盤】(CD)
3300円(税込)
KCRC016

HIP LAND MUSIC

《収録曲》
01. Will
02. Let Me Feel It
03. A Base Of Life
04. 雨
05. Sunny
06. Call Me Up
07. Christmas Is All Yours
08. Slow Dance
09. 青のサーカス
10. I'm With You

Profile

田中啓史=1982年北海道出身。2002年に結成されたバンド・Riddim Saunterのボーカリストとして活動後、2012年よりシンガーソングライターとしてのキャリアをスタートさせる。コンスタントにリリースを続ける傍ら、全国各地で開催されるライブにも軸足を置いている。ライブハウスや野外フェスでのバンドセットから、ホールやBillboardでの11人編成ビッグバンド、カフェをはじめとした飲食店・ショップでの弾き語りなど、場所や聞く人を限定しないスタイルで年間100本前後のライブを続けてきた。自主企画イベントとして、バンド編成で行う『NEW KICKS』と、アコースティックセットで行う『ROOMS』を不定期で開催。音楽の世界のみにとどまらず2017年には詩集『真夜中の魚』(シンコーミュージック)の刊行やアウトドア誌・『ランドネ』にて連載を続けるなど執筆活動も行い、多彩な才能を発揮している。

Keishi Tanaka オフィシャルサイト
https://keishitanaka.com/


Live

Keishi Tanaka presents
[Chase After Release Tour]

Pick Up!!

【大阪公演】

1月7日(土)一般発売 Pコード:234-166
▼1月20日(金) 19:00
Shangri-La
一般チケット(スタンディング)-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
指定席チケット(後方椅子席)-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
ファミリーチケット(後方椅子席)-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※12/17(土)の振替公演。中学生以上は有料。
※ファミリーチケットは1人ではご利用になれません。保護者1名に対して小学生以下は何名でも無料。
※バンドセットでの出演となります。
※新型コロナウイルス感染予防対策にご協力ください。(払い戻し状況によっては、再販の無い席種もございます。)
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)でのみ販売。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

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▼1月25日(水) 20:00
大阪 FLAKE RECORDS
入場無料
※当日『Chase After』(LP/CD) 及びKeishi Tanakaの旧譜を購入の方対象でライブ後のサイン会に参加可能。
[問]FLAKE RECORDS
https://dawaflake.exblog.jp/241672289/

▼2月19日(日) 14:00
大阪 タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
内容 : 弾き語りライブ+LP/CDサイン+特典お渡し
インストアライブ来場特典 : Chase After Release Tour 直筆サイン入りライブ写真
※サイン会はご購入いただきましたCD『Chase After』が対象となります。当日必ずお持ちになってご参加ください。
[問] タワーレコード梅田NU茶屋町店 06-6373-2951
https://tower.jp/store/event/2023/02/096004


【愛知公演】
▼2月1日(水) 池下CLUB UPSET
※12月17日(金)大阪公演及び12月18日(土)愛知公演のチケットはそれぞれの振替日程でそのまま使用可能。それぞれチケット払い戻しの受付期間は12月21日(水)AM10:00~1月5日(木)23:59まで

【東京公演】
▼3月29日(水)
東京 duo MUSIC EXCHANGE
※12月21日(水)東京公演のチケットはそれぞれの振替日程でそのまま使用可能。チケット払い戻しの受付期間は12月28日(水)AM10:00~1月9日(月)23:59まで

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